OJT(On the Job Training)
OJTは、職場の上司や先輩が、実務を通じて部下や後輩に必要な知識やスキルを指導する教育方法のことです。実務の習得に効果的で、多くの企業・組織が取り入れています。長い歴史の中で変遷しながら現在でも教育方法の主要な手段のひとつとなっています。
メリット
- 実務を通じて教育するため、終了後は即戦力になれる
- 個人にあったスピードで進めることができる
- 教える側にとっても学びが多い
- OJT研修中に職場内でコミュニケーションが図れる
- 外部支出コストが少なくて済む
注意点
- 教える側のレベルによって、研修内容にばらつきが出る
- OJTと言いながら、放置状態になることがある
- 目の前の短期的な業務に集中し、仕事の全体像が見えづらくなる
- 教える側の実務に支障が出ることがある
OFF-JT(Off The Job Training)
OFF-JTは「Off The Job Training」の略称で、職場の内外において、実務から離れて行われる研修を指します。外部から講師を招いて行うケースや、外部の施設で研修やセミナーを受けるケースが考えられます。
メリット
- 社員のスキルや知識の標準化が行える
- 各レイヤーや職能別に研修を行える
- 教える側のリソースが不要
- 研修集に他部署のメンバーと交流ができる
注意点
- 研修費用などのコストがかかる
- 研修を受けている間は業務を行えない
eラーニング
インターネット上の教材や動画を利用し、オンラインで学習を行う仕組みのことをいいます。ビデオ講座であれば、インターネットに繋がったパソコンやスマートフォンがあれば、時間と場所に縛られずに視聴することができます。また、学習の進捗状況をサーバーに記録すれば、それぞれの社員のスキルを可視化し、効率的な学習計画を立てることができます。
メリット
- 必要な知識やスキルを体系的に学べる
- 教える側による研修内容のレベルのばらつきを避けられる
- 時間や場所を問わずに学ぶことができ、反復学習もしやすい
- 受講者の参加状況、試験の結果などの進捗がオンライン上で管理しやすい
- 一度システムや教材を用意できれば、ランニングコストを抑えられる
注意点
- 実技を伴うスキルを習得しづらい
- モチベーションを維持しづらい
- 人間関係や人脈の構築が難しい
- インターネット環境が重要
- 自社でe-ラーニングの教材を作ろうとすると立ち上げにコストがかかる
自己啓発(SD)
社員による自発的な学習全般を、自己啓発(SD=Self Development)と呼びます。
参加は、企業からの指示ではなく、あくまで社員の自由意思で選択されることが特徴です。
企業の多くは、自己啓発支援制度として、セミナーや外部のe-ラーニングへの参加費用や書籍購入費用を負担したり、業務時間内の参加を認めたりという対応を行っています。
メリット
- OJTやOff-JTで学べない知識やスキルを補完することができる
- 企業側のコストは比較的低く抑えられる
- スキマ時間や余暇を活用できる
注意点
- 社員自身のやる気が頼りで、モチベーションの維持が難しい
- 企業はサポートするのみで、進捗管理や成果の確認がしづらい
- 企業と社員の間で、獲得しようとするスキルにズレが発生する可能性がある
オンボーディング(on-boarding)
新しく入社したメンバーがいち早く活躍できるように、集合研修とは別に、会社や仲間になじめるように手助けする一連の取り組みのことを指します。実務的な知識やスキルの提供だけではなく、企業文化や社内の価値観、社内制度、人間関係など、組織のメンバーとしてスムーズに立ち回るために必要な情報提供・共有に重きが置かれます。
メリット
- 組織への定着を促し、早期の離職を防ぐ
- 新入社員が早い段階で戦力となり、生産性が向上する
- 社員満足度の向上に貢献する
- チームワークの強化に役立つ
注意点
- 既存社員の協力が不可欠なので、オンボーディングのメリットを社内に周知する必要がある
- システムとコンテンツは事前に準備し、既存社員に大きい負荷がかからないようにする。
目標管理制度(MBO)
MBOとは「Management By Objectives」の略称で、日本語では「目標管理制度」と訳されます。社員に個人としての目標を決めさせ、その進捗や達成度によって人事評価を決める制度です。この個人目標は、組織全体の目標とリンクしていることが重要で、個人の成長がそのまま組織の成長につながることを狙いとしています。
メリット
- 個人の目標を社員本人に決めさせることで、自主性や意欲を伸ばす。
- 個人と組織が目指す方向性を合わせ、自身の目標を設定するため、組織に貢献するという意識を持つことができる。
注意点
- 目標に対する達成度が重視されるため、ノルマ主義と感じられるおそれがある。
- 成果重視の考え方が、時に人間としての社員を置き去りにする可能性がある。
- 制度を適切に運用するためには、主要な評価者となる中間管理職のマネジメント力が重要で、ここが成否の分かれ目となる。
1on1ミーティング
米国シリコンバレー発祥のマネジメント手法で、週1回~月1回程度で定期的に上司と部下がミーティングを行います。これはいわゆる従来型の「面談」のように、上司が部下の進捗を確認・評価する場ではなく、あくまで部下を主役とした対話型のコミュニケーションであることが特徴です。部下は業務上の課題や悩みを上司と共有し、上司は部下の話を聴いてフィードバックをすることが役割となります。
メリット
- 上司と部下のコミュニケーションの時間を確保し、信頼関係を築くのに役立つ
- 成功も失敗も上司と部下で共有することで指導に生かし、部下の成長を促進する
- 部下に対する理解を深め、メンタル面のサポートになり離職を防ぐ
- 上司に伝えた意見が業務や待遇に反映されることで、部下のモチベーションを保つ
注意点
- 上司の対話スキルや傾聴スキルに頼るところが大きい
- 上司と部下の相性次第で、成果に差が出てしまう
- 上司側の時間や工数の負荷が大きくなる
- 成果に対するチェック機能が働かないと、形骸化しやすい
メンター制度
業務の経験が豊富な先輩(メンター)が、新入社員など後輩(メンティ)の良き相談相手として、人生やキャリア全般について悩みを聞いたり、アドバイスを与えたりする制度です。メンター(mentor)という言葉には、助言者、指導者という意味が含まれています。通常、メンティと比較的年齢や社歴が近く、メンティと別の部署に所属する先輩社員がメンターを務めます。
メリット
- メンティの不安が解消され、仕事へのモチベーションが維持しやすい
- メンターがいることで職場にスムーズに溶け込み、早期離職の防止につながる
- メンターになることで、責任感と向上心が生まれ、メンター側も成長につながる
- メンターがマネジメント職に就く際に、メンター経験が生きる
- 部署を超えたコミュニケーションが生まれる
注意点
- メンター側の業務的な負荷が増えがちなので、会社側からメンターへの配慮が不可欠
- メンターによって効果に差が出るため、メンター研修によって均質性を保つ必要がある
- メンターとメンティの相性も重要なので、両者のマッチングは慎重に行う必要がある
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、社員の育成を目的に行われる、「戦略的」または「計画的」な人事異動です。育成の目的を達成できる部門や部署、業務内容や職種を決め、一定の期間、異動させてスキルや経験を積ませます。
メリット
- 社員の適性と職務のミスマッチを避け、適材適所の人事や離職防止に貢献する
- 新しい人員を受け入れることで、部署内の活性化やイノベーションが期待できる
- 社員のマルチスキル育成につながり、業務の繁閑や急な欠員などに柔軟に対応できる
- 社員が自身の新たな可能性を発見し、キャリアに付加価値をつける機会になりうる
- 業務のマンネリを防ぎ、モチベーションの向上につながる
- 社内のネットワーク構築を可能にする
注意点
- 人員が流出・流入する側の双方で、一時的に対応に追われて業務停滞を招く恐れがある
- 転勤を伴う場合は、コストがかさむ
- スペシャリストを目指す社員にとっては逆にストレスになりうる
ストレッチアサインメント
ストレッチ=背伸び、という言葉が示すとおり、ストレッチアサインメントは、今の実力ではやや困難と思われる業務やポジションをあえて割り振ることで、社員や部署の急激な成長を促す人材育成の手法です。タフアサインメントと呼ばれることもあります。
現状に合った場所に配置する「適材適所」とは異なり、人や組織の潜在的な能力を伸ばすことを主眼に置いています。
メリット
- 業務に関する全般的なスキルの向上
- ストレッチアサインメントの成功で、大きな自信と達成感につながる
注意点
- アサインメントの難易度や、時期を見極めることが難しい
- 能力を大幅に上回る業務は、却ってモチベーションの低下を招く
- ストレッチアサインメント自体が不向きな人材もいる
- 上司は手助けはしないが、適切なタイミングでのフィードバックは必要
まとめ
企業の持続的な発展と成長のために、人材育成のノウハウは欠かせません。会社にとって最適な選択のために、上記を参考にしてみてください。タレントパレットは科学的人事をワンストップで提供するタレントマネジメントシステムです。人材育成で結果を出すためにぜひご活用をご検討ください。
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