こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
会議を円滑に進めるための進行役をファシリテーターといいます。司会進行だけでなく、会議の準備や意見のまとめなど様々な役割をこなす存在です。
本記事ではファシリテーターの概要や、注目される理由、目的、必要となるスキル、成功するポイントについて解説します。
ファシリテーターとは
ファシリテーターとは、会議の場などで参加者の発言を促し、意見をまとめて結論に導く人です。活発に意見を出し合うような会議を円滑に進めるために、欠かせない存在といえるでしょう。
会議の司会だけでなく、事前準備や目的の明確化、スムーズな進行、会議のサポート、時間管理など、様々な役割を担います。
ファシリテーターがビジネスで注目される理由
かつて、日本の企業ではリーダーが指示を出し、他の人はリーダーが示す方向に向かって一緒に進んで行くスタイルが多く見られました。
しかし、現在は1人のリーダーに全メンバーが従い、目標に向かって突き進んでいくスタイルは崩壊しつつあります。技術革新のスピードが速く、環境の変化が著しいため、過去の手法だけでは成果を上げにくくなったことが一因です。
グローバル化や多様化が進む中で、トップダウンスタイルではなく、横に広がるタイプの組織作りが注目されていることも要因の一つでしょう。
組織作りが横方向に広がると、これまでのようなトップダウンの手法は使えません。何かを決める際は、チームメンバーの意見を引き出し、まとめる必要が生じます。そのため、多くの人の意見を引き出し、それらを的確にまとめるファシリテーターが注目されているのです。
ファシリテーターの役割
会議において、ファシリテーターに求められる役割は複数あります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
会議を準備する
ファシリテーターは会議の準備をします。まず会議の方針を決めるための打ち合わせを行い、会場の場所や時間を押さえましょう。会議の参加者と方針をすり合わせておくことも、ファシリテーターの役割の一つです。
特に専門性の高いテーマの場合、テーマに対する理解度や知識量は参加者によって大きく異なります。会議の落としどころによっては、より詳細な事前説明が必要になることもあるでしょう。このように、会議のレベル感を調整することもファシリテーターの役割の一つです。事前に会議の方向性やレベル感などを定めておくと、テーマに沿った深い話し合いが可能になります。
情報の整理
会議中は、結論を出すために必要な情報を整理しなければなりません。具体的には、「参加者の発言をホワイトボードやPCにまとめる」「ランダムに出た情報をグループ化する」ことなどが求められるでしょう。
目的を明確にする
会議の目的やテーマを明確にして、「この会議の終了時に、どのような状態になるのがベストか」を事前に話し合っておきましょう。ファシリテーターは、どのような方向で会議を進めていけばよいか、把握しておかなければなりません。会議においては、「今日の目的」を最初に伝えましょう。会議中に話し合いが過熱して話が脱線した場合は、軌道修正することもファシリテーターの役割の一つです。
意見を引き出す
会議中、参加者が積極的に発言しないこともあるでしょう。そのような場合でも、ファシリテーターは参加者の意見を引き出さなければなりません。できるだけ多くの人から異なる意見を引き出すのも、ファシリテーターの役割の一つです。参加者が意見を出しやすいように、場を和ませつつ発言者の意見に興味を示すなど、話しやすい雰囲気を作りましょう。
結論を導く
参加者の意見を引き出したら、会議をまとめて結論を導かなければなりません。参加者の合意が得られるような結論となるよう、まとめていきましょう。時間管理もファシリテーターの役割の一つです。会議の中で、新たな課題が浮き彫りになることもあるでしょう。場合によっては、次回の会議の課題に回すことも必要です。
テーマによっては対立意見が多く、なかなかまとまらないことがあります。そのため「2/3以上の賛成で合意とみなす」「過半数賛成で合意とみなす」など、合意形成の方法を事前に決めておくとスムーズに会議をまとめられるでしょう。
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ファシリテーターに必要な4つのスキル
会議の準備を行い、会議中は必要な意見を引き出してまとめるのがファシリテーターの主な役割です。「どのような人が適任なのか」と悩むこともあるでしょう。ここでは、ファシリテーターに必要な4つのスキルを解説します。
これらの能力を備えていない人でも、ファシリテーター研修を受けて実践しているうちに、スキルが向上することがあります。
ファシリテーターには様々なスキルが必要です。そのため、向いている人材とそうでない人がいます。ファシリテーターに向く人材について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
「ファシリテーター向き不向き」については、こちらの記事をご確認ください。
コミュニケーション能力
ファシリテーターに必要な能力の一つに、コミュニケーション能力があります。自分の話を的確に伝える力だけでなく、人の話をしっかり聞く力、意見を引き出す力、質問力などが求められます。
ファシリテーターは、相手が理解できるように配慮しながら、会議を進行しなければなりません。会議の時間は限られているため、適切な語彙を用い、わかりやすく要約しながら伝えることが求められます。話がしっかり伝わるよう、声の大きさや話すスピードにも気を付けましょう。
また、参加者の意見を聞く力も必要です。適切な相槌を打つことで、しっかり聞いていることを示します。相手の話を途中で遮らず、最後まで聞きましょう。相手が話した内容をわかりやすくまとめて繰り返すことで、正しく理解できたことを相手に伝えられます。会議で積極的な発言が得られない場合は、参加者に質問して意見を引き出しましょう。発言しやすいように、場を和ませるスキルも必要です。
参加者が意見を出しやすくなるような、質問力も求められます。相手の理解度や状況に合わせて適切な質問を投げかけることで、意見を引き出しましょう。その際は中立的な立場で賛成意見・反対意見を引き出すことが大切です。
ロジカルシンキング
ファシリテーターには物事を体系的に捉え、筋道を立てて考えるロジカルシンキング(論理的思考力)も欠かせません。自分の意見や主観を出すことなく、中立的な立場で会議を進行するためには、客観的な視点で物事を見る力が必要です。
ロジカルシンキングとは、原因と結果の関係を客観的に把握して、課題解決に導く能力のことです。ロジカルシンキングを身に付けると、ファシリテーターに必要な「客観的に物事を見る力」を養うことができます。
筋道を立てて、短くわかりやすい論理を展開できるため、自分の考えが相手に伝わりやすくなります。また、複雑な課題を適切に切り分け、要素ごとに分析し、結論を導くこともできます。問題や課題の本質を捉えて、その原因を究明できるでしょう。
ロジカルシンキングを身に付けると、問題解決能力も向上します。議論の本質を見極める力が付くため、会議の進行やまとめをスムーズに行えるでしょう。
調整力
会議参加者の利害関係を踏まえて、全体的に納得度の高い解決策を探る能力が調整力です。関係者すべての利害を把握する情報収集力や分析力、参加者全員に配慮する能力などが求められます。ファシリテーターは、自分の意見を押し付けてはいけません。中立的な立場で発言者の意見を調整し、多くの人が納得できるような結論へと導く力が必要です。
時間管理力
会議の時間は限られています。参加者には次の予定があるでしょう。ファシリテーターは会議を進行しながら、予定の時間までに終わるよう時間配分をしなければなりません。そのため、限られた時間を効率的に使う工夫が必要です。
時間管理力も、ファシリテーターに必要な能力の一つといえるでしょう。会議の時間を踏まえて、終了までの流れと時間配分を事前に予測しておきましょう。実際の時間と予測した時間にずれがある場合は、時間を調整しなければなりません。終了時間までに結論が出るよう、会議を円滑に進行することが求められます。
ファシリテーターを育成するには
「従業員をファシリテーターとして育成するにはどうすれば良いのか」と悩んでいる方もいるでしょう。ここでは、2つの方法について解説します。
ファシリテーター研修
ファシリテーターには様々な能力や技術が必要です。研修ではファシリテーターに必要なスキルや能力、会議を円滑に進めるための手順・手法などを学ぶことができます。
ファシリテーター候補の従業員だけでなく、会議参加者全員で研修を受けると、会議の理想的な進め方やファシリテーターの必要性などを共有できるのでおすすめです。時間が確保できない場合、候補者以外の従業員は短縮版の研修を受講しても良いでしょう。
研修では、「参加者の課題の認識にずれはないか」「会議の正しいプロセス」「具体的な手法」などを学べます。
会議参加者がファシリテーターの役割や意義を理解すると、会議に参加する際の心得や考え方が身に付き、行動が変わるため、それまでと比べてスムーズに会議を進行できるでしょう。
ファシリテーターを育成するためには、研修が有効です。具体的なファシリテーター研修や研修後の活用方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
「ファシリテーター研修」については、こちらの記事をご確認ください。
グループを作って学ぶ
一度研修を受けただけでは、すべてのスキルを身に付けて使いこなすことは困難です。社内にファシリテーター希望者が複数いる場合は、グループを作って一緒に学ぶことも検討しましょう。実際にグループ会議を行いながら、互いにファシリテーターのスキルを磨くことができます。
ファシリテーターが会議を成功させるためのポイント
ファシリテーターとして会議を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、会議の成功に欠かせない3つのポイントについて見ていきましょう。
ファシリテーターとしてスムーズに会議を進めるには、会議の準備の仕方やコミュニケーション力アップなど、いくつかのコツをつかまなければなりません。具体的なコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
「ファシリテーター コツ」については、こちらの記事をご確認ください。
しっかり準備する
会議を成功に導くには、事前準備が非常に重要です。
会議のゴールや会議での検討内容をあらかじめ確認しておき、参加者とすり合わせます。参加者同士の顔ぶれを把握し、シミュレーションしておくとスムーズに進むでしょう。
参加者全員が社内の人の場合は、誰がどの程度発言するか予測し、意見がまったく出ない時は誰に声をかければ良いか、どのように話を聞き出すべきか、ある程度決めておくと当日慌てずに済みます。
会議に必要なメンバーをそろえる
「ファシリテーターが同時にすべての役割を担うのは、負担が大きすぎる」と考える人もいるでしょう。会議をスムーズに進めるために必要なメンバーをそろえておくと良いでしょう。ファシリテーター以外に、会議の進行に必要なメンバーは以下のとおりです。
- 議長:会議全体をまとめる
- 書記:会議中の板書や会議終了後の議事録を作成
- タイムキーパー:会議時間の管理
ファシリテーターの仕事を複数人で分担することも、会議を成功させるポイントといえます。
ルールの共有
会議をスムーズに進めるためには、事前にルールを作り、参加者と共有しておくことが大切です。
例えば、以下のようなルールです。
- 他者の意見を最後まで聞く
- 他者の意見を否定しない
- 発言する時は要点を絞る
- 反対の場合は、代替案を用意する
毎回会議が伸びるようであれば「時間厳守」、ファシリテーターの発言を遮る人がいる場合は「ファシリテーターの発言を遮らない」など、必要なルールを作り、見える所に貼っておくとよいでしょう。
板書する
会議中に参加者の発言を板書してまとめると、参加者は内容を理解しやすくなります。また、情報の整理にも役立つでしょう。ファシリテーターが会議を進行しながら板書するのは負担が大きいため、別途書記担当の人を決めておくことをおすすめします。ホワイトボードへの板書は時間がかかる、板書が苦手という場合はPCを利用し、PC画面をプロジェクターで映し出すと良いでしょう。
まとめ
会議を円滑に進めて有益な結論を出すためには、ファシリテーターが欠かせません。ファシリテーターは中立的な立場で参加者から多くの意見を引き出し、時間内に参加者の納得度が高い結論を導き出すことを求められます。
ファシリテーターは会議の進行はもちろん、事前準備もしっかり行わなければなりません。ファシリテーターに適した人は、コミュニケーション能力やロジカルシンキング、時間管理能力に優れた人です。社内でファシリテーターを育成したい場合は、ファシリテーター研修を検討するとよいでしょう。
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