こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
文章や図表などで説明できる知識を形式知といいます。言語化された知識やマニュアル化された情報など、他人と共有できる知識です。「業務マニュアル」「プレゼン資料」など、ビジネスの場でも、形式知で知識を共有する機会は多いでしょう。
本記事では、形式知について、暗黙知との違いやメリット、ナレッジマネジメントとの関連性について解説します。
形式知とは
形式知とは、文章や図表、数式などで説明できる知識です。可視化できるため、多くの人と知識を共有できます。
文章や図式、動画などを見聞きすることで、誰でも意味を理解できるのが特徴です。
ビジネスの場でも広く活用されており、例えば、「業務マニュアル」「説明書」「業務の引き継ぎ資料」など多くのものが該当します。
ナレッジマネジメントとの関連性
個人が持つ有益な知識やノウハウを組織で共有し、活用することをナレッジマネジメントといいます。ナレッジマネジメントは、経営学者の野中郁次郎氏が広めた言葉です。
長年仕事をしていた人が、その人の経験に基づく勘に従って良い仕事をしていた場合、その知識やノウハウは他の従業員と共有することはできません。
知識を共有するには、経験に基づく勘を言語化できるところまで落とし込み、ノウハウやマニュアルに変換することが必要です。
ナレッジマネジメントを充実させるには、これまで可視化できなかったものを、「形式知」として言語化する必要が生じます。
形式知と暗黙知の違い
暗黙知とは個人の経験や勘、なんとなくの感覚で実践していることなど、言語化して他人に説明することが難しい知識や技です。例えば、言葉で伝承できず弟子入りして目で見て覚えるしかない、「職人技」などが該当します。
他人には説明が難しく、感覚が必要となる「車の運転技術」「人の顔の見分け方」なども暗黙知です。ビジネスの場においても、「接客時の話術」や「デザイナーのセンス」「熟練工の技」「ベテランの知見」など多くの暗黙知が存在します。
暗黙知は形式知に変えて活用しよう
暗黙知を形式知に変えることで、様々な分野で利便性が向上します。ここでは、暗黙知を形式知に変えることで活用できる3つの分野を見ていきましょう。
属人化を防ぎ技術の継承に役立つ
これまで、様々な分野で職人の技術や知識は個人の感覚で行われていたため、形式知に変えることはできないといわれてきました。
特にものづくりの現場では、後世に技術を残すため技能や技術を後継者に伝承する「技能承継」が必要です。暗黙知のみの場合、全ての技能継承は師匠に弟子入りして、師匠の様子を見ながら学んでいくことしかできません。
この手法では、適切な時期に弟子が入ってこないと、技能継承ができず技能や技術が途絶えてしまいます。
暗黙知を知識地に変えることで、文字や情報として技術を継承することが可能です。他の人が、形式知に変換された情報を元に技術を再現できます。また、 文字や情報に変換することで、AI などの最新技術を用いて同じ技術や技能が再現できることもあるでしょう。
技術の属人化を防ぎ、特定の職人のみが保有している技術を他の人にも伝えられる点は、暗黙知を形式知に変えることの大きなメリットです。
人材育成や研修などにも役立つ
人材育成や研修などにおいても、暗黙知の形式知化は効果を発揮します。今まで暗黙知だったため言語化できなかったものを形式知に変えておけば、広く従業員の間で共有できます。
これまでは習得のために多くの時間を費やしていた技術も、形式知として表現することで広く早く多くの人が身に付けられるようになるでしょう。
生産性の向上やスピーディーな人材育成が期待できます。
形式知への変換でナレッジマネジメントとなる
暗黙知から形式知に変換すると、企業内で知識や技術が広く共有できるため、ナレッジマネジメントが可能になります。
例えば、現在は経験を積んだベテランの人にしかできないような勘が必要な業務も、丁寧に言語化することで他の従業員が実践できるようになるでしょう。
ナレッジマネジメントを進めると業務の属人化が防止できます。「あの人にしかできない」という仕事が減少し、誰でもその業務がこなせるようになる点が業務の俗人化を防止することのメリットです。
社内の暗黙知を減らし形式知に変換することで、一部の人だけが持つ高い技術を皆で共有できるため、従業員のスキルの底上げが期待できます。従業員のスキルが底上げされ属人化した業務が減少すると、多くの業務をメンバー間でシェアできるでしょう。
従業員の退職や部署移動する際の引き継ぎがしやすくなる点も、形式知として様々な知識や技術を言語化しておくことのメリットです。
暗黙知から形式知へ変換する場合は動画や写真なども用い、なるべく多くの従業員が理解しやすい形にすることを意識しましょう。
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ナレッジマネジメントを行う場合のポイント
ナレッジマネジメントの導入を検討している担当者の方もいるでしょう。ここでは、社内でナレッジマネジメントを行う際のポイントについて解説します。
ナレッジの共有を意識する
「ナレッジ(業務上得た知識や知見)」を共有することを意識しましょう。そのためには、暗黙知を形式知に変換しなければなりません。変換するには、「SECIモデル」と呼ばれるフレームワークを活用しましょう。SECIモデルは次の4つのプロセスで構成されています。
- 共同化(Socialization):個人が積み上げた暗黙知を暗黙知のまま共有する
- 表出化(Externalization):暗黙知を形式知に変換する
- 結合化(Combination):形式知を複数組み合わせ、新たな形式知を作る
- 内面化(Internalization):形式知を実践する中で、個人が新たな知識や経験、技術などを暗黙知として得る
SECIモデルを活用すると、組織の中でノウハウを蓄積しながら新たな形式知を創造し続けることが可能になるでしょう。
これまでのやり方にこだわらない
これまでも、企業内で数々のマニュアルを作成しているでしょう。しかし、今までの手法だけにこだわり続けるのが正解とは限りません。
例えば、従来は文章と図表でマニュアルを作成していた企業であっても、これからは動画の導入を検討してみても良いでしょう。動画は文章と図表以上に多くの情報を伝達できます。文章だけでは伝えづらい製造に関する技術なども、動画化すれば伝達しやすくなるでしょう。
形式知の検索にはITツールの導入が適しています。動画や文章などをデジタルで保存すれば、必要な情報をいつでも簡単に引き出すことが可能です。
必要な情報をいつでも検索できるようにまとめておくと、新人研修にも利用できます。従業員が自分の好きなタイミングで閲覧できる状態になれば、各従業員のスキルアップにつながるでしょう。
ナレッジマネジメントの流れを把握し実施する
ナレッジマネジメントを導入する流れは次の通りです。
まず、ナレッジマネジメントを導入する目的を明確にしましょう。暗黙知を形式知に変換し、社内で共有するためには時間やコストがかかります。反対の声が上がることもあるでしょう。ナレッジマネジメントを導入するメリットや目的、導入の目標などを立てて社内で共有します。
次に、社内で可視化して共有すべき情報を洗い出します。従業員が困っていることを洗い出すと、どのような情報を共有すべきか明らかになるでしょう。
情報を共有するには手間がかかり、従業員に浸透させるには時間がかかります。業務プロセスの中に情報を共有するフェーズを組み込むと、自然な流れで適切に情報共有できるでしょう。
実施してしばらくしたら見直しが必要です。企業として欲しい情報が共有されているか、目標達成の方向に向かっているかなどを定期的に確認しましょう。当初の想定と異なる流れになっていた場合は改善が必要です。
ナレッジマネジメントを社内に根付かせるには時間がかかります。そのため、一連のナレッジマネジメントの流れを把握したうえで実施し、時間をかけて根付かせていくと良いでしょう。
まとめ
暗黙知を形式知に変換すると、ナレッジマネジメントで管理できます。社内に多くの形式知を残すことは、業務の属人化防止につながります。
暗黙知は他の人に伝えることができません。社内で情報共有したい場合は、あらゆる手段で暗黙知を形式知に変換することが大切です。文章化しづらい技術系などの暗黙知は、動画での保存も検討してみましょう。
ナレッジマネジメントを導入すると、社内の形式知は膨大なものになると考えられます。ITツールの導入を検討すると管理や検索がスムーズになるでしょう。
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