こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
コーチングはビジネスの現場で注目を集めている教育手法です。「コーチングはビジネスに活かせる?」「コーチングを導入するメリットはある?」などの疑問を持っている人もいるでしょう。コーチングは適切に活用することでビジネスにおいて大きなメリットをもたらします。
本記事ではコーチングについて、歴史や種類、必要なスキル、メリット・デメリットなど様々な視点から解説します。コーチングについての理解を深めてビジネスに役立てたい人はぜひご覧ください。
コーチングとは
コーチングとは、従来の直接的な指導方法とは違い、答えを直接与えることなく、創り出すことをサポートする指導法です。相手の話に深く耳を傾け、相手が新たな視点や気づきを得られるよう対話や提案を行います。
コーチングの特徴は答えにあります。コーチングでの答えは、相手の中にあるとされていて、それを引き出すことや創り出すことのサポートが目的です。一方的に答えを教えられる従来の指導法と比べ、相手が持つ本来の価値観や考え方を自分らしく発揮することができます。
コーチは相手に対して指導は行わず、寄り添い、時に問いかけます。そのため、指導法というよりは、コミュニケーションの技術ともいえるでしょう。
コーチングの種類
コーチングには複数の種類があります。使う場面や相手、目的などによって使い分けが可能です。ここでは、以下の4つのコーチングについて解説します。
- ライフコーチング
- ヘルスコーチング
- ビジネスコーチング
- エグゼクティブコーチング
このように、コーチングの種類は人生に関することや健康、仕事など、多岐にわたります。それぞれの内容を確認しましょう。
ライフコーチング
ライフコーチングは、人生そのものや生き方についての満足度や充足感を向上させることが目的です。内容は、仕事や健康、お金、家庭、人間関係など幅広くコーチングを行います。
今後どのように生きていくか、生きていく目的は何かなど、本人が大切にしたい価値観を対話の中から明確にするコーチングです。自己実現だけでなく、生き方に迷いが生じた際に受けると効果的でしょう。
人生という壮大なテーマを扱うため、コーチには人生経験や深い洞察力、価値観が必要とされます。アメリカでは一般化してきているライフコーチングですが、日本ではあまり浸透していません。
ヘルスコーチング
ヘルスコーチングは、健康に関する目標を達成するためのものです。病気や体型、生活習慣などとの付き合い方などがテーマとなっています。
コーチが寄り添うことにより、なぜ生活習慣が乱れてしまうのか、体の不調の原因はどこにあるのか、など自分の中の答えを引き出すことが目的です。コーチには医学の専門知識やスキル、視点が必要となります。
また、身体的な健康に関する目標だけでなく、精神的な健康を手に入れるためにも有効です。精神面の対話内容は、ストレスに関することが多くなっています。本人も気づいていなかったストレスの原因を見つけ出し、根本から取り除くためにはコーチングによる対話が効果的です。
ビジネスコーチング
ビジネスコーチングは、会社や組織内で行われる仕事に関するコーチングです。部下の育成や企業内のコーチ育成のために行われます。
ビジネスコーチングに期待されるのは、従業員の自主性や自立心の成長を促すことです。モチベーションの向上や、目標達成に向けた意識の変化を促したい場合に効果的といえます。自分で考えて、自分で行動を起こせる人材を育成したい場合に取り入れるとよいでしょう。
メリットはコーチングを受ける側だけでなく、コーチである上司にもあります。マネジメントスキルやリーダーシップ、指導力の向上がメリットです。優れた管理職を育成したい場合にもビジネスコーチングは役に立ちます。
エグゼクティブコーチング
エグゼクティブコーチングは、経営層を対象に行われるコーチングです。現在の経営者や経営幹部だけでなく、未来の経営幹部候補の従業員も対象となります。
他のコーチングとの違いは、個人の目標に対してではなく、会社や組織の目標や成長に焦点を当てている点です。意思決定や経営に関する判断を繰り返す経営者や経営幹部が、常に冷静に判断できるように、対話を行います。
冷静な判断を下せる精神状態を手に入れることで、経営判断や意思決定の質を高め、企業や組織の目標到達に貢献します。エグゼクティブコーチングは、判断を迫られ、数ある選択肢の中から答えを探さなくてはいけない経営者の強い味方です。
コーチングの歴史
コーチングの発祥や発展には長い歴史があります。コーチングについての理解を深めるためには、歴史を知ることが大切です。
ここでは、コーチングが誕生した発祥の経緯と、どのように発展を遂げてきたのかを解説します。
コーチングの発祥
「コーチ」という言葉が誕生したのは1500年代といわれています。「コーチ(coach)」は「馬車」という意味を持つ単語です。馬車は、乗客を目的地まで送り届ける役割があり、その意味から派生して、コーチングという用語が誕生します。
また、マネジメントスキルとしてコーチングが使われるようになったのは、1950年代にハーバード大学の助教授であるマイルズ・メイス氏の著書に登場したのが始まりとされています。
コーチングの発展
コーチングが日本に浸透し始めたのは、1990年代頃からです。1997年にコーチ・エィという企業が、コーチングを学ぶための「コーチ・トレーニング・ プログラム (CTP)」の提供を開始しました。ここから発展し、マネジメントに活用するために、ビジネスコーチングを導入する企業が増えていきます。
また、ビジネスの現場だけでなく、教育現場や医療機関など広い分野で発展を遂げてきました。
ビジネス環境が変化しやすい昨今では、ビジネス現場でのコーチングが求められるようになりました。人材育成やチームや組織のマネジメントなど、コミュニケーションが必要な場面でコーチングが重要な役割を果たしています。
コーチングと他の言葉との違い
コーチング以外にも、ビジネスで使われる似た用語があります。コーチングに似た用語として挙げられるのは、主に以下の4つです。
- ティーチング
- カウンセリング
- コンサルティング
- メンタリング
ここでは、それぞれの言葉の内容と、コーチンとの違いについて解説します。
ティーチングとは
ティーチングは、コーチングと違い、答えや解決方法を与える指導方法です。学校での授業がわかりやすい例でしょう。
知識や経験のある人からない人へ、答えや考え方、解決方法を教えることによる知識習得やスキル向上が目的です。ティーチングは1対1で行われることもあれば、1対複数人で行われることもあります。
コーチングはコーチから相手への問いかけや対話から答えを導き出す指導法です。一方、ティーチングは相手へ答えを直接提供する方法を使います。そのため、ティーチングの指導者は、直接提供できる答えや知識、スキル、経験が必要です。
ティーチングのメリットは、即効性です。素早く情報を伝達し、答えを提供できます。仕事においては、業務のルーティンや書類作成方法、メールでのビジネスマナーなど、答えがはっきりと決まっていることを教える際に効果的です。
カウンセリングとは
カウンセリングは、悩み事や不安を解消・相談したい場合に利用するサービスです。カウンセリングでは専門知識を持つカウンセラーが対応します。
一方で、コーチングは目標達成や成長を目的としており、両者の違いは行う目的です。
また、会社や組織においてカウンセリングが必要になる場面は、労務問題やメンタルケアなど従業員の心身の健康に関する問題を解決したい時です。対して、コーチングは従業員の成長やモチベーションアップなど、前向きな理由で必要になるケースが多いでしょう。このように、両者には必要になる場面の違いもあります。
なお、カウンセリングが必要になるほど、精神的に追い込まれる従業員が出てしまう前に、車内でコミュニケーションを大切にする必要があります。そのためにも、前もってコーチングを導入し、対話を通じて、会社で実現したいことや目標の設定、ゴールへの道筋などを共有しておくことが重要です。
コンサルティングとは
コンサルティングは、目標達成のために具体的な戦略を提供することを目的としています。提供するという点に関しては、ティーチングに近いものがあります。コンサルティングは、戦略を練るために問題提起から情報収集、解決策の考案を行うことがメインの業務です。
コンサルティングとコーチングとの違いは、指導や提供の方法です。コーチングは、対話を通じて相手の中にある答えを導き出します。一方でコンサルティングは、ヒアリングによって問題の根本を見つけ出し、解決策を提案する手法です。
また、アドバイスの有無の違いもあります。コーチングは基本的にアドバイスを行うことはありません。相手の声に耳を傾け自主的な行動や考えを促します。一方でコンサルティングは、具体的なアドバイスを行うのが特徴です。
このようにコーチングとコンサルティングには、目的や手法、アドバイスの有無など、複数の違いがあります。
メンタリングとは
メンタリングは、コーチングと同じく1対1の対話方式で行われる指導法です。指導者をメンター、指導される側をメンティーと呼びます。
メンタリングの目的は、対話によってメンティーが気づきを得て、メンターと一緒に問題を解決することです。メンターは、メンティーのロールモデルとなり、これまでの経験や知識などからアドバイスを行います。
メンタリングでは、メンターとメンティーは年齢の近い先輩と後輩で組まれる場合が多いです。年齢が近いからこそ相談できることや、アドバイスできることがあります。
コーチングとの違いは、指導目的やアドバイスの有無、指導者と指導される側の年齢・関係性です。コーチングでは、相手の自主性を尊重し、自分で考えて気づくことを求めます。また、コーチングは経験豊富な上司と、経験が少ない部下という関係性で行われる場合が多いのも特徴です。
会社や組織で導入されることが多いコーチングとメンタリングですが、様々な違いがあるため、場面によって導入する制度を使い分けるとよいでしょう。
コーチングに必要なスキル
コーチングを実際に行う際は、コーチに以下3つのスキルが必要です。
- 傾聴スキル
- 質問スキル
- 承認スキル
コーチにスキルがなければ、効果的なコーチングができません。それぞれがどのようなスキルなのかを理解して、効果的なコーチング制度を導入しましょう。
傾聴スキル
相手の話に耳を傾け、親身になって聞くスキルが傾聴スキルです。傾聴することで、相手は表面上にある自分の考えだけでなく、内面の深い部分の話ができます。
コーチングを受ける側は、自分でも気づいていなかった考え方や視点があると知り、自身の成長につなげることが可能です。
また、コーチが傾聴する際は、話をしっかりと聞いていることを相手に分かってもらうことが必要です。適切なタイミングでの相づちやリアクション、返事によって相手の話を引き出します。
さらに、コーチングで相手の話を引き出すためには、普段のコミュニケーションも重要です。コーチは、普段から話しかけやすい雰囲気や相談しやすい環境を作っておきましょう。威圧感があり、話しかけにくい上司がいくら傾聴スキルを身につけても、部下は萎縮して自分の考えを正直に話せません。笑顔や挨拶、時には雑談も傾聴の効果を高めるために必要です。
質問スキル
コーチングでは、相手に問いかける質問の内容が重要です。コーチの問いかけに対し、相手はさらに自分の内面に対して質問をします。そうすることで、今まで考えたこともなかった新しい発見や視点を手に入れることができるのです。
コーチが質問をする際のポイントは、「なぜ」ではなく「なに」を使った疑問文を使うことです。「なぜ」を使いすぎると質問のニュアンスが強くなりすぎます。
「なに」を使えば優しい問いかけになるでしょう。「なぜ」と「なに」を使った質問では、以下のような違いがあります。
- なぜうまくいかない? → うまくいかない理由はなんだと思う?
- 目標達成できない理由は? → 目標達成を阻害している要因はなんだと思う?
- どうして連絡に時間がかかるんだ? → どうすれば連絡を早くできると思う?
このような質問は、答えを出すまでに時間がかかりやすいため、遠回りをしている感覚を持つ人もいるでしょう。
しかし、時間をかけてじっくり相手の話を聞き出すことが、コーチングにおいては重要です。質問後は相手に時間を与え、その場しのぎの回答をしないよう余裕のある姿勢で対応するとよいでしょう。
承認スキル
傾聴と質問で相手からモチベーションを感じたり、目標達成のプロセスが明確になったら、相手を承認しましょう。承認は、相手の背中を押す効果があります。
ただ漠然と褒めるだけでは相手に承認したことが伝わりません。承認のポイントは、相手に伝わるよう具体的な事実を評価することです。課題をクリアできた場合は、クリアできたこと自体を評価しましょう。継続して取り組んでいることに対しては、前回からの成長を評価します。
また、コーチングの対話の最中だけ相手の意欲が増しても意味がありません。実際の仕事に対して、モチベーションを高く取り組んでもらうためには、日頃から部下への承認や評価の実施が大切です。
ここまで紹介した傾聴、質問、承認を効果的に使えば、質の高いコーチングを行えるでしょう。
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ビジネスコーチングの目的やメリット
ビジネスコーチングの目的やメリットは、主に以下の3つです。
- 従業員の能力向上
- 組織力の向上
- 組織目標の達成
ここでは、ビジネスコーチングの導入目的や導入によるメリットについて詳しく解説します。導入を検討している場合は、目的とメリットを把握して、取り入れた際のイメージ作りに役立てましょう。
従業員の能力向上
ビジネスコーチングでは、傾聴や承認によって、従業員の自己肯定感の向上が期待できます。ビジネスコーチングを受けた従業員は、自分でも気づいていなかった強みを見つけ出し、自信を持って仕事に取り組めるでしょう。
従業員は、仕事に対して自信を持つようになれば、より高い目標にチャレンジする意欲が湧きます。目標を達成するために行動と改善を繰り返せば、能力が向上していくでしょう。
コーチが、従業員の能力向上に対しても承認することで、さらに成長促進につながります。ビジネスコーチングによって行動と改善のサイクルを生み出し、従業員の能力向上を後押ししましょう。
組織力の向上
組織力の向上もビジネスコーチングのメリットの一つです。コーチングによって、上司と部下のコミュニケーションが活発化します。質問のスキルを活用すれば、普段から組織内の雰囲気がよくなり、従業員同士の連携を強化できるでしょう。
また、ビジネスコーチングによってモチベーションが高くなった従業員が組織内にいることで、他の従業員もよい影響を受けます。互いに切磋琢磨をして、意識の高い従業員が増えれば、結果として組織力を高められるでしょう。組織力の向上によって得られた成果を承認して、従業員のさらなるモチベーションアップも目指せます。
組織目標の達成
ビジネスコーチングは、従業員の成長を通じて組織の目標を達成することが目的です。従業員の能力とモチベーションの向上は、結果的に組織全体の能力向上につながります。組織全体の能力向上によって、組織目標の達成にもつながるでしょう。
また、コーチングスキルを得た管理職は、組織目標を達成するために従業員をまとめるマネジメントスキルを得られます。マネジメントスキルの高い管理職がいる組織は、目標を達成できる確率が高いです。このように、従業員や管理職の能力向上によって、組織全体の目標を達成できるというメリットがあります。
ビジネスコーチングのデメリット
ビジネスコーチングのメリットは大きいです。一方で、デメリットも存在します。ビジネスコーチングの導入を検討している場合は、以下2点のデメリットも把握しておきましょう。
- 効率的ではない
- コーチのスキルや実力に結果が左右される
デメリットを知っておくことで、ビジネスコーチングを導入する際に対策が可能です。ここでは、それぞれ詳しく解説します。
効率的ではない
ビジネスコーチングは、中・長期的なスケジュールで時間をかけて従業員を育てます。そのため。即効性は期待できません。また、基本的に1対1の対話で行われるため、複数人を相手にできるティーチングに比べると効率が悪くなります。
しかし、時間をかけるからこそ、得られるメリットは大きいです。小手先のスキルやテクニックのみを身につけるのではなく、考え方を変えて新しい視点を持ち、根本からの成長を促せます。
社内の緊急性の高い問題を解決したい場合や、時間をかけずに従業員に一定のスキルを身につけさせたい場合は、ティーチングとの併用を検討するとよいでしょう。
コーチのスキルや実力に結果が左右される
ビジネスコーチングは、基本的に1対1の対話形式で相手の成長を促します。そのため、コーチにスキルがないと相手に適切な質問や傾聴、承認ができません。
スキルがないコーチがコーチングをしても、効果は期待できず時間だけが浪費されてしまうでしょう。場合によっては、コーチを受ける側のモチベーション低下を引き起こす可能性も考えられます。このように、コーチのスキルが結果に大きく作用する点はデメリットです。
また、コーチとコーチングを受ける側との相性も重要です。相性が悪ければ、質問や問いかけが効果を発揮しません。ビジネスコーチングを取り入れる際は、上司と部下の相性にも注意する必要があります。
コーチングの流れ
ここからは、実際にコーチングを行う際の流れを解説します。コーチングには複数のパターンが存在しますが、基本的な流れは以下の4つのステップです。
- 現状を確認する
- 目的を明確にする
- 課題や必要な行動を見つける
- 計画書を作成する
それぞれが重要なステップとなっているため理解しておきましょう。ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
1:現状を確認する
コーチングを行う際、まずは相手の現状を確認しましょう。確認するためには傾聴が必要です。最近の状況や何気ない会話から始めるとよいでしょう。
現状を確認する際のポイントは、コーチが一方的に話すのではなく、相手に話をしてもらうことです。コーチは傾聴し、相手に話を続けてもらうことで、頭の中の情報を整理して客観的な現状を確認できます。
また、現状確認を進める中で相手との信頼関係を構築できます。相手は、話を聞いてもらえている環境に安心感を得るため、その後のコーチングをスムーズに進めやすくなるでしょう。
2:目的を明確にする
現状を確認した後は、次に目的を明確にしましょう。目的は、達成するべき目標はもちろん、その先にある潜在的な目標も含みます。
潜在的な目標は、欲求とも言い換えが可能です。潜在的な目標を明確にすることで、モチベーションを高められ、目的を果たすための力となります。
また、目標はできるだけ具体的なものにしましょう。営業職の場合は、営業成績でも構いませんが、自分ではどうにもならない要素によって成績が左右される可能性もあります。
アプローチする件数や電話をかける件数、DMを送った数など、結果だけではなく行動数を目標にすれば、運や環境に左右さません。自分でコントロールできることが目標を立てれば、自分次第で達成が可能です。
3:課題や必要な行動を見つける
目的・目標が明確になったら、次に課題を見つけましょう。課題を見つけるためには、現状と目標のギャップを明確にする必要があります。そのギャップが、目標達成を妨げる課題です。ギャップを埋めるための行動を取ることで、課題の解決ができ、目標を達成が可能となります。
課題を明確にするためには、ステップ1と2で行う現状と目的・目標の明確化が必要です。課題が曖昧になる場合は、ステップ1から時間をかけてじっくり取り組む必要があるでしょう。
4:計画書を作成する
4つ目のステップでは、課題を解決して目標達成を実現するための計画書を作りましょう。計画書の内容は具体的かつ定量化されたものが望ましいです。
目標達成までの期限や達成のためのステップを段階的に描き、一つずつのステップに対して期限を設ければ、行動の先送りを防げます。
また、計画書に沿った行動が取れているかを確認するための評価基準とタイミングを決めておくことも大切です。計画書に沿って、進捗に遅れがないかコーチは確認します。
進捗に対しても評価を行えば、改善案を考えられるでしょう。場合によっては計画の修正が発生する可能性もあります。
コーチングを上手く機能させるポイント
コーチングを上手く機能させるポイントは、主に以下の3つです。
- 十分なスキルや実力を持つコーチが行う
- コーチングが適しているか確認する
- 受ける側が十分に取り組む
これらのポイントを活かして、コーチングを導入するとよいでしょう。ここではそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
十分なスキルや実力を持つコーチが行う
コーチに十分なスキルや実力がなければ、コーチングの成果を得られる可能性は低くなります。時間だけが過ぎてしまい、部下のモチベーションを低下させる危険があるでしょう。
コーチングの時間を無駄なものにしないためにも、コーチ側は傾聴と質問、承認の基本的なスキルを身につけておきましょう。また、単なる1対1の面談とならないように、相手の内面にある考え方を引き出し、モチベーションを上げられるような傾聴と質問を意識することが大切です。
さらに、コーチは仕事に関するスキルや経験も必要です。仕事のスキルや経験がない人がコーチとなっても説得力がありません。経験豊富で頼れる上司がコーチになるからこそ、部下は安心感や信頼感を持ってコーチングに取り組めます。
コーチングが適しているか確認する
コーチングは、状況によっては適切なメリットを得られない場合があります。例えば、具体的に正解が決まっていることに対してのコーチングです。仕事の流れや書類の作成方法、電話応対のマナーなど、一般的に正解がある業務に対しては、コーチングは向いていません。
コーチングは、相手の中にある新しい答えを導き出す手法です。漠然とした目標があり、それに対してどうすればいいか分からないケースに向いています。
コーチングを取り入れる際は、コーチングを行う目的を明確にし、適切なケースで導入しましょう。
受ける側が十分に取り組む
コーチングは、コーチの十分な実力やスキルに加え、受ける側の姿勢も重要です。コーチングは自発的な行動と成長を目的としています。
受ける側が受け身の姿勢では、自発的な行動は期待できないでしょう。コーチングは、コーチと受ける側が対等な関係を築き、対話を行うことで成果を得られます。
また、受ける側は、コーチングを受けた後、長期間モチベーションを維持しておく必要があります。コーチングは中・長期間をかけてじっくりと対話と振り返りを行うものです。その場しのぎのモチベーションでは長期的な計画で行動ができません。
受ける側が積極的な姿勢で成長を望み、目標の達成に対する強い意志を持てば、コーチングの効果を十分に発揮できるでしょう。
コーチング資格の種類
コーチングスキルの習得には、資格制度の利用がおすすめです。資格取得に向けた学習の過程でコーチングに関する理解を深め、スキルを習得できます。コーチングに関する資格を提供する代表的な団体は、主に以下の3つです。
- 一般社団法人日本コーチ連盟
- 国際コーチ連盟(ICF)
- 一般財団法人生涯学習開発財団
それぞれの資格の特徴を詳しく解説します。
一般社団法人日本コーチ連盟
一般社団法人日本コーチ連盟が認定する資格は、コーチ資格とインストラクター資格に分かれています。
日本コーチ連盟のコーチ資格を取得することで、一定の水準を超えたコーチングスキルを保有していることを証明できます。また、プロフェッショナルコーチという資格を取得すれば、プロとしてコーチングを行えるスキルの保有を証明可能です。
また、インストラクター資格は、コーチングのインストラクターを養成できるレベルのスキルを保有していることを証明できる高度な資格です。インストラクター資格を取得すれば、同連盟が運営するコーチアカデミーという養成所で非常勤講師になる機会も得られます。
会社で部下に対してコーチングを行う場合は、一般社団法人日本コーチ連盟のコーチ資格の取得がスキル向上に役立つでしょう。
国際コーチ連盟(ICF)
国際コーチ連盟(ICF)はアメリカで設立されたコーチング団体です。ICFで取得できる資格は、レベル別で以下の3つに分かれています。
- アソシエート認定コーチ
- プロフェッショナル認定コーチ
- マスター認定コーチ
それぞれの資格を取得するために、トレーニング時間とコーチングの経験時間が決まっていることが特徴です。また、時間をかければ取得できるわけではなく、実際にコーチングを行い、パフォーマンス評価を受けて合格点を取る必要があります。
一般財団法人生涯学習開発財団
一般財団法人生涯学習開発財団は、様々な資格を認定する団体を支援する財団です。ここではコーチ・エィアカデミアが認定するコーチング資格を紹介します。コーチ・エィアカデミアでは、認定コーチや認定プロフェッショナルコーチ、認定マスターコーチの資格が取得可能です。
これらの資格を取得することで、「コーチ型マネージャー」としてのスキルを磨けます。コーチ型マネージャーとは、コーチングの基礎を取り入れつつ、ティーチングやアドバイス、指示を出す際に、臨機応変な対応ができるマネージャーです。
国際コーチング連盟にも認定されている資格で、世界基準のコーチングスキルを身につけられます。会社で実践可能なコーチングスキルを習得したい場合におすすめの資格です。
コーチング資格の通信講座の種類
コーチングの資格を取得するには学習が必要です。社会人が時間をかけずに効率的に学習する方法として通信講座があります。通信講座の種類は、主に以下の2つです。
- 動画講座
- ウェビナー
ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。自分にあった学習方法を選択して効率的にコーチングスキルを身につけましょう。
動画講座
動画講座は、あらかじめ録画された動画を見ながら学習する通信講座です。録画された動画のため、自分の時間やペースに合わせて学習を進められます。学習にあてられる時間が不定期の場合や、まとまった時間が取れない場合におすすめです。
また、コーチングに関する基礎知識がなく、初歩からしっかり学びたい場合にも動画講座は適しているでしょう。
分からない部分があれば、動画を戻して確認ができ、繰り返しの学習ができる点が動画講座のメリットです。一方で、学習に強制力がない点がデメリットとして挙げられます。
自分のペースで進められる反面、時間が決まっていないため、自発的に学習する必要があります。計画を立てて、スケジュール通りに学習を進められるタイプの人は、動画講座でコーチングを学ぶとよいでしょう。
ウェビナー
ウェビナーは、オンラインで参加するセミナーです。開催される時間が決まっており、参加者も自分だけではないため、強制力があります。
他の参加者と一緒に学習を進められる環境にモチベーションを感じる人におすすめです。また、リアルタイムで講師からレクチャーを受け、分からない部分はその場で質問できます。疑問点を自分で調べる手間が省ける点がメリットです。
一方で、ウェビナーのデメリットは費用が高い傾向がある点です。コーチングのウェビナーにかかる費用は、種類によって様々ですが、20〜150万円程度かかるといわれています。予算が限られている場合は、動画講座から始めるとよいでしょう。
まとめ
コーチングは、相手の内面に隠れている考え方や視点を見つけ出し、モチベーションアップや目標達成に近づくために効果的な教育方法です。企業で導入することで、従業員だけでなく組織全体の能力向上が期待できます。
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