フォローアップ面談とは?目的や重要性、実施する時期や手順などを解説


フォローアップ面談とは?目的や重要性、実施する時期や手順などを解説

新入社員に対する人材育成の一環で、年々フォローアップ面談を取り入れる企業が増加しています。フォローアップ面談は、新入社員の定着率向上やスキルアップなどが狙える手法のため、導入を検討している企業も多いかもしれません。


本記事では、フォローアップ面談の基本事項から面談の時期、実施の流れなどを詳しく解説します。取り入れるにあたっての注意点もまとめているので、フォローアップ面談実施の参考にしてください。


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フォローアップ面談について

一般的な面談との違いも含め、フォローアップ面談について基本的なポイントを把握しておきましょう。


フォローアップ面談とは

フォローアップ面談とは、新入社員に対して定期的に行われる面談やカウンセリングのことです。新入社員が職場環境や人間関係で悩んでいないか、現状を把握するために行います。面談の結果、悩みを抱えていることが分かれば、サポートを行うことも重要な目的です。


新入社員が企業で活躍できるかどうかは、フォローアップ次第で変わってくるでしょう。具体的な企業の対応としては、新入社員の現状を理解したうえで改善点や目標を提示する必要があります。企業や組織に早く溶け込めるように、時には一緒に考えながらサポートを行ってください。


一般的な面談(企業の通常面談)との違い

企業で通常行われている一般的な面談は、社員の評価を行うのが目的です。一方で、フォローアップ面談は話を聞き出し、フォローすることを目的としています。それも上司が部下を評価するために必要な情報ではなく、新入社員の現状や課題、なりたい姿などを聞き出すことがポイントです。


普段は言いづらい本音を引き出せれば、より新入社員が抱えている悩みを把握しやすいでしょう。一般的な面談に比べて、新入社員に寄り添うという考え方が大事です。情報共有や意思疎通のために使われるのはもちろんですが、目的は新入社員の育成や成長促進にあります。


フォローアップ面談の重要性

フォローアップ面談は、なぜそれほど重要だと考えられているのでしょうか。主に以下の2点が理由になっています。


新入社員の悩みの把握とフォロー

フォローアップ面談は、新入社員が抱えている悩みを把握するための手段の1つです。ただ、社員の悩みはさまざまな内容であり、同じ環境で働いていても人によって違いがあるため、日常のコミュニケーションだけでは悩みの根本まではなかなか分かりません。


しかも、悩みの原因が上司や同僚に関することなど職場にまつわる内容なら、なおさら話しにくいでしょう。他にも仕事へのやりがいや責任、休みや給料のような待遇面まで、内容は多岐にわたります。


面談では悩みを適切かつ丁寧に聞き出し、仕事の目標と現実とのギャップやズレを確認したうえで、問題解決の方法を一緒に考えることが大事です。効率よく目標に近づくためのアドバイスも重要になってきます。


人材育成や新入社員のモチベーション向上

フォローアップ面談を人材育成に活かすためには、適切なフィードバックを行うことが大事です。新入社員が振り返りをできるよう働きかけ、課題に向き合えるように促してください。社員が自分で納得して課題に取り組めるようになれば、人材育成につなげられます。


面談では、新入社員の行動に対する評価とその理由を明確に伝えることがポイントです。自分が向き合う課題が明確になれば、社員も具体的なアクションを起こしやすくなるでしょう。悩みによって仕事に身が入らなくても、適切なフォローがあればモチベーションも向上しやすくなります。


フォローアップ面談の主な目的

フォローアップ面談の主な目的は以下の3つです。ここからは3つの目的をさらに詳しく掘り下げていきます。


新入社員の定着率の向上

フォローアップ面談を実施する大きな目的の1つが、新入社員の定着率向上です。社会的に見て新入社員の定着率は悪化傾向にあり、早期の離職が問題になっている企業も少なくありません。せっかく新しい人材を迎えても、短期間で辞められては貴重な戦力を失うことになるでしょう。特に優秀な新入社員なら、離職は大きな損失です。


新入社員の採用にかけた時間や労力、コストも損失することになります。離職率が高まれば、次年度以降の採用活動にも支障が出かねません。新入社員の定着率向上には、面談を通じて悩みなどを丁寧に聞き出し、解消できるようサポートすることが重要です。悩みの解消の時期が早いほど定着率が上がります。


新入社員のスキルアップ

フォローアップ面談は、新入社員研修の成果を確認する目的も担っています。いくら優れた研修内容であっても、実際に業務を行う際に役立っていなければ意味がありません。研修内容を実践で生かせているかどうかの確認は、スキルアップのためにも大切です。


今後必要となるスキルについても互いに確認し、次の目標を設定して次回の面談につなげます。目標が明確であるか、目標と現状にギャップがないかなどもヒアリングすることが重要です。


加えて、新入社員が実践でさらに学んだことがあれば聞いておきましょう。その年の研修が新入社員にどう影響を与えたか、どう実践で生かせたかを知っておくと、次年度以降の新入社員研修にも役立てられます。


新入社員のモチベーション向上

フォローアップ面談では適切なフィードバックを行い、新入社員が振り返りできるように働きかけます。また、新入社員が直面している課題にしっかり向き合えるように促すことで、人材育成につなげることが可能です。


課題が明確になれば、新入社員にとっても具体的なアクションが取りやすくなるでしょう。自主的に行動する気持ちも湧いてくる可能性が高まります。結果として仕事に対するモチベーションアップにつながるのも、フォローアップ面談を実施する意義の1つです。


フォローアップ面談を行う時期

フォローアップ面談は、適切な時期に複数回行うのが効果的です。以下に挙げる4つの時期の面談に必要な内容を把握しておきましょう。


入社1か月目

面談を最初に行うのにおすすめのタイミングは、入社1か月目です。この時期の新入社員は、仕事や職場の雰囲気に馴染むために精一杯頑張っています。しかし、まだ上司や同僚とも、それほど深い人間関係を築けていない人が多いかもしれません。


具体的な悩みや課題などを聞き出そうとしても、率直に答えてくれない可能性も高いです。そのため、1か月目に行う最初のフォローアップ面談は、コミュニケーション重視で実施します。


新入社員が任されている仕事の意味や部署の位置づけなどを確認し、理解を深めさせることに注力してください。仕事や部署に慣れていくと、具体的な悩みや課題が生じてくるため、次回の面談で聞く旨を話しておきましょう。


入社3か月目

入社して3か月くらい経過すると仕事にもある程度慣れ、任される業務も増えてくる時期です。部署にも慣れてきて、人間関係も深まってくる時期でしょう。その分、仕事や職場環境、人間関係などで具体的な悩みや課題が出てきたり、すでにストレスが発生したりしている可能性もあります。


この時期に行うフォローアップ面談では、新入社員から話を聞き出すことに重点をおいてください。加えて、新入社員が抱える悩みや課題の解決に向け、ともに考えることが大切です。


ストレスを抱えている場合はより慎重に対応し、必要だと判断すれば上司やOJT担当者にも働きかけ、ストレス解消に取り組んでください。特に新入社員の受け入れに慣れていない部署では、早めの対策が大事です。


入社6か月目

入社後半年くらい経つと順調に仕事を進めている人もいれば、逆に仕事に対する悩みや課題がより具体的になっている人もいます。また、部署や人間関係に慣れてきたことで、気持ちの緩みが出てきている場合もあるでしょう。入社6か月目の面談では、それぞれの新入社員にあわせて柔軟な姿勢で面談することがポイントです。


仕事の知識やスキルに関しては、入社時に比べると確実に育ってきています。そのため、新入社員自身が主体的に目標を決められるよう促すこともポイントです。もし、仕事に対するモチベーションが低下しているようなら、現在位置の確認や仕事の目的・目標などを再認識させるようにしましょう。社会的な役割に対する理解を深めることも重要です。


入社1年後

入社1年も経てば、新入社員といえども仕事や職場には馴染んだ状態になっています。ただし、なかには仕事に価値観を見出だせないケースや、転職を検討しているケースも考えられ、新入社員の状態はさまざまです。入社1年後に行う面談では、将来も見据えたキャリアプランを話し合うことに重点をおきましょう。


それぞれの新入社員が今後のライフワークバランスをどう考えているのか探り、求めていることを聞き出してください。それらの情報をもとに、新入社員のキャリアプランを中長期的に捉え、具体的にサポートしていくことが重要です。真剣に転職を検討している新入社員に対しては、転職するデメリットも伝えるようにしましょう。


フォローアップ面談の手順

ここからは、実際にどのようなフォローアップ面談を行えばよいのか解説します。具体的には以下の4つの手順です。


初めに面談の実施を伝える

まずは、面談を予定している新入社員に対し、面談を実施する旨を伝えてください。新入社員の悩みをうまく引き出すためには、安心して話せる環境を整備することが重要です。面談の日時や目的を事前に伝えることで、スケジュールの調整がしやすくなります。話す内容も事前に十分準備できるため、話しやすい環境づくりにも役立つでしょう。


面談時には「悩みや課題を知ればフォローできる」ということを伝え、上司や人事が協力を惜しまない姿勢を見せる必要があります。面談では聞き手側は秘密を遵守すること、約束を実行することが不可欠です。


新入社員の状況確認をする

面談時には、新入社員の部署内での環境はもちろん、所属部署で自身がどのように感じているのかも確認します。また、仕事の進捗状況や目標達成率などの具体的な事実も確認することで、より詳しく新入社員の状況が把握できるでしょう。


面談では仕事に対するモチベーションの状態や、人間関係も確認しておきたい内容です。ただし、デリケートな部分でもあるため、慎重かつ丁寧に聞き出してください。面談後は事実を確認したうえで対応を検討し、企業と新入社員の双方にとってよい方向性を導き出します。


新入社員の希望を確認する

面談では新入社員の状況を把握するとともに、将来どうしたいのか希望を聞き出すことも重要です。社員のなかには希望が複数ある人もいるでしょう。複数の希望を持っている場合は、どれを強く求めているのかを確認してください。


優先したい希望を絞り込みながら、目標や目指すべきゴールをともに考えていきます。ただし、当人の希望を必ず通せるとは限りません。叶えられない可能性があったとしても、努力する旨を伝えることがポイントです。重要なのは、希望を叶える糸口を一緒に見つけることにあります。


モチベーションを確認する

面談によって導き出された解決策が、新入社員にとってモチベーションの上がるものであるかどうかも重要です。モチベーションが上がらない解決策を提示したところで、新入社員の積極的な行動は見られないでしょう。具体的なイメージが湧かない解決策も、なかなかモチベーションアップにはつながりません。


面談で重要なのは、いかに新入社員に高いモチベーションを維持させるかです。新入社員のモチベーションを高く維持させるには、解決策を具体的にイメージしてもらう必要があります。そのため、面談する側には高いレベルの会話スキルが不可欠です。


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フォローアップ面談で聞くべき内容と質問例

フォローアップ面談で聞いておきたい内容と、具体的な質問例を挙げます。実施する際の参考にしてください。


業務に関する内容と質問例

業務に関する内容としては、まず普段の状況について確認する必要があります。仕事へのモチベーションや、現時点での仕事に対する満足度などもヒアリングしてください。面談の評価とその理由は、明確に伝えるようにしましょう。2回目、3回目など、回を重ねた面談の際は、仕事を通じた新入社員の成長度もチェックする必要があります。具体的な質問例は以下の通りです。


・仕事で困っていることや大変なこと、不満に思っていることはありますか

・働く環境で気になることはありますか

・仕事で取り組んでいてやりがいを感じることや楽しいことはありますか

・仕事量は適正だと思いますか

・現状と入社前にイメージしていた業務にギャップはありますか


人間関係に関する内容と質問例

新入社員のモチベーションや定着率を向上させるためには、部署内の人間関係を確認・把握しておくことが重要です。業務そのものに不満はなくても、人間関係が原因で退職するケースは少なくありません。フォローアップ面談では、部署内の上司や先輩、同僚との関係が良好に保てているかどうか、コミュニケーションが取れているかどうかなどをヒアリングします。具体的な質問例は以下の通りです。


・現在の部署では働きやすいですか

・困ったことがあれば、気兼ねなく相談できる相手がいますか

・上司や先輩、同僚との関係は良好ですか

・業務では上司や先輩、同僚などとコミュニケーションを取りながら取り組めていますか

・職場以外でも交流を図ることがありますか


キャリアに関する内容と質問例

フォローアップ面談では、新入社員のキャリアに関する考えを知ることも重要なポイントです。キャリアに対する考え方は人それぞれであるため、個別に対応していく必要があるでしょう。早いキャリアアップを目指すのか、それともワークライフバランスを重視するのか、新入社員自身がどう考えているのかを確認してください。希望する部署や職種なども確認し、アドバイスにつなげます。キャリアに関する具体的な質問例は以下の通りです。


・現在の業務は自分が思い描くキャリアプランに合致していますか

・現在とは異なる職種や部署に魅力を感じることがありますか

・今後、身につけたいスキルはありますか

・目標や課題に対して、どう行動すべきかイメージできますか


フォローアップ面談のポイント

フォローアップ面談を行う際、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。以下の3点を踏まえておいてください。


適正な場所や担当者を選ぶ

フォローアップ面談は、適正な場所と担当者を選んで実施することが大事です。できれば所属部署から物理的に離れ、かつプライバシーに配慮した場所を選ぶとよいでしょう。日常的に直接関わることの少ない他部署の人の方が率直に話しやすいため、面談の担当者は人事か社内教育の担当者などが適任です。


かえって本音を言いにくい直属の上司や先輩は、避けた方がよいでしょう。面談をスムーズに進められるように、対象となる新入社員の上司や同僚からヒアリングしておくことも重要です。


話しやすい雰囲気をつくり秘密厳守を約束する

悩みや課題に関する話は、他人にはしにくいものではないでしょうか。面談をスムーズに行うためには、話しやすい雰囲気づくりが重要なポイントです。まずは話が漏れることはないと約束し、新入社員を安心させてください。「思っていることを率直に話すと評価が下がるかもしれない」という不安を解消する必要があります。


面談者が一方的に話をしていては、新入社員が話すタイミングを逃す可能性があるため、聞き役に徹することも大事です。面談者の失敗談などを盛り込むことで、場の空気を和らげられることもあります。漠然とした質問を繰り返しながら、新入社員に話をさせるのもポイントの1つです。徐々に話を掘り下げ、話の本質にたどり着ければ本音も聞きやすくなるでしょう。


次の行動や目標設定につなげる

面談では、新入社員の根本的な考えを理解できるように質問を投げかける必要があります。面談をしているなかで掘り下げた方がよい内容が出てきたら、拾い上げて深掘りするのもフォローアップ面談のコツです。


確認できた内容については、次の行動や目標設定につなげるようにしましょう。また、面談は入社後1か月目から1年後まで定期的に行うため、設定した目標に対してどのように行動が変化したのか、面談のたびに確認することもポイントです。


フォローアップ面談の注意点

フォローアップ面談には注意点もあります。適切な面談が実施できるよう、以下の2つの注意点も把握しておいてください。


プライベートな質問に注意

フォローアップ面談では、新入社員のプライベートに過度に踏み込まないことが重要です。プライベートな話題を交えることで緊張がほぐれたり打ち解けたりして、コミュニケーションが取りやすくなる可能性もないわけではありません。


しかし、プライベートを聞かれたくない新入社員は多くいます。プライベートな部分に過度に踏み込むと、相手に嫌悪感を与えてしまい、結果的に本音を引き出せない場合もあるでしょう。プライバシー管理ができていない企業だと思われないように、注意を払う必要があります。


横柄な態度は厳禁

新入社員が抱えている悩みなどを引き出すのが目的のフォローアップ面談では、先述したように話しやすい雰囲気をつくることが重要です。相手が萎縮してしまうような、横柄な態度は取らないようにしましょう。


無自覚に相手を威圧したり、横柄な態度を取ったりするような人もいる可能性があるため、人事の担当者はしっかり見極めなければなりません。新入社員だからといって見下すような人物を担当者に選ぶことは避け、相手が話をしやすい人選を心がけましょう。また、面談の担当者になった人は、事前にトレーニングを受けておく必要があります。


まとめ

フォローアップ面談は社員を評価することが目的の一般的な面談とは違い、社員に寄り添いながら現状や課題、希望を聞き出すのが目的です。新入社員の定着率向上やスキルアップ、モチベーションの向上にも重要な役割を担っています。


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