内定辞退とは?意味や理由、防止するための対策を解説


内定辞退とは?意味や理由、防止するための対策を解説

内定辞退は企業にとって大きな課題であり、可能な限り避けるべきです。この記事では、内定辞退とはどのようなものか触れたうえで、求職者が内定辞退に至る理由とともに具体的な対策について解説します。内定辞退を誘発する行為の例も解説するため、ぜひ参考にしてください。


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内定辞退とは?

内定辞退とは、企業が内定を出した後、内定者の個人的な理由により内定を辞退することです。選考の過程で求職者が入社に対して高い意欲を示していても、内定辞退が発生する可能性はゼロではありません。企業はコストをかけて採用活動を行っているため、内定辞退が生じれば大きな無駄が発生します。そのため、企業が内定を出すうえでは、内定辞退を防止する対策が重要です。


内定辞退と内定取り消しの違い

内定取り消しとは、企業が出した内定を後から取り消すことです。内定とは、求職者と企業が入社後の労働契約に合意した状態を表しています。そのため、内定取り消しは解雇に相当する行為です。合理的な理由がない、かつ社会通念上相当と認められない場合は内定取り消しを行えません。


すでに触れたとおり、内定辞退とは、内定者の都合で内定を辞退することです。職業選択の自由や解約の申し入れについて法律で定められているため、求職者による内定辞退は認められます。


※参考:労働契約法16条 | e-GOV

※参考:日本国憲法第22条第1項 | e-GOV

※参考:民法627条第1項 | e-GOV


内定辞退と選考辞退の違い

選考辞退とは、求職者の申し出により選考を受けている途中で辞退することです。まだ面接がすべて終わっていない段階で、それ以降の選考は受けないと求職者が宣言します。選考辞退に至る主な理由は、企業に対する志望度の低下や他社からの内定獲得など、さまざまです。


それに対して内定辞退は、企業が内定を出した後に求職者が辞退する行為を指します。なお、企業が内定を出す前の辞退は選考辞退、内定を出した後の辞退は内定辞退と呼ばれます。


内定辞退の現状

株式会社リクルートが公表している就職プロセス調査(2025年卒)のデータによると、内定率は2023年卒が96.8%、2024年卒が96.8%でした。一方、内定辞退率は、2023年卒が65.8%、2024年卒が63.6%となっています。この結果をみると、多くの学生が内定辞退をしているようです。


複数の企業から内定を獲得する学生も少なくありません。内定を獲得した企業のなかで最も志望度が高い企業に就職するため、内定辞退は多い状況です。ただし、内定辞退の主な理由は他にもあるため、以下で詳しく解説します。


※参考:就職プロセス調査(2025年卒)


内定辞退の主な理由とは?

何らかの理由により、求職者が内定を辞退するケースは多くあります。内定辞退の理由は、求職者によってもさまざまです。ここでは、株式会社インタツアーの調査結果のデータをもとにし、内定辞退の理由の一例について解説します。


※参考:【24卒 選考辞退・内定承諾についての調査】学生の内定辞退率が高いのは「説明会」と「内定後」! 多い辞退理由・承諾理由とは?|PRTIMES


本命企業ではなかった

調査結果をみると、本命企業ではないために内定辞退したケースが最も多くなっています。内定辞退をした求職者の54.2%が回答しました。たとえば、自社以外に内定を獲得した他社の待遇や仕事内容がより魅力的であれば、内定辞退に至る可能性があります。


福利厚生が他社と比べてよくない

求職者にとっては福利厚生も重要です。他社のほうが福利厚生の面で優れているため内定辞退をしたと回答した割合は、27.3%となっています。初任給やその後の給料を重視している就活生は多いです。また、福利厚生とともに、社風やキャリアステップなどを総合的に考えて判断するケースもよくあります。


希望の勤務地ではなかった

希望の勤務地ではないことを内定辞退の理由としてあげている割合は、23.1%でした。転勤を避けたいと考えている求職者は多く、全国転勤の可能性がある企業を避けるケースは少なくありません。勤務地の希望を叶えられる企業から内定を獲得した時点で、勤務地の条件が合わない企業の内定を辞退するパターンがあります。


キャリアアップのイメージができない

キャリアアップのイメージができないために内定辞退に至った割合は、22.7%です。求職者の中には、働き方や自分がやりたいことの実現可能性を重視している人も多くいます。内定を獲得できても、自分が希望するキャリアにマッチしない企業であれば、内定辞退を検討する求職者は少なくありません。


適性がないと感じた

内定辞退の理由として適性のなさをあげた割合は13.5%です。求職者が実際に働く企業を選ぶ際は、仕事内容や企業の雰囲気などを考慮します。選考を受ける過程で企業について詳しく知った結果、自分に合わないと感じて内定辞退に至るケースもあるでしょう。


内定辞退を防止するための対策

内定辞退を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。具体的な対策について解説します。


選考プロセスを見直す

選考プロセスに問題があると、内定辞退に至る可能性も高くなります。具体的には、選考の過程で求職者を不安にさせる要素がある場合です。そのような状況に陥っているなら、選考プロセスを見直す必要があります。


たとえば、求職者に対して適切な情報を提示できるよう、求人情報として掲載する内容を改めて考えることも大切です。また、選考の流れを事前に伝えたり、選考の結果に関する連絡を早めに行ったりするとよいでしょう。


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採用面接ではよい印象を与える

内定辞退を防止するには、採用面接において求職者によい印象を与えることも重要です。企業に対してよい印象をもてば、この企業で働きたいという意欲を高められます。求職者によい印象を与えるために特別なことをする必要はありません。面接のための来社についてお礼を伝えたり、求職者に配慮した双方向のコミュニケーションをとったりすれば、自然とよい印象を与えられます。


内定通知は自社の思いをしっかり伝える

内定通知の際は単に内定の事実を伝達するのではなく、内定者に対して自社の思いを丁寧に伝えましょう。内定を出した決め手とともに、ぜひ自社で働いてほしいという強い思いを伝えれば、内定者は高く評価されていると理解できます。


必要とされているという実感をもてると、入社に対する意欲も向上する可能性が高いです。結果として、内定辞退を発生させず、着実に入社してもらえる確率を高められます。


既存社員や内定者同士で交流できる機会をつくる

内定を獲得した内定者は、入社が近づくにつれて仕事に対する不安が募るでこともあるでしょう。仕事をこなせるか悩んだり、企業が自分に合っているか不安に思ったりするパターンはよくあります。そのため、悩みや不安を解消するための対策も必要です。


たとえば、既存社員や内定者同士で交流できる機会を用意する方法があります。社内の雰囲気を感じながら情報交換もできるため、入社前の漠然とした悩みや不安の解消につながる可能性も高まります。


社内見学や研修を実施する

入社に対する悩みや不安を払拭する手段としては、社内見学や研修の実施も効果的です。社内見学を実施すれば入社後のイメージが湧き、内定者は自分が働いている姿を想像しやすくなります。


また、入社後に備えて事前に新入社員研修を実施すると、慣れない仕事に対する不安を和らげられるでしょう。仕事で役立つマナーやスキルを身につけつつ、仕事に対するモチベーションも高められます。


メールやSNSを通してこまめにフォローする

内定から入社までは期間が空くため、こまめなフォローが重要です。メールやSNSを活用し、積極的にコミュニケーションをとりましょう。たとえば、メールで入社までのスケジュールを詳しく伝えたり、個別相談に対応している連絡先を伝えたりすると、内定者は安心感を得られます。


また、SNSを活用し、内定者コミュニティを作成する方法も効果的です。入社前から内定者同士がかかわりをもてるため、入社に対する不安を減らせます。


内定辞退につながる行為の例

企業の対応に問題があって内定辞退を引き起こす場合もあるため、注意が必要です。具体的な例について解説します。


内定出しまでの期間が長い

内定出しまでの期間であるリードタイムが長いと、求職者は他の企業への入社を検討しやすくなります。リードタイムが長いほど、社内の連携不足に対する懸念や自分に対する評価の低さなどを感じるからです。結果として、内定辞退を発生させる原因になります。


内定辞退を防ぐには、リードタイムを可能な限り短縮すべきです。面接から内定出しまでの期間が短ければ、採用に対する意欲が高いという印象を与えやすくなります。


企業側のレスポンスが遅い

内定出しだけでなく、選考の途中のレスポンスが遅い場合も求職者が不信感を抱く原因になります。内定出しが遅い場合と同様、評価の低さを感じる可能性が高いです。求職者がそのような不安をもちながら選考を受け続けると、たとえ内定に至っても入社に対する意欲が低くなる恐れがあります。


よって、選考の途中においても、レスポンスはできる限り早めに行うべきです。スピーディなレスポンスを実現できれば求職者に安心感を与えられ、入社したいという思いを維持しやすくなります。


面接で候補者の視点に立った対応ができていない

面接における対応は、求職者の企業に対するイメージに直結します。候補者の視点に立った対応ができていない場合、印象が悪くなる可能性が高いです。


たとえば、求職者に寄り添ったコミュニケーションをしなかったり、求職者の話を引き出す配慮ができなかったりすると、企業に対するイメージは低下する恐れがあります。企業は自分に興味がないと感じ、入社に対する意欲を低下させる原因にもなりかねません。内定辞退を防ぐには、求職者の立場に合わせた対応が不可欠です。


企業情報を適切に伝えられていない

求職者に伝えた企業情報に誤りがあると不信感につながり、内定辞退につながる恐れがあります。たとえば、求人情報で公開している内容と選考の過程で説明した内容に違いがある場合、求職者は不安を感じるでしょう。特に、給料の金額や雇用形態などの重要な内容について間違った情報を伝えると、大きな問題に発展するリスクもあります。企業情報は、事実と相違がないよう正しく伝えなければなりません。


選考状況を把握していない

求職者の選考状況を把握していないと適切な対応ができず、内定辞退を防ぎにくくなります。よって、内定保有社数や志望度などの情報を面接の際に聞き出すことが大切です。


優秀でぜひ自社に入社してほしい求職者がいても、自社の志望度が低い可能性もあります。しかし、事前に志望度を確認しておけば、自社に対する入社の意欲を高めるためのアプローチも可能です。求職者が重視しているポイントを把握し、積極的にアピールしましょう。内定承諾を得やすくなるだけでなく、その後の辞退の防止にもなります。


内定辞退防止につながる面接官トレーニングの方法

内定辞退を防止するには面接の印象が重要であり、面接官のスキル磨きが大切です。ここでは、面接官のトレーニング方法について解説します。


面接演習を実施する

面接の印象をよくするには、面接官を担当する社員に対して面接演習を実施すると効果的です。実際の面接のシチュエーションを想定し、練習を行いましょう。本番と同様の環境で面接のトレーニングを実施すると、質問力や回答力なども磨けます。結果として、求職者に好印象を与えることが可能です。


面接官マニュアルの作成・配布をする

マニュアルを作成すると採用基準や評価方法を統一でき、面接の質のばらつきをなくすために役立ちます。マニュアルを配布すれば、面接官は必要なタイミングで自主的に面接のスキルを学ぶことが可能です。面接官がノウハウを学んだうえで面接を実施できるため、求職者の入社に対する意欲を高める働きかけもしやすくなります。


入社後は早期離職の対策も欠かせない

新入社員が入社した後は早期離職への対策も必要です。早期離職の概要と防止策について解説します。


早期離職とは?

一般的に、早期離職とは、入社から3年以内の離職を表しています。早期離職の原因は、人によってもさまざまです。たとえば、職場の人間関係に馴染めず早期離職に至るパターンもよくあります。また、業務内容に関する認識にギャップがあり、入社してから仕事に興味をもてない新入社員も少なくありません。さらに、労働条件に不満を感じて早期離職を検討するケースもあります。


早期離職を防ぐ方法

早期離職を発生させないためには、入社後のフォローが重要です。たとえば、職場の人間関係に対する苦手意識をなくすには、オンボーディングを充実させる方法があります。オンボーディングとは、新入社員の定着や育成を促す取り組みのことです。また、キャリア形成しやすい環境を整備したり、労働条件を改善したりする必要もあります。


さらに、タレントマネジメントシステムの導入により、社員の現状を正確に把握することも重要です。社員について理解し、それぞれにとって最適な対応を検討しましょう。


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まとめ

内定辞退とは、内定者が内定を辞退することです。内定辞退が発生するとそれまでの選考が無駄になり、企業にとってマイナスとなります。内定辞退を防ぐには、理由を理解したうえで対策に取り組むべきです。企業の行為が内定辞退につながっているケースもあるため、見直しや改善にも力を入れましょう。


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