エクセルでも作成できる人事評価シートとは
人事評価シートとは、その名のとおり人事評価を実施する際に評価内容を記入するためのシートです。一般的には、目標や自己評価、評価者からの評価などを記載します。
人事評価シートを作成して活用することで、評価基準の整理や適切な人材マネジメントにつながるとして、人事評価シートを活用している企業も多いでしょう。人事評価シートを用いて人事労務管理を進めることで、公平な人事評価が行えます。
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人事評価シートを活用する目的とは
人事評価シートはどのような目的で活用されるのでしょうか。ここでは、人事評価シートの目的を解説します。
公平性を保つため
人事評価シートを活用する目的の1つが、評価の公平性を保つことです。人事評価シートを活用することで評価基準が明確になるため、評価の公平性や透明性を保ちやすくなります。評価の公平性が確保されれば、社員の不信感や不満解消にもつながるでしょう。
また、人事評価の納得感もアップしやすいです。評価への納得感が高まればエンゲージメントの向上も期待できるため、離職率の低下も期待できます。
人材育成のため
人材育成に役立てることも、人事評価シートの大きな目的の1つです。人事評価シートでは、社員自らが目標を設定します。そのため、目標達成に向けて自律的に取り組んでくれやすくなるため、スキルアップにもつながるでしょう。
自分で考えて行動することで、問題解決能力やセルフマネジメント能力なども身に付けられます。また、人事評価シートをもとにして1on1コーチングを行うこともでき、社員のサポートや育成がしやすくなるでしょう。
コンプライアンスを意識した組織文化を形成するため
人事評価シートを活用することで、定期的に企業理念やビジョン、目的などを共有することが可能です。そのため、組織としての一体感や組織に対する愛着なども湧きやすく、社員が組織を大切にする価値観が育まれやすくなります。
組織への理解や社会的存在意義などが深まることで、コンプライアンスを重視した行動を心がけるようになるでしょう。コンプライアンスが組織文化として根付くことにより、企業としての価値を高めることが可能です。
人事評価シートの基本の書き方
人事評価シートを活用したいが、書き方がわからないという人もいるでしょう。ここでは、基本的な人事評価シートの書き方を解説します。
1.達成度
達成度とは、設定した目標に対する達成度を記載する項目です。達成度を記載する際には、予算比や前年比などの差分を表記するとよいでしょう。前年比などを記載することで、比較しやすくなります。
目標を達成した場合には、目標達成までのプロセスや結果も記載してもらうようにしましょう。目標達成に至らなかった場合には、自分が取ったアクションや反省点、改善点などを記載してもらいます。達成度を記載する際には、箇条書きで書くとわかりやすいです。
2.来期の目標
来期に挑戦した目標を記載してもらう項目です。来季の目標は、できるだけ具体的に記載してもらうようにしましょう。目標を数値化するなどするとわかりやすくなります。
また、次の期の目標だけではなく、目標を達成するためにはどのような行動が必要なのか、目標達成への課題があるか、課題を解決するための対策などを具体的に記載してもらいましょう。予測される変化なども交えて記載してもらうと、より具体性が増します。
3.職場活性のための行動
職場を活性化させるために取った行動を記載してもらう項目です。たとえば、「チームとしての改善点を上司に相談して対策を取った」「後輩への指導を行った」などの、より職場を明るくしたり働きやすくしたりするための、アクションが挙げられます。
より働きやすく風通しのよい職場にするための行動は、会社にとっても重要な行動です。人事評価シートの項目として含めない人もいますが、会社にとっては重要な項目となるためしっかりと記載しましょう。
4.自己啓発
自己啓発とは、知識を得たりスキルアップしたりするために、社員自らが勉強したことを記載してもらう項目です。たとえば、業務に関係する資格の取得、参考書籍の購入、研修への参加などが挙げられるでしょう。
企業や業務に貢献できるように自分自身を高める努力をした、スキルアップのために勉強したといったことがあれば記載してもらいます。自己アピールしやすい項目でもあるため、しっかりと記載してもらうことで評価しやすくなるでしょう。
人事評価シートを利用する際の注意点とは
人事評価シートを活用する際には注意したいポイントもあります。ここでは、3つの注意点について詳しく見ていきましょう。
客観的な視点で評価する
人事評価シートは、評価者だけでなく評価対象者も客観的な視点で評価することが大切です。主観によって評価すると公平な評価ができません。そのため、過小評価や過大評価にならないように、客観的な視点を保ちましょう。
評価する期間を設定する
評価する期間を設定することも重要です。いつまでに達成すればよいのかという期日を区切ることで、目標が立てやすくなります。目標達成に向けた行動や実績などを振り返るために、適切な期間を背ってしましょう。
意味合いをきちんと理解してもらう
人事評価シートの意味合いや重要性を社員に理解してもらうことも大切です。人事評価シートは給与や昇進などの査定に用いられる重要なものであることを、社員にしっかりと伝えましょう。重要性を理解したもらったうえで、人事評価シートを活用します。
エクセルを活用して人事評価するメリット
人事評価の際に、エクセルを活用している会社もあるでしょう。エクセルを活用するメリットは何なのでしょうか。
コストを抑えられる
エクセルを活用することで、コストが抑えられるというメリットがあります。初めからエクセルがパソコンにインストールされているケースも多いため、導入するための追加コストがかかりません。他のツールやシステムを導入する場合にはコストがかかりますが、すでにエクセルを導入している会社なら追加費用が必要ないため、大幅にコストを抑えられます。
自分たちでアレンジやすい
エクセルは表計算ソフトですが、入力の自由度が高いため自社に合ったアレンジがしやすい点もメリットです。自分たちが使いやすい形にフォーマットをアレンジできるため、入力などもしやすくなります。また、多くのテンプレートがあり、一からフォーマットを作る必要がないため、使いやすい点もメリットでしょう。
エクセルで人事評価するデメリット
エクセルで人事評価することで発生するデメリットもあります。ここで3つのデメリットを確認しましょう。
管理方法が複雑化しやすい
パソコンにダウンロードされているエクセルを使用する場合には、同時編集できません。そのため、編集が終わったらファイルを送って上書きしなければならず手間がかかります。複数人でファイルを更新した場合、どれが最新版かわかりにくくなるでしょう。
また、人事評価シートのフォーマットにミスが発生した場合には、ファイルを1つずつ修正する必要があります。フォーマット変更時にも同様の修正が必要になるため、管理方法が複雑で手間がかかる点は大きなデメリットです。
確認や集計に時間がかかりやすい
エクセルの場合、確認や集計に時間がかかりやすいというデメリットもあります。エクセルはシート上のデータ計算はしやすいです。一方で、シートが複数にわかれている場合には確認や集計に時間がかかってしまいます。
複雑な確認や集計を自動化することもできますが、自動化を実現するにはプログラミングのようなスキルが必要です。プログラミングなどの専門的なスキルがない場合は、手作業で確認や集計をしなければいけません。
セキュリティリスクがある
エクセルでの人事評価にはセキュリティリスクがあります。エクセルの場合、各社員がデスクトップ上でファイルを管理するため、誤って削除してしまったり外部の人に共有してしまったり、といったトラブルが発生しやすいです。
また、エクセルは厳重なセキュリティによる管理が難しいため、無関係の社員に閲覧される恐れがあるなど、セキュリティリスクは高めとされています。
人材評価シートを作成するツールを選ぶポイントとは
人事評価シートを作成するツールとしては、エクセルと人事評価システムが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴を確認しましょう。
エクセル
エクセルは、さまざまな会社が導入している表計算ソフトです。使い慣れている人が多く使いやすいソフトですが、一からフォーマットを作ると工数がかかります。このため、テンプレートをうまく活用することがポイントです。業種別や職種別などに分けられたテンプレートがあるため、自社の業種などに合わせて使い分けるとよいでしょう。
人事評価システム
人事評価システムは、データの一元管理や分析などに役立つシステムです。客観的かつ多角的に人事評価できるため、公平な評価につながるでしょう。人事評価システムの導入にはコストがかかりますが、導入しやすい価格帯のものも少なくありません。エクセルで対応しきれないなどの場合は、導入を検討するとよいでしょう。
人事評価システムを導入するメリットとは
人事評価システムを導入することで、さまざまなメリットが得られます。ここで3つのメリットをチェックしましょう。
人事評価システムとは?導入するメリットや自社に適したツールの選び方を解説
情報を一元管理できる
人事評価システムを導入することで、人事評価に関する情報の一元管理が可能です。エクセルでデータ管理をしていると、容量を圧迫するケースもあるでしょう。しかし、人事評価システムであればパソコンの容量を圧迫する心配がありません。また、人事評価システム内にデータを集約できるため、保存場所を忘れてしまうリスクも防げます。
また、複数の社員で同時編集できるため、複数人での編集がしやすくリアルタイムでの情報共有も可能です。
分析などの作業を自動化できる
人事評価システムには、さまざまな機能が搭載されており分析や集計などの機能も搭載されています。エクセルの場合には、データの転記や計算・集計などを手作業で行うケースもありますが、人事評価システムなら自動で行うことが可能です。
社員が増えれば評価データも膨大になりますが、作業が自動化されることによって担当者の負担軽減につながるでしょう。また、集計ミスや転記ミスといったヒューマンエラーも防ぎやすくなります。
セキュリティ強化につながる
人事評価システムでは、クラウド上でデータ管理を行います。クラウド上でデータを管理する人事評価システムには、強固なセキュリティ対策が施されていることが多いです。このため、情報漏洩や不正アクセスなどの、セキュリティリスクに対応しやすくなります。
また、社員の人為的なミスによる情報流出も防げるでしょう。人事評価システムには閲覧機能の制限機能や、強固なログイン認証などが搭載されているものも少なくないため、情報漏洩のリスクを抑えられます。
人事評価システムを導入するデメリットを解説
人事評価システムの導入にはデメリットもあります。ここで人事評価システム導入のデメリットを3つ確認しましょう。
コストがかかる
人事評価システムを導入する際には、初期費用や利用料金といったコストがかかります。人事評価システムにはさまざまな機能が搭載されており、うまく活用できればコストパフォーマンスは高くなるでしょう。しかし、使いこなせないとコストが無駄になりやすいです。現場の状況や自社の課題、導入目的などを明確化し、導入する必要があるか慎重に検討しましょう。
導入の手間がかかる
人事評価システムの導入には、手間がかかります。まず、自社の課題や目的に合った、人事評価システムを探さなくてはいけません。また、導入後の運用や管理方法の検討も必要になるなど、ある程度手間がかかるため注意しましょう。
社員が慣れるまでに時間がかかる
人事評価システムは、人事評価システムの管理者だけでなく、社員を評価する管理職や一般社員などさまざまな人が使用します。そのため、利用方法や操作方法などの説明が必要です。今まで使用していなかったシステムを使いこなすためには、時間がかかります。
エクセルから人事評価システムに管理を移行する方法とは
エクセルから人事評価システムに、人事評価の管理を移行したいというケースもあるでしょう。ここでは、エクセルから人事評価システムに移行する方法を解説します。
情報を整理する
エクセルなどのデータや評価シートの引き継ぎが必要となるため、必要なデータと不要なデータを整理しましょう。不要なデータも含まれていると、移行に時間がかかってしまいます。また、移行しやすい形にデータを整えておくことで、スムーズな移行が可能です。人事評価システム導入までの時間短縮をはかるためにも、事前に情報を整理しておきましょう。
権限を明確にする
権限を明確にしておくことも大切です。セキュリティや個人情報保護の観点から、ある程度利用者を制限するようにしましょう。人事評価システムによっては、権限について細かな設定変更ができるケースもあります。そのようなデータを誰が取り扱うのか、線引きを明確にしたうえでアクセス制限などの対策を検討しましょう。
活用方法を定義する
人事評価システムを効果的に活用するために、自社における活用方法を定義しましょう。この際、人事に関わる人事部だけでなく、現場の管理者なども含めて認識をすり合わせておくことが重要です。また、誰でも使いやすいシステムやUIがわかりやすいものを選ぶことで、人事評価システムが浸透しやすくなります。
まとめ
人事評価シートは効率的かつ公平な人事評価に役立ちます。エクセルで人事評価シートを管理したり、人事評価を行ったりするケースもあるでしょう。エクセルでは対応しきれない場合には、人事評価システムを導入するのもよい方法です。人事評価システムでは情報の一元管理や分析などの自動化、セキュリティ強化が可能なため検討してみましょう。
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