こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
高度な情報化社会の到来により、現代のビジネスを取り巻く環境は急激な変化を続けています。そうしたなかで注目を集めているのが、「ナレッジワーカー」と呼ばれる人材です。
今回はナレッジワーカーの定義や注目度が高まっている理由について、類似した用語と比較しながら詳しく解説します。また、ナレッジワーカーに当てはまる代表的な職種や必要とされるスキル、ナレッジワーカーに向いている人とそうでない人の特徴なども併せて見ていきましょう。
知識を使って仕事をするナレッジワーカー
ナレッジワーカーとは、「知識によって付加価値を生み出す労働者」を意味する言葉です。ナレッジは知識や知見といった意味を持つ単語ですが、ビジネスにおいては「企業にとって有益性のある情報」「価値を持つ経験」といったより実践的な使われ方をするのが特徴です。
ここでは、その他の用語と比較をしながら、ナレッジワーカーについて理解を深めましょう。
ワイシャツを着て仕事をするホワイトカラー
ナレッジワーカーと似ている使われ方をする言葉に「ホワイトカラー」があります。ホワイトカラーは「白い襟」を意味する言葉であり、主にワイシャツを着て働く事務職や販売職、士業、研究者などを指します。
ホワイトカラーも知識や知見によって仕事をすることから、ナレッジワーカーと同一視されることも多いですが、厳密には対象とする範囲に違いがあります。ナレッジワーカーが個人を指すのに対し、ホワイトカラーはあくまで職種を指す言葉です。
ホワイトカラーとされる職種にナレッジワーカーが多いのは事実ですが、後述するマニュアルワーカーも存在しています。
マニュアルに従って仕事をするマニュアルワーカー
「マニュアルワーカー」とは、文字通り決められたマニュアルに沿って仕事を進める労働者のことです。マニュアルワーカーには、ミスなく業務をこなす正確性と、合理的に多くの生産量を生み出す生産性が求められるのが特徴です。
一方、ナレッジワーカーには単純な生産量よりも、どちらかといえばアイデアや新たな価値を創出するための仕組み作りなどが求められる点に違いがあります。
作業着を着て仕事をするブルーカラー
「ブルーカラー」は「青い襟」を表しており、主に生産現場などで働く肉体労働者を指す言葉です。具体的には製造業従事者や土木・建築作業員、農業・漁業従事者、警備員やタクシードライバーなどの職種があげられます。
なお、誤解されやすい面もありますが、ブルーカラーは決して単純労働を指しているわけではありません。職種によっては、高度な技能や専門知識を必要とする業務も存在しています。
なぜ、ナレッジワーカーが注目されるの?
現代のビジネス環境においては、従来よりもナレッジワーカーに対する注目度が高まっているのが特徴です。ここでは、ナレッジワーカーという言葉が生まれた歴史的背景も含めて、注目されている理由を解説します。
情報やテクノロジーがメインの社会になった
ナレッジワーカーが重要視されている理由は、情報技術の急速な進歩にともない、「知識の活用による付加価値の創造」が必要とされるようになったためです。高度にIT化が進んだ社会では、単に生産量を増やすだけでなく、知識や知恵によって豊かな価値を生み出すことが競争力を高める要因となっているのです。
そのため、豊かな知識と思考力を持ったナレッジワーカーを必要とする企業や現場は増えているといえるでしょう。
決められた作業はロボットに置きかわる
高度経済成長期の日本においては、多くのマニュアルワーカーが製造や生産の現場を支えていました。しかし、テクノロジーの進化によって、現代では人間が担っていた単純作業をロボットが担当する場面が当たり前の光景となりました。
マニュアル通りの作業は、ロボットのほうがミスなく合理的に行えてしまうため、人間の仕事が取って代わられやすいのです。こうした時代の動きによって、マニュアルワーカーからナレッジワーカーへと、人間の役割が大きく変化してきているといえるでしょう。
実は1960年代からあった言葉
ナレッジワーカーという言葉自体は、実のところ1960年代という古い時代から存在していました。経営学者のピーター・ドラッカーが1969年に発刊した著書『断絶の時代』において、自らの知識で経済を支えるナレッジワーカーという造語が提唱されています。
本書では知識社会の到来や起業家時代の到来、経済のグローバル化が予見されており、そのなかでナレッジワーカーの重要性にも触れられています。その後、実際にテクノロジーの進歩や大量生産・大量消費時代の終焉にともない、ナレッジワーカーによる付加価値の創出はますます重要なテーマとなっています。
ナレッジワーカーと呼ばれる職種の具体例
ナレッジワーカーの仕事には様々な種類がありますが、いずれも自分で創造して生み出すのがメインの役割となります。ここでは、特にナレッジワーカーが多いとされる職種の具体例を見ていきましょう。
ITエンジニア
プログラミングの知識を活かした開発を行うITエンジニアは、ナレッジワーカーの代表格としてあげられます。生産性向上や業務効率化に向けたシステム開発が主な役割であり、それには専門的な知識や論理的思考力などが求められます。
ただし、前述のようにナレッジワーカーはあくまで個人を指す言葉であり、業種全体を対象としているわけではありません。プログラマーやエンジニアとして働いていても、実際に任される業務は単純作業ばかりになっており、実質的にはマニュアルワーカーとなるケースも多いです。
そのため、業種だけでなく具体的な働き方にも注目して考えることが大切です。
コンサルタント
企業や組織の課題解決を目指すコンサルタントには、幅広い専門知識が求められるとともに、高い問題解決能力や情報収集能力が求められます。また、前例のないアイデアを生み出す発想力も必要とされる点で、ナレッジワーカーの代表例といえます。
なお、コンサルタントには必ずクライアントがいるため、相手の悩みを的確に聞き出すコミュニケーション能力も不可欠な能力となります。
マーケター
知識を活かして商品を売れる仕組みを作るマーケターも、ナレッジワーカーの多い職種とされています。マーケティングは、ユーザーのニーズや業界の動きを細かく検証したうえで、様々な観点から戦略を練るプロセスです。
綿密な市場調査やデータ分析などを行うには専門的な知識と経験が求められ、業務のマニュアル化が難しいのが特徴です。
ナレッジワーク管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
自社の人材をナレッジワーカーとして育成していくためには、綿密な計画に基づく丁寧なアプローチが必要となります。決められた業務を任せるのとは異なり、長い目で人材育成を行っていく必要があるため、人事データの管理や分析も欠かせないプロセスとなるでしょう。
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ナレッジワーカーになるには
ナレッジワーカーとしての資質を高めるには、どのようなポイントを意識すれば良いのでしょうか。ここでは、個人として取り組める事柄について、5つのポイントに分けて解説します。
仕事の効率性を高める
ナレッジワーカーとしてのスキルを磨くには、仕事の効率性を高める創意工夫が重要なテーマとなります。ただし、単に目の前の業務効率を向上させるだけでは、直接的にナレッジワーカーとしての資質を鍛えることにはつながりません。
自身が取り組んでいる業務について深く見つめ、関連する業務や上位の役割にも目を向けたうえで、何に力を注ぐべきかを判断できる力を磨くことが大切です。
正しい情報を見極める
インターネットの普及により、大量の情報へアクセスが容易になっていることで、真実を見極める正しい感覚が重要性を持つようになりました。単に知識を収集するだけでなく、その精度や根拠を問う力は、ナレッジワーカーとしての大切な資質といえるでしょう。
また、情報を入手するだけでなく、自分なりの武器として活用できる創造性も必要となります。データがどのような意味を持っているのかを問い続け、自分なりの答えを求める訓練も重要となるでしょう。
アイデアメモをつける
日ごろからアイデアメモをつける習慣を作り、発想力を鍛えるのもおすすめです。ナレッジワーカーには、マニュアルにない視点や発想が求められるため、日常業務から思考力を鍛錬していくことが大切となります。
何事にも挑戦する
ナレッジワーカーには、自ら進んでできることを探し、付加価値をもたらしていく姿勢が求められます。豊かな知識を持っていても、受け身の姿勢では能力を発揮できないため、普段から向上心や挑戦への意欲を磨いておくことが大切です。
コミュニケーション能力をあげる
ナレッジワーカーが担当する業務分野はとても幅広く、異なる業種や立場の相手と接点を持つ機会が多いのも特徴です。それだけに、コミュニケーション能力は特に重要な資質となります。
日ごろから異なる立場の相手と関わる機会を作ったり、様々な業種の人物に話を聞きに行ったりしながら、コミュニケーション能力を高めることも大切です。
ナレッジワーカーに向いている人
ナレッジワーカーとして働くには、どのような資質を持っておくべきなのでしょうか。ここでは、ナレッジワーカーに向いている人の特徴について見ていきましょう。
様々な職種の人との交流が苦ではない人
前述のように、ナレッジワーカーには高いコミュニケーション能力が求められます。社内や顧客の課題を解決するためには、コミュニケーションを通じて状況を正しく把握する能力などが必要となるのです。
また、様々な職種の相手と関わる機会も増えるため、異業種交流が苦手ではない人に向いているといえます。
時間と場所にとらわれない働き方が好きな人
ナレッジワーカーは、ある意味では実力主義の働き方が求められるため、業務時間や作業環境にはあまり制限がないケースが多いです。人によって労働時間が異なるのもナレッジワーカーの特徴なので、時間や環境にとらわれないで働ける人に向いているといえるでしょう。
自分で営業して仕事を取れる人
ナレッジワーカーとして働くには、自ら仕事を提案できる・仕事を作り出せる能力が必要となります。独立開業をする場合には、自分で営業をして仕事を得る必要もあるため、営業力が高い人に向いている働き方といえます。
ナレッジワーカーに向かない人
ナレッジワーカーは、誰もが向いている働き方というわけではありません。最後は、ナレッジワーカーの適性が高くない人の特徴も確認しておきましょう。
マニュアルを守って仕事をしたい人
ナレッジワーカーの業務は、大半がマニュアルのない創造的な仕事です。一定の業務についてはマニュアル化が可能であったとしても、実際の現場では臨機応変な判断が求められるため、マニュアルを守って仕事をしたい人にはあまり向いていません。
また、ナレッジワーカーには、斬新なアイデアを生み出す発想力や失敗を恐れないチャレンジ精神などの資質も求められます。これらの能力は、マニュアル通りに業務を進めたい人が持っているスキルの対極にあるため、相性は良くないといえるでしょう。
決められた時間はきっちり働きたい人
すべてのナレッジワークが該当するというわけではありませんが、ナレッジワーカーとしての働き方は、時間や労働環境に制限がないケースも多いです。状況によっては仕事とプライベートの境目がなくなってしまうタイミングもあるため、自分で切り替えを行える能力も必要となります。
そのため、時間の管理を自分で行うのが苦手な人や、「何時から何時まで」という明確な時間で仕事を区切りたいという人にとっては、それほど向いていない働き方といえるでしょう。また、ナレッジワーカーには完全成果報酬型の雇用形態を採用している職場も多いため、働いた時間分の対価をきちんと得たいという方にもあまり向いていません。
コミュニケーションが苦手な人
繰り返しにはなりますが、ナレッジワーカーには高いコミュニケーション能力が求められます。基本的に1人で完結させるという業務は少なく、様々な相手との交渉や話し合いが求められるため、対人スキルが低い場合には苦痛に感じられることもあるでしょう。
そのため、黙々と1人で業務をこなしたいタイプの方や、自分の担当範囲を明確に決められている方が安心する方には向かない働き方といえます。
まとめ
ITの進歩はビジネスシーンに大きな影響をもたらし、現代ではナレッジワーカーの重要性がますます高まりを見せています。優れた頭脳や知識によって付加価値をもたらすナレッジワーカーは、組織の生産性を向上させるだけでなく、企業の競争力や持続可能性を高めるうえでも重要な役割を果たすのです。
ナレッジワーカーを育成するには、単に知識を詰め込んだりマニュアルで研修を行ったりするだけでは不十分です。豊かな発想力やコミュニケーション能力、幅広い知識を身につけてもらうためには、長期的な視野で育成プランを立てる必要があります。
それには、膨大な人事データを適切に管理し、効率的に活用できる土台を築いておかなければなりません。そこで大きな役割を果たすのが、効率的な人材管理を実現する「タレントマネジメントシステム」です。
タレントマネジメントシステムとは、人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムのことです。各人材のスキルや保有資格、経歴などのデータをもとに、計画的な人材育成や高度な配置戦略を練るために活用できます。
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