こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人事部の強化のために必要なスキルを再確認しておきたい」「優秀な人事担当者の特徴が知りたい」という方は多いのではないでしょうか。
人事担当者は、採用や社内異動など幅広い業務を担当するので、求められるスキルが多いです。また、自社の担当者には能動的に行動し、施策を提案できる人材になってもらいたいと思っている方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、人事に必要なスキルだけでなく、おすすめの資格についても解説します。自社の人事担当者のスキルアップを図りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
人事部の仕事内容
人事は、企業にとって重要な経営資源である「人」を活かす仕事です。企業の規模や他部署との兼ね合いによって異なりますが、人事部の主な仕事内容は以下の4つです。
- 人事戦略の立案
- 教育・研修
- 採用
- 労務管理
人事戦略は、人材業務やオペレーションを改善して、社員の生産性を高めるのが目的です。今後、人事業務で重視される仕事内容の1つと言われています。教育・研修は、人事戦略と並んで重視される業務です。5年後や10年後の自社に必要な人材像を想定し、活躍できるように育てるのが目的です。
新卒採用・中途採用は、それぞれ目的が異なるため、自社の戦略に合わせて選択する必要があります。新卒は、長期的成長を考慮した、ポテンシャル重視で採用を行います。一方で中途は、即戦力や人材の穴埋め目的で採用を行うのが一般的です。労務管理では、社員の入社から退社までの事務処理を行います。法律の知識も必要なので、人事担当者は正しい知識を身につける必要があります。
人事に必要なスキル10選
人事に必要なスキルは、以下の10種類です。
- コミュニケーションスキル
- プレゼンテーションスキル
- タスク処理能力
- スケジュール管理スキル
- 情報収集スキル
- 問題解決スキル
- 人事戦略構築スキル
- ブランディング能力
- ライティングスキル
- パソコンスキル
中には、習得に時間がかかるスキルもあります。まずは必要なスキルを把握し、人事担当者を対象とした研修などの教育体制を整えましょう。
コミュニケーションスキル
人事担当者には、さまざまな立場の人と関わる機会が多いため、円滑にコミュニケーションを取るスキルが必要です。社員や求職者だけでなく、社労士や産業医など外部の専門家ともやりとりします。人事戦略に関わる内容などを検討する際は、経営陣と意見を交わす場合もあるでしょう。社内外を問わず多くの人と関わるため、相手の話を聞く・自分の考えを論理的に分かりやすく伝えるスキルが必要です。
プレゼンテーションスキル
人事担当者は、説明会などで求職者向けにプレゼンテーションをする機会が多く、自社の魅力を伝える必要があります。また、プレゼンテーション用の資料を作成する能力も必須です。
プレゼンテーションでうまく自社の魅力を伝えられないと、採用活動が難航してしまいます。人材が集まらないと、人手が不足して業務に支障をきたすリスクが高まるので要注意です。自社の組織力に関わるので、人事担当者は求職者に魅力を感じてもらえるようなプレゼンテーションを行う必要があります。
タスク処理能力
人事担当者には、複数の業務を並行して行うためのタスク処理能力が求められます。例えば、新卒採用を進めながら、社員の人事異動の配置を考えることもあるでしょう。特に中小企業の人事は、社員数が少ないなどの理由で、1人あたりの業務量が多くなる傾向にあります。
人事業務は他の部署の仕事と連動している場合も多いため、1つが滞ると全体のスケジュールに影響する可能性があります。複数の業務を抱えていてもスケジュール通りに完了するように、タスク処理能力を磨いておくことが重要です。
スケジュール管理スキル
人事業務は短期間で完了するものもあれば、研修や求人募集など年単位で動くものも多いです。そのため、適切にスケジュールを組む必要があります。バッファーのないスケジュールを組むと、業務品質が下がるだけでなく、問題が起きたときの対処が遅れてしまいます。社員に無理をさせることになるので、人事担当者には適切にスケジュール管理ができるスキルが必要です。
情報収集スキル
人事担当者は、社内の状態をきちんと把握しておく必要があります。万が一トラブルが起こった際は、迅速かつ適切に対処しなければならないからです。また、普段から社内の情報を収集しておくと、適切な人材配置にも役立ちます。情報収集をスムーズに行うためには、社員との人間関係が大切です。日頃から社員に積極的に関わり、情報を収集するようにしましょう。
また、システムを使用した情報管理もおすすめです。弊社が提供するタレントパレットでは、モチベーション調査結果の収集や、エンゲージメントの分析が行えます。社員の状態をデータで管理できるため、離職などの予兆を事前にキャッチして、適切な対応が可能です。システムによって社員の情報を管理できるだけでなく、人事担当者の負担軽減も期待できます。ぜひ、お気軽にお問合せください。
問題解決スキル
問題解決スキルは、課題を客観的に捉えて、原因や本質を見つける力です。人事担当者は、社員や部署の間で問題が発生した場合、仲介役を担う場合もあります。問題解決スキルを持っていると、トラブルに迅速に対応できるでしょう。
人事担当者が適切に対応することで、社内の人間関係を良好に保つことが可能です。適切な判断を下せるように、問題解決スキルを高めるための教育が必須です。
人事戦略構築スキル
経営的な視点を持った人事戦略構築スキルも人事担当者に必須です。人事担当者は、経営目標を達成するために、以下のような戦略を構築することがあります。
- 人材マネジメント
- 育成
- 組織開発
例えば「売上を10%上げる」という目標があるなら、営業実績がある人材を確保したり研修によって社員のスキルを高めたりする必要があります。達成に貢献してくれる人材を採用するだけでなく、社員を育成して経営目標の達成を目指しましょう。
ブランディング能力
人事担当者には、自社で働く価値を伝えるブランディング能力が必要です。採用活動で求職者の前に立つ機会が多く、会社の顔と言っても過言ではありません。
「あさがくナビ2022」の調査によると、内定先の企業に入社を決めた理由として2位に挙げられたのが「人(人事や社員の人柄や雰囲気)」でした。2022年は、求職者の23%が「人(人事や社員の人柄や雰囲気)」を重視して会社を選んでいることがわかっています。2021年18.2%よりも4.8%増加しているので、人事担当者のブランディング能力は今後も重要なスキルと言えます。
自社を発展させるには求人への応募数を増やし、活躍してくれそうな人材を選定することが不可欠です。ブランディング能力は、採用活動の成功を左右するので、人事担当者への研修実施を検討してみてください。
ライティングスキル
求人票の作成やSNSの運用など社外に発信する機会が多いため、人事担当者には適切で読みやすい文章を書く力が必要です。魅力的な文章を書けるようになると、応募数の増加が期待できます。
さらにライティングスキルは、社員に送るメールや資料の作成にも役立ちます。わかりやすい文章が書けるようになると、要点が伝わりやすくなるので、共通認識を形成できるでしょう。汎用性の高いスキルなので、早めに身につけておくことが重要です。
パソコンスキル
人事担当者には、WordやExcelなどが使える程度の基礎的なパソコンスキルが必要です。人事は求職者や社外の人に資料を配布する機会が多く、パソコンが使えないと業務に支障をきたしてしまいます。
また、人事データの管理などソフトを使用する場合もあるため、説明書を読んで操作できるレベルのスキルは必須です。パソコン操作に不安を抱える社員がいるなら、オンライン研修を行うなどしてフォローするのがおすすめです。
人事に必要な知識3選
人事担当者は社員の声に耳を傾けながらも、企業を守る必要があります。企業を守れる人事担当者になるには、以下のような知識が必要です。
- コンプライアンスに関する知識
- 法律の知識
- 労務に関する知識
人事担当者が知識を有していると、リスクヘッジになります。教育制度の検討にも役立つので、ぜひ参考にしてみてください。
コンプライアンスに関する知識
人事は機密性の高い情報を扱う機会が多いため、コンプライアンスに関する知識が求められます。例えば、人事異動や顧客の情報などを外部に持ち出すと、トラブルにつながります。訴訟に発展する可能性もあるため、取り扱いには細心の注意が必要です。
人事担当者は採用や教育の場で、社員にコンプライアンス関連の注意喚起を行う機会もあります。自身が守れていなければ、社員からの信用も失いかねません。人事担当者は、コンプライアンスの知識を深めて遵守するだけでなく、社員を教育する必要があります。
法律の知識
人事担当者は、主に労働関係や社会保障関連の法律知識が必須です。具体的には、以下の法律知識を持っていると良いでしょう。
- 労働法
- マイナンバー法
- 若者雇用促進法
特に労働関連の法令はたびたび改正が行われるため、最新情報をインプットする姿勢が必要です。例えば直近では働き方改革関連法により、2023年4月1日から中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。法律違反は「知らなかった」では済まされません。人事は常に最新の情報を取得し、適切に対応する必要があります。
労務に関する知識
近年は労働基準法の改正もあり、労務問題が厳しくなっています。万が一、社員と企業の間でトラブルが発生した場合は、人事を中心に対応しなければなりません。人事担当者には、主に以下のような労務関連の知識が必要です。
- 労働契約
- 給与計算
- 勤怠管理
- 労働安全
- 衛生管理
- 就業規則
法律を理解していないと対応できない業務が多いです。また、労務関連の法律は改正が行われることがあるため、最新情報のインプットが求められます。
優秀な人事担当者の4つの特徴
優秀な人事担当者には、以下の4つの特徴があります。
- 社員のモチベーションを上げるのがうまい
- タレントマネジメント力がある
- リーダーシップがある
- 戦略的思考力がある
これからの人事には経営的視点が求められるため、自身の右腕として活躍してくれる担当者を育てたい方も多いでしょう。優秀な人事担当者の特徴を詳しく紹介するので、参考にしてみてください。
社員のモチベーションを上げるのがうまい
優秀な人事は、自社に良い影響を与える人材の育成が上手です。例えば、キャリア面談で本人の希望を聞いて、実現できる方法を提案するなどが挙げられます。他にも人事異動の際に、適正や将来的にどうなるかなどを説明して、モチベーションを上げるように促します。
社員一人ひとりが自立している、かつ仕事へのモチベーションが高いと成果につながりやすく、メリットが大きいです。優秀な人事は自社の成長を考えた上で、社員のモチベーションを高められます。
タレントマネジメント力がある
タレントマネジメント力があると、社員のスキルやポテンシャルを活かすだけでなく、自社の利益につながる人材配置ができます。タレントマネジメントとは、社員の能力やスキルなどを活用して、採用や配置を実施することです。具体的には、以下の業務を適切に行います。
- 研修
- 育成
- 異動
必要な人材を適切な部署に配置し、本人に合った研修や教育を行うのも人事担当者の仕事です。さらに自社の成長を考え、抜本的な改革に踏み切る場合もあります。慣習にとらわれず挑戦的なタレントマネジメントができる人事担当者は、企業にとって必要不可欠な存在です。
リーダーシップがある
人事担当者は、経営者・役員とともに会社の業績に関わる施策を実行する場合もあります。そのため強いリーダーシップが必要です。経営目標を達成するためには、人事担当者が社員や会社全体を巻き込んで行動できるかどうかが鍵を握ります。社員の士気を高めて、経営陣と同等の視座まで引き上げられるリーダーシップが求められます。
戦略的思考力がある
これからの人事担当者には、従来の業務に加えて経営的な戦略視点が必要です。経営戦略に基づいた人材育成計画を立案し、実行できる人材が優秀な人事担当者と言えます。企業が経営目標を達成するためには、社員の成長が欠かせません。どのように「人」を活用すれば目標が達成できるのかを戦略的に考えられる人が、優秀な人事担当者の特徴です。
人事スキルアップにおすすめの資格4選
人事のスキルアップにおすすめの資格は、以下の4つです。
- キャリアコンサルタント
- 社会保険労務士
- 衛生管理者
- メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種・Ⅱ種
どの資格も必須ではありません。ただし取得していると、スキルアップだけでなく人事領域への貢献度が高くなる可能性があります。人事業務に関わる知識が身につくので、担当者に資格取得を促しても良いでしょう。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、2016年4月に創設された国家資格です。社員の適性や関心を基に、キャリア形成のアドバイスが行えます。2つの協会が試験を実施しており、2022年11月の合格率は以下のとおりです。
- キャリアコンサルティング協議会(CCC):43.9%
- 日本キャリア開発協会(JCDA):52.2%
人事は社員のキャリア面談などを行う場合も多いため、資格を持っているとプロ目線でキャリアに関するアドバイスができます。
社会保険労務士
社会保険労務士も国家資格ですが、4つの中では最も合格率が低く、取得が難しいと言われています。令和4年度の合格率は、5.3%(前年度7.9%)でした。取得のハードルは高いですが、合格すれば人事や、労務管理などの専門家として認められます。さらにキャリアアップも期待できるため、リソースがある担当者には、受験を勧めてみても良いでしょう。
衛生管理者
衛生管理者は、労働安全衛生法で定められている国家資格です。労働者が常時50人以上いる職場では、必ず専属で1人以上の衛生管理者の設置が義務付けられています。衛生管理者は、職種によって第一種と第二種に分かれます。2021年度のそれぞれの合格率は、以下のとおりです。
- 第一種:42.7%
- 第二種:49.7%
一種と二種どちらを取得するかは、自社が扱っている商材によって異なります。取得を検討する際は、どちらが該当するのかを確認しておきましょう。また合格率は低くはないですが、再受験者も含まれています。そのため初回受験者の合格率はさらに低く、きちんとした対策が必要です。取得すれば、衛生管理の専門家として認められます。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種・Ⅱ種
大阪商工会議所と施行商工会議所が主催している検定試験です。誰でも受験でき、以下の3コースから選べます。
- Ⅰ種(マスターコース):合格率17.6%
- Ⅱ種(ラインケアコース):合格率58.2%
- Ⅲ種(セルフケアコース):合格率69.4%
※合格率は、2022年11月6日(日)実施分
Ⅰ種(マスターコース)は、企画経営・人事担当者が対象です。組織のメンタルヘルスケア推進を目的に、カリキュラムが組まれています。Ⅱ種(ラインケアコース)は、管理職が対象です。社員のストレスや職場内のトラブルなどの対処を目的としています。
取得すれば、社員の心の不調にいち早く気づき、重症化する前に対策を打てます。また、パワハラや過重労働などの社内問題に関する対策も可能です。
スキルアップについて詳しく知りたい方は、別記事「人事コンサルタント資格」をあわせてご確認ください。
人事スキルのまとめ
人事に求められるスキルは他の部署より多いと言えます。さらに今後は採用や社内人事だけでなく、経営目線で最適な人材配置を行う人事戦略スキルも必要です。人事の負担を減らしつつ業務効率化を図って、自社の成長につなげたいと考える方もいるのではないでしょうか。
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