リーダーシップの種類とは?行動・タイプによる違いや必要なスキルも解説


リーダーシップの種類とは?行動・タイプによる違いや必要なスキルも解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

企業の長期的な発展には、優れたリーダーが必要です。しかし、どのようなリーダーが自社にとって有益か、判断しにくいのではないでしょうか。

リーダーシップにはさまざまな種類があり、PM理論(ピーエム理論)はリーダーを分類する種類の一つです。自社内のリーダーをPM理論の4タイプに分類して強み・弱みを可視化すれば、各リーダーの弱い部分を強化できます。また、組織内のリーダータイプの層の厚みがわかるため、適材適所の配置が可能になるでしょう。

ここではPM理論に基づくリーダータイプの4類型や活用シーン、優れたリーダーを育成する方法を紹介します。企業の発展に貢献するリーダーを育成したい方は、ぜひご覧ください。

PM理論とは

PM理論(ピーエム理論)は、1966年に三隅二不二氏によって提案されたリーダーシップ理論
です。リーダーが取るべき行動をP機能とM機能の2つの軸で表し、2つの機能の強弱の組み合せによって、リーダータイプを4つに分類する考え方です。

P機能(Performance function)は、目標達成のために必要とされるリーダーシップ(目標達成機能)です。計画を策定し、メンバーを指導して、業績や生産性の向上を促進します。徹底した進捗管理や部下にルールを厳しく諭すことなどが、P機能の行動です。

M機能(Maintenance function)は、チームをまとめるためのリーダーシップ(集団維持機能)です。メンバーへの動機付けとチームビルディングを行います。優れたチームワークを築き、心理的安全性をもたらすことで、中長期的な生産性の維持や強化が可能になります。メンバー同士の対立を解消したり、部下とのコミュニケーションを円滑にするなど、メンバー間調整の役割を担います。

PM理論の4類型については、次の章で詳しく説明します。
「リーダーシップ」については、こちらの記事をご確認ください。

PM理論に基づくリーダーシップの4類型


PM理論におけるリーダーシップの4類型について解説します。P(目標達成機能)とM(集団維持機能)は、それらの機能が強ければ大文字、弱ければ小文字で示して組み合わせたものです。
リーダータイプを4つに分類することで、各リーダーの目標設定機能や集団維持機能の強弱を見える化できます。各リーダーの弱い機能を強化すれば、よりリーダーシップスキルのある人材を育成できるでしょう。

PM理論に基づくリーダーシップの4類型は、以下のとおりです。

Pm型

目標達成への能力は高いが

チームをまとめる力が弱い

PM型

目標達成への能力も高く

チームをまとめる力も強い

pm型

目標達成の能力も低く

チームをまとめる力も弱い

pM型

目標達成への能力は低いが

チームをまとめる力が強い

※縦軸 目標達成機能(上に行くほど強い)
※横軸 集団維持機能(右に行くほど強い)

PM型:目標達成機能・集団維持機能ともに高い理想的なリーダー

PM型が最も有能なリーダーで、P機能・M機能のどちらも強いです。目標達成に必要な計画力・指導力と、集団維持機能に関わるコミュニケーションスキルやチームビルディング力に優れています。このリーダータイプを育成することが、企業にとって重要です。

Pm型:目標達成への行動力はあるものの部下が疲弊しやすいトップダウン型リーダー

P機能は強いがM機能が弱く、成果達成を優先するリーダーです。目標達成スキルや指導力は高いが、チームをまとめるのは苦手という特徴があります。短期間だと成果は出やすいものの、中長期的に見るとチームメンバーが疲弊するため、生産力の低下を招く恐れがあります。

pM型:メンバーとの関係性は良いが目標達成が苦手なリーダー

P機能が弱くM機能が強いリーダーで、集団維持に向けた行動を優先します。集団維持機能は高いため、部下に慕われチームの雰囲気は良いのですが、目標達成に向けた計画力やマネジメント力が弱いです。

pm型:目標達成・組織づくりのどちらも苦手なリーダー

P機能・M機能のどちらも弱いリーダーです。成果を上げられない上にチームづくりも苦手なので、リーダーには不向きと言えます。

企業の発展のためには、目標達成に向けた指導力と、仕事を円滑に進めるためのチームビルディング力に優れたPM型リーダーの育成が必要です。

その他のリーダーシップの種類に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
「リーダーシップ種類」については、こちらの記事をご確認ください。

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P機能とM機能を向上させる方法

リーダーシップはスキルなので、訓練によって伸ばすことができます。P機能はチーム全体を目標達成に導く指導力、M機能はメンバー全体で目標達成するためのチームビルディング力と言えます。各リーダーが、それぞれの機能をバランス良く伸ばすことが大切です。

ここでは、P機能とM機能を向上させる方法を解説します。

P機能:目標達成機能を高める行動

目標達成機能を高めるために、以下の行動を行います。

  • 適切な目標設定とプロセスを明確化する
  • 目標達成に向けた行動を促す



適切な目標設定とプロセスの明確化では、リーダーが企業の進むべき方向性を認識していることが前提です。次に適切な目標を定め、達成までのプロセスを明確にします。

高すぎる目標はメンバーのモチベーションを下げるため、「頑張ればできる」と思えるレベルの目標を設定することが大切です。達成までのプロセスでは、いつまでに、どんな行動が必要かを伝え、求められる役割を示しましょう。

目標達成に向けた行動を促して、すべての部下に責任感を持たせます。そのためには、進捗管理や業務管理などを行うのが有効です。定期的に部下から進捗を聞き、チーム全体の状況を確認しましょう。業務が遅れている場合は原因を分析し、アドバイスして、部下が主体的に問題解決に取り組めるようサポートします。

M機能:集団維持機能を高める行動

集団維持機能を高める行動は、以下のとおりです。

  • 誠実なコミュニケーションを取る
  • メンバーの関係が良好になるようなチームビルディングを行う


リーダーは、部下と1対1で誠意を持ってコミュニケーションを図りましょう。部下の考えや思いを確認し、相互理解を深めることで信頼関係を築けます。メンバーの強みを活かして役割を振り分ければ、モチベーションやエンゲージメントが向上するでしょう。

メンバー間の人間関係がスムーズになるようなチームづくりも重要です。メンバー同士のコミュニケーションが円滑に進むよう配慮したり、ミーティングでは全員の意見を聞いたりします。メンバーの声をよく聞き、意見をすり合わせることで、チーム全体に心理的安全性が生まれるでしょう。

肯定的なコミュニケーションや公平なマネジメント、問題解決のサポートなどを行って、集団維持機能を高めます。メンバー全員で、継続的に成果を出し続けられるように導くことが大切です。

PM理論の活用シーン



PM理論は、リーダーの育成や組織内のリーダータイプのバランスを確認したり、経営方針に合致するリーダー像を明確化したりする際に活用できます。

以下が、PM理論の主な活用シーンです。

  • リーダー候補者の強み・弱みを把握
  • 自社のリーダーのバランスを確認
  • 求めるリーダー像の明確化

リーダー候補者の強み・弱みを把握

自社のリーダー候補者を選定・育成する場面において、PM理論に基づいてP機能・M機能に分けて診断すれば、各候補者の現状と今後の育成すべき能力がわかります。リーダー候補者のタイプから、どのチームに誰を配属するかといった適材適所の配置もしやすくなるでしょう。

PM理論はP機能・M機能によって能力を判定しやすいため、リーダー自身も業務の振り返りがしやすいというメリットがあります。

自社のリーダーのバランスを確認

自社のリーダー達をPM理論の4類型ごとにマッピングしましょう。4類型の層の厚みを可視化することで、組織にとって必要なリーダータイプが足りているかを判断できます。組織全体で計画的・効果的にリーダーシップを向上させることができるため、より良い体制になることが期待できます。

求めるリーダー像を明確化するために活用

企業が求めるリーダー像をPM理論で明文化すれば、育成すべきリーダー像を企業全体で共有できます。

以下は、それぞれの明文化の例です。

P機能

  • 適正な目標設定と達成までのプロセスを設定できる
  • 必要なタスクの選定と優先順位付けによる計画策定ができる
  • チームの目標をメンバー個人の業務まで落とし込み、責任感を持たせる


M機能

  • チーム内でメンバー同士のトラブルが生じたら、解消するよう働きかける
  • 誠実な言動で部下やチーム全体に心理的安全性を持たせる
  • 各メンバーの強みを生かした役割を振り分け、モチベーションの向上を図る


人材不足が課題となる中、優れたリーダーを計画的に育成するために、自社のリーダー候補者の現状などを可視化できるPM理論を活用しましょう。

PM型リーダーの育成方法

企業の中長期的な発展においては、チームを育成し、目標達成に導くPM型リーダーの育成が重要です。

PM型リーダーの育成方法は、以下のとおりです。

  • KPTの活用
  • メンター制度の導入
  • 社員研修の実施


KPTの活用

KPT(ケプト)のフレームワークを使えば、日々の業務を振り返り、ブラッシュアップできるため、PM型リーダーの育成に効果的です。

目標を達成するまでのプロセスにおいて、どのようなリーダーシップを発揮していたのか、チーム全体で客観的に振り返ることができます。KPTは「Keep」「Problem」「Try」の頭文字です。実際に生じた課題の整理と洗い出しを行います。

KPTのフレームワークは以下のとおりです。

  • Keep……良かったこと・継続すること
  • Problem……課題
  • Try……解決策・今後取り組むこと


会議の際にKPTを用いてメンバーの意見を聞き、業務のプロセスの中で良かったことや課題、今後の対応策を洗い出し、改善していきます。日々の業務の中で繰り返しKPTを実施すればリーダースキルがブラッシュアップされ、PM機能が向上するでしょう。

メンター制度の導入

メンターと呼ばれる指導者をリーダー候補者に付けて、PM機能を向上させる方法も効果的です。

メンター制度では、PM型リーダーとしての仕事の進め方やメンバーとのコミュニケーションスキル、業務上の悩みなどを相談できますす。リーダー候補者一人では視野が狭くなりがちですが、メンターからのアドバイスで客観的・効果的にPM機能を向上できるでしょう。

社員研修の実施

社員研修を実施すれば、PM型のリーダースキルについて短期間で集中的に幅広く学べます。PM理論の基礎やチームの人間関係を良好に築く方法、チームワークを高める方法などを効率的に習得できるでしょう。

まとめ

PM理論の4つのリーダータイプや活用シーン、優れたリーダーを育成する方法について解説しました。
PM理論には4つのリーダータイプがあり、中でもPM型リーダーを育成することが重要です。日常の業務の中で、KPTのフレームワークやメンター制度を用いたり、社員研修を実施したりして、リーダー候補者のPM機能を向上させましょう。
指導力とチームビルディング力のあるリーダーを中長期的に育成できれば、企業の継続的・安定的な発展につながります。
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