目標管理は時代遅れ?理由やメリット・デメリット・成功するポイントを解説


目標管理は時代遅れ?理由やメリット・デメリット・成功するポイントを解説

多くの企業が目標管理制度を導入する一方で、目標管理制度は時代遅れという意見は少なくありません。この記事では、目標管理制度の概要や、時代遅れといわれる理由などを解説します。目標管理の必要性や成功させるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目標管理制度とは

目標管理制度(MBO)とは、目標達成をサポートする制度のことです。目標は社員自身によって設定され、一定のタイミングで達成度が評価されます。個々のレベルに応じた目標を設定して、社員のやる気を引き出し、業績アップにつなげましょう。


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目標管理が時代遅れの制度といわれる理由

どのような制度も、時代に合わせた進化が求められます。目標管理制度が時代遅れといわれる理由を見ていきましょう。


適正な評価につながらない

設定する目標のレベルが低いと、達成度を適正に評価できないリスクがあります。社員個々のレベルに合わせた目標を設定してください。


また、目標を達成しようと躍起になるあまり、他の業務が疎かになる社員もいるでしょう。社員が担当する業務に加え、組織や企業理念、人材の活用なども含めて目標を設定すると、適正な評価につながります。


目標の内容が不公平になる

評価者の能力不足を理由に、評価の内容に不満をもつ社員が出てくる恐れがあります。公平な評価を受けられなければ、社員のモチベーションが低下しかねません。評価基準を明確にする、研修を開催して評価の意義やルールを説明するなど、公平な評価ができる仕組みづくりが重要です。


社員の意見が反映されにくい

現場で働く社員の意見やニーズを考慮しなければ、現実的な目標を設定できません。上層部が押しつけた目標は反発を生むリスクがあります。また、社員本人の意思を無視した目標も好ましくありません。


たとえば、キャリアの方向性や高めたいスキルに関する目標を設定する際は、社員本人の意思を重んじる必要があります。不満を感じた社員が働きがいのある会社へ流出しないように、目標の内容やレベルを慎重に決めましょう。


目標の更新が頻繁に行われる

頻繁に会社の方針が変わる環境では、目標管理制度そのものの意義が低下する可能性があります。経営方針や組織の運営を変更する場合、個人の目標も変更を迫られるためです。たびたび見直しが生じるようでは、管理職や社員に負担を強いるでしょう。


ビジネスを取り巻く環境は日々変わるため、ある程度の方針の見直しは不可欠です。ただし、頻繁に方針が変わる会社の場合は、制度の運営が難しい可能性があります。


目標の反省ができない

目標管理制度を導入した会社のなかには、進捗確認や面談などが実施されないことも少なくありません。目標管理のプロセスが煩雑になると、現場に負担をかける可能性があります。適正な制度運用のために、特定の人に負荷がかからない仕組みづくりや、評価を効率化するシステムの導入などを検討しましょう。


目標管理が必要とされる理由

否定的な意見もあるものの、目標管理制度は多くの会社にとって導入する価値のあるものです。目標管理制度が必要とされる理由を解説します。


目標を達成するためのステップを明確にできる

目標管理制度を導入すると、短期・長期、どちらの目標のステップも明確にできます。やるべきことが明確になれば、初期の段階で十分なリソースを確保できるでしょう。準備を整えておけば、時間やコストなどを抑えて最短ルートで目標を達成できます。


目的達成のスピードを向上させる

会社や組織の押しつけではなく自身で決めた目標なら、達成に向けてモチベーションが上がると推察されます。自主的に仕事に取り組めば、結果的に作業効率を高めることが可能です。仮に予期せぬ事態が発生した場合でも、1人ひとりが打開策を考えると計画を先送りせずに済むでしょう。


目標管理が時代遅れになりやすい会社の特徴

前述のように、経営方針や戦略の変更が多い会社には、目標管理制度が合わない可能性があります。頻繁に目標が変わると、社員は戸惑いやストレスを感じるでしょう。


主体的に動く人材が少ない会社にも目標管理制度をおすすめできません。目標管理制度はマネジメントの負担が大きいためです。定期的な進捗確認や面談ができなければ、制度が形骸化するリスクがあります。


目標管理が時代遅れにならない会社の特徴

社員が自主的に業務を行う会社は、目標管理制度を効果的に活用できます。制度により社員の動きを体系的に管理できると、会社と社員の目標が一致して全体の生産性が向上するためです。また、自主的に動く社員が多ければ、進捗確認や面談が滞ることなく制度が活用されると考えられます。


目標管理のメリット

目標管理制度を導入するメリットを解説します。社員の意欲やスキルの向上、公平な人事評価に向け制度の導入を検討しましょう。


モチベーションが向上しやすくなる

自身で決めた目標に向けて行動すると、仕事を通じて充実感を味わえます。目標達成できた成功体験を得られると、自信をもてるようになるでしょう。チームや会社に貢献できたと実感できると、さらにモチベーションの向上につながります。


スキルアップにつながる

自らが考えて行動する社員は、必要なスキルや知識の習得に意欲的です。目標管理制度によって社員1人ひとりが自主的に行動するようになると、個々のパフォーマンスが高まります。結果的に、組織全体のスキル向上に加え、多様化も進むでしょう。


公平な人事評価につながる

目標管理制度を導入すると、社員1人ひとりに評価指標ができます。明確な評価指標があれば、主観に偏った評価を避けられるでしょう。特に、社員の達成率を数値で管理すると、公平かつ透明性が高い人事評価が可能です。また、数値化された結果なら、評価の対象者は長所や課題に納得しやすいと考えられます。


目標管理のデメリット

目標管理制度を導入するデメリットを解説します。負担の軽減と、制度の意義を正しく理解してもらうことが運用のポイントです。


管理職に負担をかける

管理職は、目標の振り返りや改善のプロセス検討に関して、社員を適時サポートしなければなりません。社員1人ひとりの目標管理に対して、適切なフィードバックをする必要もあります。そのため、目標管理制度を導入すると管理職の負担は増えがちです。前述のとおりシステムの導入も検討し、特定の人に負担が偏らない環境を整備しましょう。


目標が形骸化しやすくなる

目標管理制度を形骸化させてしまう会社も少なくありません。目標管理が建前にならないように、上司や担当者と社員は適切にコミュニケーションを取り、妥当な目標を定めましょう。目標管理制度の目的は、目標を立てさせることではありません。社員にとって適度なレベルの目標を設定してはじめて、モチベーションや生産性の向上が期待できます。


目標達成に執着する可能性がある

目標達成を優先しすぎると、目標への影響度が低い業務を怠る社員が出てくるかもしれません。協力体制を構築できなければ、チームや組織の士気を下げる可能性があります。


また「達成すること」に重点を置きすぎた結果、簡単に達成できる目標を設定する社員も現れるでしょう。上司や担当者のサポートのもと、社員にとって適切な目標を設定することが重要です。


目標管理に成功するポイント

適正な目標設定は、目標管理制度運用の第一歩です。制度の運用を成功させるポイントを解説します。


目標を明確に設定する

社員が迷いなく行動できるように具体的な目標を設定してください。数値化して定量化した目標ならば、見る人の考え方や価値観に左右されません。職種の内容にもよりますが、可能な限り数値化をおすすめします。数値化が難しい場合も、社員とすり合わせのうえ認識のズレがない目標を設定しましょう。


目標達成のプロセスを評価する制度を構築する

適正な評価をするためには、成果だけではなくプロセスごとでの定量化も必要です。目標達成に至るまでのプロセスごとに、達成度合いを測る指標を設定しましょう。また、仕事の進め方や取り組む姿勢の評価も重要です。評価の公平さや納得性は、社員のモチベーションに影響します。


目標達成の難易度を適切なものにする

目標の難易度は、社員が達成可能な範囲で設定しましょう。高すぎる目標だと、社員はなすべき行動をイメージできません。適切な目標を設定すると、業務の役割や責任の範囲などを明確にイメージでき、スムーズに目標達成に向けて行動できます。


組織の成長につなげる

目標管理制度は、組織と社員双方の成長につなげてこそ導入した意味があります。しかし、近年は価値観や働き方の多様化に伴い、組織と社員の目指す方向がマッチしないケースが増えました。このような状況を改善するには、組織と社員の意見をすり合わせ、両者の成長につなげる仕組みを構築することが重要です。


目標管理の種類

目標管理制度は導入目的により3つに分類されます。それぞれの特徴を知り、自社にふさわしい方法を選びましょう。


課題達成型

課題達成型は、組織の目的達成を前提として社員の目標を設定する方法であり、トップダウン型の組織に適しています。個人目標を達成できる人の割合が増えるほど、自然に会社の目標も達成に近づく仕組みです。


厳しい目標を設定しすぎると、社員のモチベーションが低下する恐れがあります。目標設定の際は、組織の目的達成と社員のモチベーション維持のバランスを考慮しましょう。


組織活性型

組織活性型は、会社やチームの活性化を促進するために、社員1人ひとりに目標を決めさせる方法です。組織活性型はボトムアップ型の組織に適しているとされています。個人の意思が強く反映され自主性が促されやすい点は、組織活性型のメリットです。


一方、目標達成へのプロセスが曖昧になりがちな点には注意してください。組織活性型で目標設定する際は、個人の目標と組織の目標との連動性を意識しましょう。


人事評価型

人事評価型は、年度目標として社員の課題を設定する方法です。組織活性型と同様にボトムアップ型の組織に適しており、目標設定も社員自らが行います。


社員のモチベーションを高め、自主性を促す可能性が高い人事評価型ですが、社員個人の努力が必ずしも会社の業績アップに結びつくとは限りません。個人と組織、それぞれの目標の連動性を高めることが人事評価型を導入するポイントです。


目標管理の手法

目標管理でよく使われる、2つのフレームワークを紹介します。特徴を知り、自社に合うフレームワークを採用しましょう。


OKR

OKR(Objective and Key Result)は、目標の設定・管理を目的にしたフレームワークです。フレームワークの構成要素は、O(Objectives)とKR(Key Results)に分けられます。Oは組織の目標で、KRは目標を達成するための主な成果です。


会社、組織やチーム、個人というように、規模ごとにOKRが存在します。最初に最上位のOKRを決定し、連動するように下位のOKRを設定しましょう。


KPI

KPI(Key Performance Indicator)は、KGI(Key Goal Indicator)を達成するための重要な業績評価指標です。KPIがプロセスごとの評価指標で、KGIは最終的に達成したい目標の評価指標を意味します。KGIを決定した後、その目標を達成するためのプロセスを逆算し、各部門や個人の業務レベルでKPIを設定しましょう。


目標管理は目標管理シートがおすすめ

目標管理シートは、チームや個人の目標管理に使われます。目標管理シートを見ると、目標達成のための具体的な行動や、目標の達成度合いを把握可能です。チーム・個人それぞれの課題や問題点などを具体的かつ明確に記載すると、目標管理シートを効果的に活用できます。


目標管理シートを活用する目的

目標管理シートを活用する目的は、チームと社員それぞれの目標達成力を向上させるためです。日々の業務内容と業務量が明確になると、目標達成のために行動しやすくなります。


目標管理シートを活用する際は「振り返り」の欄も活用してください。現時点の状況と目標とのギャップを把握することで、社員は自分の取るべき行動を考えられます。


目標設定に活用できるフレームワーク

目標設定の際に使われる3つのフレームワークを紹介します。組み合わせも可能なため、具体的で分かりやすい目標を設定しましょう。


ベーシック法

ベーシック法は、目標設定で使用される代表的なフレームワークです。ベーシック法は、目標項目・達成基準・期限設定・達成計画の4つのステップで目標を設定します。目標から逆算するため、現実的なプロセスを設定できるでしょう。


ランクアップ法

ランクアップ法は、ベーシック法と組み合わせて使用されやすいフレームワークです。ランクアップ法は、以下6つの要素で構成されます。


・改善:弱点の改善

・代行:スキルが高い上司や先輩社員の仕事の代行

・研究:特定のテーマの研究

・多能化:他分野のスキルの習得

・ノウハウの普及:スキルや知識のノウハウ化、普及

・プロ化:専門分野におけるプロ化


SMARTの法則

SMARTの法則は、以下5つの項目で構成されています。


・S(specific):具体的であるか

・M(measurable):測定可能か

・A(achievable):達成可能か

・R(relevant):上位目標との関連性はあるか

・T(time-bound):明確な期限はあるか


SMARTの法則では、複数の切り口から具体的に目標を表現するため、人によらず分かりやすい目標を設定できます。


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まとめ

時代遅れともいわれる目標管理制度ですが、適切に運営すると社員のモチベーション向上やスキルアップが見込めます。公平な人事評価の実現にも、目標管理制度は貢献するでしょう。目標管理制度の導入にあたり、管理職の負担が増えると予想されます。スムーズに評価を導入するためには、負担を減らす施策を検討しましょう。


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