フリーアドレス導入が失敗する理由とは?原因と自社の施策に活かす方法を解説


フリーアドレス導入が失敗する理由とは?原因と自社の施策に活かす方法を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

働き方改革でフリーアドレスを採用する企業が増えていますが、フリーアドレスの導入に失敗してしまうケースも少なくないようです。

この記事では、フリーアドレスの失敗の原因と、成功のために押さえておきたいポイントを解説します。

フリーアドレス導入に失敗する企業が増えている?

自分の好きな席で働けるフリーアドレスは社員にとって魅力的で、多くの企業が取り入れているスタイルです。

「自社でも取り入れると業績が良くなるのでは?」「あの有名企業もやっているのだから、うちでもやってみよう」とフリーアドレス導入に踏み切る企業も見られます。

しかし、実際に導入したものの、思っていたほどの成果が出ず、フリーアドレスを廃止する企業が増えてきています。高い理想はあっても、社員にフリーアドレス導入の意義が浸透しておらず、運用がうまくいかないケースが多いようです。

上層部の意向が社員に伝わらず、思い描いた理想とは別方向に進んでいることが失敗の原因といえます。

フリーアドレス導入が失敗する原因10選と対策を解説



フリーアドレス導入に失敗する企業は、次のような状態のままで実施していることがほとんどです。

  • 環境の整備ができていない
  • 具体的な運用ルールを決めていない


フリーアドレス導入で失敗する原因と対策を詳細に解説しますので、参考にしてください。

1. オフィス環境が整備されていない

フリーアドレスでは、席を固定せずにどこでも働けるモバイルワークが前提となっています。

社内のどこにいても、従来の固定席のように不自由なく仕事に取り組める環境を整えられないことが、フリーアドレス導入に失敗する原因となっているのです。

フリーアドレスを導入する際は、モバイルワークを前提としたオフィス環境を整えることが必要になるでしょう。

<考えられる対策>

  • 書類を電子化してクラウド上で管理する
  • ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル端末を貸与する
  • インターネット環境を整備する
  • ビジネスチャットツールを導入する

2. デスク・座席が固定されてしまう

フリーアドレスを導入したものの、個人の選択に任せていると同じ席にばかり座る社員が多くなります。

上司や先輩のお気に入りの席が固定されると、気を使ってその席に座れなくなることもあるでしょう。

これでは席が固定化されてフリーアドレスの意味がなくなってしまいます。

フリーアドレスを導入する際は、席を固定化させないような仕組みづくりが必要です。

<考えられる対策>

  • 「毎日同じ席に座らない」というルールをつくる
  • くじ引きで席を決める
  • 一定時間離席する場合は席を移動する
  • 上層部や運用担当者が毎日違う席に座るように積極的に奨励する

3. 導入目的が不明瞭なまま実施

「他社もやっているから」「最近のはやりだから」といった曖昧な理由でフリーアドレスを導入しても、社員にメリットや必要性を理解してもらうのは難しいでしょう。

フリーアドレスを導入する理由や、どのような働き方をしてもらいたいかなど、フリーアドレスの導入目的を明確に示すことが重要です。

<考えられる対策>

  • 導入前にフリーアドレス化する目的を明確にする
  • 全ての社員がその目的を理解できるよう説明する


4. 社員の居場所がわからない

フリーアドレスオフィスでは、社員が常に決まった席にいるわけではないため、誰がどこで仕事をしているのか、あるいは外出しているのかなど、居場所を把握するのが難しくなります。

特に困るのが、報告・連絡・相談や社外からの電話の取り次ぎが必要なときなどです。

コミュニケーションがスムーズに取れないと、業務に支障をきたし、取引先からの信用を失うおそれがあります。

フリーアドレスを導入するにあたっては、社員と連絡を取りやすいシステム構築が必要です。

<考えられる対策>

  • 社員居場所検索システムを導入する
  • 所属チームやグループ単位で席を共有する「グループアドレス」を採用する
  • 1日に1回は部署内で短時間のミーティングを行う


5. 新人・後輩の指導が難しい

従来の固定席では、新人のそばにベテラン社員が座り指導・サポートをするのが一般的です。しかし、フリーアドレスの場合、新人に目が届きにくく、適切な指導ができなくなる可能性があります。

また、新人にとっても、そばに相談できる先輩がいないことで不安に感じるときもあるでしょう。

フリーアドレスを導入する際は、人材育成システムを工夫する必要があります。

<考えられる対策>

  • 定期的に1on1ミーティングを行う
  • 新人とのコミュニケーションを積極的に取る


6. 書類管理が難しい

従来の固定席の場合、社員が自席で書類を管理できますが、フリーアドレス化で固定席をなくすと、自席で書類を保管することができなくなります。

書類を管理する場所が別途必要になるだけでなく、席を移動する際は書類を持ち運ばなければなりません。

社員にとって面倒になるだけでなく、たびたび書類を移動させることによって重要書類を紛失するリスクが高まります。

フリーアドレスを導入するにあたっては、書類やデータなどの情報共有システムの構築が必要です。

<考えられる対策>

  • ペーパーレス化を推進する
  • データはクラウド上で管理する


7. 社員同士の雑談が多くなって生産性が低下する

フリーアドレスを導入すると、色々な部署の人と交流が広がり、そこから刺激を受けて新しいアイデアが生み出されるといったメリットがあります。

一方、人の往来が多く、雑談が増えて騒がしくなることで集中力を妨げられる点がデメリットになるでしょう。

フリーアドレスを導入するにあたっては、「集中エリア」と「共創エリア」に分けるなど、仕事の内容や性質に合ったオフィスをつくる必要があります。

<考えられる対策>

  • 集中したい人用のスペースを設ける
  • ミーティングができるワークブースを設置する


8. セキュリティの問題が発生する

従来の固定席の場合、自分の周囲の座席に誰が座っているのか容易に把握できるため、知らない人が入り込んできてもすぐに気づけます。

しかし、フリーアドレスを導入すると、毎日違う席で仕事をするため、隣の席の人がどの部署に所属しているのかわからないこともあるでしょう。

特に、社員数が多くオフィスが広い、規模の大きな会社がフリーアドレスを導入すると、近くにいる人が社内の人かどうかさえ判別がつかなくなる可能性が出てきます。

その場合、万が一社外の人がいても気づかない可能性があり、セキュリティ面のリスクが高まるでしょう。

フリーアドレスを導入するにあたっては、機密情報の漏えい防止などセキュリティ対策を講じる必要があります。

<考えられる対策>

  • 入退室者を管理する
  • 身分証明書を携帯する
  • セキュリティリテラシー教育を行う


9. 導入決定後のフォローが不十分

フリーアドレスを社内に浸透させるためには、上層部によるフォローが大切です。

フリーアドレスを導入する目的を明らかにせず、特定の部署に運用を丸投げしてしまっては失敗の可能性が高まります。

フリーアドレスを導入する際は、上層部主導の手厚いフォローが必要になるでしょう。

<考えられる対策>

  • フリーアドレスの導入を決定した上層部が、社員に導入の目的や重要性について明示する
  • 毎日座る席を変える、コミュニケーションを活発にするなど、自らフリーアドレス活用の手本を示す


10. メリハリがつきにくい

フリーアドレスオフィスは多くの場合、「広い部屋に大きなテーブルとイス」といった単調なレイアウトになっています。

オフィス全体にメリハリがなくなると、新鮮さを感じられなくなるとともに気分のメリハリもつきにくくなりがちです。

そのような環境では、席を変えて仕事をしても新しいアイデアを生み出すのは難しくなるでしょう。

フリーアドレスを導入するにあたっては、気分のメリハリがつくようなオフィスレイアウトを工夫する必要があります。

<考えられる対策>

  • 集中する場所、協業する場所、休憩する場所といったようにゾーニングをすることで、空間にメリハリをつける
  • ABW(Activity Based Working)を取り入れて、業務の内容や個人の気分に合わせて、働く時間や場所を自由に選択できるようにする


「フリーアドレスオフィス」については、こちらの記事をご確認ください。

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フリーアドレスを廃止させないためのポイント



フリーアドレスを廃止させないためには、まずフリーアドレスにする目的を明確にし、社員に周知することが重要です。

フリーアドレスを導入し運用していく場合に、どのような手順を踏むべきかポイントを解説します。

ゴールや目標となるKPIを設定する

まず、フリーアドレス導入のゴールやKPI(重要業績評価指標)を決めてください。

具体的には、次のような内容を社内全体で共有することで、フリーアドレス導入による社員の混乱や動揺を防げるでしょう。

  • フリーアドレスを導入する理由
  • フリーアドレスの導入で達成したいこと
  • フリーアドレスの導入効果


そのうえで、社員の満足度、受容度について意識調査を行い、事前に設定した数値目標と比較してフリーアドレスの導入効果を見極め、改善に向けてPDCAを回すことが重要になります。

トライアルを実施する

次に、特定の部署を選んでトライアルでフリーアドレスを運用してみましょう。

具体的には、次のような工程でトライアルを進めていきます。

  • 仮説を立て、仮説を実証しながら進める
  • 明らかになった問題があれば、その都度対応する
  • 不安や不満を持つ社員には個別に対応する


トライアル期間中は、様々な問題が出てくるものです。

社員がどのようなストレスを抱えるのか、問題を解決するには、どのようなフォローが必要かなど、試行錯誤しながら進めていきましょう。

オフィス内での運用ルールを決める

トライアルの次に行うのは、運用ルールづくりです。

フリーアドレスオフィスは様々な部署の人が交流しながら仕事をする場所であり、オフィス什器から書類の管理まで、お互いに心地よく使うためのルールづくりが必要になります。

具体的には、次のようなルールを決めることで、フリーアドレスオフィスを快適に使えるようになるでしょう。

  • 〇分以上離席するときは書類を片付ける
  • 2日連続で同じ席に座らない
  • デスク使用後はウエットティッシュで拭いてから離席する
  • 最終退社時の確認方法を決める

全社でフリーアドレス導入後はPDCAを回す

トライアルで試行錯誤し、運用ルールを決めたら、全社導入に向けて、オフィス設備や環境を整えていきましょう。

具体的には、社内のどこでもスムーズに仕事ができるよう、社員が働きやすい環境を構築し、運用していきます。

  • 無線LAN、ノートパソコン、タブレット端末を準備する
  • オフィスレイアウトを共同作業用、集中用、コミュニケーション用などのスペースに分ける
  • 運用ルールに沿ってオフィスを利用する


フリーアドレスを全社に導入した後は、「こうしてほしい」といった要望や新たな課題が発生するでしょう。

上層部や運用担当者はこのような声を参考に、日々改善のPDCAサイクルを回していくようにしてください。

まとめ

フリーアドレスは、レイアウトが洗練されていて、自由な雰囲気の中で仕事ができるのが大きな魅力です。

一方、所属チームのメンバーと一緒に作業する時間が減り、コミュニケーションを取りにくくなる点が組織運営上大きな課題となるでしょう。

あらゆる人事システムを活用できるタレントパレットの『サンクスポイント』機能なら、社員同士のコミュニケーション不足の補完が可能です。

自由な分析軸でポイントのやりとりを分析し可視化します。

簡単操作で感謝のポイントを付与することにより、社員間で気持ちを伝え合えるため、リモートワーク下でも、コミュニケーションを活性化できるのが特徴です。

分析軸は部署別の付与数や獲得数、満足度や性格特性など柔軟に設定できるため、多角的な視点で社員同士の日頃のコミュニケーションを見える化します。

例えば、時系列と部署を掛け合わせることで、コミュニケーションが乏しくなってきているチームを割り出し、施策を打つといった活用が可能です。

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