こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
物事を体系的に整理し、筋道を立てて矛盾なく考える思考法をロジカルシンキングといいます。類似用語として紹介されることの多い、クリティカルシンキングとはどう違うのでしょうか。
本記事では、2つの思考法の違いや共通点、使い分けのポイントについて解説します。
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは物事を体系的に整理し、筋道を立てて矛盾なく考える思考法です。何か問題が生じた場合の、客観的に事情を把握し解決方法を導く際などに活用できます。プレゼンテーションや商談の際も、ロジカルシンキングを利用すると説得力のある提案ができるようになるため、ビジネスの場でも重宝されている思考方法です。
ロジカルシンキングのメリット
ロジカルシンキングの主なメリットは次の通りです。
- 問題解決力の向上
- 分析力の向上
- 提案力の向上
- 生産性の向上
- コミュニケーション力の向上
行き当たりばったりではなく、論理に基づいて思考を展開できるため、問題を理解した上で根本的な解決方法が見出せるようになるでしょう。
論理的に意見を組み立て、筋道を立てた説明ができるため、分析力や提案力が向上します。本質を掴めるようになると無駄な作業を手放せるため、生産性の向上が期待できるのもメリットです。
さらに、自分の意見をわかりやすく伝えられるようになり、相手の意見の本質が見抜けるようになるため、意思の疎通がスムーズになり、コミュニケーション力も向上します。
代表的なフレームワーク
ロジカルシンキングを身に付けるにはフレームワークの利用が効果的です。フレームワークは、情報整理や要素分解、問題解決などに役立ちます。ここでは、代表的なフレームワークを3つ見ていきましょう。
- MECE
- ロジックツリー
- ピラミッドストラクチャー
MECE
MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」を略したもので、よく「漏れなく、ダブりなく」と訳されます。物事の全体像を掴み、漏れなく重複なく詳細を把握したい場合に利用できるフレームワークです。
MECEを活用したフレームワークとして「SWOT分析」「3C分析」「4P」など多くのものがあります。
ロジックツリー
ロジックツリーは、問題解決や原因究明、要素分析に役立つフレームワークです。左に解決したい問題を1つ書き、右にその解決方法をいくつも記載していきます。
「問題の全体像を可視化する」「大きな問題を細かく分けて解決方法を探る」など様々な目的で利用できるフレームワークです。
ピラミッドストラクチャー
結論や主張を頂点に置き、下に根拠となる事象を並べます。根拠のある提案をする際に活用できるフレームワークです。プレゼンテーションや商談などで説得力のある提案をしたい時に活用してみましょう。
ロジカルシンキングを社内に浸透させたい場合、研修を実施すると具体的な考え方や実践方法を見つけられます。ロジカルシンキング研修の内容や活用方法について詳しく知りたい方はこちらの記事から。
「ロジカルシンキング研修」については、こちらの記事をご確認ください。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングは、批判的思考と訳されています。「議論の前提はそもそも正しいのか」「自分が常識だと思っている考えはそのままでいいのか」など、疑いを持ちながら物事を見てその正誤を検討するという思考方法です。「なぜ?」「どうして?」と疑問を抱くことが大切になります。
粗探しが目的ではなく、正誤を検討した後はその事象の本質を見極めるための思考方法です。
クリティカルシンキングが注目される理由
AIを始めとしたデジタルの進化、環境の変化などでビジネスの現場は急速に変化を遂げています。そのため、「これまでのやり方が通用しなくなる」という場面と遭遇することが増えてきました。
人は「これまでと同じやり方」に固執する傾向があります。古い考え方を一度手放し、新しい物の見方をするためには「クリティカルシンキング」が欠かせません。
クリティカルシンキングのメリット
クリティカルシンキングのメリットは次の3つです。
- 検討内容の矛盾や漏れを防止できる
- 物事の本質が掴める
- 新しい観点から検討できる
それぞれについて見ていきましょう。
検討内容の矛盾や漏れを防止できる
クリティカルシンキングでは本題を検討する前に「その前提に間違いや漏れはないか」を確認します。そのため、後になって「前提が間違っていた」という問題が生じることはありません。正しい情報に基づいた議論が可能になる点がメリットです。
物事の本質が掴める
クリティカルシンキングは、物事に対して常に批判的、客観的な視点を向けて考えを深めます。常に、「なぜ」「本当に?」という疑いの視点で物事を検討するため、不要なものを削ぎ落し、本質を掴めるでしょう。
新しい観点から検討できる
クリティカルシンキングはこれまで常識と思われていたことや慣習なども疑ってかかります。「他に考えるべき項目」についても常に検討することとなるでしょう。そのため、これまでにはない新しい観点から、改めて事象を検討できます。
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ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いと共通点
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングはどちらも、論理的、客観的に考える手法です。ここでは、2つの思考の違い及び共通点について解説します。
メリットの違い
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングのメリットはそれぞれ次の通りです。
ロジカルシンキング | 分析力が身に付く
提案力が向上する 問題解決能力が向上する コミュニケーション力が向上する |
クリティカルシンキング | 正誤の見極めができる
矛盾点を見つけやすい リスク回避につながる 新たなアイデアが生まれる可能性がある コミュニケーション力が向上する |
どちらも身に付けると、論理的な思考やわかりやすく説明力が身に付くため、「コミュニケーション力向上」というメリットは同様です。
ロジカルシンキングの場合は分析力や提案力が向上する点がメリットです。一方、クリティカルシンキングの場合は、リスク回避や矛盾点の発見などが可能になります。
デメリットの違い
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングのデメリットは次の通りです。
ロジカルシンキング | 柔軟な発想ができなくなる
ひらめきが生まれづらい |
クリティカルシンキング | どこまで掘り下げればよいか見えなくなる
前提を掘り返し過ぎてテーマが崩れる |
ロジカルシンキングは型にはめて物事を分解して思考するため、柔軟な発想が困難になる点がデメリットです。また、新たなひらめきが生まれづらいといわれています。
クリティカルシンキングの場合、「何をどこまで疑い続ければ良いのか」あらかじめ決めておかないと、話が進まなくなる点はデメリットです。本来の目的を念頭に置いて、不要な思考や議論に発展しないよう注意しましょう。
どちらも目的達成のための手段
どちらも考え方の一つであり、あくまでも目的達成のための選択肢の一つです。思考方法にこだわりすぎて、本質を見失わないよう注意しましょう。
また、問題の種類や内容によっては、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング以外の思考方法が適切な場合もあります。思考した結果、目的から大きくずれる場合は、別の思考方法と併用するなど、柔軟な対応を心がけましょう。
使い分けのポイント
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングはどのように使い分ければ良いのでしょうか。ここでは、使い分ける時のポイントについて解説します。
正しいかどうかを議論する場合はクリティカルシンキング
クリティカルシンキングは「その前提や考えが正しいかどうか、本質を見極める」ための思考方法です。そのため、「この条件は合っているのか」「前提は間違っていないか」「矛盾はないか」といった正誤の判断に役立ちます。
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを併用する
ロジカルシンキングで考える前に、その前提や議論が間違っていないことをクリティカルシンキングで確認しておくと、精度の高い分析が可能になります。加えて、議論の目的やゴールが正しいかどうか、クリティカルシンキングで確認しておきましょう。
次に、ロジカルシンキングで情報の整理や分析、課題解決や原因究明などを行います。
その後、ロジカルシンキングで導き出した結果をクリティカルシンキングで見極めると、精度の向上につながるでしょう。
このように、2つの思考方法を併用すると、考えが深まり高い効果が期待できます。
理論に基づいて意見を出し合うのであればロジカルシンキング
既に前提や条件が決まっているものを議論する場合は、クリティカルシンキングは不要です。ロジカルシンキングで問題点の洗い出しや、情報の整理・分析などを行いましょう。
まとめ
ロジカルシンキングは物事を体系的に整理し、筋道を立てて考える思考方法です。クリティカルシンキングはある考えや前提が正しいかどうかを、論理的・多角的に検証する思考方法です。
どちらも論理的に考える思考方法ですが、目的が異なる点を把握しておきましょう。ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを併用すると、精度の向上につながります。
ロジカルシンキングを自社に根付かせるには、研修の活用も検討してみましょう。タレントパレットを利用すると、スムーズに研修管理ができます。
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