5月病の症状をチェックする方法とは?企業側への影響と対策も解説


5月病の症状をチェックする方法とは?企業側への影響と対策も解説

新年度から5月にかけて、憂うつな気分になる症状を一般的に「5月病」と呼びます。5月病による従業員の生産性・モチベーションの低下を防ぎたい人事担当者の方もいるでしょう。今回は、5月病の症状をチェックする方法や企業側への影響と対策を解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

新年度は、就職や異動などで新しい環境へ変わる時期のため、期待と緊張感、不安が張り詰めやすいです。その後、ゴールデンウィーク(GW)で連休を挟んでまた仕事に戻ることで、心理的なプレッシャーやストレスがさらに増えることがあります。

この切り替えの難しさから「身体がだるくなる」「寝られなくなる」「集中できない」など憂うつな気分になる症状を、一般的に5月病と呼びます。

従業員の5月病による生産性・モチベーションの低下を防ぎたいと考えている人事担当者の方もいるでしょう。

今回は、5月病の症状をチェックする方法や、企業側への影響と対策を解説します。

なぜ5月病は倦怠感やだるさを感じるのか

一般的に5月病の症状として現れやすいといわれているのが、倦怠感や身体のだるさなどです。この状態は、季節の変化や気候の影響による身体の適応不足や、心理的なストレスによるものと考えられます。

倦怠感やだるさは、エネルギー不足や睡眠障害、抑うつ感とも関連しているともいわれています。自律神経のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられている特徴的な症状です。

自律神経は、体内の機能を調整し、ストレスへの反応や身体の回復に関与しています。例えば、交感神経の活動によって心拍数が上がり、副交感神経の低下によって消化機能が低下することで、動機や食欲不振につながるケースもあります。

5月病になる原因とは

5月病の原因は、一般的に特定の季節や時期にストレスが蓄積されることです。

同時に新しい環境の適応や忙しいスケジュールが重なり、心理的な負担が増えることで疲労感やイライラ感、気分の落ち込みなどの症状が現れます。

5月病の原因はストレス

5月病という正式な病名はありませんが、一般的に適応障害と呼ばれる心の状態に該当します。

適応障害は、特定の時期や状況で、ストレスによって引き起こされる心の病気です。心理的な負担やストレスによって心身の調和が乱れ、疲労感や気分の低下、集中力の低下などの症状が現れることがあります。

適応障害の主な原因はストレスで、春から初夏にかけて、環境の変化やプレッシャーが要因となることが多いです。適応障害は一時的なもので、適切な対策とケアを通じて、ストレスの軽減や心の健康を回復させられます。

ストレスを引き起こす要因とは

ストレスの要因は様々ですが、仕事や学業の圧力、業務の締め切りや量の増加などが挙げられます。また、仕事上の人間関係の問題など、周囲とのコミュニケーションや衝突もストレスを蓄積させる要因の一つです。

個人的な面では、経済的な問題や不安、健康問題や病気によるストレスなど、体調の変化や治療の負担が心理的なストレスを生みやすいとされています。

さらに、環境の変化や不確実性への直面、新しい環境の適応や未知の状況への対処などが、心理的な負荷を増加させやすいです。

5月病の症状かどうかのチェックポイント

5月病の症状は、自分では分かりづらい可能性もあります。急に不安感に襲われたり、無気力になったりなど、今まで何気なくできていたことができなくなる場合は、5月病の可能性があるでしょう。

ここでは、5月病の症状かどうかのチェックポイントについて詳しく解説します。

5月病の見分け方

5月病を見分けるポイントはいくつかあります。まず、環境が変化して3ヶ月以内に症状が表れたかどうかという点です。適応障害の特徴として、ストレスの要因となりやすい環境の変化があった後すぐに症状が表れることが挙げられます。
また、5月病の症状は、仕事がある平日に表れるが、休日や週末には軽減する傾向があります。これは、休日や週末は、仕事・学校へのストレスが一時的に解消され、リラックスできる環境になるためです。

なお、5月病は、新生活に慣れるまでの半年程度で症状が治まりやすいとされています。

5月病のよくある症状のチェックリスト

自分は大丈夫だと思っていても、知らないうちに5月病になってしまう可能性もあります。

5月病のよくある症状を知り、今の状態を把握しておくことが大切です。5月病のよくある症状は以下のとおりです。


5月病のよくある症状のチェックリスト
1疲労感や倦怠感が続いている。
2集中力や注意力が低下している。
3イライラしやすくなっている。
4気分の落ち込みや憂うつ感がある。
5睡眠の質が低下している。もしくは寝られない。
6食欲の変化(食欲不振または過食)が見られる。
7体調不良や頭痛、胃腸の不快感がある。
8社交性や人間関係の維持が難しく感じる。
9非日常感や無気力感が強くなっている。
10心身のストレス負荷により日常生活への影響が出ている。

これらの情報はあくまで一般的な傾向であり、個人の状況によって異なる場合もあります。症状が重い、日常生活に支障をきたすなどの場合は、専門家に相談することが大切です。医師や心理カウンセラーは、正確な診断と適切な治療法を提供してくれます。

従業員が5月病になっていないかチェックする方法 


従業員が5月病になっていないかどうかは、主に「勤務態度の変化」「対人関係」「業務の生産性」から判断するとよいでしょう。

ここでは、それぞれのチェック方法について詳しく解説します。

チェック1:遅刻や欠勤が急に増えていないか

5月病の症状として挙げられるのが、憂うつ感や無気力感、倦怠感などです。さらに症状が進むと、頭痛や不眠、食欲不振などが起こる可能性があり、従業員の遅刻や欠勤が増えることが考えられます。

そのため、今まで問題なく出勤していた従業員の欠勤や遅刻が急に増えた場合は、5月病になっている可能性があるでしょう。。従業員の出勤状況を注意深く観察し、過去と比較して急激な変化がないかの確認が大切です。

また、遅刻や欠勤が増加傾向の場合は、従業員とのコミュニケーションを通じて理由や問題点を整理し、適切なサポートや対策を行いましょう。

チェック2:対人関係のトラブルが起きていないか

ストレスや不安が増えると、ほかの人との関係にも影響を及ぼすことがあります。

従業員が突然ほかの従業員との関係に問題を抱えるようになり、コミュニケーションが減少したり、協調性やチームワークが低下したりする場合、5月病の可能性が考えられます。

従業員とのコミュニケーションを通じて問題を明確にし、解決策を模索することが大切です。さらに、心理的な安全性を提供し、従業員がストレスやトラブルを適切に共有できる環境を整えることも必要になります。

チェック3:生産性の低下やミスをしていないか

いつもより業務の生産性が低下したり、ミスが増えたりする傾向が見られる場合も、5月病の可能性が考えられます。

5月病になっている従業員は、集中力が低下してしまうのが特徴です。集中力が低下した結果、業務の生産性も下がり、ミスの増加にもつながります。

従業員の業務成果や品質を観察し、過去と比較して時間がかかりすぎていたり、ミスの回数が増えたりしていないか確認しましょう。

生産性の低下やミスの増加が見られる場合は、従業員とのフィードバックやコミュニケーションを通じて、仕事へのサポートや改善策を提供することが大切です。

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5月病を放置するとどうなる?

5月病を放置すると、様々なリスクがあります。5月病の症状が見られる場合は、早期の対策・サポートが必要です。

ここでは、5月病を放置した場合のリスクや治療法などについて詳しく解説します。

放置するとうつ病を発症するおそれがある

従業員が持つストレスや不安が継続し、モチベーションやエネルギーが低下すると、うつ病を発症するおそれがあります。

うつ病は、症状や重症度などが様々あります。脳のエネルギーが欠乏することにより、睡眠欲や食欲などの様々な意欲に異変が起こるのが特徴です。放置しておくと、日常生活や対人関係、また業務にも大きな影響を与える可能性があります。

企業側は、日頃から従業員の健康状態を確認することで、5月病の早期判断と適切な対策が可能になります。

病院を受診する場合の治療法

5月病の症状が出た場合は、病院での治療も可能です。病院では、カウンセラーとの対話を通じて、5月病の原因となるストレスは何かを見つけ、ストレスに適応するにはどうしたらよいかを探していきます。

カウンセリングでは、他人には相談できなかったことや自分の考えていることをカウンセラーに伝えることで、今まで気づけなかった自分を発見できます。カウンセリングで自分の気持ちを言葉にして整理すれば、マイナスな感情をなくすことが可能です。

また、対症療法として医師から薬が処方されるケースもあります。。ただし薬の使用には、個人の状態や症状の程度に応じた判断が必要であり、医師の指導のもとで行われます。


5月病の改善・予防方法


一般的に、5月病の改善・予防には、適切な休息と睡眠に合わせ、バランスの取れた食事や適度な運動を行うことが大切とされています。

ここでは、5月病の改善・予防方法を詳しく解説します。

規則正しい生活を心がける

睡眠時間を十分に確保し、毎日同じ時間に寝て起きるようにしましょう。良質な睡眠は身体の回復やリフレッシュに重要な役割を果たします。

また、食事も1日3食バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。タンパク質・ビタミン・ミネラルなど、様々な栄養を摂取して、体内の栄養バランスを整えましょう。

日々規則正しい生活を心がけることで、身体のリズムを整え、心身のバランスを保つことが必要です。

軽い運動をする

軽い運動は効果的なストレス発散方法の一つです。

例えば、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は心身の緊張をほぐし、ストレスを軽減するといわれています。また、ヨガやストレッチも心地よい身体の動きを通じてリラックス効果があります。

定期的な軽い運動は、身体的な健康を維持するだけでなく、心の健康にもよい影響を与えることが可能です。自分に合った運動を選び、習慣化することで、ストレスを軽減し心身のバランスを整えられます。

ストレス発散方法を見つける

自分なりのストレス発散方法を見つけるのも、5月病の改善・予防方法の一つです。

仕事の合間や休憩時間には、趣味や好きなことに時間を割くことで緊張をほぐすとよいでしょう。読書や音楽鑑賞など、自分が楽しめる趣味を選ぶことが大切です。

終業後や休日なども、仕事のことは考えすぎず、趣味や好きなことに集中するとよいでしょう。テレビや映画、読書などの娯楽で笑ったり泣いたりして感情を吐き出すのも、ストレス発散につながります。

さらに、友人との会話や家族との時間を大切にすることもストレス解消に役立ちます。一人で抱え込まず身近に相談できる相手をつくることは、ストレスを和らげることにつながるでしょう。

5月病が企業に与える影響と企業側で取り組むべきこと

従業員が5月病になると企業にも影響を与えます。企業側は5月病の対策として様々な取り組みが必要です。

ここでは、5月病が企業に与える影響や企業が取り組むべき対策について詳しく解説します。

5月病は企業にどういう影響があるのか

5月病は疲労感や倦怠感が増すため、業務中の集中力の低下や、コミュニケーション不足が起こる可能性があります。その結果、業務全体の生産性の低下が懸念されるでしょう。

また、5月病により従業員の欠勤や休暇取得が増えれば、業務の連携やスケジュール調整に支障が生じる可能性もあります。

さらに、5月病は従業員の離職や休職の増加にも影響します。従業員の数が減れば、全体の業務にも支障をきたすでしょう。

こういった影響を踏まえ、企業として5月病の対策に取り組む必要があります。適切な支援策を実施することで、5月病による影響を最小限に抑え、生産性や企業のパフォーマンスを維持することが大切です。

企業側で行うべき取り組み

企業が取り組むべき5月病の対策として、メンタルヘルスマネジメントや柔軟な労働環境の整備などが求められます。

メンタルヘルスマネジメントとは、従業員の精神的な健康を重視する取り組みです。メンタルヘルスマネジメントでは、従業員本人によるセルフケアや管理監督者によるケア、組織全体におけるマネジメント計画づくりなどが軸になります。

メンタルヘルスマネジメントには検定もあります。企業側は、一人一人が5月病に適切に対処できる仕組みづくりを行うことが大切です。

また、柔軟に労働環境を整備することも、企業が行うべき取り組みです。従業員同士の人間関係の悪化や上司から部下へのパワハラなどは、ストレスの原因になりやすいです。

定期的に労働環境に関するアンケートを実施し、不満の声や改善を求める声があれば、柔軟に対応できるようにしましょう。

これらの対策により、従業員の心身の健康を支えるとともに、5月病の予防と改善につながります。

まとめ

一般的に5月病は、環境の変化によるストレスで倦怠感などの不調を引き起こす症状です。企業側は、従業員の健康管理とモチベーション維持に取り組むことが求められます。従業員の状態を把握するためのチェックポイントや予防・改善方法を活用し、適切なサポートを提供しましょう。

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