コモディティとは?原因やデメリット・対策方法を解説


コモディティとは?原因やデメリット・対策方法を解説

コモディティとはいわゆる商品、コモディティ化とは商品の品質が均一化した状態のことです。企業にとってコモディティ化は利益率を低下させ、経営不振を引き起こすリスクとなります。あらゆるジャンルにおいてコモディティ化が起こりやすい現代で、企業が存続していくためにはコモディティ化への対策が重要です。本記事ではコモディティの概要、コモディティ化の意味や原因を解説します。また、コモディティ化への対策方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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コモディティとは

コモディティとは日用品や必需品など、いわゆる商品のことです。食べ物や衣類、工業品などがコモディティに該当します。コモディティはビジネスシーンや投資シーンで用いられることが多いワードです。

ビジネスシーンにおけるコモディティは品質が均一化した商品を指します。機能や特徴が差別化されておらず、どれも同じように見える商品といえるでしょう。

投資シーンにおけるコモディティは商品取引所で取引される商品、または商品先物取引のことです。コモディティはハードコモディティとソフトコモディティに分類され、エネルギーおよび金属はハードコモディティ、農産物や畜産物はソフトコモディティです。

コモディティ化とは

コモディティ化はビジネスシーンで用いられる用語です。特定の商品について企業ごとの機能・品質の差異が小さくなり、消費者にとってブランドが重要ではない状態になることを指します。ある商品が革新的なデザイン・機能などを有している場合は付加価値が高くなるでしょう。しかし、競合他社の追随を受けて商品が一般化すると、差別化が図れなくなり付加価値が薄れてしまいます。

コモディティ化した商品・サービスは消費者から価格を基準にして選ばれるようになるため、価格競争が激化してしまう傾向です。近年は技術革新が進みビジネススピードが速まっており、あらゆる業界でコモディティ化が起こっています。

コモディティ化の事例とは

コモディティ化をわかりやすく解説するため、スマートフォン・カフェ・電化製品の事例を取り上げます。

スマートフォン

インターネットが発達した現代では、スマートフォンが必需品となっています。スマートフォンは市場に広く普及していて、機能やデザインでの差別化が難しいというのが現状です。コモディティ化が進み、消費者にとってはどのスマートフォンを選んでも違いがないと認識するでしょう。

Appleではユーザーエクスペリエンスを重視することで、iPhoneを他のスマートフォンから差別化することに成功しました。顧客のニーズを知る施策のひとつは、実店舗やオンラインにおけるユーザー意見の積極的な収集です。独自性の高い製品の提供によって、Appleはスマートフォン市場おいて一定のシェアを確保できています。

カフェ

商品としてのコーヒーは、かつては喫茶店で提供されるもの、または缶コーヒーが主流でした。しかし、コンビニがセルフコーヒーの提供を始めたことで、コーヒー市場における供給形態が変化しました。コンビニが提供するセルフコーヒーは高品質かつ低価格で手軽に購入できるため、多くの人が利用しています。近くで販売されているコーヒーならブランドを問わないと考える消費者も多いでしょう。

スターバックスでは店内の雰囲気やサービスの質に力を入れ、顧客体験を向上させて差別化しています。コーヒーの販売において競争力を維持する施策は、季節限定のメニューや独自のカスタマイズサービスの提供などです。

電化製品

電化製品でもコモディティ化が進んでいます。たとえば、日本製の薄型テレビは登場当初、世界中で人気があり高い付加価値がありました。しかし、品質の高い海外製品が売り出されたことで、価格競争が進んでいます。薄型テレビに限らずさまざまな商品でコモディティ化が起き、製品価格が下落しているのが現状です。

家電メーカーのバルミューダでは、洗練された高級感あるデザインの製品開発にとって差別化に成功しました。サイクロン式掃除機を初めて開発したとされるダイソンは、革新的な製品づくりによって高い人気を誇ります。

コモディティ化の原因

商品のコモディティ化が起こる主な原因は下記のとおりです。

  • 類似商品やサービスの展開
  • 技術水準の向上
  • 思考方法の変化
  • モジュール化
  • 低価格商品の台頭
  • 情報入手のしやすさ


それぞれ詳しく解説します。

類似商品やサービスの展開

革新的な商品・サービスが登場しても、その後に類似商品・サービスが提供されるようになるとコモディティ化が起こります。他社の人気商品を真似て製品開発を行う創造的模倣戦略は、現在多くの企業が採用する方針です。人気商品なら顧客ニーズを満たしていると考えられるため、お手本にして製品を展開すれば売上を見込めるでしょう。

競合他社によって模倣品がつくられると、製品の機能や品質に差がなくなってしまいます。市場に似たような商品・サービスが多く出回っていると差別化が難しくなるでしょう。

技術水準の向上

現代社会では技術水準が向上している点も、コモディティ化が進む原因です。自社が研究開発に力を入れていても、競合他社も同じく製品づくりのため多額を投資しています。優れた製品・技術を生み出すためにそれぞれの企業が切磋琢磨していると、全体的な技術水準が向上していくでしょう。

特定の企業が一時的に優位性を持ったとしても、業界全体の技術水準が高いと次第に差が縮まります。どの企業も一定の技術水準を有しているため、特定の企業にしか製造できない製品が生まれません。結果として市場に類似製品が増え、コモディティ化を招いてしまいます。

思考方法の変化

企業が製品づくりにおいて平均思考を重視していると、革新性のない無難な商品ばかりがつくられるでしょう。平均思考とは物事の判断において平均値を軸とする考え方です。新しいアイデアに挑戦せず、すでに認識されている顧客ニーズに沿った製品を生産していると、独自性のある製品は生まれません。

独自性のない製品では差別化ができないため、競合他社と似たような製品が増加します。製品に付加価値がなければ価格で勝負するしかなくなくなるでしょう。市場で価格競争が激化し、結果としてコモディティ化が起こります。

モジュール化

モジュール化とは部品や要素が規格化されることです。部品化と呼ばれる場合もあります。モジュール化が起こると製品開発が簡素化され、手間や費用が抑えられることでコストダウンが可能です。一方、製品の独自性が失われ、差別化が難しくなります。

たとえば、かつてパソコンは高額な製品でした。しかし、現在では価格が安くなっており、以前よりも手軽に購入できるようになりました。パソコンのパーツやソフトウェアでモジュール化が進み、製品コストが抑えられるようになったためです。パソコンは製品間での差別化がしづらくなり、コモディティ化が起きています。

低価格商品の台頭

低価格商品の台頭もコモディティ化が引き起こされる原因です。ある製品について、競合他社が機能や品質がやや劣る製品を低価格で提供したとします。機能や品質にそれほどこだわらず価格を重視する消費者であれば、より低価格の製品を選ぶでしょう。

スーパーではプライベートブランド品として、低価格の商品を提供するケースが多く見られます。国内に安い海外製品が流入することで、日本製品が価格競争に巻き込まれる場合も少なくありません。市場に低価格の商品が増えると、企業が値下げを繰り返す悪循環が発生します。

情報入手のしやすさ

近年ではインターネットが発達し、スマートフォンが普及したことで製品の情報収集がしやすくなっています。競合他社の商品情報であっても簡単に入手できるでしょう。そのため、製品やビジネスモデルを比較的手軽に模倣できています。競合他社が新商品・サービスを短期間で模倣できてしまうと、市場に類似品が多く出回るため差別化ができません。

情報の透明化によって後発企業は低コストで市場に算入可能です。すると、先発企業が価格競争に巻き込まれ、値下げせざるを得なくなります。コモディティ化が進み、全体として製品価格が下落するでしょう。

コモディティ化の対策方法

コモディティ化への主な対策方法は下記のとおりです。

  • 切り口を考え直す
  • 営業アプローチで差別化を図る
  • ブランドを確立する
  • 主観的な体験を販売する
  • 薄利多売へ切り替える


それぞれ詳しく解説します。

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切り口を考え直す

近年では既存製品をアップデートしたり、製品に新しい機能を付与したりするだけではコモディティ化を避けられません。そのため、販路や宣伝方法、そもそものコンセプトなどを見直して、自社だけの強みを発揮する必要があります。

自社の技術やノウハウを改めて振り返り、他社と差別化できる点がないか探してみましょう。製品・サービスの切り口を考え直してみることで、新しい付加価値を生み出せる可能性が広がります。製品・サービスの独自性を強化すれば市場における優位性を保てるでしょう。

営業アプローチで差別化を図る

製品開発だけでなく、営業のアプローチ方法からでも差別化を図れます。従来のマーケティング手法から一歩進み、顧客の潜在的な課題発見に注力することも選択肢です。顧客が気づいていない課題を見つけ、解決に役立つ製品・サービスを提供できれば自社の競争力を大きく高められます。

顧客のニーズを見つけ出すには、顧客を細分化して分析する施策が効果的です。顧客目線を徹底した製品・サービス開発も役に立つでしょう。

自社の営業アプローチを改善するには、パイプライン管理や分析ツールの活用がおすすめです。営業プロセスをステップごとに分析して課題を洗い出しましょう。課題を解消していけば自社の営業力を向上させられます。

ブランドを確立する

自社のブランドを確立できれば、価格競争に巻き込まれず売上を確保できます。市場において比較的高額な製品であっても、機能や品質が高くブランドへの信頼があれば、消費者は価格に納得して購入してくれるでしょう。ブランディングに効果的な手法のひとつは、自社の製品開発におけるストーリーや企業イメージの積極的な発信です。

ストーリーに共感してもらい、企業イメージに愛着を持ってもらえれば、自社のブランディングが強化されます。自社の長期的なファンを獲得でき、価格を下げなくても競合他社に対する優位性を保てるでしょう。

主観的な体験を販売する

顧客が購入を検討する際は製品の価格や品質だけでなく、その他の要素も合わせて判断しています。たとえば、主観的な購入体験の質も判断要素となるでしょう。

製品の機能や品質など客観的な要素で差別化が難しい場合は、顧客の主観的な体験を高める施策が重要です。購入の際に販売員の接客が丁寧ならば、顧客にとってはで満足感が高い購入体験となります。購入した製品にも愛着を持ちやすいでしょう。

顧客との信頼関係が築ければ、他社には模倣できない付加価値となり優位性が生まれます。自社の競争力を高めたい場合は製品自体の質だけでなく、顧客の目線に立って販売戦略を考える必要があるでしょう。

薄利多売へ切り替える

コモディティ化の対策として、薄利多売に切り替える手段もあります。薄利多売とは商品の売上利益が少なくとも、大量に販売して利益を確保するビジネスモデルです。薄利であっても可能な限りの利益を得るため、製造や販売におけるコスト削減が重要となるでしょう。全体としての利益をキープするには、一定以上の販売量確保が必要です。

たとえば100円均一ショップのダイソーは、圧倒的な品ぞろえによって差別化に成功しています。さまざまな商品を手軽に購入できるため多くの顧客が店舗を訪れ、市場における優位性を得て成功しました。

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コモディティ化のデメリット

コモディティ化の主なデメリットは下記のとおりです。

  • 企業間争いが激化する
  • 営業の提案が難しい
  • 企業利益が縮小する


それぞれ詳しく解説します。

企業間争いが激化する

製品のコモディティ化が進むと企業間争いが激化し、結果として製品の価格が下落します。商品の機能や品質に差がないと、顧客は価格を基準に購入するものを選ぶようになるでしょう。そのため、企業が商品を売るためには価格を下げざるを得なくなります。

競合他社がそれぞれ値下げを繰り返していくとデフレが引き起こされ、企業の利益率も低下していくでしょう。企業が利益を得られないと開発に投資する資金も確保できなくなるため、市場全体の成長が鈍化してしまうおそれもあります。新しいアイデアや製品が生まれづらくなり、消費者にとってもデメリットです。

営業の提案が難しい

営業において自社を選んでもらうためには、顧客に自社を強く印象付けられるようなアピールポイントが必要です。営業活動では自社が持つオリジナリティの強調が求められます。

コモディティ化が進んだ商品・サービスについては、営業の提案が困難です。市場に類似の製品が多いと、企業がそれぞれ差別化できなくなります。企業ごとの独自性が失われるため、営業活動で自社の強みをアピールできなくなるでしょう。価格でしか差別化できないようになれば、価格競争が強まり利益率が下がってしまいます。

企業利益が縮小する

前述したようにコモディティ化が進むと、製品の価格が下落していく傾向となります。機能や品質での差別化ができなくなり、顧客に価格で選んでもらうしかなくなるためです。営業で自社のオリジナリティがアピールできない場合も、価格を下げて提案するしかなくなるでしょう。

製品・サービスの価格が下がると企業が得られる利益が縮小します。特に中小企業にとっては利益確保が難しくなるでしょう。製品を販売しても利益がないと、新しく製品開発に取り掛かったり、営業活動を改善したりする余裕が失われてしまいます。経営困難に陥るリスクもあるため、十分な利益の確保は企業にとって死活問題です。

まとめ

現代社会ではさまざまな商品でコモディティ化が進んでいます。コモディティ化が起こる主な要因は類似商品や低価格商品の蔓延です。コモディティ化の効果的な対策は自社のブランディングや、営業アプローチの工夫などです。価格以外で自社製品を選んでもらえるよう、顧客体験の質を向上させ満足度を高める必要があります。

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