こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
自社の離職率の高さに悩んでいて、改善策を探している方は多いのではないでしょうか。離職率が高いと社員の採用・教育に費用がかかるうえ、企業イメージの低下にもつながるため、早期の対策が求められます。
そこで本記事では、離職率が高い会社の特徴とデメリット・改善方法についてくわしく解説します。
自社の離職率を改善する際に、ぜひ参考にしてみてください。
離職率とは?計算方法と基準を紹介
計算方法や基準を理解しなければ、自社の離職率を正しく把握できません。離職率を誤って解釈しないよう、計算方法と基準を確認しておきましょう。
離職率の計算方法
離職率とは一定期間にどのくらい離職者がいたかを示した割合で、以下のように計算します。
離職率=離職人数÷社員数×100
例えば、社員1,000人の会社で1年間に離職した人数が50人だった場合「50÷1,000×100=5%」となります。ただし「どの時点の従業員数を使うか」や「集計する期間」は法的に決められておらず、算出基準は会社によって異なります。離職率を比較する際は、計算に使用された条件をあわせて確認しましょう。
厚生労働省の雇用動向調査には、全国平均や産業別の離職率が記載されており、自社との比較に有効です。雇用動向調査に記載されている離職率は、以下のように計算されています。
離職率=離職人数÷1月1日の常用労働者数×100
比較する際は、自社の離職率の計算にも同じ条件を用いましょう。
離職率の基準
離職率には、明確に「何%以上が高い」という基準はありません。その時期の社会情勢や産業などにより、離職率は大きく変わるためです。自社の離職率と比較したい業種や期間を絞り、平均と比較して高いか低いかを判断すると良いでしょう。
たとえば、自社が飲食サービス業であれば、その産業の平均値と比較して高いか低いかを判断します。各産業の平均離職率は、厚生労働省による雇用動向調査で確認できます。
令和4年上半期雇用動向調査による産業別離職率は以下のとおりです。業界によって離職率が大きく異なり、個人顧客を対象とした業界で離職率が高い傾向があります
引用元:厚生労働省 | 令和4年上半期雇用動向調査結果の概況
自社が所属する産業の平均と比較して、自社の離職率を判断しましょう。
→離職率についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「離職率」をあわせてご確認ください。
離職率が高い会社の特徴7選
離職率が高い会社の大半には、以下のような共通の特徴がみられます。
- 評価基準が明確でない
- 労働時間が長い
- 給料が見合っていない
- ノルマが厳しすぎる
- 人材育成に力を入れていない
- 職場の雰囲気が悪い
- 社員のエンゲージメントが低い
自社に当てはまる特徴がないか、確認しながら読んでみてください。
評価基準が明確でない
会社での評価は昇給や昇格につながるため、重視する社員が多いです。しかし明確な基準がないと、上司の主観で評価されていると感じるため社員の不満がたまります。
上司と社員で目標に対する共通認識がない状態でもあるため、社員が「がんばっているのに評価されない」と感じることが増えるでしょう。会社に対する信頼感が薄まり、離職につながるリスクがあります。
労働時間が長い
労働時間が長いと身体的・精神的に大きな負荷がかかり、離職につながります。労働時間が長くなる原因には、全社的に業務量が多い場合と、特定の社員に過剰な負荷がかかっている場合があります。
業務量の問題だけでなく「上司が帰らないため自分も帰れない」などの理由で労働時間が増えている会社もあるでしょう。そのような場合は、業務が終わっている社員が帰宅しやすい環境を作る必要があります。
また、会社の就業規則で有給が付与されていても、休みをとりにくい雰囲気になっているケースが考えられます。有給を付与するだけではなく、取得率もあわせて確認することが重要です。
給料が見合っていない
業務の内容や量に見合った給与設定をしなければ、労働への対価が正当に支払われていないと社員が感じて離職につながります。このような場合は、給与規定を変更するなどの対応を取らなければ、なかなか不満を解消できないでしょう。
また、ライバル企業よりも給料が低いと、同じ職種でも待遇の良い会社に転職する人が増える可能性があります。自社の給与が業界平均と比較して、著しく低くなっていないか確認しましょう。
ノルマが厳しすぎる
ノルマが厳しく、達成できないストレスで離職者が増えるケースも考えられます。ノルマが必要な職種もありますが、適切なレベルに設定する必要があるでしょう。また、社員がノルマを達成できるように会社がサポートしているかも重要です。
どうしてもノルマを高めに設定したい場合は、成果報酬制を導入するなど社員のモチベーションが上がるように環境を整える必要があるでしょう。
人材育成に力を入れていない
新入社員の離職率が高い会社には、十分な教育やフォロー体制がない可能性があります。優秀な人材でも、入社直後は慣れない環境で、期待通りの結果が出せない場合があるでしょう。
期待通りの結果が出せないと、会社としての不利益だけでなく、社員もストレスを感じて離職につながります。新人のパフォーマンスに問題を感じている会社は、人材教育の方法を見直してみると良いでしょう。
→人材育成について詳しく知りたい方は、別記事「人材育成具体例」をあわせてご確認ください。
職場の雰囲気が悪い
パワハラやセクハラ行為がおこなわれているような会社は、社員が精神的に追い詰められてしまうため離職者が多くなります。実際にハラスメントを受けている社員だけではなく、周りの社員にもストレスを与える行為でもあります。
また、社員間で助け合う習慣がないと、職場の雰囲気が悪化します。業務が立て込んでいる同僚に声をかけるなど、チームで業務をすすめる意識が重要です。社員が働きやすい環境を整えれば、パフォーマンス向上につながるうえ、離職率の改善も期待できるでしょう。
社員のエンゲージメントが低い
社員のエンゲージメントが低いと、会社に愛着がないため離職率が高くなる傾向があります。エンゲージメントとは、会社と社員の信頼関係を指します。具体的には、社員が会社が好きで誇りに感じている場合はエンゲージメントが高いです。
給料や福利厚生が理由で会社を選んでいる場合は、ほかに待遇がよい会社が見つかれば離職するかもしれません。しかし、前向きに仕事をしている社員は離職する可能性が抑えられるため、エンゲージメントを高めるのは効果的です。
→エンゲージメントについて詳しく知りたい方は、別記事「組織エンゲージメント」をあわせてご確認ください。
離職率が高いことによるデメリット5選
離職率が高いと良くないといわれますが、実際にどのような問題が生じるのでしょうか。ここでは、具体的なデメリットについて解説します。
- 採用・教育にコストがかかる
- 会社のイメージが低下する
- 優秀な人材が確保できない
- 会社が成長しない
- 労働環境が悪化する
自社にはどのような悪影響がみられるのか、参考にしながら確認してみてください。
採用・教育にコストがかかる
離職率が高いと常に採用業務が発生し、そのたびに時間と費用がかかります。就職みらい研究所による調査「就職白書2020」では、2019年度の新卒採用における1人あたりの平均採用コストは93.6万円、中途採用は103.3万円でした。
離職者が増えると採用費用が増加するうえに、入社後の教育にもコストがかかります。とくに新卒社員の教育には、ビジネスの基本講習からOJTまで多くの時間が必要なため、入社後すぐに離職されると時間と費用の損失が大きいです。
会社のイメージが低下する
離職率が高い会社は「何か問題がある」という印象を与えるため、イメージが悪くなります。離職率を公開していなくても、常に採用活動をしていることや、口コミサイトなどから「離職率が高い会社」という情報が広まる可能性があり注意が必要です。
また、営業やプロジェクトの担当者が頻繁に変わると、顧客の信頼を失い売上に直接影響するリスクもあります。一度悪いイメージが付くと払拭するには時間がかかるため、早急に対策が必要です。
優秀な人材が確保できない
業務に必要な経験や知識を蓄積するには時間がかかるため、社員が定着しないと優秀な人材が育てられません。常に人手不足で日々の業務に追われるため、スキルアップに時間が使えなくなることも、人材が育たない原因となります。
離職率が高い会社は敬遠され、採用活動にも悪影響があります。優秀な人材を確保するためにも、離職率の改善は重要です。
会社が成長しない
離職率が高くて社員が定着しないと、会社自体が成長できなくなるリスクがあります。具体的には、人手不足が続くことで、新たな案件を受注できなくなったり、新しい事業の立ちあげができなくなったりします。
また、人材が育たないことで経験やノウハウが蓄積できず、商品やサービスの品質向上が難しくなるでしょう。さらに、離職率が高い会社は採用に多くの資金と時間を費やすため、成長事業に投資できなくなるでしょう。
労働環境が悪化する
離職者が出るとほかの社員に負荷がかかり、自然と社内の雰囲気が悪くなります。全社的に仕事の進捗が悪くなるうえ、担当者不在となって業務が止まる可能性もあります。
離職が頻繁に発生すると、ほかの社員も転職に抵抗がなくなり、さらに人が少なくなる悪循環が生まれる場合があります。離職率を改善するとともに、在籍社員へのケアも必要となります。
離職率を減らす方法4選
離職率が高いまま放置すると、さまざまな問題が出てくるため早めの対処が必要です。ここでは、離職率を減らす方法を4つ紹介します。
- 評価制度を見直す
- 労働環境を改善する
- メンター制を導入する
- 会社のビジョンを共有する
ぜひ自社の改善策に役立ててみてください。
評価制度を見直す
仕事の成果を公平に評価できれば、社員からの信頼を得られます。公平な評価を行うためには、客観的で具体的な数値で判断することが大切です。たとえば、上司1人からの評価ではなく、同僚や部下など多くの角度から評価をおこなう360度評価を導入するなど、公平性と客観性を保つ制度構築が求められます。
また、全ての評価者がゴール設定や結果の説明に十分時間を割くよう指導し、被評価者が納得できる体制を整えることも重要です。会社が社員の仕事ぶりをきちんと評価できる体制を整えれば、離職率の改善につながるでしょう。
労働環境を改善する
長時間労働は社員を心身ともに疲弊させるため、もっとも離職につながりやすい原因の1つです。残業が発生しないよう業務の効率化をすすめるとともに、社員が帰りやすい環境を作るようにしましょう。
また、フレックスタイムや在宅勤務などを導入し、社員の負担を減らす方法も効果的です。国が推進している取り組みであり、離職率を下げるだけではなく、企業のイメージアップにもつながる施策となるでしょう。
メンター制を導入する
メンター制を導入することで社員が悩みを相談でき、モチベーションアップにつながるため、離職率改善に効果的です。
メンター制度とは、新入社員や若手社員に相談役となる先輩社員を割り当てる制度です。ベテランや成果を出している社員から、仕事への取り組み方や具体的な手法を教われるため、経験の浅い社員の不安を取り除けるメリットがあります。
また、新入社員や若手社員に効果的なだけではなく、メンター自身も会社に必要な人材であると実感できるため、モチベーションアップにつながるでしょう。メンターは社員が相互に良い影響を与えあう、非常に効果的な制度です。
会社のビジョンを共有する
会社の目指す方向性を示すことで所属意識を高められ、長く勤務したいと感じる社員が増えるでしょう。会社のビジョンを理解し共感すれば、業務に前向きに取り組める社員が増えます。
また、自分の業務がどのように会社の成長に貢献できるか認識することで、やりがいを感じられます。結果的に、会社を好きになり、長期に渡って勤務したいと考える社員が増えるでしょう。社員のエンゲージメントを高められるため、離職者を減らす効果が期待できます。
→離職率を下げる方法についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「離職率を下げるには」をあわせてご確認ください。
まとめ
離職率が高いまま放置すると、イメージ低下や優秀な人材が確保できなくなるなど会社への悪影響が大きくなるため、早めの対策が必要です。タレントパレットは、離職対策に有効な人事評価の効率化や社員エンゲージメント向上に活用できます。
たとえば、タレントパレットの人事評価機能を利用すれば、社員にもわかりやすい評価フローの構築が可能で、透明性のある評価制度を導入できます。
また、タレントパレットを利用すると、社員へのアンケート機能でモチベーション調査ができるため、エンゲージメント向上に役立ちます。離職率の改善に取り組みたい人事担当者や会社経営者の方は、ぜひ活用をご検討ください。