コンフリクトマネジメントの意味は?事例と解決の手法を紹介


コンフリクトマネジメントの意味は?事例と解決の手法を紹介

多くの人材が集う企業にあっては、人間関係のトラブルは程度の差こそあれ、日々何らかの形で起こってくるものでしょう。

今回は、人間同士の対立をポジティブに捉え、組織の成長につなげていくコンフリクトマネジメントを紹介します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


多くの従業員を抱える企業ほど、組織を円滑にマネジメントしていくことに気を配っている部分も多いでしょう。人間同士の衝突や対立は避けられない面もありますが、それをネガティブに捉えるのではなく、ポジティブな方向に導いていくのがコンフリクトマネジメントです。


この記事では、コンフリクトマネジメントの基本的な捉え方や具体的な解決手法、事例などを解説します。


コンフリクトマネジメントとは? 

コンフリクトマネジメントとは、組織内で発生した対立を前向きなものとして捉え、本質的な問題解決に結び付けていくマネジメント手法を指します。「職場の円滑化」や「組織の成長」に役立つ取り組みなどが、コンフリクトマネジメントに該当するでしょう。


職場の人間関係でトラブルが起こった場合、どちらかの意見に肩入れをするだけでは、組織の成長にはつながっていかないでしょう。コンフリクトマネジメントを実践することによって、Win-Winの関係になるように利害や対立を調整し、人材育成や組織全体の活性化につなげていくのを目的としています。


人間関係の対立をそのままにしておけば、組織の弱体化の要因となりますが、コンフリクトマネジメントを行えば、そうしたトラブルさえもプラス要因に変えていけるのです。


なぜコンフリクトは生まれる?

コンフリクト(conflict)は「衝突」や「対立」を表す言葉ですが、職場でコンフリクトが発生する原因についても押さえておく必要があります。そもそも、従業員は基本的にはリーダーの意思に沿って同じ行動を取るはずなので、一見すると争いは起こらないようにも見えます。


しかし、実際の職場というものは複雑な状況によって成り立っている部分があり、水面下では様々な対立を生み出す原因があります。例えば、同じ職場で働いていても、年齢や性別、雇用形態やスキルの有無など個々の従業員には多くの違いがあります。


立場が異なれば、同じテーマを社内で議論しても意見の集約が難しく、場合によっては組織運営そのものが停滞してしまう原因にもなります。つまり、コンフリクトが生まれる原因はそれぞれの従業員が抱える「差異」にあるといえるでしょう。


コンフリクトが生まれる3つの要素


コンフリクトが発生する要因として、「条件の対立」「認知の対立」「感情の対立」の3要素があげられます。それぞれの要因について解説します。


条件の対立

まず、条件の対立については3つの要素の中でも比較的解決しやすいものです。具体的な条件の対立というのは、上司や部下といった人間関係の上下による対立や業務内容の差異が当てはまります。


経営的な観点で見れば、コストと品質の対立、納期と安全性の対立、利益とコストダウンの対立などがあげられます。


認知の対立

価値観や考え方の違いによって発生するコンフリクトを認知の対立といいます。同じテーマであっても、人によって感じ方・考え方は様々なので、解釈が異なることで対立が生まれるといえるでしょう。


具体例としては、理想と現実の対立、印象と事実の対立などがあげられます。価値観や考え方は、その人の人生観なども大きく影響しているため、コンフリクトを解消する難易度も少々高くなります。


感情の対立

感情の対立は、文字どおり気持ちの面での対立です。本人がどう感じるかは人それぞれであるため、3つの要素の中で一番解決が難しいものでもあります。


しかし、放置していると対立が複雑化してしまい、解決ができない状態に陥ってしまう可能性があるため、早めに対処する必要があります。具体例としては、優越感と劣等感、愛情と無関心、満足と後悔などがあげられます。


感情の対立の反応

感情の対立は、条件や認知の対立と比べて、原因の特定が容易に行えないことがネックだといえます。コンフリクトが生じた際の反応も人それぞれですが、ある程度の傾向が見られるのも確かです。


ここでは、感情の対立が起こってしまったときの反応を5つ紹介します。


強制

「強制」とは、一方が優位な立場を用いて、自分の意見を無理やり通そうとする行為です。そのため、相手の意見は蔑ろにされてしまうため、両者の間でしこりが残り、感情の対立につながってしまう恐れがあります。


服従

「服従」は、相手の言いなりになってしまう状態を指し、強制とは逆の態度となります。しかし、自分が言いたいことを言えない状態は変わらないため、やはり不満が溜まってしまいます。


妥協

「妥協」は、相手の意見を優先しつつも、どこで折り合いを付けられるかを探る態度です。お互いの意見が完全には通らないため、満足する結果とはならず、前向きな解決とは言えない部分があります。


回避

「回避」とは、お互いが自分の意見を譲らずに、解決を先送りしてしまう態度です。問題の解決を先送りしてしまうため、中長期で見ればお互いにとって望ましい状態ではないといえるでしょう。


協調

「協調」はお互いが自分の意見を伝え合い、前向きな議論を重ねることでWin-Winの関係を目指していく姿勢です。コンフリクトマネジメントで目指す方向性として、協調の姿勢が尊重されます。


コンフリクトを解消して強い組織を作るには、あらゆる人事データを統合して分析

コンフリクトは条件・認知・感情の対立によって生み出されるものですが、ポジティブな視点で捉え解決方法を探っていく姿勢が、コンフリクトマネジメントにおいては求められます。


職場を円滑化し、組織の成長につなげていくためには、個々の人材の特性を見極めると同時に、適切な人員配置も考えていく必要があるでしょう。タレントマネジメントシステムである『タレントパレット』は、あらゆる人事データを一元管理し、活きた情報として最大限に価値をもたらすためのツールです。


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コンフリクトの具体的な事例は?

一口にコンフリクトと言っても、業種や職種によって様々な違いがあります。様々な現場でどのようなコンフリクトが生じているのかを見ていきましょう。


医療現場のコンフリクト事例

医療現場におけるコンフリクトマネジメントは、積極的に取り入れられています。医療業界は医療従事者や患者とその家族など、多くの立場の人が関わる領域であるため、コンフリクトが発生しやすいといえるでしょう。


医療の現場においては、医療コンフリクトマネジメントという現場対応に即した方法があり、研修を通じて医療従事者は学んでいます。具体的には、受容・傾聴・共感・忍耐といった姿勢を身につけるとともに、患者の立場に立って感情を理解することに努めています。


同時に、ただ患者に寄り添うだけでなく、自分自身のケアを行うためのスキルも学んでいるのです。


介護現場のコンフリクト事例

介護現場のコンフリクトマネジメントも、基本的には医療現場のものと大きな違いはありません。ただし、医療現場は主に病院などの施設内を想定していますが、介護に携わる人たちは、ケアを受ける人の住まいを直接訪問する機会も多いものです。


そのため、プライバシーに対する配慮や老いや障害に対する理解などを深く学んでおく必要があります。一方で、ケアの対象者にただ寄り添うだけでなく、介護のプロとしての立場から自立支援に取り組み、適度な距離感で見守りを行っていく必要があります。


企業のコンフリクト事例

企業におけるコンフリクトは、中小企業の文化と大企業の文化の違いから発生する部分も大きいでしょう。例えば、大企業で勤めていた従業員が、中小企業に転職した際に文化的な違いから、上司やオーナーとの対立が起こってしまうケースがあります。


また、新卒採用と中途採用といった入社のタイミングによっても、コンフリクトが生じる場合があるでしょう。これらのコンフリクトを解消するには、本人との面談を定期的に行い、対立の原因となっている点を整理することが大切です。


できるだけ早期にコンフリクトを発見すれば、問題の解決に結び付けやすくなるでしょう。


コンフリクトマネジメントによる解決の手法


コンフリクトの解決を目指し、組織の成長につなげていくのがコンフリクトマネジメントです。具体的にどのような手順で、コンフリクトを解決していけばよいかを解説します。


状況把握

コンフリクトが発生している状態というのは、人間関係に何らかの対立が起こっている状況だといえます。そもそも、コンフリクトの発生は当事者同士の問題だけでなく、チーム全体のモチベーションを低下させる要因にもなります。


そのため、コンフリクトマネジメントを行うときは、チーム全体を対象とすることが大切です。コンフリクトはマイナスのものではなく、解決すればプラスに作用していくことを丁寧に説明しましょう。


また、当事者の状況を把握すると同時に、チームの他のメンバーの意見も聞く機会を設けることが大切です。


対立している同士で話し合いをする

対立している当事者と向き合うときに重要なのは、「コンフリクトの原因を見つける」ことです。対立している当事者がどのような意見を持ち、考えているのかを把握した上で、条件・認知・感情の対立のどれに当てはまるのかを検討します。


対立の原因は1つとは限らず、複数の原因が絡んでいることもあるため、まずは丁寧に話を聞いてみましょう。


話し合いに介入する

当事者同士の対立の原因を把握した上で、話し合いに介入することも大事です。あくまで中立的な立場として話を聞き、議論の内容を整理しながら、現時点でお互いがどのような行動をとっているのかを判断します。


問題の解決を急ぐあまり、過剰に介入をすればかえって事態の悪化を招いてしまう恐れがあるため、一歩引いた立場でコミュニケーションの内容を整理していく立場に努めましょう。議論が感情的になってしまうケースもあるので、感情をよく理解して議論を整理していく忍耐強さが求められます。


解決案を提示し協力体制を作る

議論がある程度進み、争点が整理できたら、客観的な立場として考えられる解決案を提示してみましょう。大事な点は個人に焦点を当てるのではなく、対立の原因そのものに焦点を当てることです。


それによって、意識を相手ではなく原因そのものに向かわせるアプローチが必要だといえます。そして、提示した解決案の中から双方が最も妥当だと思えるものを1つ選んでもらいます。


お互いにとってメリットのある着地点を見つけることで、前向きな意見交換の場に変えていくことが大切です。当事者間の合意を得れば認識のズレも減らすことができ、新たなコンフリクトの発生を食い止められるはずです。


コンフリクトマネジメントのメリットとは?

コンフリクトマネジメントに取り組むメリットは、先に述べたように職場の円滑化や組織の成長などを実現できる点にあります。コンフリクトマネジメントに取り組む姿勢を打ち出せば、従業員の不満を直接聞く機会を設けられるので、それ自体がメリットともいえるでしょう。


不満が減っていくことで、従業員同士の相互理解が進み、結束力のある組織作りにつなげていけるはずです。従業員としても企業が真剣に向き合ってくれることで、モチベーションが高まり、成長のきっかけをつかむ要因にもなるでしょう。


まとめ

多くの従業員を抱える企業であるほど、日常的にコンフリクトが発生しやすいといえます。対立が生じている原因によって、解決までにかかる時間や労力は様々ですが、組織の成長につなげるためには前向きに取り組んでいく必要があります。


コンフリクトマネジメントは、職場での対立を前向きに捉え、人材育成や職場の円滑化に取り組んでいく手法です。しかし、実際に取り組むとなると対立している原因の究明や対応に多くの労力がかかってしまう場合もあります。


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