こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「リファレンスチェックって違法になるの?」などと悩まれている担当者もいらっしゃるでしょう。
結論、リファレンスチェックは、適切に運用すれば違法になりません。
しかし、誤った取り扱いは法律違反につながるケースもあるため、リファレンスチェックは慎重に行う必要があります。
そこで本記事では、リファレンスチェックが違法になるケースや実施のメリット・デメリットなどを解説します。
本記事を読めばリファレンスチェックを安全に運用できる方法が分かるため、ぜひ最後までご覧ください。
リファレンスチェックは違法ではないが取り扱いには要注意
前提としてリファレンスチェックとは、候補者の経歴や人柄などを調べて、該当者を深く知るための調査のことです。個人情報に関わる正当な調査のため、適切に運用する分には法律の観点から問題ありません。
しかし、業務に必要のない情報を担当者の興味で調べると、個人情報保護法に触れる恐れがあります。個人情報保護法に触れずに収集できる主な情報は次のとおりです。
- 経歴や業績
- 退職理由
- 人間像
- 能力やスキル
- その他、採用に必要な情報
リファレンスチェックを導入することでミスマッチを防ぎやすくなりますが、「扱うのは個人情報」という強い認識を持って、本施策を運用しましょう。
リファレンスチェックと採用調査の違い
リファレンスチェックと混合される言葉で、「採用調査」があります。両者の主な違いは、実施する目的にあります。リファレンスチェックは前述のとおり、候補者を深く知りミスマッチを防ぐために行う施策です。一方で採用調査は、候補者が虚偽の申告をしていないか確認するために行います。
また、収集できる情報にも違いがあります。具体的には、採用調査で収集する情報は次のような項目です。
- 自己破産の有無
- 副業の有無
- 犯罪歴
- 近隣調査
採用調査は、業務に必要か定かではないグレーな情報も収集するため、違法になる恐れがあります。なぜなら、「職業安定法」により、収集できる個人情報は業務目的の達成に必要な情報のみと定められているからです。
そのため、ミスマッチを防ぐ施策を行うなら、正当性も考慮してリファレンスチェックのほうが好ましいです。
リファレンスチェックで違法になる4つのケースと対処法
リファレンスチェックで違法になるケースを4つ紹介します。
- 候補者の同意なしでリファレンスチェックを行う
- 候補者の情報を第三者に流す
- リファレンスチェック後に内定を取り消す
- 適正や能力に関係のない情報を調べる
上記に該当すると、個人情報保護法や労働契約法に触れます。そのため、違法になるケースに応じた対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
候補者の同意なしでリファレンスチェックを行う
候補者の同意なしでリファレンスチェックを行えば、個人情報保護法に触れます。そのため、リファレンスチェックを行う前に、候補者に対して「リファレンスチェックを行ってもいいか」と確認して同意を得る必要があります。
リファレンスチェックは、個人情報保護法や職業安定法などに則り運用する場合は、法に触れません。リファレンスチェック自体を違法とする法律がないからです。
候補者からの同意があればリファレンスチェックを行えるため、無断で実施するのは避けましょう。
候補者の情報を第三者に流す
個人情報保護法により、リファレンスチェックで知り得た情報を第三者に流すのは違法です。もし、本人からの同意を得ずにリファレンスチェックを行うと、候補者の企業からも責任が問われます。
そのためリファレンスチェックを行う前に、候補者から、現職や前職の社員に協力の許可をもらっておきましょう。
リファレンスチェック後に内定を取り消す
前提として、内定が決まることは雇用契約の成立を意味します。そして労働契約法第16条では次のように定められています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
引用:8-4 解雇権の濫用法理(労契法 16 条) - 労務安全情報センター
したがって、リファレンスチェック後に次のような理由で内定を取り消すと、解雇権の汎用法理に触れる可能性があるため注意しましょう。
- 会社の社風が候補者と合わなさそう
- 思っていた人物像と違った
ただし、採用することで業務に支障が出ると予測される「経歴詐称」や「懲戒処分」などが見つかれば、内定を取り消しできる可能性があります。
内定を取り消すのは担当者と候補者で後味が悪いため、このような事態にならないためにも、事前にリファレンスチェックを行うのが好ましいです。
適正や能力に関係のない情報を調べる
リファレンスチェックで調べられるのは、業務に必要な情報のみです。次のような、適正や能力に関係のない情報を調べると、就職差別になる可能性があります。
- 宗教
- 本籍・出生地
- 家族
- 思想
- 生活環境
差別は企業のイメージダウンに大きく関与するため、リファレンスチェックで確認する項目は、慎重に決めましょう。調査する項目が決まれば、「これは業務に必要な情報か?」と念入りに確認することで、就職差別を防ぎやすくなります。
リファレンスチェックを行う3つのメリット
リファレンスチェックを行うメリットを、次の3つ紹介します。
- 候補者を客観的に評価できる
- ミスマッチを減らせる
- 採用効率を上げられる
リファレンスチェックをすべきか判断できるように、それぞれ解説します。
候補者を客観的に評価できる
前提としてリファレンスチェックは、候補者の現職や前職の社員に、情報提供の協力をしてもらう必要があります。提供してもらえる情報には、「人間関係」や「長所」なども含まれます。
これらの情報は書面だけでは把握できないですが、リファレンスチェックを行うことで候補者を第三者目線からも評価可能です。
多面的な情報をもとに選考を進められるため、採用精度の向上にもつながるでしょう。
ミスマッチを減らせる
採用担当者は、面接や履歴書などを通して候補者の適正を見抜く必要があります。しかし、虚偽の情報を申告する候補者がいることを考慮すると、面接だけで適正を見抜くのは難しいはずです。
リファレンスチェックを行えば申告内容の正しさのみならず、第三者からの評価も知れるため、ミスマッチを防ぎやすくなります。
ミスマッチをより減らされたい方には、タレントパレットの導入がおすすめです。タレントパレットでは、該当社員の入社前と後の情報を紐づけられます。活躍している社員の入社前の特徴を知れるため、その情報に似ている候補者は、自社で活躍してくれる可能性があります。
上記のようにタレントパレットを導入することで、選考段階で活躍してくれそうな人材を見分けられやすくなるため、ミスマッチを防止されたい方はぜひご検討ください。
採用効率を上げられる
リファレンスチェックを行うと明記するだけで採用効率を上げられるのがメリットです。
前述したとおり、選考で虚偽の申告をする候補者もいます。魅力的な会社であるほど応募者数は多くなりますが、その分「受かりたいから職歴を盛って応募しよう」などと虚偽の申告をして応募する方も増えるでしょう。
しかし、求人情報にリファレンスチェックを行う旨を記載しておけば、虚偽の内容で応募する方は減り、企業が求める人材をはじめから絞れます。
リファレンスチェックを行う3つのデメリット
リファレンスチェックを行うデメリットを次の3つ紹介します。
- 時間がかかる
- 候補者からネガティブなイメージを持たれる可能性がある
- 選考を辞退される可能性がある
リファレンスチェックを計画する際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けましょう。
時間がかかる
リファレンスチェックを行うには時間がかかります。理由は、次のように実施する流れの工程が多いからです。
- 候補者にリファレンスチェックの説明および同意をもらう
- リファレンスチェック協力者の連絡先を教えてもらう
- 協力者への事前連絡および日程調整を行う
- 聴取項目を決める
- リファレンスチェックを行う
- 情報をレポートする
一人に対してレファレンスチェックを行うだけでも時間がかかることは、容易に想像できます。実際、外部サービスを活用して本施策を行う企業もあることを考えると、本施策が自社への負担になることは間違いありません。
速やかに人材を確保されたい方は、「自社にリファレンスチェックが必要なのか?」を再検討する必要があるでしょう。
候補者からネガティブなイメージを持たれる可能性がある
レファレンスチェックに対して、「この担当者は私のことを疑っているのかな?」などとネガティブなイメージを持たれる可能性があります。候補者の情報をより詳しく調査する施策のため、ネガティブなイメージを持たれる可能性があるのは仕方がないといえます。
ネガティブなイメージを与えないためには、候補者にリファレンスチェックを行う理由を詳しく解説するのが好ましいです。たとえば、「現職や前職の社員からの評価を把握することで、よりスムーズに選考を行えるから」などです。
リファレンスチェックを行うなら、候補者を配慮した心がけが必要になります。
選考を辞退される可能性がある
たとえ自社に適した能力やスキルを有した人材でも、人間関係がうまくいかずに退職した方もいます。候補者によっては「前職での情報を深掘りされるなら選考を辞退しようかな」と考える方も出てくる可能性があるでしょう。
そのため、前職へのリファレンスチェックの依頼が難しい場合は、学生時代の友達や前前職の関係者などに協力依頼をするのも1つの手段です。
スムーズにリファレンスチェックを頼むには、候補者の背景に応じた適任者を選定する必要があります。本施策に適した依頼者が分からない方は、別記事「リファレンスチェック誰に頼む」を合わせてご覧ください。
人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須
人事業務をDX化することで、社員データの一元化・人材検索・人事評価・配置検討などの幅広い業務を効率化できるようになります。また、人材育成・最適配置・社員パフォーマンスの最大化など、組織力向上を目的とした一歩先のタレントマネジメントまで実現が可能です。
また、タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員データを集約し人事評価のペーパーレス化や異動シミュレーション、ハイパフォーマー分析など、高度な施策が実施できます。タレントマネジメントを取り入れて、自社のリソースを最大限に活用しましょう。
リファレンスチェックは適切に運用すれば安全
リファレンスチェック自体に違法性はありませんが、個人情報を取り扱うため、慎重に対応する必要があります。適切に運用すれば、ミスマッチの防止や採用効率の向上などにつながるでしょう。
ただし、本施策にネガティブなイメージを持つ方もいるため、場合によっては選考を離脱される恐れもあります。
せっかく進めた選考も、離脱されては意味がありません。そこで、リファレンスチェックを行わずともミスマッチを防いだり採用効率を上げられたい方には、タレントパレットの導入がおすすめです。
タレントパレットでは、優秀な社員の情報をデータとして蓄積できるため、それをもとに類似傾向を持つ候補者を選別できます。現社員と似ている方は自社に適した人材の可能性が高いため、社員情報のデータ蓄積機能を活用すれば、ミスマッチの防止および採用効率の向上につなげられます。
長く働いてくれる社員を確保されたい方は、ぜひタレントパレットをご活用ください。