ジョブローテーションは時代遅れ?実態や課題を解説!


ジョブローテーションは時代遅れ?実態や課題を解説!

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

ジョブローテーションは、人材育成のために多くの企業が実施してきました。しかし、近年、ジョブローテーションは時代遅れだという意見もあります。

この記事では、ジョブローテーションの実態に触れたうえで、どのような課題があるのか解説します。自社におけるジョブローテーションの実施について検討するために、ぜひ参考にしてください。

ジョブローテーションの目的とは

ジョブローテーションは、何のために行うのでしょうか。ジョブローテーションの目的について解説します。


社員のトータル的な能力の開発

ジョブローテーションとは、社員にさまざまな部署を経験させ、幅広い能力を開発するための人事制度です。人事計画に基づいて定期的に配置転換を行い、戦略的な人材育成を目指します。


たとえば、新卒で入社した社員を3年ごとに異なる部署へ異動させるケースがジョブローテーションに該当します。異動する部署は、経理部、人事部、営業部、開発部などさまざまです。複数の部署で業務に携われば、自社の業務を多面的に捉えられるようになります。


ジョブローテーションは時代遅れと思われる理由

ジョブローテーションが時代遅れだといわれるのは、複数の理由があげられるからです。ここでは、理由について具体的に解説します。


変わりゆくビジネスシーンにマッチしていない

ジョブローテーションは、終身雇用制度において特に効果的です。終身雇用制度を導入している企業がほとんどだった時代には、ジョブローテーションによる業務経験が出世の条件になっている企業もありました。


しかし、現在ではどの企業でも働き方が多様化しています。その結果、ジョブローテーションがマッチしていないといわれるケースが増えています。新卒で入社してから長く働き続ける人が減り、ジョブローテーションの有効性を疑問視する声が多くなりました。


海外にはジョブローテーションがない

そもそもジョブローテーションは、日本のメンバーシップ型雇用ならではの制度です。海外ではジョブ型雇用を行っている企業がほとんどであり、一定の職務に対して専任の人材を雇用しています。基本的に、採用された職種以外の仕事を任せることはありません。


近年は日本でもジョブ型雇用を実施する企業が増えており、ジョブローテーションが合わなくなっているケースが多いです。


ジョブローテーションが根付いた背景

日本の企業でジョブローテーションが採用されているのは、日本ならではの採用方法や雇用形態にマッチしているためです。日本にジョブローテーションが根付いた背景について解説します。


新卒一括採用

日本では、新卒で入社してから定年を迎えるまで1つの企業に勤め続ける働き方が一般的でした。学校を卒業したばかりの新卒社員にはスキルや専門性が身についていないため、入社後に教育を行います。ジョブローテーションなら効率的な教育が可能です。また、さまざまな部署を経験させれば、社員それぞれの適性も把握できます。


無限定正社員

無限定正社員とは、雇用が保証される代わりに職務や勤務地を選べない働き方です。従来、日本で正社員として働く場合は、無限正社員であることが前提でした。ジョブローテーションを実施すると、無限定正社員として働く社員を企業の都合に合わせて異動させられます。基本的に、社員は企業の命令に従って働かなければなりません。


年功序列

年功序列とは、年齢や勤続年数に応じて給与が高くなる仕組みです。年功序列を採用している企業で働く場合、スキルアップしたり専門性を高めたりしなくても、長く働き続ければ自動的に給与が上がっていきます。そのため、年功序列を採用している企業では、社員がジョブローテーションを受け入れやすい傾向にあります。


終身雇用

終身雇用とは、期間の定めがない雇用契約のことです。終身雇用で採用された社員は、自ら退職を申し出ない限り、定年までその企業で働き続けられます。終身雇用の社員に対してジョブローテーションを実施すると、中長期的な目線で幹部候補を選抜することが可能です。


時代遅れとされるジョブローテーションのメリット

ジョブローテーションは時代遅れだといわれる場合がありますが、その分得られるメリットもさまざまです。主なメリットを具体的に解説します。


さまざまな部署を経験できる

ジョブローテーションを実施すれば、それぞれの社員が複数の部署の業務を経験できます。さまざまな視点から自社の業務を理解できるため、ジェネラリストの育成が可能です。また、さまざまな部署を経験すると、優秀な社員は幅広いスキルを吸収します。そのため、ジョブローテーションは幹部候補となる人材を見極めるためにも役立つでしょう。


企業理解が深まる

ジョブローテーションでさまざまな部署の業務に携われば、仕事に対してより広い視野を養えます。たとえば、特定の部署の役割だけでなく、部署同士のつながりや個々のタスクの役割なども把握しやすくなるでしょう。自社の業務全体に対する理解が深まると、部署を横断する大規模なプロジェクトに取り組む際もスムーズに業務を進められます。


業務の属人化を防止

属人化とは、ある業務を遂行できる社員が限られている状況です。業務が属人化していると、特定の社員に業務の負担が集中するおそれがあります。定期的にジョブローテーションを実施すれば1つの業務をさまざまな社員が経験できるため、業務の属人化を防止することが可能です。


社内の人脈が強化される

ジョブローテーションにより異動すると、一緒に働く周囲の社員もそのたびに変わります。その結果、社内のさまざまな人との人脈ができ、業務を円滑に進めやすくなります。


異動を重ねるほど人脈が強化されるため、部署を横断して業務を進める必要がある場合もスムーズに意思疎通できるでしょう。ジョブローテーションは、風通しのよい企業風土を形成するうえでも役立ちます。


時代遅れとされるジョブローテーションのデメリット

ジョブローテーションへの取り組みが企業にとってマイナスになる場合もあります。具体的に3つのデメリットを解説します。


異動が社員の負担になる

新しい部署へ異動すれば、新人として業務を覚えなければなりません。そのため、ジョブローテーションは、社員にとって少なからず負担になります。一人前に仕事ができるようになるまでのキャッチアップに苦労するだけでなく、新しい人間関係の形成に労力を伴うケースもあるでしょう。


ジョブローテーションでは専門性が身につかない

ジョブローテーションでは1つの部署での経験年数が短く、特定の業務についてスキルを極めることはできません。ジェネラリストの育成に効果的である反面、スペシャリストを育てたい場合には不向きです。ジョブローテーションで専門性を高めることは難しいため、たとえばクリエイター職などには取り入れないほうがよいでしょう。


退職のリスクを上げる

ジョブローテーションにより社員の希望に沿わない異動が生じると、社員の仕事に対するモチベーションが低下する原因になります。そうなれば企業に対する所属意識や貢献意識も失われ、社員が退職を考える可能性があります。貴重な人材を失うリスクがあるため、ジョブローテーションは慎重に行わなければなりません。


ジョブローテーション導入の判断ポイント

ジョブローテーションは、どのような企業が導入すべきなのでしょうか。具体的な判断ポイントを解説します。


ジョブローテーション制が合う企業

ジョブローテーション制が向いている企業は、既存の社員や新卒採用の社員が多い企業です。各部署の業務と業務の間につながりがあり、頻繁に連携する必要がある場合に適しています。


さらに、リソースとコストに余裕があることも重要なポイントです。業務マニュアルが整備されており、定期的に担当者が変わってもスムーズに業務を進められる体制が整っていることも条件となります。


ジョブローテーション制が合わない企業

ジョブローテーション制が合わない企業は、中途採用の社員が多い企業です。リソースやコストに余裕がない場合も、無理にジョブローテーションを導入しないほうがよいでしょう。


また、必要な技術や知識を習得するために長い時間がかかる業務は、ジョブローテーションに向いていません。すでに長期的なプロジェクトを進行している部署についても、頻繁な異動は避けるべきです。


時代遅れとされるジョブローテーションの今後

ジョブローテーションの在り方については賛否両論あるため、自社での運用については慎重な判断が必要です。ジョブローテーションの今後について見通しを解説します。


日本では制度を廃止する企業も

近年は必ずしも終身雇用が想定されているわけではないため、ジョブローテーションの維持が困難な企業も増えています。実際、国内でもジョブローテーションを廃止する企業が多くなっています。ジョブローテーションを廃止する動きは、今後ますます顕著になるでしょう。


ただし、すでに解説したとおり、ジョブローテーションにはメリットもあります。ジョブローテーションの導入や廃止を検討する際は、メリットとデメリットの両方を正しく理解したうえで、自社に適切かどうかを判断する必要があります。


まとめ

ジョブローテーションは、近年の企業の体制に合わなくなってきています。ただし、ジョブローテーションが向いているケースもあるため、自社の状況を考慮したうえで自社にとって必要なものかどうか考えることが大切です。


タレントパレットは、社員に関するデータを一元管理できるシステムです。大手企業などさまざまな企業で導入されており、組織の力を最大化するために役立てられています。コンサルティングの知見もあるため、自社の人事制度について幅広い改善も可能です。人材育成に関するガイドを配布しているため、ぜひ役立ててください。


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