評価エラーとは|評価エラーの定義や発生原因・企業に及ぼす影響・対策などを解説!


評価エラーとは|評価エラーの定義や発生原因・企業に及ぼす影響・対策などを解説!

評価エラーとは、人事評価で起こる不適切な評価を指します。人事評価を行う際に、評価エラーが起こることはできるだけ避けなければいけません。この記事では、人事評価を行う担当者に向けて、評価エラーとは何なのか、評価エラーが起こる原因などを解説します。あわせて、評価エラーによる影響や対策なども解説するので、参考にしてください。

評価者が注意すべき評価エラーとは?

そもそも評価エラーとは何なのでしょうか。ここでは、評価エラーの定義や評価エラーが起こる背景について解説します。

評価エラーの定義

評価エラーとは、人事評価が適切に行われないことをいいます。評価者の主観が入り第三者視点で判断できていなかったり、理解不足などが原因で、評価エラーが起こるとされています。

評価エラーは、評価者が意識せずに起こっていることが多く、評価者自身が気づかないケースも多いようです。そのため、なぜ評価エラーが起こるのか、発生原因を把握することが重要です。

評価エラーが起こる背景

人事評価は人が行うものです。そのため、評価者が先入観や主観、感情などを含めずに評価することは難しくなっています。どうしても、評価対象者に対するイメージなどに引っ張られて、評価をしがちです。先入観にとらわれず偏りのない評価をするためには、評価者自身が評価エラーを起こさないように意識することが重要です。

評価者に求められるスキル

評価者として必要なスキルは、評価対象者を適切かつ公正に評価するための視点をもつことです。評価対象者の仕事ぶりや成果、業績などを、先入観や自分自身の感情を除いた状態で、公平な視点から見なければいけません。客観的な視点から評価をして、評価者と評価対象者双方が納得できるような評価を行うことが大切です。

HRテクノロジーを活用すれば、実際の評価データをもとに評価エラー診断を行うことが可能です。

評価エラーの主な発生原因

評価エラーが発生する原因は何なのでしょうか。ここでは、評価エラーの主な発生原因を解説します。

1. ハロー効果

ハロー効果とは、評価対象者の目立った特徴に引っ張られた評価をしてしまうことです。たとえば、「○○くんは、有名大学をよい成績で卒業したから優秀な人材であるはずだ」「語学が堪能だから国際的な人材だ」「身だしなみが整っていないから、仕事の不備も多いだろう」というように、特徴に引っ張られると適切な評価ができなくなります。

2. 中心化

中心化傾向とは、できるだけ中間の評価をしようという人間心理のことです。たとえば、5段階評価で対象者を評価する場合、成果や業務態度などに関わらず、真ん中の「3」という評価にしようという心理が働きます。中心化は、評価者が自分の評価に自信がもてない場合や、評価対象者へ過度に配慮してしまうことなどが原因で起こりやすくなります。

3. 極端化

極端化とは、評価が一方に振り切れてしまうことで発生する評価エラーです。たとえば、10点満点中「1点」や「10点」、「最低」や「最高」などのような評価を指します。

寛大化

寛大化とは、評価が寛大になりすぎたり甘くなりすぎたりすることで発生する評価エラーです。部下に対して感情移入したり過度に配慮しすぎたりして、成果や仕事ぶりなどに関わらず評価を甘めにしてしまうことで起こります。

厳格化

厳格化とは、逆に評価が厳しくなりすぎることで発生する評価エラーです。部下を評価するときに、自分自身の実績やスキルを基準にしたり、部下に対する期待値が過度に大きすぎたりする際に起こりやすくなります。

4. 逆算化

逆算化とは、最終的な評価を先に決めて、その評価に帳尻を合わせようとして起こってしまう評価エラーです。たとえば、先に最終評価は「10点」、昇給させるというようにあらかじめ決めてしまい、その評価に達するように各項目を評価します。各項目の評価基準をしっかり検討することなく点数化してしまうことで、公正な評価ができなくなります。

5. 論理誤差

論理誤差とは、評価対象者の実績や成果、仕事ぶりなどの事実を確認せずに、評価者の推論だけで評価してしまう評価エラーです。たとえば、「長年経理に携わっているから、細かな業務に強い」「高学歴だから業務遂行能力も高いはず」というように、自分の考えや論理だけで評価を行ってしまうケースがあげられます。

6. 対比誤差

対比誤差とは、評価者自身のスキルや能力を基準に評価してしまうことで起こる評価エラーです。人にはそれぞれ、得意なことと不得意なことがあります。評価者自身を基準にすることで、得意な分野や専門分野に対しては評価が厳しくなり、評価者の不得意なことに対しては評価が甘くなってしまうなど、公正な評価ができなくなります。

評価エラーが企業に及ぼす影響

評価エラーが起こることで、企業にはどのような影響があるのでしょうか。ここでは、評価エラーが企業に及ぼす影響を解説します。

社員のモチベーション低下につながる

評価エラーが起こってしまうと、社員に対して正当な評価が行えなくなります。そのため、社員自身が自分の働きを評価されていない、正当な評価が得られていないと感じてしまい、勤労意欲が下がってしまいます。仕事に対するモチベーションが低下することで業務が雑になり、さらに評価が低下するという悪循環に陥る可能性もあります。

組織全体の雰囲気が悪化する

評価エラーが起こってしまうと、部下が評価に納得できずに不満を抱えるようになります。そのため、上司と部下の間で信頼関係が失われる、不信感が芽生えてしまう可能性があるでしょう。不満が溜まってしまった結果、組織全体の雰囲気が悪化してうまく連携が取れなくなる、生産性が低下するなどの影響が出てしまいます。

離職率が高まる

前述したように、評価エラーによって社員のモチベーションが低下したり、職場の雰囲気が悪くなるなど職場環境が悪化したりします。これらが積み重なっていくことで、離職率が高まる可能性があるため、注意が必要です。離職率が高まることで人材不足に陥ってしまい、企業全体の生産性低下につながってしまいます。

成長スピードや組織力が低下する

評価エラーが起こることで、社員のモチベーションが低下したり企業への不信感が募ります。それにより、優秀な人材がいてもその能力を発揮できない、優秀な人材を発見できないなどの問題が起こります。これにより、企業としての成長スピードが鈍化してしまったり、組織力の低下につながったりするため注意が必要です。


評価エラーを防ぐための対策とは?

評価エラーを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。以下では、評価エラーを防ぐための対策を解説します。

評価基準を明確にする

評価基準が曖昧なままでは、評価エラーが発生しやすくなってしまいます。基準が明確でないと、評価者の主観や感情が入りやすくなります。客観的に評価するために、具体的な評価項目や評価基準を定めることが必要です。また、5段階評価や10段階評価だと、中心化傾向が起こりやすくなるため、6段階評価などにするとよいでしょう。

具体的な目標を設定する

具体的な数値目標を設定することも重要なポイントです。たとえば、社員それぞれの売上高や契約件数、業務効率化など、具体的な目標を決めます。数値化できる目標は明確な数値として目標設定しましょう。しかし、中には数値化できない目標もあります。その場合には、定性的な評価目標を定めるとよいでしょう。

評価基準を社内で共有する

評価基準は社内で共有しましょう。評価者の個人的な感情や主観、先入観などの偏った視点を改善するためには、評価者同士で評価基準を共有して、すり合わせることが重要です。第三者の視点を取り入れることで、偏った評価を改善しやすくなります。また、評価者は明確な評価基準や評価の根拠を示して、評価対象者へと伝えることも大切です。 

面談を通じて目標設定の見直しを行う

評価期間は一般的には6か月から1年程度と長くなります。そのため、評価者と評価対象者で定期的に面談を行って、目標の達成状況やプロセスなどを確認しましょう。長い評価期間で目標が曖昧になる、社会情勢や環境の変化で目標設定の見直しが必要になるなどのケースもあります。そのため、定期的に面談し目標設定を見直しましょう。

被評価者の行動を記録しておく

前述したように、評価期間は長期にわたります。そのため、評価者が感じた第一印象や、直近の仕事ぶり、成果などで評価をしてしまいがちです。一部分だけの評価では、公正な評価ができないため、評価期間全体を通して評価できるようにしましょう。評価対象者の行動を記録して、客観的な事実として評価できるようにすると効果的です。

評価者研修を行う

公正かつ適切な評価を行うためには、評価者自身が評価制度や評価の在り方に対してしっかりと理解する必要があります。評価者のスキルを高めるために、評価者研修を行うとよいでしょう。評価者研修では、人事評価の目的や注意点、評価の手順などについて学べます。また、評価者としての能力や意識を高めることも可能です。

まとめ

評価エラーとは、評価者の先入観や感情が入る、人事評価に対する理解不足などが原因で起こる不適切な評価です。評価エラーが起こると、企業に悪影響を及ぼすため、評価エラーが起こらない仕組みづくりが重要です。

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