業務分掌とは?職務分掌との違いやメリット、作り方など徹底解説


業務分掌とは?職務分掌との違いやメリット、作り方など徹底解説

業務分掌とは、組織内で業務を効率的に分配し、各部門や社員に明確な役割と責任を割り当てる仕組みです。業務分掌を導入することで、業務の無駄を減らし、責任の所在を明確にすることで、組織全体の効率化や透明性が向上します。本記事では、業務分掌の基本的な概念から、職務分掌との違い、具体的なメリット、さらに実際に業務分掌を作成する際のステップやポイントについて徹底解説します。


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業務分掌とは

業務分掌とは、組織内で業務を効率的に分配し、各部門やチームに役割と責任を明確に割り当てることを指します。これにより、業務の効率化が図られ、責任の所在が明確になるため、業務の進行がスムーズになります。また、業務の偏りを防ぎ、社員が責任感を持って業務に取り組むことが可能となります。特に、チームワークの向上や効率的な業務遂行のために重要な手法です。


職務分掌との違い

職務分掌は、個々の職務や役職ごとの責任範囲を明確にするためのもので、業務分掌とは異なり、主に個々の役職に焦点を当てています。業務分掌がチームや部門の業務全体に関する役割分担を指すのに対し、職務分掌は役職ごとの責任を明確にし、個々の職務の効率的な遂行を促進することを目的としています。両者は補完的な関係にありますが、フォーカスする範囲が異なります。


セグリゲーションとの違い

セグリゲーションは、業務の執行者と承認者を明確に分ける手法で、主に不正行為を防止することを目的としています。


業務分掌や職務分掌が効率的な業務遂行を目指すのに対し、セグリゲーションは、ミスや不正のリスクを軽減することに焦点を当てています。これにより、組織内での権限と責任が明確化され、内部統制が強化されます。


業務分掌が必要な3つの理由

業務分掌は、組織運営の効率化やリスク管理において非常に重要です。以下に、業務分掌が必要とされる3つの理由について解説します。


無駄や混乱を減少させるため

業務分掌を導入する最大の理由は、業務の効率化を図るためです。組織内で役割と責任が曖昧なまま業務を進めると、複数の部署やメンバーが同じ業務に取り組んでしまうことがあります。このような業務の重複や無駄が発生すると、作業の停滞やコミュニケーションミスにつながり、結果としてプロジェクト全体の進行に悪影響を与えます。


業務分掌では、各部署やメンバーに明確な役割と責任を割り当てるため、誰が何を担当するのかが明確になります。その結果、業務の進行がスムーズになり、混乱や作業の無駄を防ぐことも可能です。


過重労働や不公平感を解消できるため

業務分掌を実施することは、業務が特定の部署や個人に集中してしまう「過重労働」の問題を解決するためにも重要です。


業務分掌が行われていないと、能力が高い社員や多くの業務を抱えている部署に業務が偏りがちになります。これにより、一部の社員に過剰な負担がかかり、結果としてモチベーションの低下や健康問題を引き起こすリスクが高まります。


業務分掌によって、業務が適切に分配されると、全員がバランスよく業務を担うことができ、負担が公平に分散されます。


企業全体のコンプライアンスを強化するため

業務分掌は、企業のコンプライアンス強化にも大きな役割を果たします。特に、責任が不明確なまま業務が進行している場合、不正行為やミスが発生しても、誰に責任があるのかを特定するのが困難になります。


業務分掌では、各業務に対して明確な責任者が割り当てられるため、万が一不正やミスが発生した場合、迅速にその責任者を特定することが可能です。また、業務分掌を通じて責任の所在が明確になることで、社員は自分の行動に対して高い意識を持つようになり、不正やミスを防止する抑止効果も期待できます。


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業務分掌のメリット

業務分掌を導入することで、組織運営が効率的かつ透明性のあるものとなり、さまざまなメリットが得られます。以下では、その代表的なメリットについて詳しく解説します。


業務の重複や無駄が減少する

業務分掌を行うことで、各社員や部門に対して明確な役割が割り当てられます。これにより、同じ業務が複数の部署で行われるといった重複や、誰が何を担当するか不明確な状況による業務の無駄を減少させることができます。


結果として、業務全体の効率が向上し、組織全体の生産性も向上します。また、役割が明確化されることで、社員1人ひとりが自分の業務に集中しやすくなり、担当業務を的確に遂行できるようになります。


自分の業務に対する責任感を強く持てる

業務分掌によって、社員それぞれの担当業務が明確になると、社員は自分の業務に対して責任感をより強く持つようになります。責任の所在が明確であればあるほど、社員は自分の業務が組織全体にどのように貢献するかを理解しやすくなり、やりがいやモチベーションが向上します。また、責任感を持って業務に取り組むことで、業務の質が向上し、結果的に企業全体のパフォーマンス向上に貢献します。


不正行為が発覚しやすくなる

業務分掌は、各業務の担当者や責任者を明確にするため、不正行為が発覚しやすくなります。組織内での業務が誰の責任で行われているかを明示することで、問題が発生した際に迅速に原因を特定し、必要な対策を講じることができます。また、この透明性は不正を行うことのリスクを高めるため、不正行為の抑止力としても機能します。


業務負荷を均等に分散しやすくなる

業務分掌は、特定の社員や部署に業務が集中することを防ぎ、業務負荷を均等に分散する効果があります。特に、業務が偏ってしまうと、過重労働や業務の停滞を招き、社員の健康やモチベーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。


業務分掌により、業務が公平に分担されることで、社員が適切な負荷で働ける環境が整い、過重労働を避けることができます。


人事評価が透明かつ公平に行われる

業務分掌を明確にすることで、社員ごとの業務目標や評価基準が統一されやすくなります。これにより、社員のパフォーマンスを正確に評価するための基準が明確化され、人事評価が透明かつ公平に行われるようになります。


評価が公正に行われると、社員の納得感が高まり、評価に対する不満が軽減されます。このような環境は、社員のモチベーションを高め、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。


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業務分掌のデメリット

業務分掌は多くのメリットをもたらす一方で、適切に運用しなければデメリットも生じる可能性があります。以下に、その代表的なデメリットを解説します。


イレギュラーな事象への対応が難しくなる

業務分掌により、業務の範囲や担当が明確になる一方で、想定外の事態やイレギュラーな業務に対応しづらくなる場合があります。特に急なトラブルや複数部署にまたがる業務では、対応が遅れることがあり、組織全体の柔軟性が低下するリスクが生じます。そのため、柔軟に対応できる仕組みや、全員が協力できる体制を整えておくことが必要です。


社内連携の低下につながりやすい

業務分掌を導入すると、社員が自分の担当業務に集中するあまり、他の部門やチームとの連携が疎かになることがあります。


部門間のコミュニケーションが減少すると、情報共有が滞り、組織全体の一体感が損なわれる恐れがあるため、業務分掌を実施する際には、部門間の連携を促進する仕組みも同時に導入することが重要です。


意思決定スピードや生産性の低下につながりやすい

業務分掌によって、各業務の担当者や承認者が明確になる反面、承認プロセスが複雑化することで意思決定が遅れることがあります。特に、複数の部署をまたぐ案件では調整に時間がかかり、生産性が低下するリスクも生じます。


そのため、業務分掌を設計する際には、スムーズな意思決定と効率的な業務進行を実現するための仕組みを構築することが重要です。


業務分掌の作り方

業務分掌を効果的に導入するためには、段階的なプロセスが必要です。以下で、業務分掌を作成するための具体的な手順を解説します。


1.現状の業務内容の把握と整理

まず、各部門や部署が現在行っている業務内容を詳細に把握し、整理します。この段階では、ヒアリングや社内アンケートを通じて、どのような業務が行われているか、各職務がどのような責任と権限を持っているのかを明確にします。現状の把握は、業務分掌の基礎を築く重要なステップです。


2.業務の分類と役割の明確化

収集した情報をもとに、業務を分類し、それぞれの役割を明確にします。業務の性質や重要度に基づいて業務を分け、各職務にどのような責任と権限が必要かを具体的に定めます。


この段階で、業務の重複や抜け漏れがないか確認し、効率的な業務分掌を行うための調整を行います。


3.権限と責任の定義

各業務に対応する権限と責任を明確に定義します。業務遂行に必要な権限が適切に与えられ、責任の所在が曖昧にならないように設定します。また、イレギュラーな業務や緊急時の対応についても責任範囲を考慮に入れ、明確にしておくことが重要です。


4.業務分掌表の作成

すべての業務が整理され、担当者や権限が決まったら、それを「業務分掌表」にまとめます。この分掌表は、組織内で共有し、誰がどの業務を担当し、どのような権限と責任を持っているかを可視化するためのものです。作成後も、定期的に見直し、組織の変化に応じて更新します。


5.周知と実行

最後に、作成した業務分掌表を組織全体に周知し、運用を開始します。業務分掌が実際に機能しているかを確認するため、定期的なフィードバックを受けながら調整を行い、必要に応じて修正を加えることで、業務の効率化と透明性が確保されます。


業務分掌を作る際のポイント

業務分掌を効果的に作成するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下で詳しく解説します。


目的を明確にする

業務分掌を作成する際には、まずその目的を明確にすることが重要です。内部統制の強化、業務効率の向上、不正防止など、組織が直面している課題に応じた具体的な目標を設定します。この目的が明確であると、組織全体が同じ方向を目指しやすくなり、業務分掌の導入効果を最大化することができます。


社員からのFBを積極的に取り入れる

業務分掌を作成する際には、現場の社員からのフィードバックを積極的に取り入れることが大切です。実際に業務を遂行している現場の意見を反映させることで、現実に即した分掌が実現し、業務の重複や非効率を防ぐことができます。また、社員が分掌に納得することで、スムーズな導入と効果的な運用にも効果的です。


まとめ

業務分掌は、組織運営の効率化や透明性を高め、責任と権限を明確にするための重要な手法です。職務分掌との違いを理解し、目的を明確にした上で適切な業務分掌を作成すれば、業務の効率化や不正防止、社員のモチベーション向上など多くのメリットを享受できます。


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