フリーアドレスとは?導入の手順やメリット・デメリット、注意点を解説


フリーアドレスとは?導入の手順やメリット・デメリット、注意点を解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

近年、働き方改革の一環としてフリーアドレスを導入する企業が増えています。社内の座席を自由にすることで、従業員の生産性向上をはじめ多くの効果が見込めるでしょう。ただし従来のオフィスの形を大きく変える分、導入前には入念な準備が必要です。

この記事では、フリーアドレスの概要や導入方法を、知っておきたい注意点や国内企業の導入事例とともに紹介します。

フリーアドレスとは?

まずは、フリーアドレスの概要を解説します。

フリーアドレス=好きな席で仕事をするスタイル

フリーアドレスとは、従業員ごとの固定の席を設けず、業務内容やシーンに合わせて好きな場所を選べるスタイルのことです。

業務の効率化や従業員同士のコミュニケーションが活発化するなど、様々なメリットがあります。そのときどきで空いている席を自由に使って良いことから、オフィスの空席の有効活用にもなるのです。

働き方改革の一環として導入する企業が多い

近年は働き方改革の一環として、従来のオフィスのあり方を見直す企業が増加しています。

森ビル株式会社が2022年、都内1,600社に実施した「2022年 東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、全体の40%(661社)がフリーアドレスを導入していました。また、「今後導入する予定」と答えた企業は9%(155社)、早急な導入は困難としつつも「導入したい」と回答した企業は14%(233社)に上りました。

また、自社オフィスを移転するとき、あるいは社内の改装によりレイアウトをがらりと変えるときにフリーアドレス導入を検討する企業もあります。導入企業は、今後ますます増えていくでしょう。

フリーアドレスには大きく3種類ある

一言で「フリーアドレス」といっても、種類は様々です。よく導入されているのは「オールフリーアドレス」もしくは「グループアドレス」ですが、フリーアドレスをさらに拡張した「ABW」もあります。

全館フリーアドレスの「オールフリーアドレス」

社内すべての席をフリーアドレス化する、スタンダードな形です。空いている席はどこでも使って良いとされ、開放感あふれるレイアウトが特徴です。

他部署と交流しやすい、従業員が気分や業務内容に応じて働く場所を選べるため主体性向上が見込めるといった点が魅力です。社内の空席や空きスペースの有効活用も促進されるでしょう。

部署内で自由に席を選べる「グループアドレス」

社内すべての席ではなく、部署やチーム内の席のみフリーアドレス化します。同じ仕事をするメンバーがある程度まとまっているため、チーム内の連携が必要な業務にも対応しやすい点が強みです。

ただし部署内のスペースでしか席を選べず、仕事をする場所の選択の幅は狭くなります。オールフリーアドレスと比べると、フリーアドレスのメリットを享受しきれない可能性があるでしょう。

社外でも働ける「ABW」もある

「ABW」は「Activity Based Working」の略称で、フリーアドレスの進化版のようなものです。

オールフリーアドレス、グループアドレスとの大きな違いは、働く場所の選択肢に社外のサテライトオフィスやコワーキングスペースなども含む点です。必ずしもオフィスへの出社を必要としないため、オールフリーアドレス以上に自由度の高いタイプだといえます。

しかし企業や社内体制によっては、いきなりABWにするのはハードルが高いかもしれません。まずは上記2種を試してから、検討すると良いでしょう。

フリーアドレスを廃止する企業が増えている理由は?

一度はフリーアドレスを導入したものの、その後廃止した企業もあります。詳しくは後述しますが、よく聞かれる理由は以下の3つです。

  • フリーアドレスに向かない部署だった
  • 雑談が増えて生産性が落ちた
  • 従業員の居場所が分かりにくくなった


前提として、フリーアドレスは企業や部署による向き不向きが大きく分かれます。タブレットやパソコンさえあれば仕事ができる職種であれば効果的ですが、人事や経理など在席率の高い職種には適さないこともあります。

また、雑談が増えて社内が騒がしくなってしまったケースもあります。加えて周囲の声が聞こえやすく、仕事に集中できなくなる従業員もいたようです。

このように、フリーアドレスは社内に与える影響が大きいといえます。何がネックになりやすいかを把握したうえで、導入を検討しましょう。この他の廃止理由は、以下の記事でも紹介しています。

「フリーアドレス失敗」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレスを導入するメリット



フリーアドレスの導入には、以下のようなメリットがあります。導入前に自社の課題を整理し、準備を整えたうえで開始することが重要です。

業務の効率化につながる

その日の気分や業務内容に応じて働く場所を選べるため、従業員の業務効率が上がる可能性があります。

フリーアドレスは自由なスタイルである分、毎回、自分で席を決めて働かなくてはなりません。つまり、従業員が自ら考えて行動する必要があるのです。一人ひとりが生産性向上を考えるようになり、ルーティーン化していた業務に変化が見られることもあるでしょう。

従業員同士のコミュニケーションが増える

自由な席の移動を可能にすることで、コミュニケーションの活性化も期待できます。

固定席では交流のなかった部署と接する機会が増えたり、情報共有がスムーズになったりするでしょう。その結果、これまでになかったアイデアが出てきても不思議ではありません。

社内のスペースを有効活用できる

社内であまり使用していない部屋や、うまく使えていない部屋を有効活用できる可能性もあります。

これまでオフィスとして使っていたスペースでも、余分な空席が生まれにくくなるでしょう。

経費削減につながる

スペースを無駄なく使える分、オフィスのランニングコストを抑えやすくなる点も魅力的です。場合によっては、オフィスの規模を縮小できるかもしれません。

職場環境を整えるためにクラウドやチャットツールといったオンラインツールを導入すれば、ペーパーレス化も進みます。

オフィスの美化も期待できる

オフィスを美しく保てるようにもなるでしょう。

基本的にフリーアドレスでは、必要なものを必要なときに持ち出し、その日選んだ席で作業します。複数人が入れ替わりながら同じ席を使うため、デスクに私物を放置しなくなるはずです。

組織体制や働き方の変化にも対応しやすい

組織改編でチーム内の人数が増えても、急いで席を用意する必要がなくなることも特筆すべき点です。

レイアウト変更が容易にできるため、今後リモートワークを導入したり、従業員の働き方が多様化したりしても対応しやすいでしょう。多様な働き方ができる企業だと認知されれば、人材を確保しやすくなる可能性もあります。

このように、フリーアドレスは多くのメリットをもたらすものです。以下の記事でさらに詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

「フリーアドレスメリット」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレスのデメリット

フリーアドレスの導入には、デメリットもいくつかあります。

導入のコストがかかる

既存のルールからフリーアドレスに転換する際、ある程度のコストがかかると知っておきましょう。それまで使っていたデスクや椅子、収納家具では足りない場合、新しいものを多数購入しなければなりません。

場合によっては、どこでも仕事ができるようネットワーク環境やクラウドの整備も必要でしょう。レイアウトや体制を考えた結果、内装工事の検討が必要になるケースもあります。

誰がどこにいるか把握しづらい

誰がどこにいるか分かりにくく、コミュニケーションが取りづらくなる恐れもあります。従業員の座る席が決まっていないため、業務上の連絡や相談がある場合はまず相手を探すところから始めなくてはなりません。

また、そもそも出社しているかどうか把握しづらい場合もあるでしょう。結果的に、組織力低下につながる可能性もあります。一人ひとりの居場所が分かるツールを導入する、入退室を管理するなどの工夫が必要です。

書類や備品などの管理が難しくなる

社内の書類や備品などの管理が難しくなることも想定されます。

フリーアドレスは基本的に、毎回自分の荷物や仕事道具を持ち運び、終わったら片づけるスタイルです。これが毎回のこととなれば、少々手間に感じる従業員も出てくるでしょう。

加えて収納スペースも共用にしてしまうと、個人の荷物を置いておくスペースが確保できません。また、備品の持ち運びの機会が増えることで、社内の物品の紛失も起こりやすくなります。

社内移動用のバッグを支給する、個人ロッカーを用意するといった対策を考えましょう。

セキュリティ対策が困難になりやすい

社内の移動が自由である分、情報流出のリスクが高まります。入退室管理が困難で社外の人が出入りしても気づきにくい、離席した際に他人にパソコンの画面を見られるといったこともあるでしょう。

加えて固定の席がないため、鍵付きの引き出しに重要な書類を入れておくことが難しくなります。機密情報を扱う従業員は、特に注意が必要です。セキュリティ対策としても、入退室管理システムの導入を検討すべきかもしれません。

従業員の集中力が落ちやすい

フリーアドレスになることで、かえって集中力が低下する従業員もいるでしょう。

フリーアドレスは、1人で仕事を進めたい人や固定席が好きな人には向かないものです。静かに仕事をしたいのに周囲が騒がしい、開放的すぎて落ち着かないといった点にストレスを感じることがあるかもしれません。

その結果、フリーアドレス導入前より集中力を保てなくなり、パフォーマンス低下を招く可能性もあります。オールフリーアドレスにする場合でも、1人で集中できるスペースの確保を考えるべきでしょう。

従業員の帰属意識が薄まりやすい

周囲で働く顔ぶれが毎回変わるため、チームや会社への帰属意識を持ちづらくなる可能性もあります。

同じ部署の人と毎日顔を合わせていれば、コミュニケーションは自然と取れるものです。しかし仕事をする場所がバラバラだと、たとえ部署が同じでも交流の機会は少なくなるでしょう。従業員同士の結びつきが弱まり、部署や会社そのものへの帰属意識が薄くなるかもしれません。

加えて自席がないことで、従業員が「自分の居場所がない」と感じてしまう可能性もあります。企業には、従業員同士のコミュニケーションの機会を確保できるような工夫も求められるでしょう。

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フリーアドレス検討前に確認しておくべき指標



前述のとおり、フリーアドレスを導入する前には入念な準備が必要です。具体的に確認しておくと良い指標を、いくつか紹介します。

従業員の出社率や在席時間

従業員が毎日何人ぐらい出社し、どの程度の時間を自席で過ごしているのか、割合を把握しておきましょう。出社率が30%の場合と70%の場合とでは、作るべきオフィスの構図が変わってきます。

加えて、最大で何人が同時に出社するのか、今後出社率が変わりそうな場合はどうするのかといったことまで考えなくてはなりません。席を定点観測する、また従業員にアンケート調査を行うなどして、席の利用状況を多角的に把握するのがおすすめです。

連携が必要な部署の数・割合

社内のどの部署とどの部署が一緒に動くことが多いのかも、チェックしておきましょう。フリーアドレス導入が適切かどうかを見極める際の参考になります。

連携して動くことの多い部署があるにも関わらず、その片方の部署にだけフリーアドレスを導入する、あるいはオールフリーアドレスにしてしまうと、業務効率が低下する恐れがあるでしょう。

ポイントは、連携している部署をなるべく具体的に洗い出すことです。

社内のスペースの活用率

従業員の席以外に、会議室やフリースペースといった場所の活用状況も調べておきましょう。

フリーアドレスは、限られたオフィスのスペースを有効活用するための方法でもあります。もし使っていない部屋があれば、そこも含めて検討してみてはいかがでしょうか。

フリーアドレスの導入手順

実際にフリーアドレスを導入する際の手順を解説します。

1.フリーアドレスを導入する目的を考える

まずは、そもそもなぜフリーアドレスを導入するのか、目的を明確にしておきましょう。いきなり導入すると、「もともとあった自分の席がなくなる」「他の人の居場所が分からなくなる」などと、従業員を不安にさせてしまう可能性があります。

どういった効果が見込めるかを明確にし、事前によく話し合っておくことが重要です。現状のオフィスがどのように使われているか、どんな情報を扱っているかといったことを事前に調査したうえで説明すると、スムーズな理解を促せるでしょう。

2.フリーアドレスを導入する部署を決める

導入の目的を踏まえ、フリーアドレスを全社に導入するのか、あるいは一部の部署に限定するのかを決定します。どちらを選んでも構いませんが、重要なのは導入目的に応じた効果が見込める範囲を見極めて設定することです。大雑把に決めるのではなく、運用開始後の状況を十分考えて決定しましょう。

たとえば以下のような部署は、フリーアドレス導入の効果が高いと考えられます。

  • 外出や会議が多く自席で過ごす時間が短い
  • 自席でなくてもできる業務が多い
  • 業務に特定のツール・デバイスを使わない(パソコンやタブレットがあれば事足りる)


一方、社内のあらゆる部署と関わりを持つ人事・経理部門や、機密情報・商品などを多く扱う部署などは、従来の固定席のほうが都合が良いでしょう。こうした部署は、従業員の居場所がすぐに分からないと業務に支障をきたすことがあるためです。

自社の従業員数や、業務内容に応じて検討してみてはいかがでしょうか。

3.必要な座席数を調べる

導入する範囲が決まったら、フリーアドレス用として必要な座席が社内の全座席のどの程度の割合にあたるかを計算しましょう。この割合を「座席設定率」といい、この数値を基準に、用意するデスクや椅子などの数を決めていきます。

計算のコツは、対象部署の全員が座っても足りる程度の席数は確保することです。ただしリモートワークを導入しているなら、対象部署の従業員の出社率も念頭に置きましょう。また、グループアドレスにするのか、オールフリーアドレスにするのかといったことも検討すべき事項です。

4.フリーアドレスの運用ルールを決める

座席数が決まったら、運用ルールを定めます。定めるべきルールは多く、フリーアドレスの範囲から、「私物を置いて帰らない」「毎回違う席に座る」といったことまで様々です。

ただしあまり厳密なルールにしてしまうと、実際に利用する従業員にとって使いづらくなってしまいます。柔軟な利用を促せるよう、大まかなルールにとどめておきましょう。

もしルール作りがうまくいかない場合は、少人数でフリーアドレスのテスト運用をしてみると良いかもしれません。そこから見えてくる課題への対策を考える形で、ルールを策定してみてください。

フリーアドレスのルール作りについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

「フリーアドレスルール」については、こちらの記事をご確認ください。

5.オフィスに置くデスクや収納などを検討する

座席設定率や運用ルールをもとに、オフィスに置くデスクや椅子、収納家具を検討します。一言で「デスク」「椅子」といっても、サイズや形、可動性などはそれぞれ異なります。また、ロッカーや書庫といった収納家具についても検討が必要でしょう。

加えて、なるべく多くのシーンに対応できるものを選ぶようおすすめします。フリーアドレス導入後に、当初予想していなかった利用方法やレイアウトになる可能性も大いに考えられるためです。

フリーアドレスの収納については、以下の記事でも詳しく解説しています。

「フリーアドレス収納」については、こちらの記事をご確認ください。

6.実運用を開始し、改善を繰り返す

フリーアドレスを導入して実運用を開始したら、定期的に見直し・改善を行ってください。

前述のとおり、フリーアドレス導入前に想定していた運用体制に変化が生じたり、当初は予想もつかなかった使い方をする従業員が出てきたりすることも考えられます。フリーアドレスは導入したら終わりではなく、運用状況の見直しを随時行って、そのときどきに適したフリーアドレスに作り替えていくべきなのです。

実際に使用している従業員にアンケートを取って、現場の意見を集めるのも良い方法でしょう。

フリーアドレスを導入した企業の事例

すでにフリーアドレスを導入し、大きな効果を上げている企業は多数存在します。特に有名な事例を3つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

Yahoo!JAPAN|オールフリーアドレスでコミュニケーションが活発に

Yahoo!JAPANの紀尾井町オフィスでは、従業員増によるオフィスの移転をきっかけに、全館のフリーアドレス化を行いました。

同社には、エンジニアやデザイナーなど様々な職種の従業員が在籍しています。導入が決定した際、「仕事がしづらくなるのでは」と従業員の不安の声は大きかったのです。

しかし導入してみると、部署間のやりとりがスムーズになりました。今までは各自が快適に感じる作業環境を作ってその場所でだけ働き、他部署との会議を行う際もスペースがなければ日程を延期しているという状況でした。

固定席がなくなったことで、用事のある従業員のもとに足を運んで相談する、わずかな時間で打ち合わせをするといった姿勢が根付きました。従業員一人ひとりの仕事に対する姿勢が変わった好事例だといえるでしょう。

パーソルホールディングス株式会社|時代の流れに合わせてフリーアドレス化

人材紹介業を営むパーソルホールディングス株式会社では、2021年より順次、オフィスのフリーアドレス化を進めています。

同社の出社率は、コロナ禍に突入した2020年時点で20%前後。同社の主力事業である求人紹介業務においてもオンライン面談希望者が99%を占めており、オフィスの存在意義を見直す必要があったのです。

これまでに固定席の約8割をフリーアドレス化し、フロアを縮小しました。従業員は、気分や業務内容によって席を選べるため、自分なりに生産性の高い働き方ができているといいます。加えてフルリモートワーク制度も導入し、新たなキャリアパスの創出を目指しているのです。

ブラザー販売株式会社|スペース不足を解決、自由度の高い職場に

コピー機やプリンターを扱うブラザー販売株式会社の、名古屋本社の事例です。同社はもともと固定席で、会議室や部門間交流が少ない点に課題を感じていました。

そこでフリーアドレスの導入に至りましたが、この際フロアを南北に分けた回遊型オフィスを採用しています。北側は社長席以外をフリーアドレスに、南側はコミュニケーションメインのスペースとし、従来の2.6倍の広さを確保しました。

北側にはWebミーティングブースやキッチンスペース、集中ブースなどバラエティに富んだ空間を設けています。加えてプリンターやスキャナーをオフィス内に分散設置し、自社製品を気軽に使えるクリエイティブルームも作ったのです。こうしたことから、自由度の高い働き方ができる環境が実現しました。

多くの企業が、フリーアドレスを導入したことで大きな効果を得ています。他の事例も以下の記事で紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

「フリーアドレスオフィス事例」については、こちらの記事をご確認ください。

フリーアドレスを導入する際の注意点

上記の事例も踏まえて、フリーアドレスを導入する際の注意点を解説します。

多くの従業員とともに検討・導入する

フリーアドレスを導入する際は、多くの従業員とともに検討を進めましょう。トップダウンで一方的に進めてしまうと、フリーアドレスの意義や目的が浸透しきらず、十分な効果が得られなくなるかもしれません。

実際に利用する機会が多い、現場の従業員の声は重視すべきものです。事前調査やルール作りなど、様々なシーンに現場の従業員の意見を取り入れながら進めてみてはいかがでしょうか。

レイアウトを工夫する

フリーアドレスでは、社内のレイアウトも重要です。使える座席を自由にするだけでは、座席の固定化を招き、フリーアドレスの効果を十分に得られないこともあります。

デスクの配置一つとってみても、向かい合わせにする、背中合わせにする、あるいはフロアやスペースごとに変えるなど、いくつものパターンがあるのです。感染症対策も考えるなら、従業員が密集しすぎないようにする工夫も必要でしょう。

用途の異なるスペースも設ける

社内のすべてをフリーアドレスの座席にするのではなく、目的や用途に応じたスペースを用意するのもポイントです。

一例としては、以下が挙げられます。

  • 集中して作業したいときに使うスペース
  • リラックスして過ごせるソファスペース
  • 数人で集まれるミーティングルーム


フリーアドレスでは、スペースごとの役割の違いが小さくなり、メリハリが付きにくくなります。多様な用途を想定したスペースを確保しつつ、レイアウトを考えてみてください。

ツールやITインフラも準備する

場所を問わず働けるようにするには、どこでも快適に仕事ができる環境づくりが必須です。仕事で使うツールだけではなく、ITインフラも整備しましょう。

  • Wi-Fi環境やクラウド
  • パソコン、タブレット
  • 上記のデバイス類のセキュリティ対策
  • 社内備品を持ち運ぶためのバッグ
  • 持ち運びができるパーテーションやホワイトボード


個人ロッカーなど、収納家具が必要になるケースもあります。席の数によっては、席の予約ができる座席管理システムを導入するのもおすすめです。

フリーアドレスの座席管理の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

「フリーアドレス座席管理」については、こちらの記事をご確認ください。

必要に応じて社内制度も変更する

既存の勤務体制・社内制度では、フリーアドレスが利用できないこともあると知っておきましょう。

フリーアドレスは、働き方を大きく変える可能性がある制度です。導入の際は、より詳細な勤怠管理や、シフト制、テレワークの導入といった勤務体制の変更が必要になる場合もあります。

事前に綿密にシミュレーションし、制度の見直しが必要になりそうであれば早めに着手しましょう。

まとめ

フリーアドレスの導入は、企業ができる働き方改革の一つです。しかしそのためには、従業員の理解や入念な準備が欠かせません。場合によっては、社内制度の変更や、従業員へのヒアリングも必要でしょう。

タレントパレットなら、全従業員の情報を一元管理できます。組織図の作成や部署同士のつながりの可視化、社員向けのアンケート作成も可能です。フリーアドレス導入前の準備から実運用開始後まで、数々の場面で役立つでしょう。フリーアドレスを導入する際は、ぜひタレントパレットの活用をご検討ください。

タレントパレットのHPはこちら