こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「人事における教育の具体的な目的とは?」
「教育で求められることや重視されるスキルが知りたい」
人事における教育の具体的な目的や内容について気になる方は多いのではないでしょうか。教育に力を入れると人が育つため、将来的な人材不足の問題に対処可能です。そこで本記事では、人事で教育をする目的や求められる働き方について解説します。人事教育で評価されるスキルも合わせてお伝えしていますので、ぜひ最後までお読みください。
人事教育は企業の長期的な成長に必要不可欠
人事の業務の1つである教育は、企業の成長に欠かせない要素です。教育により社員が育てば一人あたりの生産性が高まり、企業の利益や長期的な成長に貢献するからです。
現在は特に、国全体として人材不足が問題になっており、一人ひとりのパフォーマンスをあげることが急務になっています。株式会社野村総合研究所によると、2030年には労働力全体で約15%程度の人手が不足すると予測されています。人手不足は全体の生産性を下げるため、企業の業績悪化につながる要因の一つです。教育により社員一人あたりのパフォーマンスを上げて生産性を高めることで、人手不足など未来の問題に対処できます。
参照元:野村総合研究所|人と設備への投資による労働環境改善で日本全体の生産性向上を
また、企業のビジョンを共有することも、人事の取り組みの一つです。目指すべき姿として企業のビジョンが浸透すると、チーム全員が同じ目標に向かって行動できます。チームのパフォーマンスを向上させるためには、ビジョンを浸透させ、全員が共通認識をもつことが重要です。
人事は、教育により社員一人ひとりの能力を高めたり、方向性を確立させたりしてチーム全体の生産性アップに働きかけます。個人と組織、両方のパフォーマンスアップに貢献するため、人事教育は長期的な企業の成長に欠かせません。
人事教育の3つの目的
人事教育の目的は、大きく3つに分類されます。
- 一人あたりのパフォーマンス向上
- 企業の信頼性向上
- 企業理念やビジョンの浸透
人事教育の目的について、改めておさらいしてみましょう。
一人あたりのパフォーマンス向上
人事における教育の目的は、社員一人あたりのパフォーマンスを向上させることです。教育によって個々のスキルや問題解決能力が高まると、仕事の進捗が良くなり、パフォーマンスがあがります。内閣府の示す成長会計でも、労働力の質を上げることは、生産性アップに大きく貢献すると言われています。
参照元:内閣府|人的資本とイノベーション
社員の能力が高いと、状況に応じた自主的な判断が可能です。特にトラブル時には素早い行動が求められるため、スキルを生かす良い機会となるでしょう。人事教育は社員一人ひとりの能力を高めるため、パフォーマンス向上に役立ちます。
社員のスキルアップについて詳しく知りたい方は、別記事「人事出世コース」を合わせてご確認ください。
企業の信頼性向上
人材育成は、企業の信頼性を向上させます。教育によって、組織の一員としての行動や基本的なマナーなどが身につくためです。顧客や取引先など社外の相手と関わる場合は、企業の顔として対応しなければなりません。企業にとってふさわしい対応ができると、全体的な信頼性向上につながります。
また、個々の能力を育てることで社員がスキルアップするため、業務範囲を拡大することが可能です。業務の幅が広がると、多くの経験を積めるようになります。経験で得た知識をもとに、顧客ごとに最適な提案ができると相手から信頼を得られやすくなるでしょう。
人事における教育の目的とは、社内外で通用する人材を育てることです。良い人材が育つことで、企業の信頼性は大きく向上します。信頼を高めることは、競争が激化する時代に企業が生き残るための重要な要素です。
企業理念やビジョンの浸透
人事では、企業理念やビジョンを浸透させる教育を行います。企業理念とは、企業のあり方を示した価値観のこと。ビジョンは、具体的に実現したいことを描いた未来像のことです。企業理念やビジョンが浸透すると、従業員が進む方向が揃い、チームとしてより高いパフォーマンスを実現できます。
教育により方向性が明確になると、社員は企業の行動指針が分かります。行動指針とは、企業にとって正しい行動かどうかの判断基準となるものです。人事教育によって企業理念やビジョンが浸透すると、行動指針が分かるため、一貫性をもって行動できます。
人事教育で求められる4つの具体的な働き
人事による教育を成功させるためには、以下4つの働きが求められます。
- 課題の明確化
- 育成計画の実施
- KPI(指標)の設定
- 環境設備
ただ教育を行うだけでは本当に社員が必要とするものを提供できず、効果は薄くなる可能性があります。人事の教育で求められる働きについて、詳しくみていきましょう。
課題の明確化
人事教育では、企業の抱える課題や教育の目的を明確にする必要があります。管理職や新入社員など、立場によって抱えている課題が異なるためです。
例えば、管理職は環境に応じたリーダーシップや先見性が必要であり、スキルが不足していれば教育で身に付けなければなりません。新人の場合は、業務に必要な基礎スキルの習得が課題です。人事では、異なる立場の人たちにそれぞれ適切な教育が行えるよう、課題の明確化を行います。
さらに、同じ立場でも一人ひとり抱える課題は異なります。個人の課題を整理するには、社員情報をまとめた人材データベースが有効です。人材データベースをもとに時系列でモニタリングすると、各々のもつ課題を明確にできます。
しかし、大量の人材データを収集するのも、一つずつチェックして個人の抱える課題に向き合うのも、大変な作業です。タレントマネジメントシステムの「タレントパレット」では、人事データを一元化して保有スキルを可視化したり、まとめて分析したりできます。課題の明確化でお悩みの方は、「タレントパレット」をぜひ活用ください。
育成計画と実施
教育で解決したい課題が明確になったら、育成計画の立案から評価まで行います。育成計画では、どの時期にどんなスキルを習得させるのか検討します。また、育成の方法も合わせて考えなければいけません。
育成に活用できる代表的な方法は以下の通りです。
- OJT
- 集合研修
OJTを導入することで、現場そのものが教育の場になります。OJTでは実務を通じてスキルを学べるため、即戦力になりやすいのがメリットです。一方で、実務経験を元に学ぶため、担当する人材の能力によって成果に差がでてしまいます。OJTを担当させる人材の教育も、同時に考える必要があります。
集合研修は、複数の受講者を一度に集めるため効率よく育成できる方法です。同じ課題に取り組んだり、ディスカッションを行ったりすることで、他の人の考えなどに触れて視野を広げることができます。しかし、多くの人材を一つの場所に集めるため、時間や場所などの調整が難しい点がデメリットです。
育成方法により、メリットデメリットがあるため、目的にあった方法を選び、実施まで進めましょう。
KPI(指標)の設定
KPIの設定は、人事における教育の効果判定に重要です。KPIは、目標を達成するために実行すべきプロセスの達成度合いを、定量的に評価する指標のことです。
教育の効果は測りにくく、指標がなければやりっぱなしになる可能性があります。KPIを設定することで目標の達成度合いが可視化でき、成果について公平にモニタリングできます。人事教育に関するKPIの例は、以下のとおりです。
- 個人や部署の目標達成度
- 育成計画の達成度
- 一人あたりの教育コスト
KPIを設定することで、コストに見合う成果がでているか客観的に判断できます。教育コストをかけた割に社員の達成度やスキルの伸びが弱い場合、研修計画の再検討が必要です。長期的にみて企業を成長させるためには、KPIの設定が欠かせません。
環境整備
人事では、教育を効果的に受けられるように環境を整備する必要があります。人材が不足していると普段の業務に圧迫されてしまい、十分な教育を行う時間を確保できません。環境を整えて円滑に教育を進めるには、組織の現状を把握し、適切な人事配置を行う必要があります。
また、労務環境が整っていないと、現場で教育を実践させる余裕がうまれません。サービス残業の禁止やハラスメント防止など労務環境を整えて、社員が安心安全に働ける職場づくりを推進するのも人事の役割の一つです。
教育を実施しようとしても、社員に余裕がなければ参加してもらえなかったり、学んだ内容を実践してもらえなかったりします。教育がしっかり成果を出すためには、人材不足の解消や労務環境の改善などの環境整備に合わせて取り組むことが重要です。
人事教育で重視されるスキル3選
教育で必要とされるスキルは、以下3つがあります。
- コミュニケーション能力
- 企画立案力
- プレゼン力
どれも様々な場面で活用できる能力です。ここでは、特に人事教育で重視される理由などをふまえてお伝えします。
コミュニケーション能力
教育を成功させるためには、コミュニケーション能力が求められます。社員一人ひとりの意見をヒアリングしたり、心動かす説明を行ったりするなど常にコミュニケーションを取りながら教育しなければなりません。教育の効果を出すためには、社員と良好な関係性を築くことが重要です。
コミュニケーションの中でも、特に傾聴力が求められます。傾聴力とは、相手の話をよく聞き共感する能力です。例えば、悩みを抱えた社員がいるときには社員の話に耳を傾けることで、根本的な問題を見つけやすくなります。コミュニケーション能力は人と関わる人事では欠かせないスキルです。
企画立案力
人事で教育を行うときは、企画立案力が役立ちます。企画立案力とは、現状の課題を解決するまでの道のりについて提案できる能力のことです。組織全体の目標を達成できていないときに、教育によって改善できることを立案して問題解決に努めなければなりません。
人事では企画構想力を使って、個人の能力開発までのプロセスや部署をまたいでの移動検討会議などを行います。長期的な目線で企業の課題を解決できる教育を進めるために、企画立案力は欠かせないスキルといえるでしょう。
プレゼン力
人事では、プレゼン力が求められます。プレゼン力により、説得力のある説明ができると成果につながりやすくなるためです。良いプレゼンは、社員の心をつかみモチベーションアップに役立ちます。
また、プレゼン力は上層部に向けても発揮できる能力です。プレゼンによってうまく情報共有できると、立案が通ったり正当な評価につながったりするなど、メリットが多くあります。
人事は、正しく情報を伝えながら人材を育成しなければなりません。相手に情報をうまく伝えるためには、プレゼン力が重要です。
まとめ
社員の育成は、企業の将来性を担う重要な業務です。教育に力を入れることで、社員一人あたりの生産性が高まります。また、人事の行う教育は、行動指針やビジネスマナーの浸透にも役立つため長期的な企業存続のために欠かせません。
これまで、企業における人事教育の重要性についてお伝えしましたが、人材の教育に課題を抱える方も多いのではないでしょうか。
「タレントパレット」は、人材データを分析して組織の力を最大化できるタレントマネジメントシステムです。育成計画や評価など様々なシーンにおいて、効率的な教育の実現を支援します。主な支援内容は以下の通りです。
- チェックシートの活用により社員のスキルを見える化
- 能力を時系列でモニタリングし、社員の状況に応じた育成計画を立案
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