エンゲージメントサーベイはバレる?匿名・実名回答のメリットや実施手順を解説


エンゲージメントサーベイはバレる?匿名・実名回答のメリットや実施手順を解説

職場環境の改善などに役立てる調査として、エンゲージメントサーベイがあります。しかし、調査結果がバレる可能性がないのか、心配な人も多いのではないでしょうか。本記事では、エンゲージメントサーベイの概要や得られる効果、回答がバレるか否かについて解説します。匿名性を保ちつつ、信頼性を高めるために注意すべきポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。


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エンゲージメントサーベイとは?

エンゲージメントサーベイのエンゲージメント(engagement)には、「契約」という意味があり、人材開発の分野では社員と会社の結びつきを指します。エンゲージメントサーベイは社員の会社への信頼や愛着、貢献意欲を持っているのかなどを調査することです。


調査した結果をデータとして可視化することで、組織の課題を客観的に把握できたり、人事課題の発見につながったりします。近年では、国内でも導入を検討している会社が多くなってきました。


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360度評価・社員満足度調査との違い

エンゲージメントサーベイに似た調査に、360度評価と社員満足度調査もあります。まずは両者との違いを見ていきましょう。


360度評価との違い

360度評価では、調査の対象となる社員のスキルや行動について、上司はもちろん部下や同僚、他部署の人など、複数の関係者から評価してもらう手法です。調査結果はフィードバックとして、社員に伝えます。


360度評価も組織の改善を促すための調査ですが、エンゲージメントサーベイは特に会社に信頼や愛着、貢献意欲を持っているかどうかを調査する方法です。組織全体の問題点を発見し、解決することを目的とするなど、360度評価とは方向性や手法が異なります。


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社員満足度調査との違い

社員満足度調査は、会社の労働環境や制度に対する社員の満足度を調査する手法です。主に給与や休暇、福利厚生などに関する内容を質問し、会社の福利厚生面での充実度を調査します。


対するエンゲージメントサーベイは、社員と会社の信頼関係を調査することが目的です。そのため、質問内容も社員満足度調査とは違い、主に経営理念や行動指針を理解しているかどうか、共感しているかどうかなど、質問項目も異なります。


エンゲージメントサーベイを実施する目的

では、なぜエンゲージメントサーベイを実施するのでしょうか。主な目的として、以下に挙げる3つがあります。


組織が抱えている問題を把握できる

エンゲージメントサーベイを実施することで、組織が抱えている問題をデータとして客観的に把握できます。人事目標との差があることを把握できれば、施策も講じられるでしょう。エンゲージメントサーベイを定期的に実施するのも効果的です。時間の経過で数値に変化が表れれば、その変化に沿ってさまざまな施策も講じられます。


社員に対する理解を深め、本音を引き出す

エンゲージメントサーベイの結果を確認すると、社員が組織に求めていることも浮き彫りになります。エンゲージメントサーベイは一般的に匿名で実施されることが多いため、率直な意見も得やすく、業務に対する不満や人間関係のトラブルまで、社員の本音を引き出しやすいのが特徴です。調査結果をもとに施策を講じれば、離職防止にもつながります。


人事課題の解決・人事施策に役立てる

エンゲージメントサーベイでは調査結果を基に施策を実施し、その後の変化も観測できます。単なる雰囲気ではなく、客観的なデータとしての根拠になる点がポイントです。コミュニケーションやマネジメントスキルの不足が把握できたら、サイクルを生かして人事課題の改善につなげられるでしょう。


エンゲージメントサーベイで得られる主な効果

エンゲージメントサーベイを実施することにより、主に生産性やモチベーションの向上、社員の離職防止に効果があります。


生産性・モチベーションの向上

エンゲージメントサーベイの実施によって会社が社員の現状を把握できれば、適切な施策を講じられます。施策がうまくいけば社員の意欲が高まり、仕事を主体的に取り組むようになるでしょう。


貢献意欲が高まれば生産性も上がり、結果として業績の向上も期待できます。また、定期的にエンゲージメントサーベイを実施することで、社員が感じている不満を把握できれば適切なフォローも可能です。社員のモチベーション維持や向上にもつながります。


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社員の離職防止

育成に時間やコストをかけた社員が離職してしまうと、会社にとっては大きな損失になります。しかし、会社への愛着が高ければ離職を防ぐことも可能です。適切な形でエンゲージメントサーベイを実施することで、社員が抱えている不満や問題を把握できます。


仕事が合っているのか、職場の人間関係はどうかなど、離職に至る可能性のある潜在的な問題も浮き彫りにできるでしょう。調査結果で退職の予兆を察知できれば、対策を講じられます。


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エンゲージメントサーベイの実施手順

エンゲージメントサーベイの実施は、まず調査の目的と具体的な内容を社員に説明することから始めます。その際、調査の日程や回答期限も決めて周知しましょう。あわせて未回答者への対応も検討しておいてください。その後、目的ごとに調査項目を作成して調査を実施します。


実施後は回答の集計と結果の分析です。ただし、回答を集めるだけでは意味がありません。分析結果から現在社員が抱えている問題点を明確化し、改善策を検討してください。結果に基づいて実施した施策に効果があったかどうかを確認するためにも、再びエンゲージメントサーベイを実施します。


エンゲージメントサーベイは回答がバレる?

エンゲージメントサーベイの回答結果はバレるリスクがあるのでしょうか。社員に本音で答えてもらうためには、大事なポイントです。実名回答と匿名回答、それぞれのケースでバレる可能性があるのか解説します。


実名回答の場合はバレる可能性あり

実名回答は対象者が分かっているため、フィードバックしやすいメリットがある反面、情報が漏洩しやすいのはリスクです。特に自社でエンゲージメントサーベイを実施する際は、担当者が経営陣や同僚などに回答を漏らしてしまうといった、社内での情報漏洩が起こる恐れがあります。その結果、個人が特定される可能性はあり得るでしょう。


匿名回答でも、自由記述でバレる恐れがある

一方で、匿名回答が安心だというわけでもありません。自由記述欄に個人を特定できるような内容を入れてしまうと、書いたのが自分だとバレてしまう恐れはあります。具体例として挙げる事例についても、書き方には注意する必要があるでしょう。また、その人独自の言い回しで個人が特定される可能性もあります。


回答者がバレてしまった場合の影響

もし、回答者がバレてしまった場合、具体的にどのような影響が考えられるでしょうか。以下の3点を押さえておいてください。


信頼が損なわれる

会社を信頼して協力したにもかかわらず、回答者がバレてしまうと、社員と会社の信頼関係が損なわれる可能性があります。情報漏洩が発端になり、会社への不信感が強くなるかもしれません。信頼が損なわれればモチベーションの低下につながり、退職にまで発展してしまうケースもあるため注意が必要です。


率直な意見を収集できなくなる

実際に情報漏洩が起こってしまうと、リスクを恐れて率直な意見を収集できなくなる可能性があります。上司への遠慮や忖度から、回答に手を加えてしまう恐れもあるでしょう。情報漏洩が心配される状況では、社員は回答をためらうかもしれません。回答自体を控える社員が増えることも考えられ、調査結果に影響を及ぼします。


人間関係が悪化してしまう

もし、上司や同僚に関してマイナスの回答をした場合、周囲に内容がバレてしまうと、社員同士の人間関係が悪化しかねません。エンゲージメントサーベイは職場環境を改善するために行う調査ですが、それでは裏目に出てしまいます。人間関係が悪化するとコミュニケーション不足に陥り、生産性が低下してしまう可能性もあるでしょう。


匿名でエンゲージメントサーベイを行うメリット・デメリット

ここからは、匿名でエンゲージメントサーベイを実施するメリットとデメリットについて、詳しく掘り下げていきます。


メリット

匿名回答でエンゲージメントサーベイを行う最大のメリットは、本音を述べやすくなることです。普段は面と向かって言いにくい会社や上司に関するマイナスの内容でも、匿名ならば安心して率直な意見が出せるでしょう。匿名回答によりエンゲージメントサーベイを行うことで、表面化していない組織の課題を引き出しやすくなります。


デメリット

匿名回答では誰が回答したのかが分からないため、個々の社員が抱える問題の解決には向いていません。評価を気にせず率直な意見を出せることで、組織全体の改善点は的確に把握できるものの、フィードバックは社内全体へのアナウンスや施策にとどまります。未回答者が誰なのかがも把握できず、個人へ向けたサポートができないのはデメリットです。


実名でエンゲージメントサーベイを行うメリット・デメリット

実名でエンゲージメントサーベイを行うからといって、デメリットばかりではありません。メリットとデメリットの両方があることを把握しておきましょう。


メリット

実名回答でエンゲージメントサーベイを実施すれば、個々の社員が抱える問題を把握できます。モチベーションの低下や離職につながるような問題が見つかったら、その悩みに寄り添ったサポートも可能です。早めに対応ができれば、問題を解消できる可能性も高まります。未回答の社員も把握できるため、回答を催促することもできるでしょう。


デメリット

実名回答でエンゲージメントサーベイを行う場合、社員が調査に消極的になることも考えられます。特に会社や上司に対して批判的な意見を持っているケースでは、言いたくても言えない可能性が高く、調査に対する社員の心理的な負担も増すでしょう。率直な意見が得られなければ、エンゲージメントサーベイを実施しても目的が達成されません。


エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点

エンゲージメントサーベイを実施する際に注意するポイントについて、匿名回答と実名回答それぞれのケースを解説します。


匿名回答の場合

匿名回答でエンゲージメントサーベイを実施する場合は、何よりも個人が特定されないような配慮が必要です。社員に安心して回答してもらうために、調査に使用するツールを選ぶ際は、匿名性が担保できるものを選ぶようにしましょう。


匿名回答であっても、質問内容や記述方法によっては誰が回答したのかバレる可能性もあるため、特定されずに意見を引き出せるような工夫が必要です。収集したデータの取り扱いにも気をつけましょう。


実名回答の場合

先述したように、実名回答では人事評価の影響を気にして、率直な意見を回答できない場合があります。そのため、社員に対しては、事前にエンゲージメントサーベイの目的を伝えておくことが重要です。


回答の内容が評価に影響を与えないことを明示しておくと効果的でしょう。加えて、回答内容の取り扱いについても、明確にしておく必要があります。社員に安心して回答してもらうためにも、調査目的や回答の取り扱いに対して理解を得ておきましょう。


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匿名性を保ちつつ、信頼性を高めるためには?

エンゲージメントサーベイを実施するにあたり、匿名性を保ちつつ、信頼性も高めるために必要なポイントを解説します。


意義・目的・閲覧範囲を明示する

エンゲージメントサーベイは社員に信頼してもらえれば、より率直な意見を得られます。まずエンゲージメントサーベイを行う意義や目的などを社員に明示したうえで、理解してもらわなければなりません。


そのためには実施前に説明会などを開き、理解を促す働きかけを行う必要があります。説明会では意義や目的に加え、実施方法や調査を行う日時、閲覧範囲や集計結果の活用についても理解を促しておくと、社員の安心感を得られるでしょう。


外部の調査会社へ委託する

エンゲージメントサーベイは自社で独自に行うことも可能ですが、委託できる外部の調査会社を利用するのも手段の1つです。その分のコストはかかるものの手間を省けます。知見を持っている担当者が少ないようなら、委託先からアドバイスをもらえるのもメリットです。


専門の調査会社が提供するアンケートシステムには、匿名でも個別に回答を促す機能を搭載しているものがあります。匿名性を維持しつつ、回収率の向上も見込めるため検討してみるとよいでしょう。


エンゲージメントサーベイの具体的な質問項目

エンゲージメントサーベイを実施することになれば、具体的な質問も考えていかなければなりません。以下で質問項目例を紹介します。


会社に関連する質問項目例

会社に関連する質問例としては以下の内容が挙げられます。


・会社の理念や戦略目標が社内で共有されているか

・求職中の知り合いに自社を勧めたいか

・現在の評価基準や教育制度に満足しているか


会社に関連する質問では、自社が掲げる方向性やビジョンに社員がどれだけ共感しているか、また自社をどれだけ信頼しているかを評価できます。


職場に関連する質問項目例

職場に関連する質問例としては以下の内容が挙げられます。


・会社として十分な教育が行われているか

・挑戦することに寛容か

・一丸となって働けていると感じるか


職場関連の質問は、職場環境の快適性、仕事のやりがいなどを測るためのものです。職場環境が適切であるか、社員同士の連携が円滑に行われているかを確認することで、職場全体の生産性や協力体制を評価します。


上司に関連する質問項目例

上司に関連する質問例としては以下の内容が挙げられます。


・上司からの適切な指示を受けられているか

・悩みごとや困っていることを相談できる上司がいるか

・上司が部下の意見を傾聴していると感じるか


上司に関連する質問では、上司からのサポートが適切であるか、社員が自分の意見を自由に表明できる環境が整っているかを確認できます。社員が働きやすいと感じているかどうかを評価するために有効な質問です。


エンゲージメント向上を目的としたタレントパレットの導入事例

エンゲージメントの向上を目的に、タレントパレットを導入した事例を2つ紹介します。


ピジョンホームプロダクツ株式会社

ピジョンホームプロダクツ株式会社では、人事評価制度の効率化や人材の見える化、社員エンゲージメントの向上に取り組むため、新しいシステムを探していました。そこで費用対効果が高く、できることも多いタレントパレットの導入を決めています。結果的に横ばいだった社員エンゲージメントのスコアが向上し、営業部の業務も効率化できました。


株式会社オリエントコーポレーション

数千人の社員を抱える株式会社オリエントコーポレーションでは、人事戦略を適切に進める必要性を感じていました。人事管理システムはあったものの、各データが分断されていたため、情報を一元化できるタレントパレットを導入しています。導入後は人事データを適材適所の配置に活かし、サンクスポイント機能の活用でエンゲージメントの向上にもつながりました。


まとめ

エンゲージメントサーベイは社員の会社に対する信頼や愛着、貢献意欲を調査する方法として、国内でも導入するところが増えてきました。エンゲージメントサーベイを実施することで課題や問題を把握し、その解決や人事施策に役立てられます。


タレントパレットは、HRテック企業が展開する、データを活用した科学的人事を実現するタレントマネジメントシステムです。データの可視化はもちろん、業務の効率化やデータに基づく人事の高度化など、人事領域における課題の解決に活用できます。エンゲージメントサーベイの実施にあたり、ぜひタレントパレットの導入をご検討ください。


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