レイオフとは再雇用前提の一時解雇!企業のメリットと日本の解雇事情を解説


レイオフとは再雇用前提の一時解雇!企業のメリットと日本の解雇事情を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

レイオフとは、一時解雇のことを指します。日本の法律下では一時解雇という方法が難しいため、普段あまり聞くことがないかもしれません。この記事では、レイオフを実施する目的とメリットに加え、日本における解雇規制事情などを解説していきます。

レイオフとは?

まずは、レイオフがどのような人事施策で、通常の解雇やリストラとはどう違うかを解説していきます。

レイオフは一時的な解雇

レイオフは、「解雇」や「帰休」を意味する英語「layoff」が語源で、一般的には一時解雇の意味合いで使われる言葉です。主にアメリカやカナダで実施されており、日本で実施されることはほとんどありません。

企業の業績が悪化したとき、従業員を一時的に解雇するための人事施策がレイオフです。Twitter社の経営者が変わった際、レイオフが少し話題になりました。レイオフは、一時的な解雇のため、再雇用を前提としています。

日本の会社で通常行われる解雇についての詳しい内容は、以下の記事でも扱っているので、参考にしてください。
「解雇」については、こちらの記事をご確認ください。

レイオフとリストラの違い

日本において、レイオフは一般的ではないため、リストラとの違いがはっきり認識されていないかもしれません。本来リストラは、「再構築」を意味する言葉で、事業の発展や立て直しを目的とした異動や配置転換、解雇など企業や組織の人員整理施策を指します。リストラにおける従業員の解雇は、再雇用を前提としていません。

一方、「レイオフ=一時解雇」は、退職後の再雇用を想定した人員整理です。解雇された従業員が、「職場に復帰できる見込みのある・なし」が、レイオフとリストラの大きな違いでしょう。

日本の企業が行うリストラと、アメリカやカナダなどで行われるレイオフの違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
「レイオフリストラ違い」については、こちらの記事をご確認ください。

日本とアメリカにおけるレイオフの違い

法律的・文化的・社会的背景の違いから、日本とアメリカやカナダでは、解雇の考え方に大きな違いがあります。

日本では、労働者を保護する法律が整備されており、解雇の要件も厳格です。そのため、企業は一度雇用した従業員を簡単には解雇できません。また、経営の立て直しや事業整理の際は、若手よりもベテランの人材が対象になりやすいのも特徴です。

若手社員は、企業への貢献年数が期待できるのに対し、ベテラン社員は企業にとっての価値がある程度固定化される傾向があります。年功序列があるため、人件費削減効果が高いとみなされるからかもしれません。

一方アメリカでは、ある日突然解雇されることもあり、日本よりも若手が解雇される傾向にあります。また、仕事の引き継ぎもあまり重要視されていないようです。

こうした違いは、終身雇用が前提の日本と、自由な雇用契約が文化として根付いているアメリカの違いによるものかもしれません。

関連記事:正当な解雇理由とは?従業員を不当解雇しないために、会社が注意すべきこと

レイオフの目的


ここからは、再雇用を前提としたレイオフ(一時解雇)の目的やメリットを解説します。

人件費の削減

レイオフが実施されるのは、経営の悪化や事業整理によって、給与の支払いを継続していくのが難しい状況にあるときです。人員整理が必要とはいえ、優秀な人材をつなぎとめておきたいときに、一時解雇であるレイオフは効果的です。

一時解雇によって人件費を抑え、業績が持ち直したときに再雇用することで、優秀な人材のキープと経営の立て直しが可能になります。

人材流出の抑制

社員教育はいわば投資であり、育てた人材は企業にとっての財産です。業績悪化により人件費の削減が避けられない場合でも、解雇により人材が流出することは、企業にとって大きな損失と言えます。

一時解雇であるレイオフは、再雇用を前提としているため、優秀な人材が流出してしまうリスクを一定期間抑えることが可能です。雇用の継続と解雇以外にも、再雇用を前提としたレイオフという選択肢があれば、経営の立て直しをする際にも戦略の幅が広がるでしょう。

ナレッジの流出阻止

ナレッジとは、長い年月をかけて培った自社の業務知識やスキル、経験値などを指します。ナレッジは、人材にも大きく依存しているため、人材流出はナレッジの流出とも言えるでしょう。再雇用を前提としたレイオフ制度が採用されていれば、解雇して即ナレッジが流出する事態を避けられます。

競合他社へのナレッジ流出は、企業にとって、将来的に大きなリスクにもなり得るため、レイオフは重要な選択肢と言えるでしょう。

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関連記事:労務管理の重要性とは?就業規則・労働時間などを管理して業務改善を目指そう

レイオフは日本でもできる?

レイオフは、実施が可能かどうか疑問に思われるかもしれませんが、現状、日本にはレイオフを直接規制する法律はありません。

日本における解雇は、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」の3つに分けられ、レイオフは整理解雇にあたります。整理解雇は簡単に実施できるものではないため、日本におけるレイオフの実施は、ハードルが高いと言えるでしょう。

整理解雇が難しい理由

整理解雇とは、会社が存続するために人員整理を行うことです。ただし、会社側が希望退職者を募集したり、役員報酬をカットしたりといった条件が必要になります。

これは「解雇権濫用の法理」に基づくものです。具体的には以下が「整理解雇の4要件」となります。

1.人員削減の必要性がある
2.解雇回避努力義務が履行されている
3.人員選定の合理性がある
4.解雇手続きの妥当性がある

こうした要件を満たすには、経営がかなり悪化している必要があり、いわば「最後の手段」と言えるでしょう。そのため、経営不振から業績回復を狙ってレイオフを実施するといった、アメリカのような人事施策は難しいかもしれません。

形態としては一時帰休が似ている

レイオフの形態としては「一時帰休」に似ています。一時帰休とは、従業員を雇用した状態のまま休業させることで、会社には人材流出を防げるメリットがあるでしょう。

ただし、一時帰休を実施した場合は、当該従業員に休業手当(平均賃金の60%以上の額)を支給しなければなりません。そのため、レイオフほど効果的な人件費削減効果は期待できないでしょう。

レイオフについての認識は必要

日本は終身雇用を前提とした法律により、労働者が守られており、解雇がしにくい国になっています。ただし、近年は解雇規制の緩和も検討されているため、近い将来、レイオフに似た雇用・解雇の選択肢が増えるかもしれません。

そうした状況を見据えて、海外で行われているレイオフについて知り、メリットやデメリットをしっかり把握しておくことが大切です。レイオフ、またはそれに類似する人事施策が可能になったとき、巧みな人事戦略がとれるよう、準備しておきましょう。

人件費削減以外のコストカット方法


日本では、現状レイオフ(一時解雇)や整理解雇は簡単にはできません。ここでは、コストカットするためには、人件費を削減する以外にどのような方法があるかを解説します。

間接経費を見直す

間接費用とは、事業とは直接関係のない経費のことで、光熱費、家賃、備品、税金などが間接費用にあたります。

単に間接費用を節約するのではなく、中長期的なランニングコストを計算し、経理的にメリットのある施策が重要です。税金に関することであれば、税理士に相談するのも有効でしょう。

IT化による業務効率化

IT化は、中長期的なランニングコストを削減できる可能性があります。業務効率化を目的とするのであれば、「IT導入補助金」の利用を検討してみてもよいでしょう。応募要項を満たせば、補助金を受給できる可能性があるため、さまざまな利益につながる可能性があります。

大規模なIT化が難しい場合は、身近なペーパーレス化から始めてみましょう。

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まとめ

レイオフは、海外の企業で実施されている一時的な解雇の方法です。再雇用を前提としているため、人材やナレッジの流出を防ぐとともに、人件費削減が期待できます。日本では、レイオフにあたる整理解雇のハードルが高いため、人件費以外の経費削減からコストカットを検討してみましょう。

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