リーダーシップコンピテンシーとは?求められるスキルと人材育成の手法


リーダーシップコンピテンシーとは?求められるスキルと人材育成の手法

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

組織のレベルアップには、優秀なリーダーの存在が不可欠です。リーダーシップコンピテンシーは、優れた指導者に見られる行動特性を指します。

本記事では、リーダーシップコンピテンシーの概要や意義、リーダーに求められるコンピテンシースキルなどを解説します。リーダーシップコンピテンシーの考えを取り入れた評価方法の導入手順も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

スキルやリテラシー、コンピタンスなどの似た言葉との違いも解説します。

リーダーシップコンピテンシーとは

コンピテンシーとは、一般的に高い業績を上げている人に見られる行動特性を指します。1970年代のハーバード大・マクレランド教授による研究で、高い業績を上げている人には共通の行動特性があるとわかったことがコンピテンシー理論の基になりました。現在では、人事評価などで活用されることも増えている概念です。

コンピテンシーの考え方を導入すると、リーダーに求められる優れた行動特性を明示して、評価基準とすることが可能になります。これによりリーダーの行動の質を上げ、効果的な人材育成にもつながるでしょう。この章では、コンピテンシーと似ている言葉について、コンピテンシーとの違いと特徴を解説します。

コンピテンシーとスキルの違い

スキル(skill)とは、学んで身につけた能力や技術を指します。例えば、プロジェクト管理のスキル、対人コミュニケーションのスキルなどです。これらは、業務を遂行するための実践的な能力といえます。

一方、高い業績を上げている人の行動特性を表すコンピテンシーとは、スキルを発揮する行動のことです。つまり、スキルが「何ができるか」を示すのに対し、コンピテンシーは「スキルを活かしてどのように行動するか」を示すものといえるでしょう。

例えばコミュニケーションスキルを持つ人は、情報を明確に伝える能力を持っています。ただ、そのコミュニケーション能力を適切なタイミングでいかに発揮するかは、コンピテンシーが左右するといえるのです。

コンピテンシーとリテラシーの違い

次に、コンピテンシーとリテラシー(literacy)との違いについて見ていきます。リテラシーは、特定の分野における知識と情報を理解し、それを活用する能力です。金融リテラシー(金融の知識と情報を理解し活用できる能力)、ITリテラシー(情報技術に関する知識と情報を理解し活用できる能力)などがよく使われます。

これに対し、コンピテンシーが意味するのは、高い成果を発揮するための行動特性でした。それは知識や技術の集積(リテラシーやスキル)ではなく、それらをどのように使って行動するかを示すものといえます。

コンピテンシーとコンピタンスの違い

コンピテンシーとコンピタンス(competence)も混同しやすい言葉です。コンピタンスは能力そのもの、つまり何ができるかを指します。「企業におけるコア・コンピタンス」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。コア・コンピタンスは、企業が持つ強みや特色、競争優位性を生み出す重要な能力を指します。

一方でコンピテンシーは、従業員個々の行動特性に焦点を当てた概念です。つまり、コンピタンスが組織全体の能力を表すのに対し、コンピテンシーは個々の行動特性を示すという違いがあります。

リーダーシップの基礎知識については、こちらの記事をご覧ください。

「リーダーシップ」については、こちらの記事をご確認ください。

コンピテンシーに基づいてリーダーを育成するべき理由



次に、リーダー育成においてコンピテンシーの考え方を取り入れるべき理由を解説します。

コンピテンシーの考え方を採用するべき大きな理由は、リーダーシップを発揮するための行動特性を客観的に示せることです。どのような行動が効果的なリーダーシップにつながるのかを明確にすることで、リーダー自身や育成する側が何を目指し、どのような行動を取るべきなのかを理解しやすくなります。

望ましい行動特性を可視化することで、そこに焦点を当てた訓練や教育を行うことが可能になり、リーダーシップの開発がより効率的になるでしょう。

さらに、企業の戦略に合わせたコンピテンシーモデルを示し、従業員全体の向かう方向を明確にすることも可能です。例えば「技術革新を目指す」「市場を開拓する」などの戦略に合わせてコンピテンシーモデルを設定し、リーダー育成に活用します。これにより、組織全体が同じ方向に向かって動く環境を整備できるのです。

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リーダーに求められるコンピテンシースキル

ここからは、リーダーに求められるコンピテンシーを発揮するための主なスキルを解説します。高い業績を上げるために必要な能力を理解することで、効果的なリーダー育成を実現できるでしょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、優れたリーダーが持つスキルの一つです。日頃からメンバーと円滑にコミュニケーションを取れているかどうかは、目標達成の実現性やスピードに影響します。

ただ情報を伝えるだけでなく、積極的に相手と関わり、ビジョンの共有や問題解決につなげることが重要です。部下の悩みや課題を引き出し、それを解決するための具体的な指導を行う姿勢も期待されます。

コミュニケーション能力の高いリーダーはチーム内だけでなく、会社の別部署や取引先などとの調整能力にも長けているでしょう。

統率力

リーダーに求められるコンピテンシースキルの2つ目は、統率力です。チームメンバーを導き、団結して目標に向かわせる力である統率力を持つリーダーなら、メンバーの理解を得つつ業務を効果的に遂行し、目標達成につなげることができます。

統率力は、単に指示を出して導く能力ではありません。メンバー同士が支え合う環境を作ることも重要です。チームワークを維持・向上させるには、リーダー自身がメンバーの不平不満やモチベーションの低下などに敏感でなければなりません。チームが全体として機能するように配慮するバランス感覚が求められます。

指導力

指導力もリーダーが持つべき重要なスキルです。チームのレベルアップには、そのメンバーの成長が欠かせません。成長には、リーダーの指導・コーチング力が不可欠です。

指導力があるリーダーは、メンバーの課題解決を支援し、適切なタイミングでアドバイスやフィードバックを提供することで、成長を促せるでしょう。メンバー一人ひとりの能力や特性を理解し、それぞれが最高のパフォーマンスを発揮できるようにコーチングする力が期待されます。

業務遂行力

業務遂行力は、業務完遂へのハードルとなる問題を発見・解決し、最終的な目標達成につなげる力です。この力は、チーム全体のパフォーマンスにも影響します。リーダーが目標達成に向けた努力を粘り強く続けると、その姿勢はチームメンバーに伝播し、全体のモチベーション向上と成果につながるからです。

創造力

創造力とは新しい価値を生み出す力のことであり、リーダーが持つべき重要なコンピテンシースキルです。社会や経済の環境は急速に変化します。リーダーには前例にこだわることなく革新的なアイデアを生み出し、それを具体的な行動に移す能力が求められるのです。

創造力のあるリーダーは新たな視点からアイデアを提供し、チームや組織が直面する課題を解決できるでしょう。そのようなリーダーの下ではメンバーからも活発なアイデアが出てくる可能性があり、それらを活用して組織の成長と成功につなげることも期待されます。

戦略的思考力

戦略的思考力とは問題を分析し、解決のために具体的な手段を導く力のことです。状況を正確に理解するとともに最適な解決策を策定し、それを行動に移す能力がリーダーには求められます。

リーダーは、自社の業績向上につながる経営的な観点を持つことも重要です。長期的な視点や組織のビジョン、市場環境の変化など、あらゆる要素を考慮しながら、目標達成に向けた行動計画を戦略的に練るための思考力が欠かせません。

リーダーシップコンピテンシーの導入手順



次に、リーダーシップコンピテンシーの考え方を自社の人材育成に導入する手順を解説します。具体的にはコンピテンシーモデルを設定し、その行動特性を基に評価基準を作り、運用後の支援体制を構築するという流れです。それぞれについて説明します。

コンピテンシーモデルの設定

リーダーシップコンピテンシーを導入するためにまず行うのは、自社の業種や経営戦略に沿う理想のリーダー像「コンピテンシーモデル」の設定です。モデルには「実在型」「理想型」「ハイブリッド型」があります。

実在型は、実際に働く優秀なリーダーの行動特性をベースにするものです。現実に存在するため、具体的に行動特性を設定しやすいというメリットがあります。

理想型は、企業が理想とするリーダー像を示すものです。自社の特色やあるべき姿を描きながら、必要とされる行動特性を設定できるため、モデルとなる人材が実在しない場合や、これから事業を立ち上げる場合などに適しているでしょう。

ハイブリッド型は、実在するリーダーの特徴と理想とするリーダー像を組み合わせたモデルです。従業員の中にモデルがいなければ成立しない実在型の限界と、モデルが非現実的となるおそれもある理想型の課題を踏まえ、バランスを取った型といえます。

行動特性を基に評価基準を作成

コンピテンシーモデルの設定後は、モデルの行動特性を抽出してリスト化します。実在型やハイブリッド型を採用する際に必要となるのは、高い業績を上げているリーダーを選定し、その人物がどのように成果を上げているかをヒアリングすることです。

複数のリーダーにヒアリングを行う際は、優秀な人材に共通する項目だけでなく、各個人の独自の行動にも注目するのがポイントです。これにより多様な視点と、成果をもたらす可能性のある新たな行動特性を発見しやすくなります。

リスト化したコンピテンシー項目の中から、経営方針に沿って最も重要とされる項目を評価基準として採用しましょう。

運用後の支援体制を構築

コンピテンシーモデルを設定し、評価基準を作った後は、実際の運用とそれに伴うサポート体制を構築します。リーダーに求めるコンピテンシースキルの習得に向けた教育プログラムや、コーチングなどの支援が重要です。

ビジネス環境や組織の目標は変動するため、運用後の制度見直しは常に必要です。リーダーに求める行動特性が変化していないか、定期的な検証を欠かさないようにしてください。

まとめ

リーダーシップコンピテンシーの重要性とその活用方法について解説しました。リーダーシップコンピテンシーの考え方を採用することで、自社が求める優秀なリーダー像を具体的に従業員に示すことが可能になります。

人材育成に導入すると従業員が目指す方向性が明確になるため、企業の業績向上に寄与する優秀なリーダーを効果的に育成できるでしょう。

人事データを一元管理できるシステム「タレントパレット」を活用すれば、さらに効率的なリーダーシップコンピテンシー評価の導入が可能になります。従業員のスキルや経歴、評価などを時系列で分析できるタレントパレットをぜひご活用ください。

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