こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
「面談シートをうまく扱えず、人材育成やフィードバックに活かせていない」という人事担当者の方は、多いのではないでしょうか。
面談シートは、社員とのコミュニケーションを効率化するのに役立つツールです。しかし具体的な運用方法がわからないままでは、面談シートの効果を十分に発揮できません。活用できないどころか、準備のコストがかかったり社員にとって記入が手間になったりして、面談シートの導入を後悔する恐れがあります。
そこで本記事では面談シートの具体的な運用方法を紹介します。
使い方だけでなく、面談シートでヒアリングすべき具体的な項目の例まで紹介します。面談シートの導入を考えている方、導入しているものの上手に活用しきれていないとお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
面談シートの概要を解説
面談シートとは、本格的な面談をする前に社員に記入してもらうヒアリング用紙のことです。社員1人ずつに面談シートを配付し、業務の振り返りなどをしてもらいます。社員が記入することで業務に臨む姿勢や自己評価を可視化できるほか、面談担当者からのフィードバック(コメント)を書いて本人に返却する使い方も可能です。また、事前にシミュレーションできるのでスムーズな面談ができます。
面談シートは、面談担当者や人事担当者と社員とのコミュニケーションを円滑にする重要なツールです。社員の成長を促したり、それにより企業が成長する機会を生み出したりするきっかけになります。成果を高めるために、面談シートの目的や目指す効果を共有するのも良いでしょう。
面談シートを活用する5つのメリット
面談シートのことは知っていても、手間をかけてまで導入すべきか迷っている人事担当者の方が、多いのではないでしょうか。ここでは面談シートを活用するメリットを詳しく紹介します。
面談シートの重要性を知り、ぜひ導入を前向きに検討しましょう。
社員のモチベーションアップにつながる
面談シートに記入した自己評価に対して、上司や人事担当者からフィードバックが伝えられます。
「自分の仕事の取り組みや成果がどんな評価につながるのか?」と、企業や上司からの評価を知ることでがんばりにつながったり、働きやすさを感じやすくなったりします。
自分の評価や企業での立ち位置が見えると、目標や進むべき道を決めやすくなり自発的な行動に活かしやすいです。目標を忘れかけている社員にとって、面談シートはモチベーションアップの起爆剤になるでしょう。
上司と部下の意思疎通を図れる
面談は社員が普段面と向かって話しづらいことでも思い切って伝える良い機会です。面談シートを利用して自分の考えを言語化してもらうと、双方で意思疎通が図りやすくなります。
日々の業務に追われてコミュニケーションがおろそかになると、部下側は一人で問題を抱えがちになります。声をかけるタイミングを伺っているうちに問題を深刻化させ、余計に悩みを深くする部下も少なくありません。
逆に上司側は、自分の職務に追われて周りを見ている余裕がないときもあるでしょう。面談シートを介して部下の状況を把握すれば、上司と部下の信頼関係を築くコミュニケーションツールになります。
担当者が面談を進めやすくなる
面談シートがあると事前に部下の状況を把握でき、質問の準備ができます。すると聞くべきことがまとまっているのでスムーズに面談を進められます。進行がスムーズになれば面談担当者に余裕ができ、問題点を引き出しやすくなるメリットもあるでしょう。
面談シートの質問項目が本の目次のようになっていれば、面談の流れがわかりやすくなり、時間短縮と双方の負担軽減につながります。面談シートがない面談では雑談が長引きすぎたり、肝心な話題に時間が使えなかったりするかもしれません。アドリブで何となく進めると失敗に繋がる恐れがあるので、面談シートを台本代わりにして、メリハリのある面談を進行しましょう。
面談内容を振り返れる
面談シートがあると社員との面談内容をあとで振り返れます。部下側は上司から受け取ったフィードバック・アドバイスをあとから振り返り、新たな気づきを得たり問題解決の方法が見えたりして、次の目標達成に活かせるでしょう。評価を受けることでモチベーションアップにつながり、社員の成長速度を上げられるかもしれません。
さらに上司側は、より効果的なフィードバックやアドバイスをできたのではないかと考え、自身のコメントや面談を内省できます。面談の参加者以外にも面談シートをもとに情報共有ができ、人材育成の方向性を決めるのに参考にしたり正しい人事評価に役立てたりするパイプ役としても効果的です。
人材育成に役立てられる
面談シートを通じて社員の情報を可視化できます。情報を見える化できると会議で共有しやすくなり、社員の育成計画を立てやすいです。社員それぞれにどんなスキルや能力があり、これまでの経験や業績はどのように評価されたのか整理できるので、社員のことを多角的かつ客観的に見られます。
面談シートで得た社員の情報を元に適性を分析すれば、人材の最適配置がしやすくなるでしょう。さらに人材配置のミスマッチを減らせるかもしれません。
面談シートがあると人事担当者が効率的に業務を行えます。面談シートは社員の成長データが詰まった、大切な資産です。面談シートは人材育成のために欠かせないものだといえます。
面談シートの具体的な運用方法5ステップ
面談シートは、社員に記入してもらって終わりではありません。面談シートで得た情報を元に面談を行ったり、社員の育成につなげたりできます。
具体的には次の5つのステップで面談を計画し、面談シートを活用していきましょう。
趣旨(作成意図)の説明
面談シートを渡す際に、まずは記入する意味や面談を実施する意図を社員へ共有しましょう。社員はいきなり面談の知らせを聞いて戸惑う恐れがあるからです。今まで面談や面談シートを定期活用していなかった企業では「何かネガティブな出来事があったのではないか」と不安を感じさせるかもしれません。
例えば面談は「主に人事評価の参考にしたり、四半期の振り返りを共有したりするために実施される」といった納得感ある理由づけを共有しましょう。ただしそれだけだと「評価」という印象が残ってしまいます。社員の警戒感を緩めるために「上司と部下とのコミュニケーションの場である」ことを強調しておくと良いです。
面談シートでは「記入内容が人事考課における絶対的な基準となるわけではない」と補足し、記入者に自由な自己評価を促しましょう。
面談シートへの記入
面談当日に向けて、社員に面談シートを記入してもらいます。ただ白紙を配付するだけでは社員は何をどのように書けば良いのかわからずに戸惑います。そこで社員から必要な情報を引き出し有意義な面談ができるよう、テンプレートを作成しておくと良いでしょう。
記入例も添えると、社員は自己評価をイメージしやすくなります。
面談シートを記入してもらったら、上司は事前に内容に目を通します。気になったことやさらに詳しく知りたいことをまとめておくとよりスムーズな面談ができるので、事前準備はしっかりしておきましょう。
社員の育成方針を決定
面談シートへの記入内容を確認し、上司は育成方針を決めていきます。1人で決定すると判断が偏る可能性があるため、社員と接する機会のあるほかの上司や人事担当者も混じえて話し合いをするのがおすすめです。
「どうしてそのように決めたのか」という根拠も控えておきましょう。評価の基準や根拠を明確にしておき、社員が納得できる説明をするためです。面談をもとにした人事評価は社員のモチベーションを左右する大事な場面であるため、上司の説明がはっきりせず主観ばかりを述べているようだと、不満が募り不信感を招くもとになりかねません。納得感と満足感を高められるよう準備しましょう。
育成面談の実施
社員と日程をすり合わせて面談を実施します。他者には聞かれたくない本音も話してくれるかもしれないので、面談参加者だけを集めた空間を作りましょう。最近ではカフェなどで面談を実施するケースもあります。しかし社外に漏れるべきでない情報にも触れる恐れがあるため、会場選びには気をつけましょう。
- 社員による自己評価を聞き取り
- 面談シートの内容を深掘りして質問
- 良かった点・悪かった点などのフィードバック
- 育成方針の伝達
このような点を上司と社員で共有し、今後の目標まで話し合えると良いです。面談シートの内容があまり良くないなら、プライベートに抱えている問題がないか聞けるよう質問の仕方を考えておきましょう。社員の目標から現状、未来へと点ではなく線でつながるようシミュレーションしておくと効果的です。
定期的な達成(進捗)状況の確認
面談をして終わりではなく、定期的な状況確認をすることが大切です。毎回面談シートを記入する本格的な面談でなくても良いので、簡易的な振り返りなどを実施しましょう。
状況確認のための振り返り面談は、社員の業務態度に点数を付けることだけが目的ではありません。目標を決めても、業務をこなす中で意識が薄れてしまうものです。定期的に振り返りの機会を作り、目標を思い出したりモチベーションを取り戻してもらったりする場として活用しましょう。
また、つい薄れがちな上司と社員とのコミュニケーションのきっかけが増えます。思わぬ報告を受けたり一緒に悩みの解決方法を考えたりすることで、信頼関係がより深まっていくでしょう。
面談シートでヒアリングすべき5つの項目
面談シートは時系列に沿ったストーリー形式で作ると記入者は書きやすく、読み手はわかりやすくなります。振り返りでも情報の正しい理解と整理がしやすいです。抽象的な内容にならないよう、社員が具体的に回答しやすい項目を設定しましょう。
面談の席にいる上司と部下の双方が正しく現状を把握できるよう、ここからは面談シートの項目例を紹介していきます。
目標
担当業務に対しての目標を書いてもらいます。文章だけでなく目標の数値や達成期限も具体的に記入できるようにすると、振り返りのときに進捗がわかりやすいです。例えば1ヶ月ごとに記入欄を設けてスモールゴールと達成率を記入できるようにしても良いでしょう。また、どうしてその目標を立てたのか理由を添えてもらうと、社員の意識を明確に聞き取りできます。
ただ何となく立てた目標では途中で達成する意義がわからなくなり、本人の成長スピードが鈍化しやすいです。課題と問題意識を明確にし、取り組む意味を見い出しておくとつまずき防止になります。
進捗状況
設定した目標に対してどんな成果をあげられたか、もしくはどれくらいの進捗具合かを振り返ってもらいます。明確な数値目標を持っている社員には「進捗度◯%」のような具体的な表現を求めましょう。
社員が思い描く計画と実際の進行具合にどれくらいのズレがあるのか、それはなぜかというところまで振り返ってもらいます。するとうまくいったことも問題点も見えてきて、次の質問にも答えやすいです。
うまくできたこと
仕事の中での成功体験を具体的に聞きます。うまくいった理由と根拠を理解しているならば、一緒に回答するよう設問に添え、今後の業務にどう活かせるかまで答えてもらいましょう。
自身を過小評価してしまう社員もいるため、自分では気づいていないことがあるかもしれません。評価に値すべきかを悩ませないよう、しっかり引き出したい項目です。どんな些細な事でも構わないので聞き出せるようにしましょう。
困っていること
業務の中でうまく進んでいないことや困っていることがないか確認します。人間関係やプライベートの出来事が仕事のパフォーマンスに影響しているかもしれません。差し障りのない範囲で聞かせてもらえるよう優しく促してみましょう。
ミスの内容や頻度を確認し、個々の社員の現状を正しく把握することが大切です。必要であれば、面談者と業務をともにしている周囲の社員から聞き取りを行いましょう。
今後の希望
今後のキャリアの方向性についてどんな考えがあるのか質問し、回答に対してどのようなサポートが必要か考えます。今後の展望がはっきりしない場合は転職の兆しがあるかもしれません。
異動の希望や候補先がないか聞きましょう。中には自分の希望と企業側の希望が合わないと評価が下がるのではと思い、正直なことが言えない社員もいます。
現在の部署では刺激がなく物足りなさを感じている社員ならば、配置換えや異動の提案ができるかもしれません。離職の芽を摘む上で重要な項目です。面談シートの情報から社員の動向に注意しておきましょう。面談の質問に関して詳しく知りたい方は、別記事「KW面談質問」をあわせてご確認ください。
まとめ
面談シートを効果的に活用するためには使いやすいように管理されていることが重要です。データ管理ができていると、必要なときに情報共有しやすくなり育成会議が捗ります。またデータ管理されていることで客観的な判断材料になり、感情に頼らない社員育成や人材配置が可能です。面談シートをもとにしたデータが管理・活用されていれば、「なぜその人材をその配置に?」といった疑問にも、根拠ある説明がつき最適配置が叶います。
「面談シートをうまく活用し、管理までしっかり行いたい」とお考えの方はぜひタレントパレットの導入をご検討ください。タレントパレットならあらゆる人材データを一元化・分析できるので、人材育成はもちろんさまざまな人事業務を効率化できます。