マネジメントレビューとは?実施方法やメリットなどを解説


マネジメントレビューとは?実施方法やメリットなどを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

マネジメントレビューは、業務の品質が担保されているのか、顧客情報などのセキュリティは万全かを評価することを意味します。国際規格が設けられるほど注目されている手法ですが、概要を把握できていない企業もあるのではないでしょうか。

また、企業が成長を続けるにあたっては、マネジメントレビューを無視することはできません。抱えている経営課題に対して、経営層は情報セキュリティへの関心を確実に高める必要があるといえるでしょう。

本記事では、マネジメントレビューの概要と国際規格、実施方法やそのポイントについて解説します。

マネジメントレビューの概要

マネジメントレビューとは、ISO(International Prganization For Standardization)と呼ばれる国際的なマネジメントシステム規格によって定義された活動のことです。ISOの規格に基づき、「企業のマネジメント体制の成果や課題を分析・見直しをする経営管理活動」を意味します。

対象となる領域は非常に広く、製品やサービスの品質管理や環境管理、情報セキュリティに至るまで網羅されている点が特徴です。マネジメントレビューは、その結果を明文化して残しておかなければプライバシーマークの更新やISOの更新ができません。

企業の信用力にも関わってくるだけでなく、事業活動を改善・管理するためにも必要なことである点を知っておきましょう。

マネジメントレビューにおける3つの国際規格



マネジメントレビューの国際規格は、ISOによって定義されており、細分化した場合、マネジメントレビューの国際規格は以下の3つに分類できます。

  • ISO9001
  • ISO14001
  • ISO/IEC27001


それぞれの規格によって、定義している内容が異なるため、具体的に何を指しているのか、詳しくみていきましょう。

ISO9001

ISO9001(品質マネジメントシステム)は、製品やサービスの品質や骨格満足度を高めるための国際規格です。全10章で構成されています。世界的には最も普及しているマネジメントシステムのひとつであり、世界170カ国・約100万社以上がこの規格を利用している状況です。

内容は、製品・サービスの品質向上や業務効率の改善、コンプライアンスの推進に役立つものとなっています。また、社会的信頼性が高いため、取引先の拡大にも役立つでしょう。

ISO14001

環境マネジメントにおける国際規格がISO14001です。環境保護、君主義務や環境目標の達成を実現するためのものです。内容として、主に環境リスクに関わる内容であるため、環境マネジメントの国際規格として知られています。

目的は、「社会経済的ニーズとバランスを取りながら、環境リスクの低減や省エネルギー・省資源によるコスト削減を目指す」というものです。企業に対しては、変化する環境状態に対応しつつ、環境保護の実現の枠組みを目指すとしています。

ISO/IEC27001

ISO/IEC27001は、ISIM(情報セキュリティマネジメントシステム)に関する国際規格です。たとえば、ISIMの確立や実施、維持・継続などが求められます。また、情報セキュリティのリスクアセスメントとリスク対応、情報リスクの提言などに役立つ規格です。

ISO認証を受けるには、約1年の時間がかかります。事前準備やリソース管理が大変ではあるものの、いずれの規格も信頼性が高く、取得することで得られるメリットは大きいといえるでしょう。信頼度アップや業務効率化にも役立つため、積極的な取得を推奨します。

関連記事:マネジメントとは?定義や役割、必要なスキルを解説

マネジメントレビューの実施方法

マネジメントレビューの実施では、インプットとアウトプットが重要です。そのうえで、次の2つの観点を意識する必要があります。

  • 課題やリスクの把握
  • 方向性の提示


ここでは、それぞれのインプット・アウトプットの関係性とあわせてみていきましょう。

課題やリスクの把握

マネジメントレビューでインプットを行う最大の目的は、「社内の課題やリスクを把握する」というものです。国際規格の中には、個別で定められている項目があり、その項目に関する情報を集めて課題やリスクをインプットしなければなりません。

たとえば、ISO9001の項目の1つに「内部・外部の監査結果」があります。これは、何かしらの問題点が指摘されていれば、それを課題としてインプットするというものです。

ただし、このインプットが適切でなければ、そのまま続くアウトプットの部分にも影響が出てしまいます。企業の課題やリスクを改善するためには欠かせない要素だといえるでしょう。

方向性の提示

インプットで明確となった課題やリスクに対して、企業の経営層が改善の方向性を示すことがマネジメントレビューにおけるアウトプットです。場合によっては、社内のマネジメントシステムの変更を余儀なくされる場合もあります。しかし、それを含めたうえで経営層は業務や行動計画を策定しなければなりません。

何をどう改善するのか、といった部分の判断は経営層にしかできないものです。マネジメントレビューの効果を得るためにもアウトプットが企業の方針に合っているかを意識しなければならないため、経営層の判断能力と手腕が求められるでしょう。

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マネジメントレビューを実施する3つのメリット



ここからは、実施するには手間も時間もかかるマネジメントレビューのメリットについてみていきましょう。ISO規格は全て直接的に、製品やサービスに対して大きな変化を与えるものではないものの、顧客に対する質の向上によって顧客満足度の向上などにつながることもあります。

顧客満足度の向上につながる

マネジメントシステム規格の認証を受けることにより、結果的に顧客満足度を向上させることが期待できます。直接顧客満足度を上げられるわけではありません。

しかし、規格の認証を受けることで商品やサービスの品質改善ができるため、その結果として顧客満足度向上につながる可能性があるためです。また、認証を受けた場合、対外的に業務の品質が高いことをアピールできるため、競合他社との差別化を図れる点は有利です。顧客と合わせて、取引先やその他の企業からの対外的な信頼構築にもつながるでしょう。

組織内で問題点や改善点を共有できる

組織内の問題点や改善点を共有し、改善することで経営状況をよくできる点もマネジメントレビューを実施するメリットです。大前提として、マネジメントレビューは経営管理活動であり、内部・外部監査の結果や顧客からのフィードバックの振り返りを分析・見直しするものだといえます。

PDCAサイクルにもつながるため、組織内の問題点や経営上の課題を解決する際に役立つでしょう。ただし、1回の改善ではうまく成果につながらない可能性もあるため、定期的かつ継続的な改善が必要です。

業務改善や経営戦略に活用できる

業務の改善や経営戦略に活用できる点は、マネジメントレビューを実施することで得られるメリットといえるでしょう。製品やサービスの提供における現状を把握し、関連する業務や品質の改善を図れるため、企業全体の経営状況の改善につながります。

マネジメントレビューの役割は現状把握です。現状から、今後企業の事業目標を設定できるため、何が足りておらずどのようなアクションを起こせばいいのかが明確になります。その結果、マネジメントレビューを行わない時よりも授業目標を達成できる可能性を高めることができるでしょう。

マネジメントレビューを実施するポイント

ここからは、マネジメントレビューを実施する際のポイントについてみていきます。

マネジメントレビューに限った話ではないものの、経営状況や社内の状況を改善する目的で何か施策を実施する場合、具体的な目標やそれを可視化できるチェックシートは必要不可欠です。

目的

マネジメントレビューを実施する目的は、ただ単に問題点を発見するだけではありません。問題点の発見と報告だけでなく、最終的には発見した問題点に対する継続的な業務の改善につなげることが大切です。

そのため、マネジメントレビューの実施は目的ではなく通過点となります。マネジメントレビューを実施した結果、得られた問題点や課題に対して何を実施するのかを明確にすることが企業の目的といえるでしょう。

チェックシート

マネジメントシステムの国際規格の要求事項に合わせたチェックシートを準備し、それを活用するとより高い効果を発揮できます。項目は、アバウトなものではなく、細部まで指定しなければならない可能性があります。しかし、確認すべき情報を正確にインプットしやすくなるため、作成しておきましょう。

たとえば、次のような項目はよく使用されます。

・監査結果
・顧客からのフィードバック
・製品の品質(不具合など)

ただ単にチェックシートを埋めるのではなく、なぜマネジメントレビューを実施するのかの目的を明確にした上で取り組むことが大切です。

マネジメントレビューの報告事例

ここからは、具体的なマネジメントレビューの報告事例を「2019年度GMP、QMSお呼びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究」の資料からみていきましょう。

製造プロセス・製品品質

製造プロセス・製品品質におけるマネジメントレビューでは、次のような課題やリスクがインプットされました。

  • ヒューマンエラー及び設備保全不足の不適合バッチの発生
  • 原料及び資材の試験検査の結果の不適合
  • 安定性モニタリング


インプットされた課題に対し、KPIと詳細な評価項目を設定し改善を実施しています。これらの他にもいくつかの課題が発見されましたが、上記一覧の「ヒューマンエラー及び設備保全不足の不適合バッチの発生」以外は、全て改善が実現できている状況です。

基本的に発見した課題やリスクに対しては100%改善するのが目標であることから、製造プロセスや製品の品質保証において、高い数字を出している企業は信頼に値するといえます。

医薬品品質

医薬品の品質に関しては、次のような課題やリスクがインプットされました。

  • 苦情、逸脱、査察での指摘事項件数による評価
  • 品質目標の評価状況
  • 製品品質の操作の実施状況


マネジメントレビューの実施前は、達成率が非常に低い項目もあったものの、インプット完了後の達成率は100%とし、定期的かつ継続的な改善を続けています。その結果、ほとんどの項目で100%を達成することができており、医薬品の品質向上に貢献できたといえるでしょう。

マネジメントレビューを行うことで、従来の生産体制などに問題があるかどうかを把握できます。そして、どのような改善策を打つのかを明確にすれば、より高い効果を実感できるでしょう。

まとめ

マネジメントレビューは、あくまでも通過点です。マネジメントレビューを実施した結果、インプットされた課題やリスクに対してどのような対策や動きを取るのかといった点が重要です。国際規格であるISOの取得まで至らなかったとしても、評価事項を参考に自社の課題やリスクを洗い出し改善に努めることができます。

仮に、人的資本の使い方などに課題やリスクが発見された場合は、評価は人員の配置面で対策が必要です。その際には、タレントマネジメントシステムのタレントパレットを活用できるでしょう。

タレントパレットでは人事評価や人的資源の管理が一元で可能になります。また、人員配置や従業員の適正管理など、人材に関する課題やリスクの解決に大きな効果を発揮するでしょう。人材の関わる課題を抱えているというマネジメントレビューの結果を受け、どうすればいいかわからない企業の担当者の方は、タレントパレットの導入をご検討ください。


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