こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
紹介予定派遣は正式雇用の前に人材を見極めるなどのメリットがありますが、デメリットも存在します。そこで自社が紹介予定派遣を利用すべきかどうか判断するための内容を解説しますので、ぜひご覧ください。
紹介予定派遣はやめたほうがいい?
紹介予定派遣とは、派遣先企業との間に直接雇用の可能性があることを前提とした派遣形態です。派遣期間中(最長6ヵ月間)に派遣先企業と派遣社員が、お互いに直接雇用の可能性を探り、双方の合意のもと直接雇用が結ばれます。
ただし、派遣期間終了後に必ず直接雇用が結ばれるわけではありません。どちらか一方が雇用に合意しなければ、派遣後の直接雇用は破談になります。
紹介予定派遣にはメリット・デメリットが混在するため、企業は慎重に利用検討を進めなければなりません。そこで、メリット・デメリットを詳しく解説します。
【企業側】紹介予定派遣のメリット
企業が紹介予定派遣を利用するメリットは、以下の6つです。
- 社内の雰囲気をアピールできる
- 未経験者でも意欲を確認できる
- 派遣社員と仕事内容の相性を確認できる
- 採用コストを抑えられる
- 採用担当者の負担を軽減できる
- 合わなければ採用を見送れる
それぞれのメリットの詳細を解説します。
社内の雰囲気をアピールできる
派遣期間中に、社内の雰囲気を派遣社員に知ってもらえる点がメリットのひとつです。企業説明会等で社内の雰囲気をアピールしても、なかなか上手く伝わりません。そのため折角のアピールポイントが活かせずに、優秀な人材を逃してしまう場合もあるでしょう。
その点紹介予定派遣なら、派遣期間中にアピールポイントを実感してもらえます。優秀な人材の心をしっかりとつかめるでしょう。
未経験者でも意欲を確認できる
未経験者の求人を募集する企業も多いです。しかし、未経験OKだとしても、仕事に対する意欲があるかどうかが重要です。
通常の雇用だと、残念ながら雇ってみないことには判断できません。雇った後で失敗だったということもあるでしょう。
しかし、紹介予定派遣なら派遣期間の働きぶりを見て採用を決められます。そのため意欲的な人材雇用が可能です。人材雇用の失敗に無駄な時間を使いたくないなら、大きなメリットとなるでしょう。
派遣社員と仕事内容の相性を確認できる
派遣社員と仕事内容の相性を直接雇用の前に判断できるメリットもあります。通常雇用では、事前に自社の仕事内容との相性を確認できません。戦力になるだろうと雇ってみたが、どうにも相性が悪く、期待した働きが見られなかったという話はよく耳にします。
また仕事に対する意欲はあっても、仕事に不向きだというケースも多いです。しかし紹介予定派遣なら、派遣期間中に仕事との相性をはかれます。少しでも希望条件に合った人材を確保したいなら、紹介予定派遣は便利な制度でしょう。
採用コストを抑えられる
紹介予定派遣なら、採用コストの大幅削減も可能になります。特に採用コストの中でも、高額となる以下の外部コストをカットできるからです。
- 求人広告などの求人掲載費
- 会社案内や求人パンフレットの作成費
- 会社説明会や懇談会にかかる費用
- 応募者の交通費や宿泊費の負担
通常の人材採用は広く対象を募るため、その分、採用コストが高額になります。しかし、紹介予定派遣なら、人材紹介会社への成果報酬金だけで済みます。採用コストが抑えられ、適正人材が見つけやすいとなれば、紹介予定派遣を利用するメリットは十分あるでしょう。
採用担当者の負担を軽減できる
紹介予定派遣は採用にかかる外部コストだけでなく、以下のような内部コストも削減できます。
- 求人広告の作成
- 応募書類の確認
- 面接日程の調整
- 問い合わせ対応
- 合否通知の作成
採用担当者を減らせば内部コストは削減できますが、これでは採用業務の質が落ちてしまいます。そのため質を維持して採用担当者の負担を軽減できる紹介予定派遣は便利といえるでしょう。
合わなければ採用を見送れる
企業にとって見逃せないメリットは、採用を見送れる点でしょう。通常一度雇ってしまえば、簡単に解雇はできません。紹介予定派遣ならば、働きぶりを見て意欲が感じられない、業務が合っていないと判断したときは直接雇用を見送れます。
この点において、合わなければ採用を見送れる紹介予定派遣は企業にとって大きなメリットです。
【企業側】紹介予定派遣のデメリット
企業が紹介予定派遣を利用するデメリットは、以下の5つです。
- 派遣後に直接雇用を辞退されることがある
- 条件に合う人材がいない
- 派遣期間が定められている
- 試用期間を設定できない
- 手数料の負担がかかる
それぞれのデメリットの詳細を解説します。
派遣後に直接雇用を辞退されることがある
派遣期間終了後に直接雇用を見送れるのは企業にとってメリットですが、逆に作用するケースもあります。なぜなら、派遣期間終了後に派遣社員から直接雇用を断られることもあるからです。
派遣社員が企業としては採用したかった優秀な人材だったとしても、相手に就職する意志がなければ、直接雇用が成立せずに派遣期間は終了となります。紹介予定派遣だから、希望すれば必ず直接雇用できるわけではありません。そのため逃したくない人材に対しては、派遣期間中に何らかのアプローチが必要になるでしょう。
条件に合う人材がいない
紹介予定派遣を利用しようとしても、派遣元会社に経験やスキルなどの条件にマッチした人材がいない場合もあります。紹介予定派遣を依頼する企業は、派遣社員に対する経験等の希望が一般派遣よりも高いため、適合する人材がいないこともよく見られます。
紹介予定派遣は登録者数が増える見込みであるため、求める人材が見つかりやすくなるでしょう。しかし、申し込んで条件にマッチした人材がいない場合は、その人材が見つかるまで待つことになりかねませんので注意してください。
派遣期間が定められている
紹介予定派遣の派遣期間は、厚生労働省の指針で最長6ヶ月までと決められています。最長3年まで可能な一般派遣と比べてかなり短いのは、紹介予定派遣の登録者は正規雇用を求めているからです。
紹介予定派遣を利用する際は、この点を踏まえ、派遣期間中に直接雇用するか否か見極める必要があります。そのため、紹介予定派遣の採用基準を決めておくといいでしょう。
試用期間を設定できない
予定紹介派遣は、派遣期間が採用の是非を決定する期間です。また試用期間の設定はできませんので、紹介予定派遣の直接雇用後は、試用期間なしの正社員として扱わなければなりません。
試用期間を設定できないのは、紹介予定派遣の派遣期間が試用期間として機能しているためです。そのため、直接雇用後に再び試用期間を設定すれば、労働者の地位を不安定なものにする行為だとされます。この内容は、厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」に記載されているので注意してください。
手数料の負担がかかる
紹介予定派遣で直接雇用するときは、派遣元会社への紹介手数料が発生します。紹介手数料は派遣元会社によって異なりますが、直接雇用する者の理論年収に対して15〜30%ほどが一般的です。理論年収とは、新年度の当初から年度末まで在籍した場合に想定される年収を指します。
紹介手数料は、直接雇用までに要した期間が短いほど安くなり、派遣期間が短いほど手数料率が引き下げられます。また紹介手数料は「キャリアアップ助成金」申請で補填できるので、詳細を確認してみましょう。
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紹介予定派遣での採用ポイント
紹介予定派遣のメリット・デメリットを理解してもらったところで、次は紹介予定派遣での採用ポイントを解説します。
紹介予定派遣を採用する際のポイントは、以下の4つです。
- 最終的に正社員を目指しているか
- 派遣会社の質や条件を確認する
- 派遣会社、派遣社員とのコミュニケーションを図る
- 採用手順を決めておく
それでは各ポイントの詳細を解説します。
最終的に正社員を目指しているか
最も注意してほしいのは、人材の見極めです。十分な経験やスキルを持ち、正社員になる自信がある人は、紹介予定派遣には登録しないでしょう。なぜなら、通常の転職活動で希望の職に就けるはずだからです。
紹介予定派遣に登録する人は、希望する企業の資格や応募要件を満たしていないケースが考えられます。そのため、派遣社員の経験やスキル、仕事に対する意欲の見極めが重要です。
正社員を目指しているだけでは、求める人材条件は満たせません。派遣社員がどれくらい希望条件を満たしているかを慎重に判断してください。
派遣会社の質や条件を確認する
紹介予定派遣に関わらず、優秀な人材が得られるかどうかは派遣会社次第です。特に求める条件が高くなる直接雇用を前提とした紹介予定派遣は、派遣会社選びが重要になってきます。
派遣会社選びで注意すべきポイントは、以下の3つです。
- 派遣形態別の登録者数
- 得意とする職種
- 対応エリア
雇用エリアに根ざしているか、求める人材登録者数が十分であるかは必ずチェックしておきましょう。この選定を見誤ると、求める人材が派遣される可能性は低くなってしまうでしょう。
派遣会社、派遣社員とのコミュニケーションを図る
意見や意思のすれ違いを防ぐためにも、派遣会社・派遣社員の双方と密にコミュニケーションをとってください。紹介予定派遣で避けなければならないのは、相手からの雇用拒否です。雇用したいと願っても、相手がNOと言えば直接雇用には至りません。
このような事態を避けるためにも、派遣期間中は両者とコミュニケーションを図るようにしてください。そうすれば企業の考えが伝わりやすく、派遣社員がどう感じているかを把握できます。
派遣社員の人となりや仕事に対する意欲もわかりやすいため、採用判断にも役立つでしょう。
採用手順を決めておく
派遣社員に派遣期間や直接雇用前の面談有無など、おおまかな流れを伝えておくことも必要です。事前告知しておけば、派遣社員も安心して派遣に望めるでしょう。
採用までの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 派遣元会社から提出された候補者リストの選出
- 候補者の事前面接
- 労働者派遣契約を締結して就労開始
- 両者合意の元、正式採用
以上を参考にして、自社に合った流れを策定してください。
紹介予定派遣を採用する前の注意点
紹介予定派遣を利用する際には、注意点がいくつかあります。知っておかなければ罰則を受けることにもなりかねません。
その注意点は、以下の2つです。
- 派遣社員が対応できる業務に制限がある
- 二重派遣は認められない
法律に基づくルールですので、チェックしておきましょう。
派遣社員が対応できる業務に制限がある
労働者派遣法第4条と労働者派遣法施行令第2条によって、紹介予定派遣による派遣社員には以下の業務が禁止されています。
- 港湾運送業
- 建設業務
- 警備業務
- 士業(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士など)
- 労使協議で使用者側の直接当事者として行う業務
二重派遣は認められない
紹介予定派遣の派遣社員の二重派遣は、労働基準法第6条と職業安定法44条によって禁止されています。二重派遣とは、派遣社員を派遣元会社と契約した派遣先会社と異なる会社で働かせることです。例えば、派遣社員を自社系列の子会社で働かせれば二重派遣になります。
二重派遣は派遣社員の給料が減るなど、中間搾取につながる懸念があるため労働者保護の観点から認められていません。
紹介予定派遣元企業を選ぶポイント
紹介予定派遣元企業を選ぶ際のポイントを紹介します。そのポイントは、以下の2点です。
- 求めている経験やスキルなどに強みを持った企業か
- 労働者派遣事業・職業紹介事業の届け出をしているか
紹介予定派遣で希望の人材を見つけるには、派遣元会社の助力は欠かせません。そのため、派遣元会社は慎重に選ぶようにしましょう。
求めている経験やスキルなどに強みを持った企業か
派遣元会社には、それぞれ得意とする業界や業種があります。たとえばIT企業が人材を募集する際に建設業が得意な派遣元会社に紹介予定派遣を依頼しても、求める人材が派遣される可能性は低いでしょう。会社ごとに得意とする分野は、事務職・営業職などの職種や、中途採用・新卒採用など細部にわたります。
求める人材に強みを持つ会社かを慎重に確認しましょう。募集する部署や業務に活かせる強みを持った人材を得るためにも、この見極めは重要なポイントになります。
労働者派遣事業・職業紹介事業の届け出をしているか
紹介予定派遣を生業とする会社は、以下の2つの許可が必要です。
- 労働者派遣事業許可
- 有料職業紹介事業許可
紹介予定派遣は「派遣事業」と「職業紹介」を組み合わせた派遣内容となるため、この2つの許可取得が義務付けられています。また労働者派遣事業や有料職業紹介事業には、厚生労働大臣の許可も必要です。
派遣会社が必ず条件を備えているとは限りませんので、中小規模の派遣会社を利用する際は、くれぐれも注意してください。
まとめ
紹介予定派遣は、優良人材を確保できる採用手段のひとつです。一般募集で人材確保できないなら、利用してみる価値はあるでしょう。
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