こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
ビジネス全体を根本的に改革するDX化の推進に関して、日本は諸外国と比べて遅れています。DXを推進するためには、DX戦略の策定が欠かせません。しかし、どのようにDX戦略を策定すればよいのか分からない経営者や人事部門担当者は多いでしょう。
今回はDX戦略とは何かを明らかにした上で、必要とされている理由や成功させるポイントなどについて解説します。また成功事例についてもご紹介するため、ぜひ参考にしてください。
まずDXとは何かを押さえておこう
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略語です。デジタル技術を活用して、ビジネスモデルそのものを抜本的に改革することを指します。DXを推進させることで生産性の向上や、競争力の強化を目指せます。
DXの目的は、市場の変化に柔軟に対応することで新たなビジネスチャンスを見つけることです。デジタル技術の活用により業務効率化や生産性向上だけでなく、新たな価値創造や顧客体験の向上、イノベーションの推進なども可能となります。
DXは単なる改革ではなく、既存の価値観やビジネスモデルを根本から変えるような革新的なイノベーションをもたらすことも特徴の一つです。ChatGPTに代表されるAIなどの新しいテクノロジーの登場は、ビジネススタイルやライフスタイルの変革を促すDXの一例といえるでしょう。
DX戦略とは何か
DX戦略とは、企業や組織においてDXを推進させるための戦略のことを指します。企業のビジネスモデルやプロセスを抜本的に改革するための指針であり、DXを推進させるにはDX戦略を立案することから始めます。
DX戦略は単なるテクノロジーの導入や変更ではなく、ビジネス全体を根本的に改革するものでなければなりません。企業にとって重要な指針であるため、経営層のリーダーシップのもとで策定され、組織全体が一丸となって実行することが大切です。
DX戦略が必要とされる理由
企業におけるDX化は、無計画で自然に実現できるものではありません。DXを推進するためには、ビジネスモデルを根本的に変革するための指針であるDX戦略の立案が必要です。以下では、DX戦略が必要とされる理由について解説します。
理由1:企業全体として改革に取り組んでいくため
DX戦略の策定は、企業全体が一丸となって改革に取り組んでいくために必要です。DXは単なる技術の導入や変更ではなく、ビジネスモデルやプロセスの抜本的な改革を目的とします。従業員がDX推進の意識を持つだけでは実現は不可能です。
DX戦略の策定により組織は共通の目標と方向性を持ち、改革に向けた取り組みを一体化することができます。組織全体がDX戦略に基づいて行動することにより、変革の成功に向けた努力が集中し、成果の最大化につながります。
理由2:手段が目的化してしまうのを防ぐため
DX戦略を策定しないと手段が目的化してしまい、本来の目的であるビジネスモデルやプロセスの抜本的な改革にはつながりません。DX戦略はデジタル技術の活用を通じてビジネスモデルやプロセスを抜本的に変革し、競争力を向上させることが主な目的です。
策定せず闇雲にDX化に取り組むことは、設計図なしで家を建築するようなものといえるでしょう。策定することでDX化の目的が明確になります。
DX戦略を導入するメリット
DX戦略を導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはDX戦略を導入するメリットについて解説します。ぜひ自社のDX化を進める上での参考にしてください。
業務効率化・生産性向上が期待できる
DX戦略を策定してDXを推進することにより、業務効率化や生産性向上が期待できます。従来の手作業や紙ベースによる業務プロセスでは、情報の取得や処理に時間がかかっていました。また人為的なエラーが発生する可能性もあるといえるでしょう。
DX化で業務プロセスが自動化されると、従来よりも迅速かつ正確な情報処理が可能になります。短時間で正確な情報処理が行えるようになると、一人あたりの労働生産性が向上し、結果として企業全体の生産性向上につながります。
顧客ニーズの変化に迅速に対応できる
DX戦略で業務効率化や生産性向上が実現すると、広範な顧客ニーズに迅速かつ効果的に応えることが可能です。昨今の顧客のニーズは多様化しており、柔軟に対応できる企業が競争上の優位性を持つ傾向にあります。
DX戦略によって顧客データやマーケット情報を活用すると、個別化されたサービスや製品の提供が可能です。広範な顧客ニーズに応えることで競争力が強化され、市場シェアの拡大につながるでしょう。
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DX戦略を立てる際の流れ
DX戦略は正しい方法で策定することが重要です。誤った方法でDX戦略を策定すると、目的に合致したDX推進は困難になるでしょう。以下では、DX戦略を立てる際の基本的な流れについて解説します。
1:現状を把握する
DX戦略の策定は、現状を把握することから始めます。現状の把握は、目指していくレベルや施策を決めるために必要なプロセスです。自社の現状を詳しく分析し、DXが必要とされる課題や改善すべき領域を洗い出します。
自社の現状を把握する際には、経済産業省が公表している「デジタルガバナンス・コード2.0」などの資料が参考になるでしょう。
2:外部環境を分析する
外部環境の変化やトレンドを分析して正しく把握することは、適切な戦略の立案に必要不可欠です。外部環境は企業が事業を展開する上で重要な要素であり、DX戦略の策定において大きな影響を及ぼします。
競合他社の動向や消費者のニーズ、行動パターンの変化などを分析し、外部環境に応じた戦略の策定を行いましょう。なお外部環境の分析では、PEST分析やSWOT分析、5C分析などのフレームワークの活用が有効です。
3:改革方針や施策を策定する
DX戦略を策定する際は取り組むべき領域を明らかにした上で、デジタル技術とデータを駆使して生み出せる付加価値を明確化することが重要です。リソースの集中や新たな取り組みに加えて、やめるべきことを見極める点も重要といえるでしょう。
なお改革方針や施策を策定する際は「リソースを集中して強化する領域」と「組織の弱点を克服するための施策」の2つの視点で策定することがポイントです。双方から検討することで、リソースの最適な活用と組織の強化が両立し、DX戦略の成功につながる可能性が高まります。
さらに、改革方針に基づいて具体的な施策や目標を策定するプロセスも重要です。明確な目標を設定し実行部隊を組成することで、現実的な目標達成を目指せるようになるでしょう。
4:ロードマップを策定する
DX戦略の策定において、ロードマップの策定も重要です。ロードマップはDX戦略を実現するための具体的な計画やスケジュールを示すものであり、DX戦略の目標や方向性も明確に示します。
ロードマップを策定することでDX戦略の目標や方向性、タイムスケジュールなどを社内で共有することが可能です。全体の方針に向かって一致した取り組みができるようになるでしょう。
さらに、ロードマップはプロジェクトの進行状況やリスク要因を可視化する役割も果たします。潜在または顕在しているリスクの早期発見や適切な対策の立案、リソースの最適な配置などが可能となり、DX推進の成功につながります。
DX戦略を成功させるために押さえておきたいポイント
DX戦略を成功させるためには基本的な流れを踏まえることが重要ですが、押さえておきたいポイントがいくつか存在します。以下では、DX戦略を成功させるためのポイントを4つご紹介します。
DX戦略の方向性を明確にしておくこと
DX戦略の成功には、明確な方向性が必要不可欠です。社内全員で共有されるビジョンや目標を設定し、DXが企業にどのような価値をもたらすのかを明確化する必要があります。進める目的や解決したい課題を伝えることが大切です。
まずは自社の課題を洗い出し、DXを活用して課題解決に取り組む方法を検討しましょう。その上で目標やゴールを設定することで、DX戦略の方向性が明確になります。
IT人材を育成・確保しておく
DX戦略の実行には適切なIT人材が必要です。組織内でのIT人材の育成や外部からの採用などで必要な人材を確保することがDX化の成功につながります。
企業の人事部門は IT人材の需要が高まっている現状を考慮し、優秀なIT人材を獲得するための採用戦略を見直しましょう。求人広告のターゲット設定や採用手法の改善などにより、効果的な採用プロセスを構築します。
またIT人材が自身のキャリアを見据えて成長できる環境を整えることも大切なことの一つです。キャリアパスの明確化や技術スキルに基づく昇進・報酬制度の整備を行うことで、従業員のモチベーションが向上するでしょう。結果として、定着率向上につながります。
小規模な改革から始める
DX戦略の実行は大規模な変革を伴うことがありますが、初めは小規模な改革から始めるのが効果的です。いきなり大胆に進めてしまうと混乱を招く可能性があるため、段階的に進めるようにしましょう。
小規模な改革を通じて得られる成功体験は、組織全体の抵抗感を軽減し、従業員の意欲や参加度を高めることにつながります。成功体験を通じて得られた成果や効果をほかの部門や関係者と共有することで、組織全体のDX変革のスピードを上げることも可能です。
また小規模な改革から始めると、失敗した場合のリカバリーも容易に行えます。失敗から学んだことを活用しつつ、改革を進められるでしょう。
一貫性あるシステムを構築することを意識する
DX戦略の実行においては、一貫性のあるシステムを構築する点が重要です。異なる部門やプロジェクト間での情報共有や連携をスムーズに行うために、統合されたシステムやデータ基盤を構築し、一元的な管理を行う必要があります。
既存のシステムが老朽化やブラックボックス化している場合、新しいシステムを設計・実装する際には、既存システムとのスムーズな統合を考慮することが重要です。
データの互換性やAPIの設計など、既存システムとの連携を確保しながら新しいシステムを構築することで、一貫性のあるシステム環境を実現できます。
DX化を成功させた事例
DX戦略を策定してDX化を成功させるには、成功事例を参考にすることも大切です。ほかの企業や業界での成功例を学びアイデアや手法を取り入れることは、自社のDX戦略の策定に役立ちます。以下では、DX化を成功させた3つの事例についてご紹介します。
事例1:資生堂
一つ目が資生堂の事例です。資生堂は顧客のニーズに応えるために、肌データの送付によってパーソナライズされた保湿液を提供するスマートフォンアプリ「Optune(オプチューン)」のβ版を開発・リリースし、利用者の声を収集しました。
その結果、肌の現状を確認できる機能の要望が多いことが判明しました。結果を受けてシステムの改良を進め、顧客の肌に合わせて保湿液を提供するOptuneのローンチに成功しています。
Optuneはサービスがすでに終了していますが、資生堂の成功事例の要点は、β版のリリースと利用者の声の収集により、ユーザーのニーズを正確に把握することが成功につながった点です。
事例2:日本交通
日本交通はUberの登場に危機感を抱き、自社のDX化を進めるために「日本交通タクシー配車(現Japan Taxi)」アプリを2011年にリリースしました。アプリのダウンロード数は急速に増加し、2020年のダウンロード数は900万に達するほどです。
日本交通が成功した理由としては、自社内でアプリ開発を行い、クラウドを活用した環境を整備したことがスムーズな配車アプリの提供につながった点が挙げられるでしょう。「Japan Taxi」アプリは2021年3月31日にサービスが終了していますが、他社でも利用できるサービス提供を行うことで、業界全体のDX促進を図ることにも成功しています。
事例3:ユナイテッド・スーパーマーケット
ユナイテッド・スーパーマーケットの事例は、顧客の購買行動の変化に追いつけていないことを認識したところから始まります。
そこで、自宅までの配送や受取ロッカーの設置、セルフ決済サービスなど、スーパーマーケットに特化したDX戦略を策定しました。
策定したDX戦略を社内全体で実行した結果、多様な顧客のニーズに対応できるようになり、DX化の目標実現に成功しています。なおユナイテッド・スーパーマーケットの事例に関しては、従業員の積極的な参加と意識改革がDX化成功の要因の一つです。
まとめ
DX化を実現するには、DX戦略の策定が欠かせません。正しい手順でDX戦略を策定すると、企業全体が一丸となってDX戦略を実行できるようになります。なお成功させるためには、IT人材の育成や採用が必要であり、加えて従業員のスキルも把握しておくことが重要です。
タレントパレットであれば、従業員のスキルや能力を見える化できるため、現状運用している評価シートを簡単にシステムへ反映し、集計や分析を行うことができます。また、組織構成や従業員情報の統計などをモニタリングできるため、今後の方向性の策定なども安易に行うことができるでしょう。
なおタレントパレットの活用方法はほかにもあるため、興味がある人はぜひタレントパレットの機能をチェックしてみてください。
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