こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
経営者の中には、経営理念はそれほど大切ではない、または必要と感じたことがないというケースもあるものの、従業員の行動 精神となるものもあります。また、「経営理念」とは別に「企業理念」という言葉もあることから不要なものとは、言い難いといえるでしょう。
本記事では、経営理念と企業理念との違い、経営理念を設定することの重要性、作るポイントなどをみていきましょう。
企業理念と経営理念の違い
会社案内や求人の募集要項、コーポレートサイトなどでは、多くの企業が企業理念や経営理念を掲載しています。しかし、企業理念や経営理念は、そもそもどういったものなのでしょうか。ここでは、企業理念と経営理念の違いについてふれていきましょう。
企業理念
企業理念とは、企業のあり方や存在意義、企業が目指す目的などを明文化したものです。企業理念は、企業としての根本的な考え方であるため、中長期的に(5〜10年)使用し、大きな変更はあまりないのが一般的です。社長が交代しても基本変更することはありません。
経営理念
経営理念とは、経営者の考えそのものであり、事業の拡大や業績を向上させるための目標、方針を明文化したものです。経営理念は、社長が交代するときや社長が変わらなくても、時代の流れや社会状況によって変更することがあります。
企業理念は、経営理念の上位概念にあたるもので、企業理念に基づいて経営理念が決定されるという流れです。
経営理念のもつメリット
ここでは、経営理念の持つメリットについて、みていきましょう。
近年はコロナ禍により、事業活動や従業員の働き方に対して、大きく舵を切る場面に直面した企業も多いと想定されます。その上で、 経営理念の有無によって経営判断のスピードに差が生じたケースも少なくありません。
経営者自身や従業員の行動指針、判断基準となる
経営理念は、経営者の考えを分かりやすく明文化したものであるため、経営者自身が迷うことなく決断できるようになります。また、経営理念を従業員に浸透させることで、従業員が理念に沿った行動を取りやすくなるといえるでしょう。
従業員が自立・自律した行動をとれるようになるためには、自走経営理念に共感し、しっかりと経営理念を理解することが大切です。仮に何か課題があった場合でも、経営理念に沿った考え方によって、従業員がスピード感を持って自ら判断・行動できるようになるでしょう。
会社の認知度が高まる
経営理念がもたらす効果は、社内だけでなく、ブランディングでも使用できます。社名やロゴでは伝わらない企業価値や、企業文化を顧客や取引先に伝えることによって、企業の認知度を高める役割を担えるでしょう。会社案内、コーポレートサイトを活用し、企業としての認知度を高めることができれば、企業ブランドも向上・浸透していきます。
社内の一体感
経営理念が全従業員に浸透すれば、価値観が一体化し組織力を強めることが可能です。従業員が同じ価値観をもって働けるため、日々の業務がスムーズに行われるようになります。
また、人事採用においても経営理念を理解・共感している人材かという視点で合否判断ができるため、質の高い採用につながるでしょう。スピーディーな 意思決定も可能となる点のひとつだといえます。
経営理念により業績が回復した事例/JAL
JALグループは、2010年に経営破綻しました。しかし、京セラ創業者の稲盛和夫氏が会長に就任し、その後見事に再建した企業でもあります。
稲盛氏の改革は、企業理念に「全社員の物心両面の幸福を追求」を追加し、社員が幸せでなければ、お客様を幸せにはできない」という考えを体現しました。
その後、JALグループの企業理念に従い、「JALフィロソフィ」(全員が持つべき意識・価値観・考え方)が策定されています。「正しい考え方をもつ」「一人ひとりがJAL」「採算意識を高める」などが代表的です。このフィロソフィを軸にし、従業員全員が同じ価値観を持つことで、一体感が生まれました。
改革によって、JALの従業員たちは自分たちに誇りを持ち、判断・行動できるようになっています。
この事例では、採算意識が高まり、他部署との良い関係が生まれ、従業員が自律的に行動できるようになれば、現場も良い方向へと大きく変わるでしょう。短期間での回復は、フィロソフィによる意識改革が従業員の大きな助けになったといっても過言ではありません。
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経営理念の作り方
ここでは、実際に経営理念を作るためのステップについて詳しくみていきましょう。ゼロから検討するのではなく、他社事例を参考にして自社の 経営理念を作成していくことがポイントの1つです。
他社事例を参考にする
まずは、経営理念をすぐに作成するのではなく、他社の事例を参考にしましょう。時間をかけて、経営者自身の信念をそのまま明文化するのも手段の1つですが、世間には様々な考え方があります。
自分自身が最も大切にしたい価値観や思い、考え方など、他社と比較しながらじっくりと考えていくために他社の経営経営理念をみていきましょう。
STEP1_企業理念の真意を分析
次に、経営理念の上位概念である企業理念について理解を深めます。企業理念と経営理念の方向性は似ているものです。企業の存在意義、企業が目指している目的を理解し、十分納得したうえで経営理念を作成していくことが重要だといえます。
STEP2_会社の過去を振り返る、今の状況を把握する
続いて、過去の歴史を振り返ります。企業理念や経営理念がない場合、事業を継続させるうちにも本来の目的を見失いがちになってしまうケースも少なくありません。もともと何をやりたかったのか、何のために改革したのかなど、一度原点に戻ってみましょう。
例えば、会社の成長は、何かしらの段階を踏んでいるものです。ステージごとに過去を整理していくと、経営者自身も頭と心の整理をしやすくなります。
過去の整理をしながら、過去の経験を従業員と共有してみましょう。従業員の受け止め方を把握することによって、経営者自身との違いも把握することが可能です。経営者と従業員の受け止め方の違いを把握することは、経営理念を策定するうえで重要です。
また、従業員とのコミュニケーションが深まることで、絆も深まることが期待できます。過去の振り返りが終わったら、現状をしっかりと把握しましょう。
現状を把握する方法はさまざまありますが、例の1つとして、経済産業省のマンガで分かる「SWOT分析」などが役立つのではないでしょうか。
過去をしっかりと振り返り、現時点での企業状況を分析することによって、将来どのような企業にしていきたいかといったビジョンが固まるでしょう。
STEP3_経営理念を作成する
最後に、経営理念を作成します。経営理念は、経営者自身で作成することも可能ですが、ボードメンバーで作成するケースもあります。どちらも思いつくことを洗い出し、整理をしていくことになることから、その際に有効なツールとして、KJ法を活用可能です。
KJ法では、一人でも数名でも同じ手順で、思いつくことをどんどん書き出していきます。質より量で書き出すことがポイントです。少しでも思い浮かんだものは、その場で「NO」と否定することなく、とにかく洗い出していきましょう。判断や決断もこの時点でする必要はありません。
また、思いつくことを洗い出した際、大したアイデアではないと思っていても、実は重要な視点だったということに気付くケースもあります。もう、これ以上思いつかないというところまで、整理をしていきましょう。
思いついたアイデアをグルーピングし、それぞれにタイトルをつけていきます。次のタイトルとの関係性を整理していき、最後に文章としてまとめていきましょう。
まとめ
経営理念は、経営者自身においても従業員においても大きな基軸になります。価値観が共有されることによって、従業員が自立・自律的に行動できるようになれば、経営効率が高まりやすくなるでしょう。従業員のモチベーション向上にもつながることで、組織も活性化していくと想定されます。
経営理念をまだ作成していない企業は、これから作成してみましょう。また、経営理念はあるけれど、従業員への浸透が十分ではない、時代背景や市場データを参考にしたいと感じている場合は、人材データを分析・活用することで、経営・人事戦略の意思決定の高度化が可能となる、タレントパレットを活用することをおすすめします。
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