こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「雇用契約書と労働条件通知書の違いってなんだろう?」
「どんな内容を記載すればいいんだろうか?」
「電子化ができるみたいだけど、注意点があれば知りたい」
という方は多いのではないでしょうか?
雇用契約書も労働条件通知書も、新たに人を雇い入れる際に必要となる書類です。両者の内容にほとんど差はありませんが、労使間の署名・捺印があるかないかといった違いがあります。電子化の流れが加速してはいるものの、不備のない内容の書類作成が求められることに変わりはありません。労働基準法などに抵触しない内容を盛り込む必要があります。
本記事では
- 雇用契約書と労働条件通知書の違い
- 雇用契約書と労働条件通知書に明記すべき事項
- 雇用契約書や労働条件通知書の電子化がおすすめな理由
- 書類を電子化する際の注意点
について解説します。
「不備のない書類をスムーズに作成して、業務効率を上げたい」という方のお悩みを解決できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
労使間で締結した雇用契約を書面にし、労働者にサインしてもらった書類が雇用契約書です。雇用契約書に似た書類に、労働条件通知書があります。
労働条件通知書は雇用契約書と内容は同じですが、労働条件通知書は事業主から労働者に対して一方的に交付されるなど、両者には違いが見られます。
両者の主な違いは、以下のとおりです。
雇用契約書 | 労働条件通知書 | |
役割 | 労使間で、事業主の提示した労働条件のもとで雇用契約を締結することに合意したことを示す | 事業主から労働者へ労働条件を通知する |
記載内容 | 入社後の労働条件 | |
法的な作成義務 | なし | あり |
締結または通知の方法 | 労使間で署名・捺印をする | 事業主からの一方的な通知 |
労働条件通知書を作成し交付しさえすれば、雇用契約書の交付は必ずしも必要ありません。労働条件通知書それ自体が独立した書類である必要はなく、雇用契約書と一体となった書類を交付している企業もあります。
雇用契約書について詳しく知りたい方は、別記事「雇用契約書」をあわせてご確認ください。
雇用契約書と労働条件通知書に明記すべき事項
雇用契約書と労働条件通知書に明記すべき事項について解説します。雇用契約書と労働条件通知書に書くべき内容は、ほとんど同じです。
ただ、両者は役割が異なるため「雇用契約書を兼ねた労働条件通知書」を交付している企業もあります。記載すべき内容には「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」があります。
前者は、必ず記載すべき事項であり、後者は定めがあれば記載または口頭で伝える事項です。両者の記入例は、以下のとおりです。
絶対的明示事項として書くべき5項目
絶対的明示事項は、大きく以下の5つの事項について記載する必要があります。
- 労働契約の期間
- 就業場所と従事すべき業務
- 労働時間等
- 賃金
- 退職に関する事項
記載漏れによって労働基準法に違反することのないよう、1つひとつの事項について詳しくみていきましょう。
労働契約の期間
労働契約期間に定めが有るか無いかについて記載します。通常、正社員であれば「期間の定めなし」と記載し、試用期間を設ける場合にはその期間を記載します。
期間の定めがあるのは、パートタイム労働者などです。パートタイム労働者の場合、契約期間を明記し更新をすることがあるかどうかや、更新の条件(勤務態度、本人の能力など)についても記載します。
パートタイム労働者向けの雇用契約書を作るときの注意点は、「パートタイム労働者にも雇用契約書は必要!締結しないと起こるトラブルやデメリットを解説」の記事で詳しく解説しています。
就業場所と従事すべき業務
入社後に仕事に従事する場所や業務内容について記載します。複数の部署に渡って業務を行う場合は、それぞれの業務内容を具体的に説明しましょう。
今後転勤の可能性がある場合にはその旨を記載し、転勤後の勤務場所についても記載します。
労働時間等
労働時間等については以下の内容について記載が必要です。
- 業務の始業時刻と終業時刻(シフト制の場合にはすべてのパターンを記す)
- 所定労働時間の超える労働の有無(割増賃金は法定労働時間の8時間を超えて初めて発生する)
- 休憩時間休日・休暇
- 労働者を二組以上に分けて就業転換させる場合の事項(交代勤務についてのルールや規則について記載する)
1日の労働時間が6時間を超え8時間以下の場合には45分以上の休憩を与え、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与えなければなりません。シフト制の場合には、その勤務時間に応じた休憩時間を記します。
賃金
毎月支給する賃金額を記載します。ここでいう賃金には、退職手当や臨時に支払われる賃金等は含まれません。
月給制、日給制、時間給制など支給形態ごとの手当があれば、それについても記載が必要です。毎月の賃金締め日や支払日、支払い方法なども記載しましょう。
支払日は労働基準法で一定期日払の原則が定められているため「毎月25日」や「月末」など、明示する必要があります。
昇給がある場合は、過去の実績にもとづき昇給時期について「毎年4月に昇給」などと記載します。
退職に関する事項
自己都合退職の場合には「退職日の○○日前までに会社に申し出ること」といった就業規則にもとづくルールを記載します。
定年制を設けている場合には、定年の年齢や再雇用の有無を記載しましょう。また、本人の能力不足や私傷病による心身疾患といった解雇事由についても記載が必要です。
相対的明示事項として書くべき8項目
相対的明示事項には、大きく以下の8つがあります。
- 労働者が負担すべき費用
- 退職手当
- 臨時に支払われる賃金等
- 職業訓練に関する事項
- 安全衛生関する事項
- 災害補償や業務外の傷病に対する扶助
- 表彰および制裁に関する事項
- 休職に関する事項
労働者の負担すべき費用とは、作業用品や食費などがあります。退職手当の支給は会社の任意ですが、退職手当について就業規則等に規定がある場合には、対象となる労働者や支給決定の方法、支払いの時期について記載します。
臨時に支払われる賃金(賞与など)の支給がある場合には、支払い回数や時期について明記します。
雇用契約書や労働条件通知書は電子化がおすすめな理由4選
雇用契約書や労働条件通知書は、電子化がおすすめです。その理由は以下の通りです。
- コストを削減できる
- 業務を効率化できる
- スピーディーに雇用契約の締結ができる
- 管理しやすいペーパーレス化を実現できる
近年は電子化の流れにあるため、書類を電子化するメリットについて1つずつ見ていきましょう。
コストを削減できる
電子化することで、コスト削減につながります。電子化すると紙代の削減になるだけでなく、印刷機やインクの使用頻度を抑え、郵送代の削減にもつながります。
コストカットを実現することで、社員教育などの人材育成に要する他の費用に回せるようになり、組織の活性化が期待できるでしょう。
業務を効率化できる
書類を電子化することで、業務の効率化が期待できます。従業員数の多い企業や、アルバイトや派遣社員などの雇用契約の締結や契約更新が多い企業では、書面で交付していると印刷や封入、郵送などの一連の業務負担が大きくなります。
電子化によって業務負担を大幅に減らせ、他のコア業務に集中できるようになるため、残業時間の削減にもつながるでしょう。
スピーディーに雇用契約の締結ができる
電子交付を導入することで、雇用契約の締結までスピード感を持って行えるようになります。
近年は、採用面接をWebで行う企業が増えていますが、書類の電子化によって募集・採用・雇用契約までをオンラインで一貫して行えるようになります。
そのことで、企業と求人者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
管理しやすいペーパーレス化を実現できる
電子化によって、ペーパーレス化が実現できます。人事書類にはそれぞれ保管期間が定められていますが、従業員の多い会社であれば紙媒体の労働条件通知書を保管するとなると、保管場所を確保する必要があります。
しかし、電子化によってペーパーレス化ができると保管場所が不要になるため、社内スペースを有効に活用できるでしょう。
また、電子化をするとパソコンの検索機能を利用して、目的の書類を即座に見つけ出せるメリットもあります。
人事書類の保管期間について詳しく知りたい方は、別記事「人事書類保管期間は種類によって異なるので注意!効率よく書類を保管する3つの方法を解説」をあわせてご確認ください。
労働条件通知書を電子化する際の4つの注意点
労働条件通知書の電子交付で、注意すべき点を解説します。
- 労働者が印刷しやすい形式を選択する
- 労働者が電子化を希望しているか確認する
- 使用者名や労働条件を通知した日付を記載する
- 労働者本人だけが閲覧できる方法を用いる
労働者とのトラブルを避けるためにも、それぞれの注意点を意識することが大切です。
労働者が印刷しやすい形式を選択する
電子化して労働者に交付する場合には、出力が可能で印刷しやすい形式を選ぶことが大切です。
例えば、SNSの本文に労働条件通知書の内容をそのまま貼り付けると、印刷した際に数ページに渡ってしまい読みにくいなどの弊害が予想されます。
WordやPDFなどの、印刷がしやすい形式で労働者に交付することが大切です。また、セキュリティの観点からパスワードを設定した企業サーバーにアップロードする方法もあります。
労働者が電子化を希望しているか確認する
労働条件通知書については、労働者が電子化を希望しているかどうかの確認が必要です。労働者本人が電子化した労働条件通知書を希望していないときは、事業主側は電子交付できません。
本人が書面での交付を希望する場合には、その意向に従う必要があります。労働者の意に反して、電子化した労働条件通知書を交付すると、労働基準法違反となり30万円以下の罰金となるため注意が必要です。
使用者名や労働条件を通知した日付を記載する
電子化した労働条件通知書を交付する際には、書面と同様に使用者の名前や通知した日付を忘れないようにしましょう。
日付を書かなくても契約自体は成立しますが、労働条件通知書が、いつ誰によって発行されたのかが分からないと、トラブルに発展する可能性があります。
労働者本人だけが閲覧できる方法を用いる
電子化した労働条件通知書を交付する際には、労働者だけが閲覧できる方法で交付することが大切です。
第三者が閲覧可能なホームページやブログなどに書き込むことによる明示は、認められていません。
労働者のメールアドレス宛に送るのが、第三者に閲覧されるリスクが低く望ましいです。
雇用契約書労働条件通知書のまとめ
雇用契約書や労働条件通知書を電子化して労働者に交付することはできます。労働条件通知書に関しては、労働者の同意が必要です。
雇用契約書と労働条件通知書の大きな違いは、労使間の署名・捺印があるかですが内容自体はほとんど同じです。
従業員規模が多くなってくると、書類一つ作成するのにも時間がかかってしまいコア業務に支障が出る恐れがあります。そのため、電子化できる書類は電子化する方向で考えるのがおすすめです。
また、しっかりとした雇用契約書や労働条件通知書の作成ためには、労務管理をしっかり行う必要があります。
労務管理には、タレントパレットの利用がおすすめです。
タレントパレットのサービスを利用すると、以下のようなメリットがあります。
- 各種手続きや労務管理を一括で行える
- 入力チェックを自動で行うため抜け漏れを防止できる
- 申請データを自動で更新してくれるので管理がラク
その他にも、タレントパレットでは労務管理をサポートするツールを数多くご用意しています。
しっかりと労務管理を行い、不備のない雇用契約書や労働条件通知書の作成につなげるためにも、ぜひタレントパレットのサービスをご検討ください。
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タレントマネジメントシステムについて詳しく知りたい方は、別記事「タレントマネジメントシステムを導入する3つの目的と7つの効果!導入ツールの比較ポイントも併せて解説」をあわせてご確認ください。