エニアグラムの概要
人事領域のエニアグラムとは、社員の適性を知る性格判断のことです。以下にて詳しく解説します。
エニアグラムとは
エニアグラムとは、9個の点を持った円周とそれらの点をつなぐ線から成り立つ幾何学図形のことです。人事領域でのエニアグラムとは、この幾何学図形をシンボルとして性格判断に応用したもので、1950年代に確立しました。社員をテストによって9つの性格に分類し、適性や仕事とのマッチングなどを判断するために使われています。
診断テストの方法
エニアグラム診断を行うテストは、「リソ=ハドソン式エニアグラム性格タイプ診断(RHETI)」が第三者機関による検証を受けた唯一の手法です。一般的にエニアグラム診断はグループワークを通して行い、そのなかで自分と他者との共通点や相違点を確認しながら自己理解へとつなげていきます。
エニアグラムで自己分析と適職診断ができる
エニアグラム診断を活用することで自己理解と同時に他人の理解も促し、自己成長や組織全体の豊かで円滑な人間関係を構築できるとされています。また社員の性格や性質が仕事とどれだけマッチングしているかという、相性や適性を把握することにも役立ちます。
エニアグラム診断するメリット
エニアグラム診断を行うことで社員の適性が明確になるほか、さまざまなメリットがあります。以下にて詳しく解説します。
社員の適性がわかる
エニアグラム診断により社員がどんな性格をしているのか、どんな考え・価値観を持っているのかなどを客観的にとらえることができます。社員自らも自己理解が深まり、就職や転職先の選択などに役立てられます。
社員が行動を起こすモチベーションがわかる
エニアグラム診断では、社員がどんな要因で行動を起こすのか、その動機なども明確になります。きっかけがわかっていれば、やる気が出ないときなどの対処法を構築でき、社員の行動喚起に利用できます。
社員が自己の価値観を知り課題を克服する
エニアグラム診断で、社員が自分自身を再発見・再認識でき、自らの課題を克服できれば自己成長につなげられます。ミスや失敗の繰り返しで自己評価が低くなると、仕事の効率が鈍化し悪循環に陥りやすくなります。エニアグラム診断で自分の価値を見直すことができれば、自信を取り戻して仕事への意欲も復活することでしょう。
組織内の円滑なコミュニケーションが実現する
エニアグラム診断によって社員が自分の性格やタイプを知ると、他者との適切な距離感や対応を取れるようになるため、円滑なコミュニケーションが実現します。相手の性格もわかれば、トラブルなどを未然に回避できるでしょう。
他者の価値観理解でチームパフォーマンスが高まる
このほかエニアグラム診断で他者のことも理解すると、良いところを伸ばし合い、不足部分を補い合うような関係構築につながります。それぞれが支え合うことでチームパフォーマンスが向上し、生産性アップも期待できます。
エニアグラムの活用方法
続いて、組織におけるエニアグラムの活用方法を解説します。組織の運営だけではなく、採用活動や人材育成など様々な分野でエニアグラムは効果を発揮します。
採用活動
組織のメンバーを検討する採用活動にエニアグラム診断を導入することで、さまざまなタイプをバランス良く採用できます。不足しているタイプを補う場合にも役立つことでしょう。
人材育成
エニアグラム診断により個人の性格や特性が明らかになれば、それに合わせた人材育成が可能です。効果的で効率的な育成ができ、1人ひとりに最適なモチベーションを与えられるため、生産性向上も期待できます。
組織運営
エニアグラム診断を活用すれば、部下の性格や強み・弱み、行動パターンなどを把握できるため、マネジメントをしやすくなるメリットもあります。良好な組織運営ができれば、組織力向上にもつながることでしょう。
チームビルディング
メンバー同士でエニアグラムを共有すればお互いを深く知ることができ、信頼関係構築につながります。仕事もスムーズに進み、効率も上がることでしょう。
エニアグラム診断でわかる9つの性格タイプ
ここからは、エニアグラム診断で分類される9つの性格タイプを、それぞれの長所・短所も含めて紹介します。
タイプ1:改革する人
高い理想を持ち、その実現へ向けて努力をする完璧主義者。責任感が強く真面目でしっかりしているため、頼りにされる。一方で融通がきかず、人の欠点に目がいきやすい特徴がある。
タイプ2:助ける人
親切で困っている人を見過ごすことができないタイプ。思いやりがあり人の気持ちを考えながら励まし支えるため、職場のつながりが強まって良い雰囲気になる。一方1人になることが苦手で、尽くして感謝されないと落ち込む。
タイプ3:達成する人
高い理想をもち結果にこだわる。組織のリーダーになることが多く、チーム内のモチベーションを高め部下の可能性を引き出す。半面他人を道具のように扱い、落ちこぼれを無視する傾向もある。
タイプ4:個性を求める人
感受性が豊かで他者の心の機微に敏感。個性を重んじ、相手の気持ちを尊重した関わり方ができる。好き嫌いがはっきりしていて、平凡で単調な仕事をすることが苦手。気分のムラによって部下に影響を与えてしまいがち。
タイプ5:調べる人
行動する前に情報収集し分析してから動き出すタイプ。冷静かつ客観的で俯瞰で物事を見るため、参謀役などに向く。結果よりプロセスを重視する。自分自身で考え結論を出すことを好むが、他者と共有しない。
タイプ6:忠実な人
誠実でまじめな性格で、周囲の人と上手に関わろうとする。ジェネラリストとして、人・モノ・カネといったリソースの動きをバランス良く管理できる。反面マイナス要因から考え始め、思いきった行動に出ない。部下に細かく指導しすぎる。
タイプ7:熱中する人
人生を楽しみたいと、欲望のまま興味の赴くまま行動するアクティブなタイプ。逆境でも前向きな気持ちにさせるムードメーカーで、アイデアが浮かべばすぐ動く。反面思いつきで行動・発言するため、周囲を困惑させることも。
タイプ8:挑戦する人
周囲に遠慮せずにはっきりものをいう、自己主張が激しいタイプ。自分の力を信じて道を切り開く。負けず嫌いの親分肌で、意思が強く決断力があるため頼りがいがある。反面寂しがりやで、無理して自分を大きく見せる。
タイプ9:平和を好む人
穏やかで安定感があり、自分も他者も信じる寛容な心の持ち主。良き聞き役となり、部下の気持ちを受けとめて励ますことができる。一方、優柔不断で尻に火がつくまで動かない。期待されすぎると重荷になる。
まとめ
人事領域におけるエニアグラム診断は、社員をテストによって9つの性格に分類して、適性や仕事とのマッチングなどを判断するものです。社員1人ひとりの特性が明らかとなるため、組織における適正配置や効果的な人材育成につながります。また、自分だけではなく他者のことも理解することでチームパフォーマンスが向上し、生産性アップも期待できます。
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