仕事のモチベーションとは
モチベーションは、人が行動を起こす要因であり、何らかの動機となるものです。つまり、目標を達成するための行動を促す力です。仕事におけるモチベーションには、仕事へのやる気や意欲、仕事をやる意味などが含まれます。一方で、モチベーションがないと意欲が湧かず、仕事に関する行動を起こしにくくなります。
モチベーションの種類は2つ
モチベーションは2つの種類に分類することが可能です。具体的には、内発的動機付けと外発的動機付けがあります。
まず、内発的動機付けは、物事への強い興味や探求心といった自分自身の内側から生じる要素によるものです。仕事への関心や達成感から発生するモチベーションは、高い集中力が長時間持続しやすいことが特徴です。
一方、外発的動機付けは、外部から強制的に与えられます。たとえば、給与を上げるために目標を達成したり、罰則を避けるために仕事に取り組んだりすることが挙げられます。
しかし、外部から強制的にもたらされる動機付けは、時間が経過すると慣れや耐性が生じやすいです。そのため、モチベーションの持続時間は短くなる傾向があります。
仕事においてモチベーションが大切な理由
仕事においてモチベーションが大切な理由は多岐にわたります。以下は、具体的な理由とそれぞれの詳細です。
モチベーション向上に有効な施策とは?重要性や低下する原因、測定方法なども解説
生産性の向上につながる
モチベーションは、仕事に対する集中力や主体的な行動に影響を及ぼします。たとえば、モチベーションが高い状態だと、集中力が増加し、短時間で業務を遂行することが可能です。他にも、面倒な手続きや細かな作業にも積極的に取り組みやすくなります。
主体的かつ積極的に仕事に取り組むと、目的や目標を達成しやすくなり、生産性の向上につながります。結果的に企業全体の業績にも影響が出るため、仕事においてモチベーションは重要です。
品質の向上につながる
モチベーションの程度は、仕事に対する意欲に直接影響します。たとえば、モチベーションが高い状態では、仕事の品質が向上しやすくなります。なぜなら、細部にまで注意を払うようになり、ミスや漏れが少なくなるからです。
具体的には、報告書の誤字脱字が減り意思疎通がスムーズになったり、プロジェクトが円滑に進んだりすることが挙げられます。そのため、仕事においてモチベーションは重要な役割を果たします。
持続力の向上につながる
仕事において、困難な状況やプレッシャーに耐えることが求められる場面は少なくありません。しかし、業務を遂行するためには継続的に物事に取り組む持続力が必要です。
この際、モチベーションを高い状態に維持できていると、挫折せずに前向きな姿勢を保つことが可能です。長期的な計画においても、目標達成のために努力し続けることができます。
社員のモチベーションが低下すると企業にどんな影響がある?
社員のモチベーション低下は、企業にさまざまな影響を及ぼします。具体的な影響とそれぞれの詳細は、以下の通りです。
全体的な生産性が低下する
モチベーションが低い社員は、主体性がなく、仕事に対する意欲が欠ける状態になりがちです。そのため、タスクの先延ばしや作業ミスの増加が起こりやすくなります。
個人の業務の進行が遅くなるだけでなく、チームの仕事にも悪影響を及ぼし、全体的な生産性が低下しかねません。結果的に、品質の低下やプロジェクトの納期遅延などが発生し、企業に対する信頼にも影響を及ぼします。
また、モチベーションの低い社員は自発的な行動も少ないため、周囲の社員との人間関係も悪くなりがちです。職場の雰囲気が悪くなると、さらに生産性が下がりかねません。
社員の離職率が増加する
モチベーションが低い社員は、仕事に対する不満やストレスを感じやすくなります。やりがいや達成感を感じにくいため、離職という選択を取りやすい傾向にあります。
離職率の高さは、企業にさまざまな不利益をもたらしかねません。具体的な影響として、以下の内容が挙げられます。
・新しい人材の採用にコストがかかる
・人材教育にリソースを割かなければならない
・既存の社員の負担が増える
離職者が増えると人手不足が慢性化しかねず、さらなる退職者の発生や生産性の低下が起こりやすくなります。
離職率の改善のためにできることは?離職の原因や改善する方法を解説
顧客満足度が低下する
モチベーションが低い社員は、業務に対する積極性が低くなりがちです。そのため、顧客対応の際に親切心が欠けた態度を取ったり、売上向上につながる施策を自主的に取らなかったりします。
顧客へのサービスが低下すると、顧客満足度も低下しやすくなります。また、問い合わせ対応の遅れや不親切な対応などが発生すると、企業への信頼も低くなりがちです。
仕事においてモチベーションが上がらない理由
仕事においてモチベーションが上がらない理由はいくつかあります。ここからは、具体的な理由とそれぞれの詳細を解説します。
具体的な目標が設定されていない
具体的な目標が設定されていないと、社員は何を達成するために働くのか分かりません。明確な理由がない状態では、仕事に対する意欲が低下しがちです。
また、目標が不明確だと、自身の努力がどのように評価されるのか分かりにくくなります。達成感や充実感を感じることが難しくなると、仕事に対するモチベーションが上がらないことも珍しくありません。
職場の雰囲気が悪い
職場の雰囲気は、人間関係や社風に左右されます。しかし、人間関係が良好でない状態だったり、社風が合わなかったりする場合もあります。
たとえば、社員間で対立や競争が激しかったり、不公平な扱いがあったりすると、職場の雰囲気が悪くなりがちです。また、良好な人間関係や協力的な環境が構築できていないと、社員同士の信頼感が薄れます。
このように、ストレスを感じやすい環境では、仕事に対する意欲も上がりません。結果的に、モチベーションも上がらなくなります。
努力や成果が正当に評価されていない
自分の努力や成果が正当に評価されないと感じると、社員は不満を感じます。また、不公平な評価をされると昇進の機会にも恵まれず、自分の行いが報われないと感じがちです。
仕事に積極的に取り組んでも見返りが得られないと判断すると、モチベーションは上がりません。
なお、評価制度に沿った活躍ができていないなど、評価されない原因が自分にある可能性もあります。
しかし、企業側の制度に問題があったり、上司や企業の風土によって適切な評価を受けられなかったりする場合もあります。理不尽なことが原因だと、特にモチベーションが上がりにくいです。
仕事のモチベーションを上げるために企業ができること
社員の仕事に対するモチベーションを上げるために、企業ができることは多くあります。以下は、具体的な施策とそれぞれの詳細です。
具体的で達成可能な目標を設定する
目標は、モチベーションを向上させるために重要な存在です。そのため、各社員に具体的かつ達成可能な目標を設定するよう、明確に伝えることが推奨されます。
目標を設定する上で、SMARTと呼ばれるフレームワークを活用することが推奨されます。SMARTとは、以下の5つの要素の頭文字を取った言葉です。
・Specific:具体性
・Measurable:測定可能
・Achievable:達成可能
・Relevant:関連性
・Time-based:期限
フレームワークを活用することで、社員が自分の役割や期待される成果を理解しやすくなります。
SMARTの法則を活用した目標の立て方とは?活用する際のポイントについても解説
公正な評価制度を導入する
モチベーションを向上させるには、業務において評価される行動を明確にすることが大切です。そのためには、透明性のある評価制度を導入し、公平な評価を行って社員に信頼される必要があります。
また、定期的に社員のパフォーマンスを評価することも求められます。この際、建設的なアドバイスやポジティブなフィードバックを提供すると効果的です。
社員自身が成長できる機会をつくる
将来に向かって進むという意識は、モチベーションを向上させるポイントになります。企業においては、明確にキャリアパスを描けるよう、昇進や異動の機会を設けることが効果的です。
たとえば、キャリア開発プランを策定し、定期的にキャリアについて話し合う場を設けることが推奨されます。さらに、スキルや知識を身に付けるために、トレーニングプログラムや教育の機会を提供することも推奨されます。
職場環境を整える
働きやすさは、仕事のモチベーションに大きな影響を与える要素です。そのため、職場環境を改善し、快適で集中しやすいオフィスを提供しましょう。
具体的には、照明の明るさを適切にしたり、静かな作業スペースを用意したりするなどが挙げられます。
また、柔軟な働き方ができる制度を導入することも推奨されます。リモートワークやフレックスタイム制など、ライフスタイルに合わせられる働き方を提供することが理想です。
社員の健康をサポートする
心身の健康状態も、モチベーションを左右します。社員自身に健康管理を任せっきりにするのではなく、企業が健康管理をサポートすることが重要です。
健康診断やフィットネスプログラムなどを提供し、身体の健康をサポートしましょう。また、メンタルヘルス支援などで心の健康をサポートすることも推奨されます。
オープンなコミュニケーションを促進する
コミュニケーションが取りやすい職場環境は、働きやすく、モチベーションを維持しやすくなります。そのためには、企業がオープンなコミュニケーションを促進することが重要です。
たとえば、経営陣や上司とコミュニケーションを取る機会を設けることが効果的です。これにより、社員が意見や提案をする機会が増えます。さらに、実際に意見や提案が採用されると、モチベーションの向上が期待できます。
また、経営陣が企業の現状や方針を発信することも効果的です。社員が目的意識を持ちやすくなり、安心感からモチベーションが向上します。
定期的に社内イベントを開催する
職場の雰囲気や社員同士の人間関係は、モチベーションに大きな影響を与えます。定期的にチームビルディングイベントや社内イベントを開催することで、社員同士の交流を促進することが可能です。
これらの施策によって社員同士の関係が良好になれば、職場の雰囲気が改善されることが期待できます。また、チームとしての結束力が高まり、業務効率や生産性の向上にもつながります。
リーダーシップを強化する
リーダーの能力は、社員のモチベーションに影響を与える要素です。そのため、リーダーシップを強化することは、間接的に社員のモチベーションを高めます。
リーダーシップを強化するためには、管理職やリーダーに対してリーダーシップトレーニングを提供することが推奨されます。リーダーとしての能力を向上させるための内容は、以下の通りです。
・効果的なコミュニケーション方法を学ぶ
・問題解決スキルを身に付ける
・モチベーションの引き出し方を知る
リーダーシップとマネジメントの違いは?求められるスキルや高め方も解説
多様性を尊重する
多様な視点やアイデアを取り入れることで、創造性やイノベーションが促進されます。また、職場での多様性を尊重し、異なる背景や考えを持つ社員が活躍できる環境を整えることも大切です。
社員自身が活躍しやすい環境だと感じれば、やりがいや働きやすさを得ることができます。結果的に、モチベーションの向上が期待できます。
福利厚生の充実を図る
市場競争力のある給与体系を導入し、社員の努力や成果に対して適切な報酬を提供しましょう。また、定期的な給与の見直しや昇給を行うことも重要です。
なぜなら、福利厚生の充実度は社員のモチベーションに直接影響するからです。特に、報酬が上がる条件が明確であれば、報酬アップを目標としてモチベーションを維持しやすくなります。
社員のモチベーションがどうしても上がらない場合は?
社員のモチベーションが上がらない場合は、適切に対処することが大切です。以下は、代表的な対処法とそれぞれの詳細です。
1on1を実施する
モチベーションがどうしても上がらない社員には、専門のカウンセラーやコーチによる1on1を実施することが推奨されます。
カウンセリングを通じて、社員が感じているストレスの原因や悩みを特定します。そして、それらに対して適切なサポートを提供しましょう。さらに、メンタルヘルスの専門家と連携し、心の健康を支援することも推奨されます。
また、上司と部下の間で信頼関係を構築するためにも、1on1を実施することが大切です。キャリアについての悩みが解消できれば、モチベーションの向上が期待できます。
1on1ミーティングとは|注目される背景やメリット・デメリット、話すべきテーマを解説
新しい目標を設定する
モチベーションが上がらない原因が、社員の現在の役割や業務内容に起因している場合もあります。そのような場合は、社員のキャリアパスを再評価することが大切です。具体的には、社員の強みや興味を考慮し、適切な目標を与えましょう。
また、新たな挑戦や成長の機会を提供することで、モチベーションを見出せるようにサポートすることも推奨されます。なお、社員の意見を聞いて、無理強いをしないように注意しましょう。
まとめ
社員のモチベーションは、企業の成長や発展という観点において重要な要素です。モチベーションは社員が自主的に向上や維持することが望ましいですが、企業がサポートすることも大切です。
また、モチベーションと並んで企業にとって重要な要素がエンゲージメントです。しかし、精神的な指標なので定量的な評価や管理が難しい傾向にあります。そこでおすすめしたいのが、専用システムの活用です。
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