育児休業の延長の手続き方法は?子どもの年齢と延長期間や給付金について解説


育児休業の延長の手続き方法は?子どもの年齢と延長期間や給付金について解説

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

待機児童問題は徐々に解消されつつあります。しかし、中には「保育園に入れなかった」などの理由から育児休業(以下、育休)の延長を希望する従業員も少なくありません。その場合、企業としてどのように対処すればよいのでしょうか。

企業としても育休の延長がどのような仕組みになっているか正確に理解しておく必要があります。本記事では、育児休業の延長について、期間や給付制度についてみてしていきましょう。


育児休業の延長の申請方法

育休を取れる回数は、1歳までの育休で2回、1歳6か月及び2歳までの育休で各1回とされています。しかし特別な事情があれば、育休を取得したあとでも再び申請可能です。

たとえば、休業しなければ育児ができない場合、延長は認められやすいといえるでしょう。育休の期間に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
「育児休業期間」については、こちらの記事をご確認ください。

従業員の申請方法

育休の延長が必要な従業員は、事業主に以下の書類を提出しなければなりません。

・育休期間の延長を申請する書類(育児・介護休業期間変更申請書など)
・延長が必要な理由を証明する書類(入園不承諾通知など)

申請のルールに関しては、企業が任意で定めることになっているため、企業としては従業員へ設定した規則を周知しておくことが重要です。就業規則への記載なども徹底しましょう。

企業側で行うこと

従業員から育休延長の申し出を受けた事業主は、育休期間の変更手続きを完了した後、従業員に対して以下の項目を記した書面を通知します。

・変更後の期間やその期間の給与
・復職時の労働条件

社会保険料の免除や育児休業給付金を延長する手続きも必要であるため、期間が延長された場合は忘れずに行いましょう。また、社会保険料に関しては、次のように決まった場所で手続きを行う必要があります。

・年金機構の事務センターや管轄の年金事務所
・育児休業給付金に関してはハローワーク

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育児休業の延長が認められる要件



育児休業の延長が認められる要件は、対象となる子どもの年齢によって異なります。1歳まで、1歳6カ月と2歳までの制度の違いを把握しておきましょう。

1歳までの子どもの育休の場合

1歳までの子どもの育休期間を延長できるのは、以下の7つの理由です。

・新たな産前・産後休業、産後パパ育休、育児休業又は介護休業の開始により育児休業が終了した場合で当該休業に係る子又は家族が死亡等した場合
・配偶者が死亡した場合又は負傷、疾病、障害により子の養育が困難となった場合
・離婚等により配偶者が子と同居しないこととなった場合
・子が負傷、疾病、障害により2週間以上にわたり世話を必要とする場合
・保育所等入所を希望しているが、入所できない場合
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

また、保育を希望して却下された場合は、「保育所に入所の申し込みを行って断られた」という事実が必要です。従業員への説明時も明確に答えましょう。

1歳6か月または2歳までの子どもの育休の場合

1歳6か月または2歳までの子どもの場合は、1歳までの子どものときと比べて延長できる要件が限定されます。

・新たな育休取得によってその子どもの育児休業期間が終了したが、新たな育休の対象となった子どもが亡くなった、他の家庭の養子になったなどの理由から同居しなくなったとき
・介護休業の開始により育休が終了したが、介護休業の対象である家族が亡くなった、または離婚などによって対象者と労働者の親族関係が解消されたとき
(出典:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」

それぞれの該当要件を明確に解説できるようにすることが大切です。場合によっては、資料にまとめてもよいでしょう。

延長時の育児休業給付金

育児休業給付金とは育休期間において、雇用保険から「賃金の日割金額×育休の取得日数×67%(取得日数が181日以降は50%)」の金額が支給されるものです。

育児休業給付金を受給できるのは基本的に1年ですが、延長が認められた場合は、対象となる子どもが2歳になるまで受け取れます。ただし、育休中も事業主から賃金が支払われている場合は、通常の賃金の割合に応じて、給付金が減額される点には注意が必要です。

育児休業給付金を延長して受け取るための申請方法

育児休業給付金を申請するためには、事業主がハローワークへの書類を行う必要があります。提出育休の延長が決定した後に、延長が必要なことを確認できる書類を用意して申請しましょう。

保育所に入れなかったことが理由であれば「市町村が発行する証明書」、配偶者が亡くなり従業員の養育が必要になったことが理由であれば「住民票の写しと母子手帳」がそれぞれ必要です。

父母で取得できる育休の違い

2021年6月の育児介護休業法の改正によって追加された制度により、今までよりも柔軟に従業員が育休を取れるようになりました。母親と父親では、育休が取れる期間や制度などが異なるため、申請を受ける企業としても違いを把握する必要があります。

育休を取得できる期間については以下の記事で解説しています。
「育児休業期間」については、こちらの記事をご確認ください。

母親の場合

母親の場合、産後8週間休業と育児休業が取得可能です。育休を延長をしなかったとしても、両方合わせて1年間取得できます。

父親の場合

父親の場合、産後パパ育休(出生児育児休業)と育児休業が取得できます。産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に4週間まで、2回に分割して取得でき、労使協定を結べば休業中の就業も可能です。育休延長がない場合は、1年間取得できる点も知っておきましょう。

男性の育休に関しては以下の記事で解説しています。
「育児休暇男性」については、こちらの記事をご確認ください。

パパ・ママ育休プラスとは

パパ・ママ育休プラスとは、両親が共働きであることなどを条件に、父親と母親が育休を取ったうえで通常の1年よりも育休期間が長くなる制度です。たとえば、子どもが6月20日に誕生したとしましょう。通常通りに育休を取ると、子どもが1歳になる前日である翌年の6月19日に育休が終了します。しかし、パパ・ママ育休プラスを利用すれば、以下のような育休の取得が可能です。

・子どもが生まれて8週間は両親で育休を取得(6月20日〜)
→続けて母親が育児休業を取得して、父親は職場に一時復帰
→子どもが1歳になる(翌年6月19日)
→母親の復職と入れ替わりで、父親の育休がスタート(翌年6月20日〜)
→父親の育休が終了(翌年8月19日)

この場合、育休を延長することなく、子どもが1歳2ヶ月になるまで育休が取れます。しかし、取得には以下の3つの条件がある点にも注意が必要です。

・子どもが1歳になる前に、育休の取得を予定する労働者(以下、育休取得予定者)の配偶者が育休を取得している
・育休取得予定者の育休開始日が、子どもが1歳になる前である
・育休取得予定者の育休開始日が、配偶者の育休取得開始日よりも後である

育児・介護休業法の改正で変わった点



2021年6月の育児・介護休業法の改正によって、従業員にメリットが増えただけでなく、企業に求められる取り組みも追加されました。

現在の事業規模では対象になっていない企業が、将来的に従業員数が増加して対応が必要になる可能性のある内容も含まれます。人事担当者の方は、ここで紹介する全ての変更点を把握しておくとよいでしょう。

産後パパ育休の導入

法改正前まで認められていた、産後8週間以内に夫が育児休業を取得した場合、もう1回育児休業を取得できる「パパ休暇制度」が廃止され、産後パパ育休と育休の分割取得へと見直されました。

子どもが産まれて8週間以内であれば、4週間の育休を取得できます。2回に分割しての取得も可能なので、従業員から申請された際に対応できる体制づくりが求められるでしょう。

育休の分割取得が可能

改正前までは1回のみの取得でしたが、育児休業を2回まで分割して取得できる仕組みに変更されました。

取得の際にそれぞれ申し出なければいけませんが、両親の片方が取得している間にもう一方が復職するなどの柔軟な育休取得が可能になるでしょう。

共働きの世帯は増加傾向にあるため、企業としても対応が必要になるでしょう。

育児休業の取得状況の公表が義務付け

従業員が常時1000人以上いる企業に対して、取得状況の公表が義務化されました。

計算方法は以下の2つのどちらかです。

・育休等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
・育児休業等をした男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数の合計数÷配偶者が出産した男性労働者の数 

事業年度末から3か月以内に公表することが求められています。

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和

改正前の「引き続き雇用された期間が1年以上」という条件が撤廃され、「子どもが1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という条件のみになり、幅広い従業員が育休を取得できるようになりました。

ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者においては、労使協定の締結することにより除外できます。

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務化 

育休を取得しやすい雇用環境の整備とは、育休の制度に関する研修の実施や相談窓口の設置などが挙げられます。

個別の周知・意向確認も義務化されており、面談や書面などでの制度説明が必要です。

なお、取得を控えさせるような形での周知や意向確認は認められていません。

まとめ

従業員の育休の延長は、要件を満たせば子どもが満2歳を迎えるまで可能です。企業の認識不足から従業員が育休を延長ができないといった不利益に繋がらないように、延長に関する制度を理解しておきましょう。
タレントパレットでは、人材データの分析や異動シミュレーションなどの機能があるため、従業員が育休を取得した場合の想定も可能です。また、労務や健康の管理なども行えるため、育休前後の従業員の体調を気遣うことも可能です。育児休業制度をより活用したい場合は、タレントパレットの導入を検討してみましょう。

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