【必読】雇用契約書とは?労働条件との違いや作成ポイントを解説


【必読】雇用契約書とは?労働条件との違いや作成ポイントを解説

本記事では「雇用契約書」について解説します。雇用契約書について分からないことが多くお困りではありませんか?雇用契約書の意味や、違法性、作成方法が分からない採用担当の方はぜひ参考にしてみてください。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


採用の際にやり取りする書類の1つに、雇用契約書があります。法律上、締結する義務はないものの、必ず用意しておきたい書類であり、運用には注意が必要です。


実際に雇用契約書を準備していなかったことがきっかけでトラブルに発展する事例もあるため、その役割や作成方法について、採用担当者ならばしっかりと理解しておく必要があります。


そこで本記事では「雇用契約書」について詳しく解説します。


雇用契約書の役割や用意しないリスク、作成時に気を付けるポイントなど、知っておくべき内容を網羅的に説明する内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。


雇用契約書とは労働条件を明確にする書類のこと

雇用契約書とは、企業と社員の間で労働条件を明確にするための書類です。具体的に労働条件とは、以下のようなものが含まれます。


  • 給与
  • 就業場所
  • 労働時間
  • 業務内容
  • 昇給
  • 退職


雇用主と被雇用者がお互いに合意できれば、署名捺印または記名押印をして契約できます。書類は2部ずつ作成し、お互いが保管すると良いでしょう。


雇用契約書は企業と社員のあいだで、労働条件の認識をすり合わせるために必要です。読み合わせや合意をしないと、働く上でのルールを理解できないまま、社員は入社してしまいます。


その結果、働き始めてから認識が異なっていることに気づき、問題が起こるといったことは、よく見られるケースです。雇用契約書は、労働条件におけるトラブルを未然に防ぐ役割を持つのです。


しかし、企業側には、法的な作成の義務はありません。口約束で雇用契約を結ぶ場合もありますが、契約に合意した証拠を残して問題を回避するために、書面での契約が一般的です。


雇用契約書に記載された労働条件と、実務上のルールにズレが生じた場合は、労働基準法によって社員が契約を解除できます。


法的には作成の義務はありませんが、法的な効力があるといえます。


雇用契約書と労働条件通知書との4つの違い

ここでは、雇用契約書・労働条件通知書の4つの違いを紹介します。

それぞれの役割を理解できると、採用業務で今後行うべきことが明確になりますので、ぜひご覧ください。

役割

雇用契約書は雇用主と被雇用者のお互いが、労働条件に合意したかどうかを証明する書類だと説明しました。

一方で、労働条件通知書は雇用主から被雇用者に、労働条件を通知する書類です。「トラブルの回避」「安心して入社してもらう準備」の2つの理由で、作成が義務づけられています。

記載される内容はおおむね同じで「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」2つが存在します。

雇用契約書はお互いに署名をし合意をしますが、労働条件通知書は企業が社員に対して、一方的に通知するだけという違いがあります。労働通知書だけでは、社員が合意したのかどうかは分かりません。

とはいえ、2つの書類を作成するのも手間です。

雇用契約書には労働条件が記載されているため、労働条件通知書と兼ねて書類を作る場合があります。2つを合わせた書類を「労働条件通知書兼雇用契約書」と言い、企業でも用いられます。

法的義務の有無

雇用契約書には、法的な作成の義務はありません。

一方で、労働条件通知書には、以下の法律により作成・交付の義務があります。またファックスや電子通信を用いた交付ができると、規定されています。

第5条 (略)
④法第15条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
(1) ファクシミリを利用してする送信の方法
(2) 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

「労働基準法施行規則」e-gov法令検索 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブより

法的に労働条件を明示しなければなりません。例えば、賃金や労働時間といった条件を指します。条文は以下の通りです。

第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

「労働基準法」e-gov法令検索 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブより

締結の方法

雇用契約書は、雇用主と被雇用者のお互いが「署名」や「捺印」をして、契約を結びます。労働条件通知書は、雇用主が被雇用者に交付するものなので、署名や捺印はいりません。

特に雇用契約書で注意すべき点は、「住所」や「名前」を直筆で記入してもらうことです。企業側がワープロで名前を入れ、社員に押印だけしてもらうと、後からトラブルになる可能性が高くなります。

例えば、トラブルになった場合に「企業が勝手に書類を作成し、判子を押した」と言われてしまうこともあります。裁判になると、企業が不利になるでしょう。

直筆などの作業が手間である場合は、社員から電子署名をもらうことで対応できます。クラウドサービスを検討すると良いでしょう。

また、雇用契約書を手渡しする際は、その場で押印してもらうのも良い方法です。読み合わせをすることで、認識の齟齬を防げる上に、疑問点をその場で解消できます。

雇用契約書は2部ずつ印刷して、双方で保管しましょう。

書類を交付するタイミング

雇用契約書は、内定日や入社式などに交付するのが一般的です。労働条件通知書は法律によって「雇用契約を締結する場合」と決められています。よって雇用契約書と同様に、内定日や入社日に交付する場合が多いです。

新卒や中途採用の場合は「内定日」「入社日」ですが、有期雇用者は普通とは異なります。有期雇用者とは、契約社員や派遣社員のことです。期間を定められて契約された方々を「有期雇用者」と呼びます。

有期雇用者は「内定日」「入社日」だけでなく、契約の更新日ごとに、労働条件通知書を更新することが義務づけられています。

雇用契約が終了すればそのまま解雇ですが、さらに期間を延長する場合は更新が必要です。よって雇用契約を延長する場合には、雇用契約書も更新します。

また労働条件が更新された場合にも、雇用契約書と労働条件通知書を改めて交付する必要があるでしょう。これは全ての雇用形態の社員に、当てはまります。

企業と社員間のトラブルは、労働条件に関するものが多いです。定期的に労働条件を見直し、更新する際には社員と認識を合わせましょう。

特に雇用契約書は、本来であれば労働条件に変化がなくても、毎年更新するのが望ましいです。しかし、何度も更新して署名をもらうのは、膨大な作業コストがかかります。間を取って、社員の給与があがったり、昇進したりした際に、更新をかけるというのも手です。

雇用契約書兼労働条件通知書について詳しく知りたい方は、別記事「雇用契約書兼労働条件通知書」をあわせてご確認ください。

内部リンク:「雇用契約書労働条件通知書」

雇用契約書がない3つのリスク

雇用契約書は法律で義務付けられていないため、作成しなくても問題ありません。罰則などもないのですが、作成しない場合にはリスクが伴います。


ここでは、雇用契約書がない3つのリスクを紹介します。


リスクを知ると、雇用契約書を作らないことで起こるトラブルを事前に回避できます。結果的に、スムーズな採用活動を行えますので、ぜひご覧ください。


社員からの不信感がうまれる

雇用契約書を使用せず口約束だけで採用を進めると、社員が不信感をもつでしょう。「なぜ雇用契約書がないんだろう?」「雇用契約を締結しない特別な理由があるのではないか?」と、会社に疑いをもつきっかけになりえます。

労務管理の基本であり、書類の交付ができない管理は「ブラック企業」とみなされます。

ネットで調べてみると「労働条件を書面で通知しない会社は危険」と書かれている記事が多いです。さらにYahoo!知恵袋では「雇用契約書がない」「雇用契約書がない企業は危ないでしょうか?」といった質問がされています。回答者も「信用できません」とコメントしています。

本当は信用がある会社であっても、社員に一度不信感を抱かせてしまうことは、頭に入れておくべきでしょう。

社員の離職をまねく

雇用契約書を締結しないと、のちのちに労働条件にまつわるトラブルが起き、最終的には社員の離職をまねく可能性があります。社員が理解していた条件と、実際の労働状況が異なれば、その方は望まない環境で働かなければなりません。社員のコンディションが不安定になったり、結果的には離職率も高まったりするでしょう。


以下のような事例もあります。


残業代が50時間を過ぎているのに、給与が30万円のままという例です。残業代がでないことを不審に思い、社員が上司に相談すると「給与には固定残業代が含まれている」と回答されました。結果的にみなし残業代も支払われず、裁判になりました。


トラブルが起こった理由は、労働条件があいまいなことです。労働条件通知書も雇用契約書も取り交わされていなかったと言います。


そもそも書類がない時点で社員に「危ない会社かもしれない」と思わせてしまい、離職につながる原因にもなります。


こういったことが起こると企業の信用も落ちますし、多くの社員が離職しかねません。もめごとが発生しないように、雇用契約書はしっかりと取り交わすべきでしょう。


法的に企業が不利になる場合がある

給与や転勤などの労働条件に合意がとれていない場合には、トラブルになっても企業が不利になってしまいます。裁判になったとしても、社員に非はないとされるでしょう。


例えば、求人に記載されていた給与と、実際にもらった額が異なっていたケースです。求人広告には数字ではなく曖昧な言葉で給与が記載されていました。


社員は企業に対して、求人に書かれていた給与との差額と慰謝料を求める裁判をし、多額の賠償金を払うことになりました。


理由は「労働条件の明示義務違反」です。


こういったトラブルが発生する可能性もあり、企業が不利になる場合もあります。雇用契約書を作成し、労働条件の合意をしっかりとりましょう。


雇用契約書がない場合のリスクについて詳しく知りたい方は、別記事「雇用契約書 ない」をあわせてご確認ください。


内部リンク:「雇用契約書ない」


雇用契約書に記載すべき2タイプの事項

雇用契約書や労働条件通知書を作成するにあたって、記載すべき事項は何なのか疑問ではないでしょうか。記載すべき事項は大きく分けて「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」の2つです。


この章では、書くべき2点を詳しく解説します。書くことが理解できれば、スムーズに雇用契約書を作成でき、業務への負担が減るでしょう。


絶対的記載事項

絶対的記載事項は、労働条件を明確にするために書くべき事項です。雇用契約書に記載されていなければならない事項は、以下の通りです。

  • 労働契約の期間
  • 就業場所
  • 業務の内容
  • 始業時刻・終業時刻
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間、休日、休暇
  • 労働者を2組以上に分ける際の始業・終業時間
  • 休憩時間、休日、休暇
  • 賃金と計算方法、支払方法、締切日、支払日
  • 昇給に関する事項
  • 退職や解雇に関する事項


絶対的記載事項は、働く上で一番重要なものです。しっかり記載し、社員と合意をとりましょう。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、規定がある場合に明示すべき事項のことです。記載すべき事項は以下の通りですので、参考にしてください。

  • 退職手当に関する事項
  • 賞与に関する事項
  • 労働者に負担させる食費、作業費の事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 最低賃金額
  • 職業訓練制度
  • 災害補償に関する事項
  • 表彰や制裁の制度
  • 休職に関する事項


相対的記載事項は、書面で提示する義務はありませんが、トラブル防止のために盛り込んでおくことをおすすめします。自社にどのような制度や決まりがあるか調べ、抜け漏れなく記載しましょう。

内部リンク:「雇用契約書書き方」

雇用契約書を作成するときの9つのポイント

この章では、雇用契約書で作成すべき9つのポイントを解説します。

ポイントをおさえると見落としや失敗がなくなり、のちのちのトラブルが防げる雇用契約書を作成できるようになるので、ぜひご覧ください。

必要な記載事項を網羅する

労働条件通知書と雇用契約書とを兼ねている「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成する場合は、必ず「絶対的記載事項」を網羅しなければなりません。(厚生労働省)


労働条件通知書の交付は、法律で義務付けられているので、抜けもれなく記載されているか確認しましょう。


絶対的記載事項の他に、ルールや決まりが存在する場合には「相対的記載事項」の記載をすると良いでしょう。


しかし就業規則の交付が行われている場合は、相対的明示記載事項はあらためて文書で明示をする必要はありません。就業規則を確認してもらうという形をとり対応します。


労働時間制を明示する

社員を雇用する場合、さまざまな労働時間制を取る企業があります。通常の労働時間制以外には、以下のようなものがあります。

  • 変形労働時間制
  • フレックスタイム制
  • 裁量労働制
  • 固定残業制


上記を導入している場合は、記載すると良いでしょう。

特に裁量労働制では、あらかじめ企業と社員で決めた時間を働いたとみなし、規定内の賃金を支払います。1日の給料は一定額で、働いた時間が3時間でも12時間でも変わりません。
働き方が通常と異なる場合は必ず明記し、社員との認識がズレないように心がけましょう。

賃金を記載する

企業と社員で賃金についての認識が異なると、トラブルになりやすいです。賃金の種類には「月給制」や「年俸制」があります。月給制は、1ヶ月単位で賃金をもらう給与形態です。

年俸制は1年単位でもらえる給与の総額が決まっている形態で、年の総額を12で割った金額が月々に支払われます。

月給制であれば1ヶ月の金額や内訳を明示し、年俸制であれば月々の支払金額を記載します。

歩合やインセンティブがあれば、支給する条件を書くと良いでしょう。また通勤手当の支給の有無や条件も、会社によって異なるので明示します。

賃金にまつわる事柄の、詳細な記載が必要です。

契約期間を記載する

転職の際の入社日はトラブルになりやすいです。新卒・転職者とのトラブルを防げるので、契約期間を明確に記載しましょう。

特に転職者であると、現職と次に入社する会社の規則が食い違うことがあります。例えば、退職したかった日に退職できず、次の会社にも入社できないなどです。

考えの食い違いが発生し、入社日の合意がとれないと「直前に採用できない」といったことも起こります。時間をかけて採用し、内定が決まった方が入社できないのは残念なことであり、採用コストも余分にかかります。

有期雇用を行う場合も、期間を明示すると、トラブルがおきません。期間を記載して円滑に、雇用契約を結びましょう。

転勤の有無を記載する

転勤の有無も記載も、とても大切です。社員のライフスタイルにかかわる大きなイベントだからです。転勤があるかどうか、どんな場所に転勤する可能性があるかなどを記載できると良いでしょう。

転勤がないと思って入社したのにもかかわらず、実際にあるとなると、当然納得できません。親の面倒をみなければいけない、子どもを転校させたくないなど、社員にもそれぞれに背景があります。

転勤しなくても良いという条件で、職を選んだ可能性もあるでしょう。転勤がある場合は、雇用契約書に記載しましょう。また事前に「期間」や「頻度」や「時期」などを、社員とすり合わせることは必要です。

人事異動などの有無を明示する

人事異動、職種変更などが発生する可能性があることを明示しましょう。キャリアプランなど、人生にかかわる変更だからです。

個々人に「ゆくゆくは○○になりたい」という、要望があると思います。思いがけない形で人事異動や、職種変更が起こると将来のプランが崩れます。

あらかじめ異動があるかもしれないことや、職種変更が発生することを明記しましょう。

就業規則に人事異動などが記載されていても、雇用契約書で明確にしていないと、命令を指示しようとした時に、効果が認められないといったリスクが高いです。

企業側にとってもデメリットが大きいので、明確に記載するといいでしょう。

休日を記載する

「休日」も明記するべきポイントの1つです。 自身の企業の規則を確認し、誤解のないように記載しましょう。

休日も社員にとって、重要なポイントだからです。土日に休みたいという方もいれば、平日に休みたいというシフト制を望む方もいるでしょう。仕事を選ぶ際に確認するポイントなので、おさえましょう。

また記載する際に注意が必要な点は、週休の書き方です。

法律では年を通して1カ月に1回以上、週2日の休みがあれば「週休2日制」となります。毎週2日の休みの場合は「完全週休2日制」です。企業の休みの形態を明確に記載しましょう。

祝日が休日になるかどうかも、記載すべきです。

残業の有無を記載する

雇用契約書や労働条件通知書に記載できるのは、残業の有無のみです。想定していなかった残業は社員にダメージを与えますので、明確に条件を伝えておきましょう。

詳細は、口頭で説明する必要があります。事前に社員とすりあわせると良い部分は、想定残業時間です。残業がある場合は残業時間の目安や、忙しい時期なども説明できると良いでしょう。

残業はのちのちトラブルになりやすい項目なので、ずれがないように認識を合わせることが必要です。

残業代を記載する

残業代も記載しましょう。残業代が出なかった…というトラブルも発生しやすいです。固定残業代(みなし残業代)を支給する企業であれば、毎月の給与に含まれます。みなし残業時間以上の残業代のみを支払います。

残業代に関するルールは、企業によってそれぞれです。ルールを確認し、間違いがないように明記すると、トラブルの発生をぐんと防げるでしょう。

3つの雇用形態別の作成ポイント

ここでは、3つの雇用形態別に雇用契約書を作成するポイントを説明します。

企業は全ての雇用形態の方に雇用契約書を作成し、合意を得る必要があります。ジャンル別におさえるべきポイントを知っておくと、書類の作成が簡単になり、問題が起こるのを防げますので、ぜひご覧ください。

正社員の場合

正社員は期間が定まっていない「無期雇用契約社員」のことです。「退職・解雇をしない限りは、フルタイムで定年まで雇用を継続する」という契約を結んだ社員のことを指します。

正社員を雇用する際には、絶対的記載事項の明示を義務付けられています。絶対的記載事項18個のうち、正社員であれば必ず以下の14個は記載しなければなりません。

(1)労働契約の期間
(2)有期の雇用契約の場合は契約更新の有無、及び、契約更新ありの場合は更新するか否かの判断基準
(3)就業の場所
(4)従事する業務の内容
(5)始業時刻・終業時刻
(6)所定労働時間を超える労働の有無
(7)交替期日・交替順序等に関すること
(8)休憩時間
(9)休日
(10)休暇
(11)賃金の決定・計算方法
(12)賃金の支払方法
(13)賃金の締切り・支払の時期に関すること
(14)退職に関する事項 ※解雇事由を含む

正社員の場合は、転勤や人事異動、賃金、残業がトラブルになりやすいです。それぞれ有無についてや、詳細を記載を確認しましょう。

契約社員の場合

契約社員は期間を定めて雇用する「有期雇用社員」を指します。企業によっては「準社員」「非常勤講師」「臨時社員」などという名称で呼ばれることもあります。

契約社員の場合は、正社員の14個の絶対的記載事項に加えて、必ず下記を明示して作成しましょう。

(15)退職金の有無
(16)昇給の有無
(17)賞与支給の有無
(18)短時間有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

また注意するべき点は「雇用契約期間」です。契約社員の契約期間は、原則で3年以内です。雇用契約を更新し、契約期間が通算で5年間を超えると「無期契約」への転換が求められます。

労働契約法18条で定められ、企業は無期契約の転換に応じる義務が発生するため、期間を設定する際には気を付けましょう。

さらに賃金の設定にも注意が必要で、正社員と比べて不当な差がないようにしなければなりません。差別的な設定や、各種手当を与えないなどは、違法なケースになる場合があるので調べたうえで設定しましょう。

パートアルバイトの場合

パート・アルバイトは、企業と雇用契約を結んでいる短時間労働者を指します。絶対的記載事項は契約社員と同様です。正社員の14項目に加え、下記の4つの事項を明示して作成しましょう。

(15)退職金の有無
(16)昇給の有無
(17)賞与支給の有無
(18)短時間有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

パート社員の雇用契約書を作る場合には、契約期間が「無期」なのか「有期」なのかをはっきりさせる必要があります。

基本的にはパート社員は、無期の雇用契約であることが多いです。有期雇用契約のケースは、育児休業で一定の期間社員がいなくなる場合に、その方の代わりとして採用する場合などです。

有期の場合は契約社員と同様に、3年を超えてはいけません。また契約更新の有無や、更新する場合の判断基準も明記します。ルールが多いので、注意して雇用期間を設定しましょう。

ポイントを押さえておくと、トラブルになるケースを回避しやすいです。

アルバイトやパートの雇用契約書について詳しく知りたい方は、別記事「アルバイト 雇用契約書」「雇用契約書 パート」をあわせてご確認ください。

内部リンク:「アルバイト雇用契約書」
内部リンク:「雇用契約書パート」

作成時にテンプレート利用する際の注意すべきケース

ここでは雇用契約書を作成する時に、テンプレートを利用する際の注意すべきケースを紹介します。

注意点を知ると、テンプレートを使用して作成する場合に失敗せずにすみ、効率的に書類作成できますので、どうぞご覧ください。

会社の労働制度に合っていない場合

一般的な雇用契約書のテンプレートは、原則的な労働時間制度を適用する正社員を対象にしている場合があります。

よって会社の労働制度に合っていない場合もあるので、自社の規則に合わせて変更しましょう。

一般的ではない労働制度を使う際には、アレンジする必要があるでしょう。例えば、フレックスタイム制や固定残業制、事業場外のみなし労働時間制などです。

また新卒採用や中途採用、職種によっても制度が変わるケースもあるので、確認しながら作成しましょう。

管理監督者を雇用する場合

中途採用などであれば、管理職と雇用契約を結ぶケースも起こりうるでしょう。労働基準法上の「管理監督者」となるケースであれば、一般のテンプレートを使用すると不都合が生じる可能性が高いです。

管理監督者特有の事例は、「労働時間」や「休憩・休日」に関するルールが摘用されず、残業代が発生しないなどがあげられます。

テンプレートをアレンジして作成する必要があるので、注意が必要です。

社員の在宅勤務を認める場合

新型コロナウイルスの流行により、在宅勤務を導入する企業も増えました。在宅勤務を認める場合には、社内での勤務を前提としたテンプレートを使用すると、適さないものとなる可能性が高いです。

就業場所や労働時間などを修正して、作成する必要があります。

雇用契約書・労働条件通知書の変更を交渉された場合

採用予定者との事前のやり取りの中で、労働条件の変更を交渉されるケースがあります。

社員が入社し就業を始めてしまったあとで、条件を変えるのは難しいので、書類を渡す入社前のタイミングでおこなうようにしましょう。企業側ははじめに提示していた条件と、契約書の内容が一致しているかを確認し、丁寧に対応すると良いでしょう。

すべての条件の変更は、現実的に難しいと思います。企業にとって変えられるものと、変えられないものを事前に定めていくと交渉がスムーズです。

労働条件に優先順位を決めて、円滑に交渉できると良いでしょう。

雇用契約書のまとめ

本記事では、雇用契約書や雇用契約書の作成方法について解説しました。解説した内容は以下の通りです。

  • 概要
  • 雇用契約書・労働条件通知書の違い
  • 雇用契約書がないリスク
  • 作成する場合のポイント
  • 注意点
  • 労働条件を交渉された場合


雇用契約書は企業と社員の間で労働条件の合意をとり、契約を締結する書類のことで、似ているものには労働条件通知書が存在します。


労働条件に関するトラブルが多く、雇用契約書がないと、社員の不信感がつのり離職につながったり、会社が法的に不利になったりする可能性もあります。よって雇用契約書は、重要な書類です。

作成する場合には、法的に書かなければいけない事項を明記しましょう。


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