人事異動を行う5つの理由!手順6ステップと社員に伝える際のポイントを解説


人事異動を行う5つの理由!手順6ステップと社員に伝える際のポイントを解説

企業において人事異動が必要な理由をご存知でしょうか。本記事では、人事異動が必要な理由や効果的な手順について解説します。あわせて、社員へ人事異動を伝える際のポイントもご紹介します。効果的な人事異動を行いたい方はぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


「人事異動の必要性をしっかり把握できていない」「社員のモチベーションを低下させない伝え方を知りたい」という方は多いのではないでしょうか。


人事異動は、企業の業績や組織力を向上のために必要です。適切な人事異動を行うためには、企業のルールや手順の明確化と、社員への配慮が大切です。


そこで本記事では、企業にとって人事異動が必要な理由や効果的な進め方を解説します。あわせて、人事異動を社員へ伝える際のポイントもご紹介します。


効果的な人事異動を行い、企業の成長につなげたい方はぜひ最後までお読みください。


人事異動を行う5つの理由


企業が人事異動を行う理由は、人材育成や適材適所への配置によって組織力を高めるためです。ここでは、企業が人事異動を行う5つの理由を詳しく解説します。


人材育成


人事異動や出向を行うと、社員はこれまでとは違った業務にたずさわります。業務の幅や仕事に対する視野が広がり、結果的に社員の成長につながるでしょう。また、組織の中で経験を積み、マネジメント能力が強化されるなどの効果も期待できます。


人事異動によって、ひとつの部署に所属するだけでは身につけられない知識や技術を磨けます。社員自身が気づいていなかった能力を開花したり、発揮したりする可能性もあるでしょう。


戦略的な人材配置


人材配置は新規事業の立ち上げや、特定の部署の業績を伸ばす際に行われるケースがあります。リーダーシップやマネジメント能力に長けた人材は、重要な戦力です。戦略的な人材配置をすることで、企業全体の業績アップが期待できます。


ただし、仕事を抱えている優秀な社員が退職した際、さまざまな支障が出る可能性があります。退職前に同等のスキルを持つ人材を配置すれば、業務効率が大幅に下がるといった事態を回避できるでしょう。


組織の活性化


定期的な人事異動を行えば、社員のマンネリ化や労働意欲の低下を防ぐ効果が期待できます


同じ部署で長く業務にたずさわっていると、モチベーションが低下する可能性が考えられます。さらに、社員の労働意欲の低下は、企業の業績悪化の原因になるため要注意です。


新たな環境では、新鮮な気持ちで仕事に取り組めますし、チャレンジ意欲を高める効果も期待できます。また、人事異動によってさまざまな社員と交流を深められ、結果的に組織の活性化につながるでしょう。


個々の社員への配慮


社員の健康状態、子育てや介護などの家庭環境に合わせて人事異動を行う企業もあります。例えば、障害を抱えていたり、寝たきりの高齢者を介護しなければならなかったりする社員などへの配慮です。企業は、社員一人ひとりの適性や個性を見極め、人材配置を行う必要があります。


また、パワハラやセクハラ・職員同士のトラブルなど、メンタルヘルスケアが必要なケースもあるでしょう。


不正やトラブル防止


1人の社員が長く同じ部署で業務を行っていると、外部からの干渉が少なくなりがちです。そのため、特定の社員の不正やトラブルを発見しにくくなります。


例えばインターネット上でのやり取りが多い企業の場合、重要情報への利用者IDやアクセス権を人事異動の時期に一斉に見直せば、適切性が判断できるでしょう。権限を付与する期間も必要な時期に限るようにすれば、不正防止につながります。


効果的な人事異動の手順6ステップ


人事異動を行うにあたって、まずはルールや基準の明確化が重要です。また、企業の経営方針に沿った人事異動なら目的が明確で、社員にも納得されやすくなるでしょう。


この章では、企業と従業員の両者にとって効果的な人事異動の手順6ステップを解説します。


組織の実態調査を行う


まず最初のステップとして、組織内の実態調査を行います。各部署の責任者が集まり、事業目標に対する以下のような問題点を洗い出します


  • 人員の過不足はないか
  • 戦力となる人材が不足していないか
  • フォローの必要な人材がいないか
  • 異動後フォローする人材はいるのか


上記のような問題点や、所属している人材のスキルを洗い出してみましょう。


必要な人材の要件を洗い出す


実態調査後、各部署に必要な人材の要件を洗い出します。具体的には、以下のような要件が挙げられます。


  • どのようなスキルを持った人材が必要か
  • 人材育成ができるか
  • 必要な業務を遂行できるか


事業成績の向上のために貢献できそうな要件を、具体的に考えてみましょう。


人事異動の候補者をリストアップする


必要な要件が洗い出せたら、人事異動の候補者をリストアップします。ポイントは社員の希望も考慮すること、そして人事異動後の見通しも視野に入れることです。


社員によっては、特定の部署への異動を自ら望んでいるケースもあります。希望通りの人事異動が実現すれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。


ただし、社員の希望のみで人材配置するだけでは適材適所は実現しません。能力や実績を判断し、人事異動後の見通しも立てながらリストアップを行いましょう。作業が完了したら、各部署の責任者に説明して了承を得ます。


内示を出す


内示とは、正式な辞令の前に候補者に通知を行うことです。人事異動の候補者が決まったら、あらかじめ内示を行います。


急な人事異動を告げられ、候補者が動揺してしまうケースは少なくありません。「自分は必要とされていないのだろうか」「なぜ自分だけ異動が決まったのだろう」などの不安を感じることもあるでしょう。


部署の直属上司は候補者と面談を行い、異動部署・異動理由・業務内容などを丁寧に伝えることが重要です。どうしても強く拒否する場合の対処法については後述します。


辞令を交付する


内示の次は、異動候補者に対して辞令を交付します。辞令とは、次のような異動を命じる際の文書です。


  • 異動
  • 昇給
  • 転勤
  • 出向


辞令の交付方法は企業によって異なりますが、社内のシステム・掲示板などで通知を行うケースもあります。


人事異動後のフォローを行う


人事異動後は対象者の意欲低下につながっていないか、新たな環境に違和感を感じていないか、フォローを行うことが大切です。人事異動をネガティブに感じられると、離職につながってしまうケースも少なくありません。


新たな環境で社員のパフォーマンスを最大限に発揮してもらえるよう、異動後の面談を行ったり、フォロー体制を手厚くしたりするなどの対策を講じると良いでしょう。


マネジメントシステムのタレントパレットは、人材情報や組織の状況をデータベース化し、人事戦略に活用できます。人材情報を多角的に分析し、最適な配置・異動のシュミレーションが可能です。社員の満足度調査、離職防止分析機能など社員の声を見える化でき、モチベーション低下にも気付きやすくなります。効果的な人事異動を行いたい方は、お気軽にご相談ください。


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人事異動の理由を伝える際の3つのポイント


人事異動はポジティブに受け止めてもらえないことも多々あります。。人事異動を前向きに受けて止めてもらうためには、社員のメンタルケアが重要です。


内示を受けて「希望に合わない異動だった」などネガティブなイメージを持たれないよう、人事異動を伝える際の3つのポイントを解説します。


現場と社員の意向に配慮する


人事異動で最も重要なのは、現場と社員の意向に配慮して考えることです。社員の意向を完全に無視した人事異動は、反感を持たれる原因になります。

過去には、社員が人事異動を断ったため懲戒解雇にした企業が裁判で敗訴したケースがあります。勝訴した社員は「重病を患っている、もしくは介護が必要な家族を本人と配偶者でみていた」といった状況でした(日本電気事件、明治図書出版事件など)。

参照元:労働政策研究・研修機構

敗訴に至った理由のほとんどは、社員への配慮不足です。企業側が一方的に人事異動の目的を押し付けるのではなく、社員一人一人の意向や状況に配慮しましょう。

理由を具体的に説明する


社員に対し、人事異動の理由を具体的に説明することが大切です。例えば、中堅社員の場合「新人社員の育成を任せたい」「新人社員の教育を担当することで自身の成長にもつながる」など、具体的な理由を伝えるようにします。異動後の姿も伝えると良いでしょう。

また、人事異動の候補に挙がった理由を伝えると、モチベーション低下を防ぐ効果が期待できるでしょう。例えば「出向先で得た知識や技術を、部署内にもちかえって共有してもらいたい」「協調性やリーダシップといった適性があるので任せられる」などです。

対象の社員にどういった適性があるか、なぜ異動を求められているか伝えると効果的です。

異動先の業務内容を伝える


人事異動の内示を受けて戸惑っている社員から異動先の業務内容を尋ねられた場合、しっかりと答えられるようにしておきましょう。異動先の業務内容を具体的に伝えておけば、内示を受けた社員の不安要素を減らせます


異動先で期待される役割や業務内容を、あらかじめ擦り合わせておくと効果的です。人間には承認欲求があるため、期待にこたえようとする心理が働くためです。


さらに、可能であれば社員と異動先の部署の責任者の顔合わせの時間を設けると良いでしょう。


社員のモチベーション向上につなげてもらうために、異動先への不安要素はできるだけ少なくしておきましょう。


社員が人事異動を拒否できるケース


一般的な配転では、原則、社員は人事異動を拒否できないものと考えられています。配転とは、社員の職務内容または勤務地が相当の長期間にわたり変更されることです。


採用時に勤務場所を限定しておらず、なおかつ就業規則に人事異動を命じられる胸の定めがある場合、社員は会社の異動命令に従わなければなりません。


ただし、次のようなケースでは配転命令は無効になります。


  • 業務上の必要性がない場合
  • 不当な動機や目的が認められる場合
  • 労働者に対する不利益が著しく超える場合


例えば、退職に追い込むための転勤・社長の経営方針に批判的な言動をとったための転勤命令といった裁判例(フジシール事件、マリンクロットメディカル事件など)があります。これらの事例は、不当な動機・目的として配転命令が無効とされました。


入社時の契約、もしくは労働契約を展開していく過程で職種が限定されている場合、職種の変更は会社の一方的な命令ではなく、社員の同意が必要です。また、出向を命じるには、民法上、社員の承諾が必要になります。


→人事異動拒否について詳しく知りたい方は、別記事「人事異動拒否」をあわせてご確認ください。


人事異動理由のまとめ


企業にとって人事異動が必要な理由として、人材育成や組織活性化などが挙げられます。適材適所への戦略的人材配置によって社員の能力を最大限に引き出すことができれば、結果的に企業の成長にもつながるでしょう。


企業側の経営方針に合わせた人事異動が重要ですが、一方的な異動命令はトラブルになりかねません。日頃からコミュニケーションを図り、社員一人ひとりの適性や個性・家庭環境などへの配慮が大切です。


タレントパレットは、人材の最適な配置や多角的な分析、社員のモチベーション分析などが行えるタレントマネジメントシステムです。社員のパフォーマンスを最大限に引き出す人事異動を目指している方は、ぜひお問い合わせください。


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