こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人材育成の具体的な方法がよくわからない」「他社の取り組みを参考にしたい」「人材育成の進め方に自信がない」という方は多いのではないでしょうか。
人材育成は企業において最重要課題と言えます。オリジナルの施策で優秀な人材の育成に成功している企業も存在する一方で、十分なコストや時間をかけられず、その結果人材不足に悩む企業が多いのも事実です。
そこで本記事では、人材育成の基本的な知識や具体例、階層別の育成内容、成功のポイントについて解説します。
自社に必要な人材を育て、企業の成長を後押しするためにも、ぜひ最後までお読みください。
人材育成とは?成功させるには具体例から学ぶ
人材育成とは、企業が経営目標を達成するために必要な人材を育てること、また必要な教育やスキル習得を促すことです。人材育成を成功させるには、実際に成功している企業を参考にするのが最適と言えます。
会社によって向いている手法・向かない手法が存在するため、自社にどのような施策を導入すべきなのか見極める必要があるからです。
人材開発・人材教育との違い
人材育成は人材開発・人材教育とは異なります。人材開発との違いは取り組む期間で、人材育成が中・長期的目線で行われるのに対し、人材開発は短期的目線で行われることが多いです。人材開発や人材教育は、人材育成と同等に扱われている場合もあります。いずれにせよ、社員にスキルや知識等の必要な教育を行うことには変わりありません。
なぜ人材育成が必要なのか?3つの目的について
人材は企業の4大経営資源(人・物・金・情報)のうち、もっとも大切なもので、成長や業績に大きな影響を与えます。なぜ人材育成を重要視すべきなのか、その理由を順に見ていきましょう。
自社に貢献できる人材を育てる
人材育成の大きな目的は、自社の成長や業績に貢献できる人材を育てることです。人材の質や量は、企業の将来に大きな影響を与えます。他社との競争に勝ち抜き、企業として成長していくためには優秀な人材が不可欠なためです。
社員1人ひとりのスキルアップは、生産性の向上だけでなく、企業の業績や経営戦略の実現にも役立ちます。また、人材育成は社員のモチベーションの維持、向上のためにも欠かせないと言えるでしょう。
人材流出を防ぐ
人材育成は、転職等により優秀な人材が流出するのを防ぐ目的があります。人材不足が顕著化している現代では、優秀な人材を育て、確保し続けることはもっとも重要です。
厚生労働省が実施した新規学卒就職者の離職状況調査では、新卒の離職率は3割を超えており、もはや深刻な状態です。離職率が上がると人材育成にかけたコストも無駄になるため、損失は莫大になります。
企業の安定した成長のためには、人材の定着率を上げ、長期的な目線を持って育成しなければならないのです。
時代の変化に対応するため
現代の企業は、IT化やグローバル化など、様々な課題を抱えています。人材育成は、時代の変化に対応できる力と人材を育てるための手段でもあるのです。
人材育成によって社員の知識や能力を高めることで、時代の変化に迅速に対応し、企業の競争力を維持・向上できるようになります。変化の著しい時代に対応できる、高いスキルを持った社員を育てることは、企業の未来を支え事業を存続させるために欠かせないと言えるでしょう。
人材育成の3つの企業事例
人材育成にはさまざまな課題がありますが、多くの企業が積極的に取り組んでおり、成功例も多数あります。具体例を詳しく見ていきましょう。
トレーニー制度の採用でグローバル化(SUNTORY)
サントリーの特徴は、多様な人材を育成している点です。サントリーグループは、人材育成プログラムとして「サントリー大学」を開校し、グローバルな人材育成に力をいれています。
中でも注目されているのは、若手社員を海外グループ会社に派遣する「トレーニー制度」の採用です。リーダーシップのある人材や即戦力となる社員が育ち、グループ全体のグローバル化を推進できています。
すべての社員に充実したOJTを実施(スターバックス)
スターバックスは、研修期間が非常に長いことで有名です。80時間もの研修期間を採用し、自社の理念やミッションを理解し、体現することに時間をかけています。
また、マニュアルを作らず、アルバイトを含めたパートナーの自律的な行動を尊重し、自ら考え働く人材を育成しています。
コーチングやフィードバックを取り入れ、個人のキャリア志向に基づき能力育成計画を実施するなど、独自の人材育成にも力を入れているのも特徴です。コストよりも人材育成を優先させている好例だと言えるでしょう。
Off-JTの活用と人材育成のシステム化(マクドナルド)
人材育成のシステム化に成功したのが、マクドナルドです。店舗でのOJTに加えて、Off-JTとして人材育成の専門機関である「ハンバーガー大学」を採用し、人材育成に力を入れています。
クルーの教育にはタブレット端末を導入し、自主的な学習やトレーニング時間の短縮を実現し、業務の効率化に成功しています。それぞれの役割に応じて段階的に学べる環境が整っており、体験しながら教育することで、働きながら自らの成長を感じられるようになっているのも特徴です。
成功事例から学ぶ人材育成3つの手法のメリット・デメリット
人材育成の手法は複数あり、ニーズや目的に合わせて選ばれています。主な手法やメリット・デメリットを順に見ていきましょう。
OJT
OJTとは「On The Job Training」の略で、実際に仕事を行いながら業務の知識やスキルを身につけられるよう指導・教育することです。先輩や上司から直接現場で指導が受けられるため、即戦力が身につき、個人のレベルに合った教育がしやすいというメリットがあります。
OJTは、以下の4段階で行われています。
- 見せる(Show)
- 説明する(Tell)
- させる(Do)
- 評価や指導する(Check)
日常業務と育成が同時進行できるため、多くの企業で導入されている育成方法です。
ただし、現場スタッフの負担が大きいことや、指導者によって効果に差が出ることというデメリットも存在します。均一化のため、マニュアルやシステムの導入は必要不可欠だと言えるでしょう。
Off-JT
Off-JTとは「Off The Job Training」の略で、OJTと異なり現場から離れて、座学などで必要な知識や能力を習得するための研修のことを指します。Off-JTのメリットは、体系的に知識やスキル習得が行える点です。
具体的には新入社員研修やリーダーシップ研修、マネジメントスキル研修などが例として挙げられます。複数人に一度に教育が行えるため、全体のスキルアップも可能です。
ただし、OJTに比べるとコストがかかること、即効性に欠ける点や社員の意欲によって効果が左右される点はデメリットです。実践する際は、長期的な視野を持っておきましょう。
自己啓発(SD)
SDは「Self Development」の略で、社員自身が行う自発的な学習のことです。自ら学習しようとする意識の高い社員を支援することで、人材育成をよりスムーズに進められます。
しかし、意欲のない社員へのアプローチができないため、育成にばらつきが出る点はデメリットです。具体的な支援内容としては、以下のようなものがあります。
- 書籍購入の補助
- 資格取得支援(ツール提供、報奨金制度など)
- 受講費用の負担
対象となる資格や講座を絞り、情報提供や就業時間への配慮も行うと効果的に進められます。社員が自主的に自己啓発を行える環境や、雰囲気づくりも大切と言えるでしょう。
階層で異なる人材育成の考え方
人材育成は、社員それぞれの立場や役割に応じて異なるアプローチが求められます。階層ごとの課題や期待される役割を理解したうえで、適切な育成方法を選択することが、組織全体の成長につながるポイントです。以下で、階層ごとの育成の基本姿勢と具体的な育成内容を解説します。
新入社員育成の基本姿勢
新入社員教育では、まだ入社間もない段階であることを踏まえ、社会人としての基礎固めが最優先です。実務経験が浅く、業界知識も十分でないなかで、組織の一員として活躍できるよう、基本的なビジネススキルの習得から始めます。
具体的な育成内容
社会人に必要不可欠なビジネスマナーの習得を中心に、報告・連絡・相談といった基本動作の定着を図ります。また、企業理念や組織の目標を理解し、自身の役割を認識できるよう、支援が必要です。メンター制度や定期的な面談を通じて、業務上の不安や課題を早期に発見し、適切なサポートを提供していきます。
若手〜中堅社員育成の基本姿勢
若手から中堅社員は、現場の中心的な存在として期待される立場です。この時期は業務にも慣れ、基本的なスキルは習得できている一方で、マンネリ化による成長の停滞が課題となりやすい時期でもあります。
具体的な育成内容
実務能力のさらなる向上と、後輩指導に必要なスキルの習得を進めます。スキルマップを用いて現状の把握と目標設定を行い、計画的な成長を支援しましょう。スキルマップについては、後ほど詳しく解説します。また、ジョブローテーションを通じて新しい知識や経験を積ませることで、職務範囲の拡大と能力向上を図れます。1on1ミーティングでは、キャリアプランの確認と必要な支援の検討を行いましょう。
管理職社員育成の基本姿勢
管理職は、部門やチームの成果に対する責任を持ち、組織目標の達成に向けて部下を導く立場です。チーム全体のパフォーマンス向上と、部下1人ひとりの成長支援という重要な役割を担います。
具体的な育成内容
企業のビジョンや経営戦略の理解を深め、それを部下に正しく伝えられる力を養成します。部下の育成に必要なコーチングスキルや評価手法の習得も重要です。また、コンプライアンスやメンタルヘルス管理など、組織運営に必要な知識も身につけます。自己啓発支援制度を活用し、外部セミナーのような学習機会も提供しましょう。
各階層共通で大切なこと
階層を問わず重要なのは、計画的な育成アプローチです。目標設定と進捗管理、適切な評価とフィードバックを通じて、着実な成長を支援します。OJTによる実践的な学びと、Off-JTでの体系的な知識習得を組み合わせることが、効果的な人材育成の実現につながるでしょう。業務負担と学習機会のバランスを考慮し、持続可能な育成環境を整備することが重要です。
人材育成の進め方
効率良く人材育成を行うためには、事前の準備も大切です。具体的な進め方を見ていきましょう。
会社の現状分析と課題の把握
人材育成を適切に実施するためには、人材育成における課題を洗い出さなければなりません。例えば、以下のように細かく分けて、自社の課題や現状を知ることが大切です。
- 部署
- 年代
- 職種
現状に合わせて人材育成をしなければ、自社の課題解決になりません。また自社に必要な人材について深掘りし、細かく把握しておくことも必要です。
人材育成の方向性をしっかり定め、具体的な「欲しい人材像」を明確にすることで、効率良く育成ができるようになります。無駄なく人材育成を行うためにも、社員が今持っているスキルや能力を正確に把握しておきましょう。
目標設定と育成方法の検討
自社に必要な人材を育成する方法を、長期・短期的視点を持って計画していきます。人材育成をどのように進めていくのか、手法の選択や期限、達成基準など、育成に必要になる具体的な目標を設定しましょう。
ゴールを明確にすることで、人材育成が目的化するのを防ぎ、効率良く進められます。人材育成の制度化や、仕組みづくりも合わせて計画すると良いでしょう。
実施と振り返り
計画に沿って人材育成を進めると共に、取組後は振り返りを行い、育成の効果を検証しましょう。育成した結果、本人や企業全体に与えた効果について、俯瞰的に見ていくことが大切です。
また、実施後は面談を行って感想を聞き取り、育成を継続するかや改善点についても検証すると良いでしょう。分析した結果を次の計画に活かすことで、さらに自社に合った人材育成を進められるでしょう。
人材育成の効果検証には、タレントパレットの「成長モニタリング」がおすすめです。1人ひとりの研修履歴や育成状況を把握しやすいため、効果を確認しながら具体的なフォローが行えます。気になる方は、ぜひ資料請求してみてください。
人材育成を成功させる5つのポイント
人材育成は、自社の経営戦略や社員に合わせて行うのが理想です。人材育成を成功させるためのポイントを具体的に見ていきましょう。
目的を明確にする
人材育成を行うときは、目的やゴールを明確にした上で、自社に必要な育成を優先順位をつけて行います。具体的に定めておきたい項目は、次の通りです。
- 自社に必要な人材像
- 人材育成を行う目的・目標
- 人材育成後に達成したいゴール
- 育成手法や期間
目的・目標を明確にすることで、受講する社員の意識向上を促し、モチベーションの維持につながります。また、やるべきことが明確になるため、育成効果が出やすいというメリットもあります。
育成を行う方と、受ける方の双方が、育成の重要性を共有することが大切です。
人材育成の目標について知りたい方は、関連記事「人材育成目標」を合わせてお読みください。
社員のレベルに合った研修内容にする
人材育成を効率良く進めるためには、社員のレベルに合った内容にすることが不可欠です。レベルの低い研修は社員のモチベーション低下に繋がり、また高すぎる内容は社員の学ぶ意欲をそいでしまうためです。
事前にスキルやレベル把握を丁寧に行い、受講する社員の目線に合わせた内容で行いましょう。取り組みやすさや実践のしやすさにも注意し、必要な段階で適切に研修を行うことも求められます。
効率良く育成を進めるためには、短期的目線と中・長期的目線を持ち、段階的に研修を行うことが大切です。
計画的に行う
人材育成は、新入社員から上層部まで、計画的に行うことが求められます。育成の結果が出るまでにはある程度の期間が必要なことや、継続的な育成が必要になるためです。
計画を立てず、単発や不定期に育成を行うと十分な効果が得られず、費用も無駄になってしまいます。また、社員のモチベーション維持にも大きな影響を与えるため、業績不振や人材流出の原因に繋がりかねません。
個人の育成計画だけでなく、企業全体の育成計画も考えながら、実施すると良いでしょう。
適切な人事評価制度を設置する
人材育成を効果的に進めるためには、透明性の高い人事評価制度が不可欠です。「何をどのように評価するか」を事前に明確化することで、社員は目標や課題を具体的に理解し、成長に向けた行動を取ることができます。また、研修の受講を促したり、表彰や昇進の機会を設けたりするなど、評価結果を具体的な育成施策と連動させることも重要です。これにより、育成を受ける側と行う側双方のモチベーション向上が期待できます。
スキルマップを活用する
人材育成を効率的に進めるためには、社員1人ひとりの能力を正確に把握し、適切な育成計画を立てることが重要です。スキルマップは、社員1人ひとりの業務に関する現在のスキルを一覧にしたもので、導入することで組織全体のスキルバランスを可視化することができます。また、スキルの見える化は、社員のモチベーション向上にも効果的です。次の目標に向けた自発的な成長意欲を引き出すため、個人の成長と組織全体の能力向上を効果的に推進できます。
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人事業務の効率化、データ活用をするならタレントマネジメントシステムの導入が必須
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人材育成の具体例から成功法則を学ぶ!効率良く進めるならツールを活用しよう
人材育成の具体例には、成功法則が隠れています。他社の成功事例を見ながら、自社に必要な育成方法を検討することで、効率良く人材育成ができます。必要な人材像を明らかにし、社員1人ひとりにあった育成を計画的に進めていけば、少しずつ必要な人材が育っていくでしょう。
効率良く人材育成を進めるためには、人材育成をさまざまな面からサポートしてくれるツールの活用がおすすめです。タレントマネジメントシステムなら、大手企業への導入実績と豊富なコンサルティングの知見をもとに、一貫した育成やフォローが行えます。育成後の人材配置や本人の適正・能力に合った教育ができるため、人材育成のコスト削減も可能です。興味のある方はぜひ資料請求してみてください。
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