こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
目標管理システムは、企業の方針と社員が目指したい方向性の擦り合わせを行うことで、目標達成までのプロセスを管理する経営手法です。基本的な特徴やメリット、導入手順をしっかりと押さえておきましょう。
この記事では、目標管理システムの定義や注目されている背景、企業経営にどのような効果をもたらすのかを解説します。目標管理ツールの選び方や比較検討ポイントも解説しているので、参考にしてください。
目標管理システムとは?
目標管理システムをうまく機能させるためには、意味や歴史、注目されている理由などを把握しておくことが大切です。まずは基本的なポイントから解説します。
目標管理システムの意味
目標管理システム(Management by Objectives)は、ピーター・F・ドラッカーによって提唱された概念であり、企業の方針と社員自身が目指したい方向性を擦り合わせ、それぞれに目標を設定して達成までのプロセスを管理する経営手法をいいます。社員が目標を達成するまでの流れを管理することによって、具体的なプロセスを把握でき、業務効率の向上につなげられます。
また、目的意識を持って仕事に取り組んでもらえば、やりがいの発見やモチベーションを高めることにもつながるでしょう。結果として、企業業績やプロジェクトの成功にも良い影響を与えるといえます。
目標管理システムの歴史
目標管理システムの歴史は、ドラッカーが自身の著書である『現代の経営』において、近代マネジメントのあり方について「目標によって管理する」ことを述べたことから始まったとされています。
その後、多くの研究者や実務家によって、実際に多くの企業で目標管理システムが導入されました。
目標管理システムが注目されている理由
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目標管理システムが注目されるようになった理由として、次の点があげられます。
・組織の戦略的な目標設定につながる ・データの蓄積と分析ができる ・チームワークの促進ができる |
それぞれのポイントについて解説します。
組織の戦略的な目標設定につながる
目標管理システムは、個人やチームの目標だけでなく、企業にとっての戦略的な目標を設定することができます。経営におけるビジョンやミッションに沿って考え、社員の目指す方向性との擦り合わせを行うことで、より強固な組織作りを進められます。
また、社員のモチベーションアップや業務効率の改善につながることも期待でき、組織として一体感のある行動を取れるようになるでしょう。
データの蓄積と分析ができる
目標管理システムを導入すれば、日々の業務の進捗状況や課題の把握、改善につながる提案などの情報を一元的に管理できるようになります。データの蓄積と分析をスムーズに行えるようになるため、経営の意思決定をスピーディーに実行できるはずです。
チームワークの促進ができる
目標管理システムは、企業や個人だけではなく、複数人で協力をしながら目標達成を目指すのにも向いています。チーム全体で目標を共有した上で、全体の進捗状況を把握しながら業務に取り組んでいけるでしょう。
チームワークを高められるので、組織としてのまとまりが良くなります。強いチームが存在していれば、個々の社員のフォローアップにもつながるはずです。
人材育成につなげるために、あらゆる人事データを統合して分析
目標管理システムを導入することで、組織やチーム、個人の目標が明らかになります。自らの果たすべき役割が明確になれば、業務効率も良くなり、組織としての生産性向上にもつながるはずです。
タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、あらゆる人事データを一元管理し、活きた情報として最大限に価値をもたらすためのツールです。目標管理システムの運用とも相性が良いので、さらにスピーディーな経営を行っていけるでしょう。
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目標管理システムが生まれた背景
目標管理システムが誕生した背景には、科学的管理法による他律統制のマネジメントに限界があったことが指摘されています。他律統制とは、他者からの働きかけによって自分の意欲や仕事がコントロールされることを指します。
労働力を科学的に管理する経営手法は、工業においてはうまく適合したものの、専門知識を活かす産業にはうまく適合しませんでした。労働に対する質的変化が先進国で見られるようになり、他律統制の経営手法に変わるものとして、目標管理システムが注目
されることになったのです。
目標管理システムのモデル3種類
目標管理システムには、OKR・MBO・KPIの3つのモデルがあります。それぞれの特徴を紹介します。
OKR…「Objective and Key Result(目標と主要な結果)」
OKRは高い目標を達成するために活用できるフレームワークです。企業と個人の目標をリンクできるので、企業が掲げるビジョンを社員にも浸透しやすくなるでしょう。
OKRは組織の生産性を高めることが目的ですが、高めの目標を設定するため、達成率の目安としては60~70%とするほうがスムーズな運用につながります。
MBO…「Management By Objectives(目標による管理)」
MBOは目標による管理を意味しており、その対象となるのは上司と部下といった限定的なものになります。導入する目的は人事評価につなげる要素を明らかにすることであり、振り返るサイクルも1年単位で見ておくほうが良いでしょう。
上司が部下の目標設定や進捗、アドバイスなどのフォローを行うことで、部下は自ら定めた目標に向かって行動できるようになります。
KPI…「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」
KPIは重要業績評価指標と呼ばれるものであり、導入する目的としてプロジェクトを達成させることにあります。対象となる範囲は部門やチーム単位であり、最終的なゴールに向かって、1つ1つのプロセスを定量的な目標でチェックしていくのが特徴です。
プロジェクト全体から見れば中間目標となるため、現実的な目標設定を行うのがポイントだといえます。
目標管理システムのメリット
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目標管理システムを導入することで、企業は多くのメリットを得られます。主な5つのメリットを解説します。
業務効率化を図れる
目標管理システムを導入し、紙やExcelでの管理を減らすことで、業務効率化を図れます。目標管理システムでは、対象者の選定から通知、進捗管理まで一元管理できます。また、空いた時間を他の業務に活用できるため、人事部門の業務改革にもつながります。
社員の成長意欲が向上する
個人やチームの目標を明確に設定し、それらを達成していくことによって、モチベーションの向上につなげられます。小さな成功体験を積み重ねていけば、さらに大きな目標に挑戦していく流れを生み出せるでしょう。
社員の人材育成にもプラスの影響を与えるので、自律的に行動していく企業風土の情勢にもつながります。
リアルタイムで進捗状況が把握できる
目標を明確にすることで、達成できる見込みや抱えている課題などに気づきやすくなります。関係するメンバーがリアルタイムで情報を共有できるため、素早く改善できたり、目標を見直したりすることにつなげられるでしょう。
人事評価が客観的になる
あらかじめ目標を設定しておけば、上司は部下の達成状況や進捗具合を把握しやすく、客観的な人事評価に結び付けられます。上司と部下との間でコミュニケーションが円滑になり、信頼関係の構築にも良い影響を与えられます。
チーム全体の協調性が高まる
チームとしての目標が明確になれば、それぞれの役割も明らかになります。共通の目標を共有しながらも、日々の業務においては個々の課題に取り組んでいく良い流れを形作っていけるはずです。
また、課題にぶつかっているメンバーのサポートを全員で行えるので、チームの結束力も高まります。
目標達成に向けた明確な方向性が提供される
組織全体の目標やプロジェクトの達成目標がわかることで、明確な方向性を社員も持てるようになります。業務に対するモチベーションが向上するだけでなく、時間や予算といった経営資源の使い方が最適化され、業務効率を大幅に高めていけます。
目標管理システム導入前に必要な準備と実施方法
目標管理システムを導入するには、事前に必要な準備をしっかり整えておく必要があります。どのような手順で進めていけばよいかを見ていきましょう。
導入前の準備:目標設定の定例化と目標の設計
目標管理システムの導入をスムーズに行うには、目標設定の方法やスケジュールなどを定例化することが必要です。定期的にメンバーが集まってミーティングを実施すれば、回を重ねるごとに良いアイデアが出てくるでしょう。
目標を達成するために乗り越えるべき課題やチーム内での役割分担、予算や他部署との連携など、1つ1つの事柄を決めていってみてください。
目標設定
チームとして目指すべき方向性が定まったら、次に個々の社員の具体的な目標を設定していきます。目標は個人で設定してもらうのではなく、上司やチームメンバーと擦り合わせながら決めていきましょう。
目標設定のプロセスを経ることで、本人も気づかなかった課題点や強みなどが見えてくるケースもあります。個人の目標を立てることは人材育成や公平・公正な人事評価につながっていくので、時間をかけてじっくりと設定してみましょう。
目標レビュー
目標を設定し、実際に動き始めたら、途中経過を確認するために目標レビューを実施することが大切です。大きな目標であれば、最終的なゴールにたどり着くまで時間がかかるため、定期的なチェックは欠かせません。
目標レビューを疎かにしてしまうと、いつの間にかチーム内で勝手な行動が目立つようになり、目標達成が遠のいてしまう恐れがあります。適切なタイミングで目標を見直していくことで、課題点や改善策に気づきやすくなるでしょう。
フィードバック
目標レビューの結果をもとにして、フィードバックを行ってみましょう。適切なアドバイスを受けることで、課題を乗り越える方法に気づいたり、改善に対処できたりするはずです。
フィードバックはそれほど時間を置かずに実施するのが大事であり、日頃からコミュニケーションをしっかりと行ってみましょう。
目標管理ツールで実現できること
目標管理ツールで実現できることは、主に6つあります。ここでは、6つの機能について解説します。
目標管理シートの一元管理
目標管理ツールでは、個人の目標提出、評価、フィードバックまでのデータを一元管理できます。過去の評価や面談時の記録なども閲覧できるため、評価会議もスムーズに進められます。これにより、進捗管理にかかっていた時間や手間を削減し、業務効率化が期待できます。
データ集計・分析の自動化
目標管理ツールを活用すれば、データの集計や分析が自動化されます。組織別の評価結果を一覧表示し、評価の偏りや個人の評価推移を可視化できます。これにより、業務負担が軽減され、正確な集計と分析が可能になります。
権限設定
目標管理ツールは、閲覧や編集の権限設定が可能です。社員ごとに権限を設定できるため、管理職専用、人事専用などデータの管理が柔軟に行えます。事前に権限を設定することで、データ漏えいのリスクも軽減できます。
帳票の出力と入力
目標管理ツールのなかには、帳票の入出力が搭載されているものもあります。CSVやExcelや、紙などに対応しており、入出力方法が自由にできます。例えば、目標管理ツールで作成した評価シートや結果を、Excelや紙などに出力することも可能です。
外部システムとのデータ連携
目標管理ツールには、他社の勤怠管理システムや給与システムなどと連携できるものがあります。既に利用している他のシステムと連携できると、人事データの一元管理により、利便性が向上します。APIのみでなく、CSVでの共有が可能な場合もあります。
コミュニケーション機能
目標管理ツールには、アンケートや掲示板などのコミュニケーション機能が搭載されているものもあります。これらの機能を活用すれば、社員の意見が集めやすくなり、業務効率化のためのアイデア検討が進みます。特に掲示板は、社員間のコミュニケーションを活発にする効果が期待できます。
目標管理ツールの選び方・比較検討ポイント
目標管理ツールを選ぶ際に、比較検討すべきポイントについて解説します。
導入目的に合っているか
目標管理ツールを選ぶ際には、自社の導入目的に合っているかを確認しましょう。「目標管理の精度を強化したい」「人事評価や人材活用をまとめて管理したい」「進捗を可視化したい」などが導入目的の例としてあげられます。進捗の可視化が目的の場合、視覚的にわかりやすいダッシュボードを備えたツールが最適です。
自社の規模に適しているか
自社の規模に適しているツールを選ぶことも重要です。目標管理ツールは、数万人規模の社員を抱える企業でも管理できるシステムから、小規模で運用しやすいシステムなど、様々です。自社の規模に適したシステムを選択すれば、効率的に運用できます。
自社の目標管理に対応できるか
目標管理ツールを導入する際には、自社の目標管理に対応できるかどうかの確認も必要です。目標管理の運用を見直したい場合は、既存のフレームワークに対応しているツールを選びましょう。「OKR」「MBO」といったフレームワークだけでなく、360度評価や1on1などを円滑に運用できる機能を備えたものもあります。
クラウド型か、オンプレミス型か
目標管理ツールを選ぶ際には、提供形態も確認しましょう。提供形態は、クラウド型とオンプレミス型の2つに分けられます。クラウド型は、販売業者が提供するサーバー上で利用するシステムタイプです。一方で、オンプレミス型とは、自社の専用サーバーで構築・運用するタイプを意味します。
既存のシステムと機能が被っていないか
目標管理ツールを導入する際には、既存のシステムと機能が被っていないかどうかの確認も必要です。目標管理ツールには、掲示板や社内SNSなどがあります。目標管理ツールに、類似した機能があると、混乱の原因になりかねません。導入コスト削減のためにも、事前に確認しましょう。
カスタマイズが可能か
目標管理を適切に行うためには、カスタマイズがしやすいツールを選ぶことも大切です。企業ごとに目標管理の手法は異なり、手法が変わることもあります。例えば、「MBO」から「OKR」に変更する場合などです。
セキュリティ体制は整っているか
目標管理ツールを選ぶ際には、セキュリティ体制は整っているかどうかも確認しましょう。目標管理ツールで扱う人事情報は機密性が高いため、セキュリティ対策を徹底する必要があります。クラウド型を検討する場合、アクセス制御やデータ暗号化などの機能があるか確認しましょう。
導入事例は豊富か
目標管理ツールを導入する際には、導入事例が豊富かどうかの確認も必要です。他社の導入事例を確認することで、導入後のイメージを明確にでき、自社の要望を把握する参考になります。また、問題点が発見できたり、ツールのメリットを知れたりするなど、詳細な検討が可能になるでしょう。
まとめ
目標管理システムは、組織としての目標と社員個人が目指したい方向性を擦り合わせ、最終的な目標達成につなげていくための経営手法です。目標による管理を実践すれば、リアルタイムで進捗状況や達成度を把握でき、改善すべき課題などを明らかにできます。
また、個人の目標を組織の目標とリンクさせることで、業務効率の改善や生産性の向上にもつなげていけます。人事評価にも納得感が生まれやすいので、組織の活性化にもつながるでしょう。
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