ハーズバーグの二要因理論を活用すれば、社員のモチベーションを高めたり、離職を防いだりできるでしょう。しかし、そもそもハーズバーグの二要因理論とは、具体的にどのような考え方なのかわからない人は多いでしょう。本記事では、ハーズバーグの二要因理論で重視される、衛生要因と動機付け要因について解説します。ハーズバーグの二要因理論に基づくマネジメントの事例、具体的な活用方法もまとめているため、ぜひ参考にしてください。
ハーズバーグの二要因理論とは
まずは、ハーズバーグの二要因理論について概要を解説します。
理論の概要
ハーズバーグの二要因理論とは、仕事のモチベーションに関する理論です。この理論はアメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグ氏が提唱しました。人間の仕事に対する欲求は2つの要因に基づいているという考え方です。
ハーズバーグの二要因理論によると、仕事において特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すれば満足度が下がります。満足と不満足の要因はそれぞれ異なるとされており、具体的には後述する衛生要因と動機付け要因の2種類です。なお、ハーズバーグの二要因理論を活用したマネジメント方法は、モチベーションマネジメントと呼ばれています。
衛生要因(ハイジーンファクター)
衛生要因(ハイジーンファクター)は、働きやすさに関する要因です。給与や職場の方針、職場の人間関係など5つの要因で構成されています。衛生要因が満たされないと社員は不満足な状態になるため、注意が必要です。
ただし、衛生要因が満たされても、必ずモチベーションが向上するとは限りません。単に衛生要因が満たされるだけでは、不満が解消されたに過ぎないからです。社員のモチベーションを高めるためには、衛生要因とともに動機付け要因を満たしたり、社員を承認したりする必要があります。
動機付け要因(モチベーター)
動機付け要因(モチベーター)は、働きがいに関する要因です。仕事の達成感や権限、評価などが該当します。動機付け要因は、たとえ満たされなくても不満につながるわけではありません。ただし、動機付け要因が満たされると社員は前向きに仕事に取り組みやすくなるため、促進要因とも呼ばれています。
先述したとおり、モチベーションを高めるには、動機付け要因を満たしつつ社員の不満も解消することが重要です。
ハーズバーグの二要因理論とマズローの欲求5段階説
ここでは、ハーズバーグの二要因理論とマズローの欲求5段階説の違いを解説します。
臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ
フレデリック・ハーズバーグ氏は、1923年に誕生したアメリカの臨床心理学者です。ある大学で心理学の教授として活躍する傍ら、他の大学でも経営学の教授を務めていました。ハーズバーグ氏の主な研究対象は、モチベーションです。研究を通してさまざまな成果を残し、現代にも多様な影響を与えています。
二要因理論は、産業化が進み生産性の向上が求める声が高まった19世紀頃に提唱されました。ハーズバーグ氏は、個々の生産効率を高めるには仕事へのモチベーションが重要であると考え、研究を始めたといわれています。
マズローの欲求5段階説との違い
ハーズバーグの二要因理論は、マズローの欲求5段階説と混同されることもが多くあります。マズローの欲求5段階説では、人間の欲求を5つの階層に分けることが特徴です。アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論であり、人間の欲求は生理的な欲求から、徐々に承認欲求や自己実現欲求へと変化すると説いています。
マズローの欲求5段階説は人間の欲求を対象としているのに対し、ハーズバーグの二要因理論の対象は仕事に対するモチベーションです。似た理論として扱われがちですが、それぞれの考え方はまったく異なります。
ハーズバーグの二要因理論が注目されている理由
ハーズバーグの二要因理論は、なぜ注目されているのでしょうか。ここではその理由を解説します。
少子高齢化による人手不足
少子高齢化に伴い、人手不足に陥る企業が目立つようになりました。採用活動が難航するケースも増えています。また、人材の流動化も進んでおり、離職防止の対策の必要性も高まっている状況です。人材が流出すると、採用や教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、生産性の低下も招きます。たとえ新しい人材を採用できても、早期の離職に至れば意味がありません。このような状況で離職を防ぐためには、社員のモチベーション向上が重要です。そのため、ハーズバーグの二要因理論に注目する企業が増えています。
心理的安全性に関する注目度の向上
近年、生産性の向上を目的に、職場の環境づくりに力を入れる企業が多くなりました。たとえば、心理的安全性が高く、社員が自分の意見を述べやすい職場は、生産性も高い傾向です。心理的安全性が高い職場は社員同士の意見交換も活発であり、イノベーションが起こる可能性も高くなります。
社員自身が尊重されていると実感できれば、仕事に対するモチベーションが向上するだけでなく責任感も醸成されます。そのため、ハーズバーグの二要因理論を活用し、社員にとって満足度が高い職場環境を目指す企業も増えてきました。
5つの【衛生要因】
ここでは、ハーズバーグの二要因理論における衛生要因の内容を詳しく解説します。
給与
給与は、それぞれの社員の業務内容に見合う金額である必要があります。たとえば、仕事の責任が大きい社員や、自社に対する貢献度が高い社員の給与が低い場合、仕事に対するモチベーションはなかなか上がりません。
人件費の問題や年功序列の慣習などにより、業務内容に見合う給与を支給できていない企業も少なくありません。しかし、仕事に見合う給与を得られないと社員は不満を持ちやすく、離職に至るリスクも高くなります。
福利厚生
福利厚生の充実度は職場によってさまざまです。有給休暇の取得が奨励されていたり、社内設備が充実していたりすれば、社員は満足できます。一方、福利厚生がない場合は不満を抱く社員が増える可能性が高いです。
定着率の向上や離職防止のためには、福利厚生の充実により働きやすい環境を整備する必要があります。たとえば、有給休暇をなかなか取得できない職場では、社員が「働かされている」と感じやすくなるでしょう。
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モチベーションを高める福利厚生例
社員のモチベーションを高めるための福利厚生としては、たとえば以下の内容があります。
・有給休暇の取得推奨、育児・介護休暇の拡充
・資格取得の支援(セミナーの参加費や書籍の購入費の補助)
・結婚・出産祝い金、傷病見舞金の支給
・交通費、住宅手当の支給
・社員寮の整備
・健康診断や予防接種の促進
・フリードリンクや社員食堂の設置
・二日酔い休暇
・シエスタ(仮眠)制度
一般的によくある福利厚生だけでなく、独自の福利厚生を設けて社員の満足度を高められるように工夫することが重要です。
経営理念・方針
社員を満足させるには、自社の経営理念・方針の周知も重要です。社員が仕事の目的や意味を見失った場合、モチベーションが著しく下がる恐れがあります。そのような状況では、経営理念・方針を社員に浸透できていないパターンが少なくありません。
経営理念・方針の浸透に成功している企業は、社員の定着率も高めです。よって、経営理念・方針を社員に理解してもらい、自分事として捉えてもらう必要があります。常に経営理念・方針を意識して働けるようになれば、仕事に対して社員がやる気を出しやすくなるでしょう。
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同僚との人間関係
組織でスムーズに仕事を進めるには、良好な人間関係の構築が不可欠です。社員同士が互いに尊重し合える関係性でない場合は「いつも自分だけ損をしている」と感じる社員が発生しやすくなります。そのような社員は、仕事に対するモチベーションや職場に対する満足度も低下しかねません。
職場の良好な人間関係を実現するには、企業が社員をサポートする必要があります。たとえば、チャット機能の導入や、コミュニケーションの活性化に向けた指導体制の見直しも有効です。
上司との関係性
同僚との人間関係に加え、指導や評価を受ける上司との関係性も重要です。上司と良好な関係が築けていないと仕事がしにくく、モチベーションも低下する恐れがあります。職場では、上司と部下も互いに尊重し合える関係性の構築が重要です。そのためには、気軽に相談できる環境を用意したり、定期的な面談を実施したりする必要があります。
また、上司が評価する際は、個人的な感情を出さないようにすべきです。企業のビジョンに基づく指導や評価を徹底しなければなりません。
5つの【動機付け要因】
ここでは、ハーズバーグの二要因理論における5つの動機付け要因を解説します。
仕事での達成感を得る
仕事を通して達成感を得られると、仕事に対するモチベーションも向上しやすくなります。仕事で達成感を得るには、社員が共感できる目標を設定することが大切です。
社員の意識を考慮せず自社にとって都合のよい目標を設定した場合、逆効果になる可能性があるため注意しましょう。一方的にノルマを与えられると、社員はストレスを抱えやすくなります。社員が着実に達成感を得るには、社員1人ひとりに合わせて適切な目標を設定すべきです。社員の状況を確認しながら具体的な目標を検討する必要があります。
承認欲求を満たされる
社員の仕事に対するモチベーションを高めるためには、承認も重要です。承認は、マズローの5段階欲求説でも重視されています。人間は他人から承認されたいという欲求を少なからず持っており、承認欲求が満たされるとモチベーションも上がります。それにより、仕事における成果も出やすくなります。
具体的には、社員の仕事ぶりや成長を評価する制度が必要です。たとえば、昇進の機会を与えたり、ボーナスを支給したりする方法があります。努力や貢献度に応じて適切に評価される仕組みづくりが大切です。
仕事に対して興味を持つ
社員が仕事に対して興味を持っていない場合、指示に従って行動するだけで積極的な取り組みは期待できません。一方、仕事に興味がある社員は自発的に学習に取り組み、自ら成長していきます。社員がなかなか仕事に興味を持てないなら、適性の高い業務を担当させたり、小さな目標を設定したりしましょう。それにより、仕事のやりがいを少しでも感じられるようにすることが大切です。
また、社員が担当する仕事がどのような役割を担っており、自社への貢献度を伝えることで、業務への意欲を効果的に向上させられます。担当する仕事の重要性に対する理解を深められると、興味の度合いやモチベーションも高めることが可能です。
仕事の責任と権限を持つ
仕事の責任と権限が増えればプレッシャーも強まる印象があるかもしれません。しかし、同時にやりがいも高まります。そのため、部下に仕事の責任と権限を与えると、成長スピードも上がるでしょう。たとえ失敗しても、成功に向けて自ら改善策を考えて行動できる力が身につきます。
より大きな責任と権限を与えるには、リーダーの役割を担ったり、新しい業務に挑戦したりする機会を与えることが大切です。単に昇進や昇格させるよりも、責任や権限に応じた職務を全うできるようになります。
仕事において成長・昇進する
仕事を通して自分の成長を実感したいと考える社員は少なくありません。社員自身が仕事のなかで成長を実感するには、表彰制度や昇進・昇給制度などを設ける必要があります。努力や成果に応じて適切に評価される仕組みがあれば、社員の仕事に対するモチベーションを高める効果も期待できるでしょう。
また、資格取得制度を導入している企業も増えてきました。資格取得にかかる費用を補助し、資格に応じて優遇される仕組みを設けると、向上心のある社員は仕事に役立つ知識を積極的に習得しようとします。
衛生要因と動機付け要因の関係性
衛生要因と動機付け要因は異なりますが、互いに補い合う関係性となっています。そのため、どちらか一方だけを満たしても不十分であり、それぞれを着実に満足させることが大切です。社員の不満を解決しつつ仕事のやる気を引き上げられないと、モチベーションはなかなか向上しません。社員の満足度を高めるには、衛生要因と動機付け要因の両方について適切なアプローチが必要です。
たとえば、給与や福利厚生が十分な水準であっても、仕事を通して成長を実感できない場合、社員は仕事に対してやる気を出せない恐れがあります。仕事でやりがいや達成感を得られなければ、個人としても企業としても成長できません。
また、社員が仕事に対して大きなやりがいを感じていても、給与が低く福利厚生が充実していない場合、不満が発生してモチベーションが下がる可能性があります。特に衛生要因に関する不満は離職につながりやすいため、注意が必要です。
組織にハーズバーグの二要因理論を生かすには
ハーズバーグの二要因理論を組織に取り入れるには、どうすればよいのでしょうか。以下で詳しく解説します。
二要因理論を可視化する
企業によって、衛生要因と動機付け要因は異なります。仮に離職防止やモチベーションの向上を目指したい場合は、まず自社の衛生要因と動機付け要因を可視化するところから始めましょう。たとえば、衛生要因としては、職場環境や勤務時間などが挙げられます。また、動機付け要因を可視化する際は、表彰制度のように、社員のモチベーションを高められる施策を中心に洗い出しましょう。
モチベーションマネジメントの実施する
モチベーションマネジメントとは、社員が仕事に対してどの程度のモチベーションを有しているか把握し、モチベーションをさらに高めるための働きかけをすることです。多くの企業で課題になっている人手不足を解消するには、モチベーションマネジメントが重要な役割を果たします。
モチベーションマネジメントに力を入れると人材の流失を防げるだけでなく、生産性の向上も期待できるでしょう。モチベーションを高めるには社員と積極的にコミュニケーションを図り、まずは現状の満足度や課題について把握する必要があります。
具体的な活用手順
ここでは、ハーズバーグの二要因理論の具体的な活用手順について解説します。
まずは現状を把握する
課題を解決するには、まず自社の現状について正確に把握することが大切です。そもそも社員によって仕事におけるモチベーションには差があり、何を不満に感じているかも違います。社員ごとに適切なアプローチが異なるため、場合によっては、間違ったアプローチによりモチベーションが下がる原因にもなりかねません。
現状を正確に把握するには、社員の生の声を集める必要があります。たとえば、アンケートの回答を促したりヒアリングを実施したりすると効果的です。
1:アンケートを配布する
社員の現状を把握する方法の1つとして、アンケートが挙げられます。たとえば、社員の仕事に対する意識やモチベーションを分析できる、モラールサーベイを実施するとよいでしょう。
アンケートは、直接話しにくい内容でも答えやすい点が特徴です。社員の率直な意見を集めやすく、リアルな現状を把握しやすくなります。すべての社員に対して同じ条件で同じ質問ができるため、全体の傾向も把握しやすいです。
2:社員にヒアリングする
現状を把握するには、社員に対するヒアリングもおすすめです。面談の時間を設け、直接話を聞いてみましょう。
モラールサーベイを実施した後、その結果の詳細を確認するためにヒアリングを行う方法もあります。たとえば、福利厚生に対する満足度が低い場合にヒアリングを実施すれば、社員が具体的にどのような福利厚生を求めているか、意見を集めることが可能です。具体的な施策を検討するうえで参考になる情報を得られるため、必要に応じてヒアリングを実施しましょう。
施策を検討・実施する
社員の現状を把握できたら、課題を深く堀り下げてどのような施策が必要か検討しましょう。すでに触れたとおり、ハーズバーグの二要因理論においては、衛生要因と動機付け要因の一方のみが満たされるだけでは、モチベーションの向上を期待できません。そのため、衛生要因と動機付け要因について、それぞれどのような施策を取り入れるべきか考える必要があります。自社の現状を踏まえ、最適な施策を実施しましょう。
【衛生要因】施策例
衛生要因の施策としては、たとえば給与の見直しや各種手当の支給などが挙げられます。単に休暇制度を設けるだけでなく、気軽に取得できる体制を構築することも大切です。
また、すでに触れたとおり、社員が高いモチベーションを保って働くには、経営理念・方針も浸透させる必要があります。仕事の意味ややりがいを社員が常に意識できるようにしましょう。さらに、チャットツールの導入により、社内のコミュニケーションの活性化も促すと効果的です。
【動機付け要因】施策例
動機付け要因の施策としては、まずそれぞれの社員に合う目標を設定する必要があります。社員の経験や能力を考慮しつつ、責任のあるポジションを積極的に任せることも大切です。社内で新規のプロジェクトを立ち上げ、メンバーに抜擢する方法もあります。また、社員が仕事に関する悩みを抱えた場合にすぐ相談できる環境も整えましょう。
【両方に通じる】施策例
衛生要因と動機付け要因の両方に通じる施策もあります。たとえば、評価制度の見直しです。社員と経営者がコミュニケーションを図る機会を設ける方法もあります。また、社員同士が感謝の気持ちを伝え合う文化の醸成も効果的です。
再度繰り返し、仕組みを構築していく
施策に一度取り組んでも、自社が抱える問題をすべて解決できるわけではありません。そもそも人材の流動や環境の変化が生じれば、社員の満足度も変わる可能性があります。そのため、着実に効果を得るには施策に繰り返し取り組むことが大切です。モチベーションの把握と施策の実施を繰り返し、仕組みを定着させる必要があります。
ハーズバーグの二要因理論の活用事例
ハーズバーグの二要因理論は、幅広い活用が可能です。ここでは、具体的な活用事例について解説します。
人事評価制度を見直しする
社員の定着率が低いなら、現在の人事評価制度を見直す必要があります。社員が納得できる評価制度を整備すれば、仕事に対するモチベーションを向上させられるだけでなく、企業と社員の信頼関係の強化も可能です。
人事評価制度は、能力・業績・情意を軸に成り立っています。人事評価制度を見直す際は、厚生労働省が公開している職業能力評価基準を参考にしましょう。職業能力評価基準では、仕事に必要な知識・技術・機能・成果につながる職務行動の例について、業種・職種・職務ごとにまとめられています。
表彰制度を導入する
表彰制度を導入し、社員の成果を認めて賞賛する機会を設けると効果的です。たとえば、社員が出した成果をもとに、表彰式を定期的に開催している企業もあります。また、感謝の気持ちをカードに記載し、社員同士でやり取りする取り組みもおすすめです。
このような制度を設けると社内のコミュニケーションを活性化でき、動機付け要因を満たしやすくなります。表彰や賞賛を受ける機会が多ければ、モチベーションをコンスタントに向上させることが可能です。
会社が掲げる方針を共有する
明確な経営方針の提示は、衛生要因を満たすうえで重要です。経営方針を改めて共有すれば、社員と経営者が同じ方向性で仕事に取り組めるようになります。経営者が積極的に経営方針を周知し、社員が着実に理解できるよう促すことが大切です。社員が経営方針を十分に理解していると、指示を受けなくても自ら考えて行動しやすくなるでしょう。
また、経営方針を正確に理解している社員が増えれば、誤った解釈による問題も発生しにくくなります。スムーズかつ適切に業務を進めやすくなり、生産性の向上も実現可能です。
人間関係の課題を解決する施策を実施する
職場の人間関係が悪化すると、離職や仕事に対するモチベーションの低下につながります。人間関係のトラブルの原因は、コミュニケーションの不足や誤解を招く言い方などです。良好な人間関係を維持するには、職場で常に適切なコミュニケーションを実現する必要があります。
コミュニケーションを図りやすく、社員にとって働きやすい環境を整えるには、課題を発見したうえで適切な施策を実施すべきです。たとえば、社員の状況を考慮したうえで教育制度を見直したり、社員同士の交流を促すイベントを開催したりする方法があります。
具体的な施策例
人間関係の課題を解決する方法としては、たとえば社内アンケートが効果的です。また、指導役の社員と後輩社員が1on1で向き合い、成長を促すメンター制度を導入する企業も増えています。定期的に社内イベントを開催し、コミュニケーションを活性化する取り組みも有効です。いきなりすべてを取り入れる必要はないため、できる範囲で少しずつ始めてみましょう。
人材育成に力を入れる
部下を育成するだけでなく、部下の育成を担当する管理者の育成にも力を入れましょう。部下を正しくマネジメントするには、管理者自身が自分の役割を正確に把握している必要があるからです。具体的には、OFF-JTや専門の外部講師による研修などを行うと一定の効果を期待できます。必要に応じてコーチングやマネジメントの研修も取り入れるとよいでしょう。
人材育成に力を入れると具体的にどのような行動をすべきか理解できるため、それぞれの社員が成果を出しやすくなります。
再チャレンジできる職場環境にする
社員のモチベーションを維持するには、再チャレンジできる環境も重要です。たとえ失敗しても次の挑戦がしやすい職場は、イノベーションが起きやすい傾向があります。
再チャレンジ可能な職場環境をつくるためには、雰囲気やフォローするための体制構築が不可欠です。すでに解説した心理的安全性が高い環境を用意する必要があります。信頼関係を構築し、社員が自分の意思で積極的に行動を起こせる状況を構築しましょう。そのためには、管理職が自ら弱みをさらけ出すことも大切です。
二要因理論を活用する際の注意点
ハーズバーグの二要因理論を活用するうえでは、人によって満足度の基準が異なる点に注意が必要です。たとえば、給与に満足している反面、人間関係に不満を抱いている場合、いくら給与を上げても問題は解決できません。それぞれの社員の現状を正確に把握し、不満を感じているポイントに合わせた対策が必要です。
自社が積極的に施策を展開しているつもりでも、社員にとって的外れな内容では満足度は向上しません。まずは現状の課題を洗い出し、どのような対応が求められているか理解する必要があります。
まとめ
ハーズバーグの二要因理論では、衛生要因と動機付け要因が重視されています。社員のモチベーションを高めるには、両方を満たすことが大切です。社員の現状を把握したうえで、自社に必要な施策を展開しましょう。
タレントパレットは、人事に必要な機能を多数搭載しているタレントマネジメントシステムです。人材に関するあらゆるデータをまとめて管理でき、さまざまな分野で有効活用できます。人事業務の効率化だけでなく、人材育成、離職防止、採用活動、最適配置などについて根拠のある取り組みを実現可能です。社員向けのアンケートも実施でき、結果をリアルタイムで集計できます。コンサルティングの知見もあるため、ぜひご活用ください。