五月病とは?原因や予防方法、企業が取り組むべきことについても解説


五月病とは?原因や予防方法、企業が取り組むべきことについても解説

五月病は、ゴールデンウィーク明けに見られる心や身体の不調です。予防するためには、ストレスを減らし、生活リズムを整えることが大切です。

今回は、五月病になりやすい人の特徴や予防方法、企業が取り組むべきことについて解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

五月病は、5月の連休明けに見られる適応障害の一つです。転勤や部署移動、引越しなど新年度の新しい環境に適応できず、心や身体に不調をきたします。従業員が五月病と診断された場合、どのように対処すればよいのかわからないと感じる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、五月病の概要や企業の対応方法について解説するため、従業員のメンタルケアについて知識を深めたい人は参考にしてください。

五月病とは?

五月病とは、ゴールデンウィーク明けによく見られる、心や身体の不調のことです。以下では、五月病の概要やうつ病との違いについて解説します。

五月病は適応障害の一つ

五月病は医学用語ではなく、病名でいうと適応障害に分類されます。適応障害は、特定の出来事や環境によるストレスによって、心や身体に症状が表れる病気です。主な症状として、不安や焦り、暴飲暴食などが挙げられます。原因が明確であるストレスに反応することで、引き起こされる点が特徴です。

五月病は、ゴールデンウィーク明けから発症する人が多い傾向があります。4月になって転勤や部署異動、引越しなどのイベントを経験した人に発症しやすいことから、五月病と呼ばれています。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病は、症状が似ているため認識が混同している人も多いでしょう。双方の違いには治療法や診断基準が挙げられます。

適応障害の場合、好きなことに対しては意欲的に取り組むことが可能です。そのため、自身にとってリラックスできる環境でしばらく過ごすことにより、症状が緩和されるケースがあります。

一方でうつ病は、今まで楽しいと感じていたことに対して興味がなくなる点が特徴です。不眠・食欲不振などの症状が表れることもあり、薬やカウンセリングといった医療的なケアによって治療する必要があります。

五月病はストレスが要因であることが多い

五月病は、ストレスが起因となって症状が表れます。例えば、入社や転職によって環境が変わることで気分が落ち込んだり、身体に不調をきたしたりします。

症状を悪化させないためには、ストレスの原因となる環境から距離を置くことが大切です。ストレスを感じない環境を作ることが、症状の改善につながります。心の負担を少しでも減らせるように、趣味や楽しいと思えることに没頭する時間を設けると効果的です。

また、強いストレスを感じている状態が続くと、うつ病を引き起こす可能性があるため早急な対策をおすすめします。

五月病で見られる症状とは?

五月病を発症すると身体や心、行動に異常が表れます。小さな異変だとしても五月病が疑われるケースがあるため、該当する症状がないかチェックしましょう。

以下では、五月病で見られる主な症状について解説します。

身体に表れる症状

身体に現れる症状は、主に以下のようなものがあります。

・ぐっすり眠れない
・身体がだるい
・食欲がない
・頭が痛い
・便秘や下痢をしている

「疲れているはずなのによく眠れない」という人は要注意です。習慣的な睡眠不足は、生活リズムが崩れる原因につながります。また、食欲不振、頭痛下痢や腹痛などの消化器系の症状を引き起こすケースもあります。

心に表れる症状

心に表れる症状は、主に以下のようなものがあります。

・常に不安を感じる
・人と関わることを避けたくなる
・焦燥感がある
・集中がすぐに切れる
・落ち込んだ状態が続く

心に表れる症状は自覚しやすいため、早い段階で対処できるでしょう。ストレスを感じやすい場面で心に負荷がかかることで、一時的に引き起こされる症状もあります。上記の症状が2週間ほど経っても緩和されない場合は、五月病の可能性を疑いましょう。

行動に表れる症状

行動に表れる症状は、主に以下のようなものがあります。

・会社を休む
・人と会うことを避ける
・ミスが増える
・外出の回数が減る

仕事から日常生活まで、様々な場面で引き起こされる点が特徴です。症状によっては、本人よりも先に周囲が気づくケースもあります。例えば、今まで完璧に仕事をこなしてきた従業員がミスを繰り返すようになった場合は、五月病の可能性も考えられるでしょう。

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五月病になりやすい人の特徴

五月病を引き起こす要因は、物事の捉え方や生活習慣が大きく関係しています。ストレスを感じやすい性格の人や生活リズムが乱れている人は要注意です。

以下では、五月病になりやすい人の特徴を3つ解説します。

責任感が強い

責任感が強い人はストレスを感じやすいため、五月病になりやすい傾向があります。「仕事をすぐに覚えないといけない」「周囲に迷惑をかけたくない」などと考える癖がある人は要注意です。

物事を真面目に考えすぎると、心に大きな負荷がかかります。本人は自覚していなかったとしても、知らないうちにストレスが溜まるでしょう。責任感が強い人は、一人で抱え込まず周りに頼ることが大切です。物事を楽観的に捉えることで、心の負担が軽減されます。

完璧主義

完璧主義の人は、五月病になりやすいといえます。

完璧主義者は、仕事の場面でも「完璧にこなさないとダメだ」と極端に捉え、必要以上に張り切りがちです。一切の妥協を許さないため、ミスをした際にひどく落ち込んだり、自身を強く責めたりしてしまいます。その結果、心にストレスを溜め込みやすくなるでしょう。

生活リズムが乱れている

生活リズムの乱れが、五月病の原因となるケースもあります。就寝時間が不規則な人・朝食を食べない日が多い人・運動をほとんどしない人などは、生活リズムが乱れやすいため注意しましょう。

心身のバランスを崩さないためにも、生活リズムを意識的に整えることが大切です。朝は決まった時間に起床する、適度な運動を習慣化するといった行動を心がけましょう。

五月病の予防方法


五月病を防ぐためには、生活リズムを整えることが大切です。具体的には、自身の食事・運動・睡眠の習慣の見直しからはじめましょう。

以下では、五月病を予防する方法について解説します。

バランスの取れた食事を摂る

1日3食、バランスのよい食事を心がけることで、五月病の予防につながります。食事を摂る際は、睡眠の妨げになるカフェインはなるべく控えてください。また、甘いものは内臓に負担をかけやすいため、食べすぎは避けましょう。

精神を安定させるには「セロトニン」を生成する栄養素を、積極的に取り入れることが必要です。セロトニンを作る素となる栄養素は、ビタミンB6やトリプトファンなどが挙げられます。

卵やナッツ類などはセロトニンを増やすといわれている食べ物です。

適度に運動を行う

ウォーキングやジョギングなどの運動を続けると、ストレスの軽減につながります。ただし、疲労を翌日まで持ち越さないように、長距離のランニングやウエイトトレーニングといった激しい運動は避けましょう。適度な運動であれば緊張が和らぎ、リラックス効果を実感しやすくなります。

運動している様子を他人に見られることが恥ずかしいと感じる人は、自宅でのストレッチがおすすめです。筋肉をゆっくりと伸ばすことで血行がよくなり、心身ともにリラックスできるでしょう。

睡眠の質を高める

質の高い睡眠を取ることも五月病の予防に効果的です。心と身体が休まり、自律神経が整います。睡眠の質を高める場合、就寝する3時間前までには夕食を済ませる、寝る直前にスマートフォンやパソコンを操作しないなどの行動を心がけてください。

また休日だからといって、寝だめをすることは避けたほうがよいでしょう。生活リズムを整えるには、平日・休日に関係なく決まった時間に起床・就寝することが大切です。

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五月病の改善方法

五月病の症状が見られる場合、心の負担を軽減する必要があります。間違った対処をすると症状が改善されず、うつ病に移行することも考えられるでしょう。

以下では五月病の2つの改善方法を解説します。

日常生活を見直しストレスを軽減する

五月病を自覚した人に、まず必要となる行動が日常生活の見直しです。自身の睡眠・食事・運動の習慣を振り返り、生活リズムが乱れる原因を探りましょう。「頻繁に夜ふかししてしまう」「起床時間がバラバラになる」といった場合は、可能な範囲で睡眠時間を調整する必要があります。

同時に、心の負担を減らしてリラックスすることも大切です。ストレスを感じやすい環境から離れて、趣味に没頭することで五月病の症状が改善される場合があります。ストレスを発散させるために、好きなことをして楽しめる時間を作りましょう。

難しい場合はクリニックに相談する

五月病の症状が半月ほど経っても改善されない場合、精神科や心療内科を受診しましょう。五月病の改善に効果的な治療方法は、薬物療法、認知行動療法、問題解決療法などがあります。

薬物療法は、主に抗うつ剤や抗不安薬、睡眠薬などを活用する治療です。症状に合う薬を服用することで、不眠や心の不調の改善を図ります。また認知行動療法とは、偏った物事の捉え方を変えるための手助けをする治療です。カウンセリングを通して、ストレスとの向き合い方や対処法を探ります。

問題解決療法は、現在抱えている問題に着目し、解決するための選択肢を医療機関の専門家と一緒に考えていく治療です。

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従業員が五月病と診断された場合の企業の対応方法

五月病と診断された従業員には心のケアが必要です。周囲が「どう接していけばよいのかわからない」と悩んでしまうケースも多く存在します。

以下では、五月病の従業員に対する企業側の対応方法について解説するため、五月病の症状に該当する従業員がいる場合は参考にしてください。

本人に産業医との面談を勧める

五月病と診断された従業員に対しては、ストレスを与えないよう気をつけながら接する必要があります。対応の仕方によっては五月病の悪化につながるケースもあるため、産業医との面談を勧めることも一つの方法といえるでしょう。

産業医は、メンタルヘルスに関する専門的な知識を持っている点が特徴です。相談者の従業員に対して普段の体調や勤務状況に関するヒアリングを実施し、必要に応じてアドバイスを行います。

声のかけ方に注意する

五月病の従業員に対して、積極的に声かけを行うことが大切ですが、逆効果になる言葉もあるため注意しましょう。心や身体に不調を感じている従業員は「もっと頑張ろう」という思いから、自分自身に大きな負荷をかけている場合があります。

「ただの甘えだ」というように、相手を責めることは避けましょう。「もっと頑張って」と、相手を励ますような言葉も避けるのが無難です。従業員は無理をしていることから、心身ともに苦しんでいる状態であることを理解する必要があります。

従業員の五月病を事前に防ぐために企業ができること

五月病と診断された従業員への適切な対応は、一人ひとり異なるため難しいといえるでしょう。以下では、従業員の五月病を防止するために企業ができる2つの対応を解説します。

働きやすい社風・環境を作る

五月病を防止するには、ストレスがかかりにくい職場環境・雰囲気を作ることが大切です。入社したばかりの従業員は新しい環境に慣れていません。環境の変化についていけない可能性があるため、上司のサポートが必要といえるでしょう。

新人の場合、定時で帰ることを後ろめたく感じる人も多く存在します。新人の負担を減らすためには、上司が「もう帰っても大丈夫だよ」と声をかけることが大切です。

また、一緒に帰って「調子はどう?」「何か困っていることはある?」などと尋ね、話を聞く機会を設けることもよいでしょう。

悩みを相談できる部署を設置する

悩みを相談できる部署を設置することも、五月病の予防に有効な方法です。中小企業の場合、人事部や管理部などに相談窓口を設置することが多いでしょう。ただし相談対応をする際には専門的な知識が必要となるため、産業医の配置も検討する必要があります。

担当者が産業医であれば、専門的な立場からのアドバイスが可能です。悩みを相談する側にとっては、上司に直接相談できない内容でも気軽に話しやすくなるメリットがあります。

体制を整えた後は、相談窓口があることを社内全体へ周知しましょう。従業員が気軽に利用できるように、相談できる内容や相談後の対応について詳しく伝えることが大切です。

まとめ


五月病は、5月前半から6月にかけて見られる心や身体の不調です。真面目な性格の人はストレスを感じやすいため、五月病になりやすい傾向があります。予防するには、生活リズムを整えることが重要です。

もし、五月病の可能性がある従業員がいる場合は、生活習慣を見直させるとともにストレスを軽減させる方法をアドバイスする必要があります。

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