こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
コアタイムとは一日の中で必ず仕事に従事する必要がある時間のことを指します。
働き方改革により、従業員がストレスなく効率的に業務を行える取り組みが次々と導入されている現状があります。コアタイムは、そのような取り組みを推進する上で必要な制度の一つです。
本記事ではコアタイムの概要や目的、フレックスタイム導入のメリット・デメリット、導入時の要件についても解説します。
コアタイムとは?
コアタイムとは、一日の中で、従業員が必ず勤務しなければならない時間のことを指します。
昨今、フレックスタイム制度と併せてコアタイムを導入する企業が増えてきました。実際に導入する際は、全従業員が正確に仕組みを理解するために、体制を整える必要があります。
コアタイムの特徴は、企業によって定める時間が違う点です。一般的には4〜5時間程度に設定している企業が多く見られますが、中には3時間未満や5時間以上設定している企業も存在します。
実際に導入する際は、従業員に負担がかからないよう、また生産効率が下がらないように工夫する必要があるでしょう。
フレックスタイム制
働き方改革の一環として、フレックスタイム制に関する法改正が行われています。フレックスタイム制は、多様な働き方を選べる社会を実現するための制度の一つです。
フレックスタイム制は、以下のような特徴が挙げられます。
- 自分で柔軟に働き方を決められる
- 従業員のモチベーション向上を促す
- 様々な立場の従業員を考慮した制度である
フレックスタイム制は、従業員が自由に始業時間や終業時間、労働時間を決められる制度です。フレックスタイム制により、子育てをしながら働いている人の時短勤務が可能になったり、午前中を有意義に使いたい人が午後から出社することが可能になったりします。
このように、時間や働き方を自由に決められることは、従業員にとって有意義なことであるため、自然と仕事に対するモチベーションも高まるでしょう。
コアタイムの目的
コアタイムを設定する目的は、自由な働き方によって起こり得る問題を防ぐためです。
フレックスタイム制を取り入れると「誰がどのような業務を行っているのか分からない」とか「業務の進捗が分からない」などの問題が起こる可能性があります。
コアタイムで必ず業務に従事しなければならない時間を作ることにより、複数人で行う会議の予定を円滑に決めたり、それぞれの業務の進捗を把握したりすることができます。
コアタイム・フレックスタイム導入のメリット
コアタイムやフレックスタイムを導入すれば、従業員・企業ともに様々な恩恵を感じられるでしょう。
企業側と従業員側別に、以下の4つのメリットについて詳しく解説します。
- 従業員の離職を防ぐ
- 多様な人材が集まりやすくなる
- ワークライフバランスを保てる
- 通勤の負担を減らせる
企業側:従業員の離職を防ぐ
企業に所属している従業員は、一人ひとり置かれている環境は異なります。例えば、幼い子供を育てながら働いている従業員や、高齢の両親の介護をしながら働いている従業員もいるでしょう。
フレックスタイム・コアタイムを導入することで、「無理をしない柔軟な働き方」ができるため、従業員の離職を防ぐことができます。
また、フレックスタイム・コアタイムは、企業が柔軟な働き方に寛容であることをアピールする材料の一つです。働きやすい環境が整っていれば、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
企業側:多様な人材が集まりやすくなる
コアタイム・フレックスタイム導入によって、企業は従業員の離職を防ぐとともに多様な人材を集めることもできます。
企業の目標は、利益を上げることや業務を円滑に進めることです。様々な分野に特化した優秀な人材を集めれば、企業の成功につながるでしょう。
コアタイムやフレックスタイムを導入すれば、能力が高くても企業が定める業務時間どおりに働けず、働くことを諦める従業員を減らせます。特に育児や介護などをしながら働く優秀な人材も、集まりやすくなるでしょう。
従業員側:ワークライフバランスを保てる
ワークライフバランスとは、仕事と日常生活のバランスのことです。コアタイム・フレックスタイム導入により、従業員はワークライフバランスを保てます。
日常生活の充実は、仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。また、従業員は自分の時間を確保しやすくなり、自分に合う働き方を選べます。
コアタイム、フレックスタイムの導入により、時間の制限が緩くなるため自分の時間を確保しやすくなります。
従業員側:通勤の負担を減らせる
企業の勤務時間がだいたい同じのため、電車やバス通勤の場合は通勤ラッシュの時間帯に通勤しなければなりません。電車やバス通勤の場合、車内の混雑や騒音、におい、乗客のマナー、時間の消費などが従業員の負担になりやすいです。
コアタイムやフレックスタイムを導入すれば、通勤や退勤時間をずらして通勤ラッシュを回避できます。従業員の肉体的・精神的負担を減らすことができるでしょう。
コアタイム・フレックスタイム導入のデメリット
コアタイム・フレックスタイム導入にはデメリットもあります。自社に導入する際は、デメリットも正しく把握しておくことが大切です。
- 労務管理が複雑になりやすい
- 会議ができる時間が限られる
- 取引先との連絡が進まない可能性がある
- 従業員同士のコミュニケーションが不足しやすい
ここでは、4つのデメリットについて詳しく解説します。
労務管理が複雑になりやすい
コアタイムやフレックスタイムを導入することにより、従業員の勤怠管理が複雑になりやすい点がデメリットです。
「誰が何時に出社したか」「どの業務がどこまで進んでいるか」などが把握しづらく、正確に管理しなければ導入前よりも全体的な効率が下がってしまう可能性もあるでしょう。
従業員自身に勤怠管理をまかせなければならない側面もあるため、自己管理が苦手な従業員であれば、労働意欲や業務効率の低下にもつながります。
会議ができる時間が限られる
円滑な業務遂行においてミーティングやディスカッションは必要です。
しかし、コアタイムやフレックスタイムを導入することにより、会議の時間はコアタイムの時間内に設定しなければならなくなります。
一日の中で会議できる時間が限られてしまうため、会議時間が短くなるケースも考えられるでしょう。
また、複数の会議が立て込んでいる場合は、どちらかを中止しなければならない事態も起こり得ます。
取引先との連絡が進まない可能性がある
コアタイムやフレックスタイムは、企業導入が進んでいますが、自社に取り入れていない企業も存在します。
取引先がコアタイムやフレックスタイムを導入していなければ、勤務時間が合わないことから連絡や連携を取りづらくなる恐れがあるでしょう。
連絡がスムーズに進まないことにより、業務進捗が遅れたり、取引先からクレームを受けたりする可能性も考えられます。
従業員同士のコミュニケーションが不足しやすい
従業員は、好きな時間に出勤・退勤するため、お互いのコミュニケーションが十分ではなくなってしまう可能性があるでしょう。
また、すぐに業務に必要な連絡をしたくても、一方の従業員の就業時間ではない場合は、連絡が滞り、業務の進捗、判断に支障をきたす場合があります。
社内でのコミュニケーションを充実させるためには、定期的に従業員同士で会話できる場の設定や、業務の進捗を把握できる共有システム導入の検討が必要でしょう。
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フレックスタイム制導入時に必要な要件
企業がフレックスタイム制を導入時に必要な要件は、以下のとおりです。
- 就業規則
- 労使協定
ここでは、就業規則と労使協定について詳しく解説します。
就業規則
フレックスタイム制を導入するには、就業規則への規定が必要です。就業規則には、企業における働き方や就業におけるルールなどが記載されています。
フレックスタイム制を導入する際に、就業規則には、「始業や終業の時間帯は自由に従業員に委ねる」という旨を記載しなければなりません。
また、就業規則を変更した場合は、労働基準監督署への届け出が必要になります。
労使協定で基本的枠組みを定める
フレックスタイム・コアタイムを導入するにあたり、就業規則への記載に加え、労使協定を定める必要があります。
労使協定とは、雇用主と従業員の間で結ばれる協定です。雇用主と従業員の双方が合意している必要があり、企業独自のルールが設けられています。
労使協定は、企業内に過半数の従業員で構成された労働組合があればその組合と、存在しない場合は過半数の従業員を代表した人と協定を交わします。
労使協定で定める項目は以下の6つです。
- 対象となる労働者の範囲
- 清算期間
- 清算期間における総労働時間
- 標準となる一日の労働時間
- コアタイム
- フレキシブルタイム
なお、コアタイムやフレキシブルタイムは任意になります。
コアタイムを設定するときの注意点
コアタイムを設定する際の注意点は、以下のとおりです。
- 始業・就業時間を決められるようにする
- 従業員が働きやすい時間に定める
- コアタイムは適度な時間に定める
- 新人がいる場合は考慮する必要がある
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
始業・就業時間を決められるようにする
フレックスタイム制の大きな特徴の一つとして挙げられるのが、始業時間や終業時間を従業員が自由に決められる点です。
また、就業規則にも従業員が自由に決められる旨を記載しなければならず、この仕組みがなければフレックスタイム制には該当しません。フレックスタイム制として正しい仕組みを導入した後、コアタイムを設定するようにしましょう。
従業員が働きやすい時間に定める
フレックス制と同時にコアタイムを設定する場合、大多数の従業員が働きやすい時間帯に定める必要があります。
例えば、コアタイムの開始時間が朝8時だったり、終了時間を夜18時に設定した場合、従業員がフレックスタイム制の恩恵を受けることができなくなってしまいます。
11時〜15時など、どのような環境の従業員でも働きやすい時間帯に設定することが大切です。
コアタイムは適度な時間に定める
コアタイムを決める際には、何時間に設定すべきかを考える必要があります。
例えば、一日の中でコアタイムを2時間に設定した場合、従業員にとっては「自由度が高い」と感じられる一方で、多くの人員が必要とされる会議の開催が難しくなります。社内の会議だけでなく、取引先とのミーティングや商談のスケジュールを立てるのも難しくなるでしょう。
新人がいる場合は考慮する必要がある
企業内に新人がいる場合には、上司や先輩とのコミュニケーション不足を防ぐことが重要です。そのためには、新人と上司・先輩との始業時間や就業時間を合わせる必要があるでしょう。
新人と上司が置かれている環境や働き方における考え方は異なるため、お互いが納得できる時間帯でコアタイムを設定する必要があります。
特に新人にとって、コアタイムが働く上で不都合なものになってしまえば、離職につながる可能性もあるでしょう。
コアタイムでの欠勤や遅刻・早退の考え方
コアタイムでは必ず業務に従事しなければならないと定められています。コアタイム内で欠勤や遅刻、早退が起こった場合はどのように考えればよいか分からない人もいるでしょう。
ここでは、コアタイムでの欠勤や遅刻。早退の考え方について説明します。
コアタイムで欠勤や遅刻・早退があった場合
フレックスタイム制では、基本的に何時に出社、退社をしてもよいとされています。しかし、同時にコアタイムを設定している場合は、その時間内は就業しなければなりません。就業していなければ、欠勤や遅刻・早退に該当します。
これは一般的な勤務形態と同じですが、コアタイム内で欠勤や遅刻があっても、一ヶ月の総労働時間に見たしていれば、賃金の控除ができない点が異なります。
就業規則に、コアタイム内でやむを得ない理由を除いて欠勤や遅刻をしてはならないなどを定めておけば、就業規則違反として処分対応は可能です。
コアタイムでの欠勤や遅刻・早退の対策
企業がそれぞれ定めているコアタイム内で欠勤や遅刻、早退が増えれば、フレックス制やコアタイムを導入した意味がなくなってしまうでしょう。
従業員のパフォーマンス低下や会社の秩序の乱れにもつながる可能性もあるため、一定の条件で課されるペナルティを検討してもよいでしょう。
コアタイムにおける欠勤や遅刻・早退の対策法として考えられるのは、以下のとおりです。
- 就業規則にコアタイムに欠勤・遅刻・早退をした場合は減給する旨を記載する
- 賞与時にてコアタイム時の欠勤・遅刻・早退の結果を反映させる
- コアタイムに欠勤・遅刻・早退をしなかった場合は皆勤賞などの報酬を支給する
減給などの処分以外にも、従業員のモチベーションを向上させるための取り組みを行うと、より効果的にフレックスタイム・コアタイムを導入できるでしょう。
まとめ
コアタイムは、従業員が必ず従事しなければならない勤務時間として設定されます。これは、従業員が柔軟かつ自由に働く環境を作れるフレックスタイム制を、問題なく導入・運用するために必要な取り組みです。
フレックスタイム・コアタイムは、注意点を踏まえた上で導入すれば、企業や従業員の成長にもつながるでしょう。
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