フォロワーシップとは?研修内容や組織のチーム力を発揮するコツを解説


フォロワーシップとは?研修内容や組織のチーム力を発揮するコツを解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

今、ビジネスの世界で「リーダーシップ」に代わって注目されている「フォロワーシップ」という考え方をご存知でしょうか?

これまでは、強いリーダーシップを持つ上司の意思決定に部下が従うというチームが一般的でした。しかし、変化が激しい昨今のビジネス環境に対応する上で、リーダーに依存したチームのあり方では不十分といえます。フォロワーシップを強化することで、チーム全員が自主性を持って動くことが期待できます。

本記事では、フォロワーシップの概要やメリットについて解説します。フォロワーシップ人材を育てるコツもご紹介しますので、ビジネスの参考にしてください。

フォロワーシップとは

組織が成長し、大きく発展していくためには、メンバー同士が助け合えるようなチームづくりが重要です。このような背景から、昨今は組織で働くビジネスパーソンに求められるスキルとしてフォロワーシップが注目されています。

しかし、フォロワーシップという言葉になじみがない方もいらっしゃるでしょう。まずは、フォロワーシップの概要から詳しく解説します。

フォロワーシップの概要

フォロワーとは、組織やチームを率いるリーダーのもとで業務を行うメンバーのことです。組織を成長させるために、フォロワーが自主的に考え動くことをフォロワーシップと言います。

リーダーを補佐すると同時に、チームメンバーを支援する行動もフォロワーシップの一つです。リーダーを含めチーム全員に、フォロワーシップが求められています。

フォロワーシップが注目されている背景

フォロワーシップが注目されている背景には、企業の人材不足が挙げられます。人材不足の影響で大きな負担を抱えているのが、管理職クラスの従業員です。

近年、管理職でありながら部下の指導と同時に、自分も現場で業務を行うプレイングマネージャーが急増しています。しかし、管理職クラスの従業員が実際に業務に携われる時間は多くありません。

そこで重要になるのが、フォロワーシップを持つ部下の存在です。「リーダーの戦略や方針が正しいとは限らない」という考え方が一般的になったのも、フォロワーシップが注目されている理由の一つでしょう。

リーダーの意思決定に疑問を感じて提言できる、そんなフォロワーの存在は今後ますます重要になると考えられます。

リーダーシップ・メンバーシップとの違い

フォロワーシップと関連のある言葉として「リーダーシップ」と「メンバーシップ」があります。間違われやすいメンバーシップとは、どのような違いがあるのかを解説しましょう。

リーダーシップとの違い

リーダーシップは、フォロワーシップの対義語です。リーダーシップには「組織の方向性を示して意思決定を行い、目的に向かってチームを導く」という意味があります。

一方、フォロワーシップは「リーダーやチーム全体に対して発揮される、肯定的な影響力」のことです。リーダーが示した方向性に従い、具体的な行動計画を立てて実行するのが、フォロワーの役割となります。

リーダーシップとフォロワーシップはお互いに補い合い、相乗効果を生み出す関係であると言えるでしょう。

リーダーシップについてさらに知りたい方は「リーダーシップ」の記事をご覧ください。リーダーシップを高める方法や、必要なスキルについて詳しく解説しています。

「リーダーシップ」については、こちらの記事をご確認ください。

関連記事:リーダーシップとは?概要や必要なスキル、具体的な高め方も解説

メンバーシップとの違い

フォロワーシップと似た言葉として、メンバーシップがあります。ただし意味合いは違うため、使う際には注意が必要です。

フォロワーシップには、リーダーを支援するという意味があります。一方、メンバーシップは「各人が、それぞれの立場で与えられた役割を果たしてチームのために尽力・支援する」という意味です。

フォロワーシップもチームや組織のために発揮されますが、リーダーを支えることが大前提となっています。支える対象としてリーダーを含むか否かが、それぞれの言葉の違いです。

フォロワーシップで得られる4つの効果



フォロワーシップが発揮されることで、組織が得られるメリットがいくつかあります。中でも大きな効果は次の4つです。

1.組織・チームが活性化する

フォロワーシップが浸透することで目標や目的が共有され、チームに一体感が生まれます。

またフォロワーシップを正しく身につけて、若手のうちから上司に提言できる力を育むことは、人材育成面で大きな効果があるでしょう。

風通しがよく活性化された組織をつくるのにも、フォロワーシップが重要です。フォロワーシップの浸透によって、やる気や責任感、自律性を育みやすい社内風土が醸成されます。

2.部下の自発的な行動につながる

フォロワーシップを身につけてリーダーの考え方を理解できれば、指示待ち族ではなく能動的に動ける人材になれます。

上司の考えを把握しフォローするためには、上司の性格や価値観、将来のビジョンが部下に共有されなければなりません。

リーダーが求めていることを察知する能力を身につけることで、部下の自発的な行動につながります。

3.上司と部下の信頼関係が構築される

フォロワーシップを身につけることで、部下がリーダーの欠点を補うことも可能となります。

キャリアが豊富で有能な上司であっても、多忙な場合は業務と指導のバランスを取ることが難しいでしょう。

部下がフォロワーシップを発揮することで、チーム全体でリーダーを円滑にサポートでき、さらに上司と部下の信頼関係も構築されます。

4.相乗効果でリーダーシップ向上につながる

フォロワーシップはリーダーシップのもとで効果が発揮されるのが基本で、単独では影響力がありません。

フォロワーシップの相乗効果によって、リーダーシップの向上にもつながります。部下がフォロワーシップを持って成長することで上司の負担が軽減し、存分にリーダーシップを発揮できるためです。

管理職であるリーダー自身が、自分の仕事や新しいことに挑戦することで、組織の成長につながる好循環も期待できます。

フォロワーシップ5つのタイプ

フォロワーシップは、次の通り5つのタイプに分類できます。それぞれの特徴を解説しましょう。

1. 模範的フォロワー

リーダーの「側近」「右腕」「腹心」と呼ばれるのが、模範的フォロワーです。

建設的な意見を持ち、リーダーに対しても積極的に提言します。自分でもメンバーをまとめる力を持っており、組織を外れた場合もリーダーと同格になれる存在です。

5つのフォロワータイプの中で、最も理想的なフォロワーであると言えるでしょう。

2. 孤立型フォロワー

批判的思考が高く、チームへの貢献度が低いタイプを、孤立型フォロワーと言います。

的確な批判や提言を投げかけてきますが、業務に対する積極性は低いです。孤立型フォロワーは、しばしば「問題児」「頑固者」などと評される場合もあります。

組織への貢献を意識づけると、理想的なフォロワーに変わる場合もあるため、行う業務や施策に対して納得感を持たせるとよいでしょう。

3. 実務型フォロワー

与えられた業務はそつなく誠実にこなせますが、それ以上は期待できないタイプを、実務型フォロワーといいます。

しっかりと仕事を遂行しますが、言われた範囲内でしか力を発揮しないため、能力が発展しにくいのが欠点です。一見バランスが取れたタイプのように見えますが、物事に挑戦する意欲が低い傾向にあります。組織の中では中立的な存在です。

高めの目標を与えても確実に遂行する力があるため、導き方次第では良いフォロワーになる可能性が高いでしょう。

4. 消極的フォロワー

組織を批判することはないが、積極的に関わることもないタイプを、消極的フォロワーと言います。

チームへの提言を行うこともなく、貢献度は5つの中で最も低いタイプです。

主体性がないように見え、組織内での存在感も薄いでしょう。フォロワーとして成長させるためには、本人の目標や希望をしっかりと確認し、やる気を高める必要があります。

5. 順応型フォロワー

順応型フォロワーは、しばしば「イエスマン」「ゴマすり」と評されます。決してリーダーを批判することはなく、言われたことや決定事項に従う存在です。

真面目で素直な点が長所で指示された業務は積極的にこなすため、組織への貢献度は高いでしょう。発言の機会を与え積極性を持たせると、フォロワーシップを高められます。

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フォロワーシップの発揮で期待できる変化

メンバーのフォロワーシップがうまく発揮されるようになると、次のような行動が期待できます。

積極的にアイデアを提案できるようになる

フォロワーシップが発揮されると、組織に役立つようなアイデアを思いつき、自主的に提案できるようになります。

ただしアイデアが採用されるためには、費用対効果も考慮され説得力を持つものでなくてはなりません。

ビジネスシーンで通用するアイデアを創出するため、ものごとを論理的に考えられるようになります。

他者を積極的にフォローするようになる

フォロワーシップが身につくことで、他者の気持ちを客観的に考える力が身につきます。それぞれの立場や役職の違いを理解し、敬意を払いながらコミュニケーションを行えるでしょう。

組織で働く中でミスや遅れが生じることを理解し、他者を自然にフォローする姿勢が身につきます。

リーダーにも限界があると理解する

リーダーや上司も完璧な人間ではないため、弱点や限界があると理解できるようになります。

リーダーに至らない点や苦手な部分があっても、非難することなくうまくフォローできるようになるでしょう。他者に完璧さを求めず、上司を含めたメンバーをフォローすることでチームに貢献します。

本来の目的を最優先できるようになる

組織として全員が同じ方向を向き、目的達成を最優先に考えられます。

人間関係のいざこざや派閥争いにとらわれることなく、真の目的を果たすことでチーム全体の生産性が上がるでしょう。

組織として成功するために一丸となって誠実に取り組むことで、成果が期待できます。

フォロワーシップを活かした行動事例について知りたい方は、「フォロワーシップ事例」の記事をご覧ください。具体的な行動事例と方法について、詳しく解説しています。

「フォロワーシップ事例」については、こちらの記事をご確認ください。

組織内でフォロワーシップを活かすための参考にしてください。

社員のフォロワーシップを発揮させるコツ

メンバーが組織内でフォロワーシップを発揮するためのコツをご紹介します。各自が、フォロワーシップを発揮できるような環境づくりを行いましょう。

自分の担当業務以外も意識してもらう

上司に指示された業務のみを行うのではなく、自分で考えプラスアルファの行動を意識してもらうことが大切です。

メンバーが自主的に行動することで、リーダーの負担が減ります。リーダーの負担が減ると、指導や組織を率いることに注力できるようになるため、組織がうまく回るでしょう。組織の成長にもつながります。

ポジティブな思考でいられるようサポートする

完璧な結果ばかりを求めずに、ポジティブ思考を意識づけましょう。マイナス点のみに着目し指摘を行うメンバーがいると、組織全体にネガティブな空気がまん延します。

万が一、失敗が生じても、前向きに考えさせることが大切です。問題が発生したときも、ポジティブ思考でいられる人材が増えれば、チームの未来は明るいでしょう。

本人のフォロワータイプを把握してもらう

メンバーが自分の能力を存分に発揮するには、各自の「フォロワーシップタイプ」を把握してもらうと効果的です。

それぞれのタイプを把握することで、自分の強みや弱みを客観的に理解できます。リーダーやメンバーのタイプも理解することで、コミュニケーションが取りやすくなり、チーム力がアップするでしょう。

リーダーへの提言を行いやすい環境をつくる

リーダーとメンバーが、本音で対話できる環境づくりを行いましょう。上位下達ではなく、建設的な議論ができる組織をつくるためです。

そのためにはまめなコミュニケーションと、共通認識のすり合わせが必要になります。提案しやすく風通しのよい職場環境をつくることで、業績アップにもつながるでしょう。

フォロワーシップを持つ人材を育成する方法

フォロワーシップを持つ人材を育成する方法には、次のようなものがあります。

環境を整える

まずは、リーダーとメンバーのコミュニケーションを強化することから始めます。メンバー側から、リーダーに提言しやすい環境をつくりましょう。

有効な施策としては、1on1ミーティングがあります。月に1回や週に1回など定期的に、上司と部下が1対1で話し合える環境をつくると効果的です。

研修を実施する

フォロワーシップスキルを高めるには、研修を行うと効果的です。

若手向けのフォロワーシップ研修では、リーダーの立場になって学べるプログラムがあります。また中堅社員向けの研修では、組織貢献力を高めるプログラムなどもあるようです。

eラーニングで行うフォロワーシップ研修や外部研修など、さまざまな方法がありますので、自社に合うタイプを検討しましょう。

関連記事:研修の効果を高めるには?効果を最大限に引き出すコツや測定方法を解説

人事評価システムの導入

人事評価システムの導入や整備を行うことで、フォロワーシップを発揮しやすい組織に変わります。

従業員の目標管理や評価までオールインワンで行える人事評価システムなら、マネジメント効果も高いです。

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フォロワーシップ研修の種類と進め方



メンバーのフォロワーシップを育み、企業として成長するためには研修の導入が効果的です。フォロワーシップ研修の種類と進め方について解説します。

管理職を補佐する中堅社員向け研修

中堅社員向けで効果的なのが、管理職を補佐し組織の成果を出すための研修です。

後輩の指導や上司の補佐など、さまざまな役割を担う中堅社員向けに特化した内容となっています。組織の中核を担う人材として、企業の目標達成のためにどう貢献するかを学ぶ研修です。

【カリキュラムの内容・進め方】

  • フォロワーシップの5タイプ分類を講義で学ぶ
  • 上司とのコミュニケーション方法をワークで学ぶ
  • 後輩の指導や支援方法をロールプレイングで学ぶ
関連記事:ミドルマネジメントの役割・求められる能力とは?課題や育成方法についても解説

フォロワーシップ研修(若手~管理職向け)

チームの生産性を高めるために、組織全体で受講するフォロワーシップ研修もあります。

若手社員や中堅社員はもちろん、管理職を含む全ての従業員が研修を受けることで、リーダーシップとの相乗効果も期待できるでしょう。

【カリキュラムの内容・進め方】

  • フォロワーシップのタイプと役割を理解する
  • 自身の立ち位置をワークで確認する
  • 他責と自責についてケーススタディで考える

折り紙ワークを行うビジネスゲーム研修

変わり種としては、折り紙を使用したワーク型のビジネスゲーム研修などもあります。若手従業員が、主体性を発揮するマインドやスキルを身につけるのに最適な研修です。

ビジネスゲームを通して、チームで成果を出すおもしろさを体感できる内容となっています。

【カリキュラムの内容・進め方】

  • 上司や先輩が求めることを考察するためのワーク
  • 株式会社を発足させる体験ゲームを行う
  • 自社ブランド立ち上げのシミュレーションゲームを行う
  • チームワーク構築に役立つコミュニケーションを学ぶ


フォロワーシップ研修について、さらに知りたい方は「フォロワーシップ研修」の記事をご覧ください。フォロワーシップ研修のカリキュラムや、行う目的について詳しく解説しています。

「フォロワーシップ研修」については、こちらの記事をご確認ください。

まとめ

本記事ではフォロワーシップの概要やタイプ別の特徴、組織で活かすためのコツなどを解説しました。フォロワーシップを正しく理解することで、リーダーシップとの相乗効果を狙え、組織の成長にも役立ちます。

従業員のフォロワーシップを伸ばして育成するためには、マーケティング視点を活かした人事システムの利用が効果的です。

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