キャリアチェンジを検討している人を採用するメリット・デメリットやポイントについて解説


キャリアチェンジを検討している人を採用するメリット・デメリットやポイントについて解説

多様な働き方が選べる今、キャリアチェンジを行う人が増えています。異業種から人を採用することは、よい変化をもたらす一方でミスマッチもあります。

今回は、キャリアチェンジ転職者を採用するメリット・デメリットや採用際のポイントについて説明します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

多様な働き方が選択できる現代では、思い切ってキャリアチェンジを行う人も増えてきています。企業は、異業種からの人材を採用することでよい影響がある一方で、不安な点もあるでしょう。

今回は、キャリアチェンジを検討している人を採用するメリット・デメリットや、採用する際のポイントについて説明します。多様な人材を採用したいと考えている人事担当者の人は、本記事を参考にしてみてください。

キャリアチェンジとは


これまでの業界・職種から異なる業界・職種に転職することを、キャリアチェンジといいます。「給料アップのため」や「自分に合った働き方を選ぶため」など、キャリアチェンジを選択する人は増えてきています。

具体的な意味は以下のとおりです。

キャリアチェンジの意味

キャリアチェンジとは、これまでしてきた仕事と別の業種や職種に転職することをいいます。これまで積み上げてきた経験とは違うところに飛び込むことは、転職希望者にとっても採用担当者にとっても少なからずリスクがあるものです。

前職での地位を引き継ぐ形ではなく、新人として一からスタートとなるため、待遇面や給料面は下がる傾向にあります。一方で、給料水準が比較的高い業界もあり、長期的に給料アップを目指すことが可能です。

未経験の業界への転職は、大きなリスクを伴うこともあり、20代でキャリアチェンジする人が多いです。社会人を経験して数年経ち、改めて自己分析を行った結果、「今の仕事が自分に合っていない」「能力が十分に発揮されていない」と感じる人がキャリアチェンジを行う傾向にあります。

本当に就きたい職業は何か、ある程度社会人経験を詰んだうえで選択しているため、仕事に対する意欲が高く、即戦力として活躍する可能性があるでしょう。

キャリアチェンジとキャリアアップの違い

キャリアチェンジと似た言葉に「キャリアアップ」があります。同じような言葉ですがその意味は異なります。

キャリアチェンジは転職の際に職種・業界を一転する一方で、キャリアアップはこれまでの経験を活かして、同じ職種・業界のなかでさらなる高みを目指す転職です。転職によって、自分の専門領域のさらに高度な知識や技術を身につけることを目的としています。

給与や待遇に関しては、キャリアチェンジでは未経験者としてスタートすることに対して、キャリアアップでは前職の給与や待遇が考慮されてよい条件が提示される可能性も高いです。

また、転職せずに同じ企業のなかで昇進することもキャリアアップといいます。昇進したことで仕事の幅が広がったという人はキャリアアップの成功例といえるでしょう。

関連記事:キャリアの意味とは?定義や判断基準、キャリアアップの方法について解説!

【年代別】キャリアチェンジを検討している転職者の特徴

近年では新型コロナウイルスの影響もあり、多くの人がキャリアチェンジを果たしました。

2021年にリクルートが行った調査では、転職者の約6割がキャリアチェンジをしたとされています。キャリアチェンジの内訳は、異業種・異職種に転職した人が20代では52.3%、30代は44.1%、40代は46.2%でした。幅広い年代で異業種・異職種への転職の割合が高くなっています。

以下で、20代でキャリアチェンジする人と30代以降でキャリアチェンジする人の特徴について解説します。

20代でキャリアチェンジを考えている人の特徴

一般的に、キャリアを長く積むごとに異業種への転職は難しいとされています。こういった現状からも、キャリアチェンジを検討している人は、20代が最も多い傾向です。

特に社会人経験が2〜3年目の人は、第二新卒での採用となり、スキルや経験よりもポテンシャルで転職ができます。そのため、このタイミングで新しい職種・業界にチャレンジする人が多くなっています。

また、社会人として働いている経験もあるため、基本的なビジネスマナーが備わっていることもあり、教育コストがかからないことも特徴です。未経験からの採用であっても、そのあとの企業への定着率、仕事の吸収の早さなどが期待できます。

転職市場では、20代前半の人だけでなく、専門的な知識がつき即戦力として活躍できる20代後半の人も多い傾向です。異業種・異業界でも、前職での経験・知識を活かして活躍してくれることが見込めます。

30代以降でキャリアチェンジを考えている人の特徴

20代でのキャリアチェンジが多い一方で、30代・40代で異業種に転職する人も珍しくありません。

30代の転職は、ある程度の社会人経験もあるため、「同業界・異職種」や「異業界・同職種」というようにこれまでの経験を活かせる転職であれば、大きく力を発揮できます。特に、30代ではマネジメントやプロジェクトリーダー、後輩指導の経験がある人は異業種・異業界であっても即戦力としての活躍が期待できるでしょう。

一方で、「自分の上司が年下になる可能性がある」「仕事のやり方を転職先に合わせないといけない」などの理由から、ある程度社会人経験を積んでいる30代は組織になじむのが難しい場合もあります。社風とのミスマッチを防ぐためにも、自社に欲しい要件を明確にして採用を行うことが大切です。

キャリアチェンジする転職者の採用におけるメリット

転職が当たり前となりつつある今、多くの人がキャリアチェンジを検討しています。企業にとってキャリアチェンジをする転職者を採用するメリットはあるのでしょうか。

以下に、キャリアチェンジする人を対象に採用を行うメリットを4つ紹介します。

新たなスキルを持った転職者を得ることができる

転職者が持つスキルは、企業に新たな風を吹かせることが期待できます。前職で培ったスキルを新しい職場で活かすことで、新しいメソッドや価値を生み出すことが可能です。

例えば、自社にITに詳しい人がいない場合、IT企業からの転職者は自社の業務に新たなテクノロジーを導入して業務効率化を図ったり、PCのエラー発生時にスムーズに対応してくれたりなどの活躍ができます。

また、変化の激しい現代では、職場の多様性を高めることで、さまざまな考え方を持つ人が同じ課題に向き合い、ビジネスの発展につながります。前職が接客業や医療関係者、エンジニア、公務員だったという人が一緒に同じプロジェクトに携わることで、面白い視点で意見が飛び交う職場となるかもしれません。

研修を短縮できる

キャリアチェンジを行う人は社会人経験を持っている人です。そのため、基本的なビジネスマナーを持っており、新入社員よりも研修を短縮できます。

新卒採用や中途採用となると、業務に取り掛かる前に、社会人として身につけておくべきマナーや電話対応、名刺の渡し方などの指導が必要です。しかし、キャリチェンジは業界・職種は未経験とはいえ、基本的な社会人マナーは身につけている人が多い傾向にあります。

そのため、キャリアチェンジで就職した人の研修は業務に関わるスキルを身につけたり、必要な資格を取得したりすることを重点的に行います。それ以前での基礎マナー研修を行う分の時間とコストをカットできるため、完全未経験者を雇うとはいえ、個人の経験に合わせてすぐに業務に取り掛かれるでしょう。

即戦力になる可能性がある

キャリアチェンジの人は企業が提示した実務経験やスキルを満たした人が転職してくるため、即戦力を期待できます。

そのためには、求人票に掲載するときに企業が求める要件を明確に記載しておくことが重要です。それを見た転職者が、自分の経験やスキルを持って「挑戦ができそう」「社風が合いそう」と感じた場合に応募します。欲しいスキルや人柄がマッチしていれば、未経験者であっても社内ですぐに活躍ができる人材に成長することに期待できるでしょう。

同業界・同業種の即戦力人材を雇うコストは一般的に高くなるため、欲しい人材の要件を明確にして、キャリアチェンジ者の採用を検討しましょう。

従業員のモチベーションがアップする

転職者が与える刺激によって職場が活性化されることが期待できます。長く勤めている従業員は、日々の業務に慣れているため、社内の全体的な雰囲気としてマンネリ化するでしょう。そんななか、新しい人が入社すれば、既存の従業員にも影響を与え全体的なモチベーションアップにつながります。

特にキャリアチェンジの人は、これまでのキャリアを変えてその業界・職種に挑戦したい、という大きな覚悟を持った人材であることが多い傾向です。そのため、仕事のモチベーションを高く保ち、早く仕事に慣れたり、スキルアップを図るために意欲的に取り組んだりしてくれるでしょう。

また、転職者が持つ他業界のノウハウや新たな考え方によって、業務改革が生まれ、職場が活性化する可能性があります。

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関連記事:キャリア採用の目的や中途採用との違いとは?成功させるポイントも解説

キャリアチェンジする転職者の採用におけるデメリット

キャリアチェンジする人を採用することには、さまざまなメリットがあることを紹介しました。一方で、いくつかのデメリットがあることも留意しておきましょう。

以下で、キャリアチェンジをする転職者の採用をする際に考えておきたいデメリットについて3つ紹介します。

すぐに退職される可能性がある

キャリアチェンジで転職する人のこれまでの転職回数が多い場合、すぐに転職される可能性があります。

一般に転職回数は20代で3回以上、30代で5回以上あると多いと感じる企業が多い傾向です。就業期間が短いと、「腰を落ち着けて就業する気がない人」や「飽きっぽい人」であることが多いため、退職理由はしっかり確認する必要があります。

特に大きく業界や職業を変える人が、なぜキャリアチェンジしたいのかという理由をしっかりとヒアリングしましょう。キャリアチェンジでは、「やっぱり自分に合っていなかった」「前職の方がよかった」と辞めていってしまう可能性もあります。

どういったキャリアプランを考えているのか、就職して何がしたいのかを明確にしたうえで、双方によい転職ができるように心がけましょう。

スキルが低い可能性がある

転職者は採用されたいばかりに自身のスキルを誇張している可能性があります。履歴書の内容や、面接での内容で求めていたレベルよりも低く、採用ミスが起こることは避けなければいけません。

経歴を誇張することで、そのほかの志望者よりも面接の際に優位に立ち、採用されやすくなることはあります。しかし、そうすることによって、転職者にとっても採用後に仕事についていけなくなることや、イメージとの乖離が生じてやりがいを感じることができなくなるなどが生じます。

また、仕事がうまくいかないことで職場の人との信頼関係が崩れ、職場環境が悪くなる可能性があることもリスクの一つです。

企業の人事担当者は、採用面接の際に実際の仕事内容やスキルについて事細かに質問し、ミスマッチが起こらないように、転職者のレベルを正確に把握しておきましょう。

社内の雰囲気と合わない場合がある

転職者は新入社員よりも自分の考えに固着している傾向があります。

キャリアチェンジの人は、未経験者ではありますが新入社員ではなく、ほかの企業での就業経験を積んでいます。そのため、その企業のやり方やそれまで培ってきた経験・知識に固執していることがあり、そういった人の場合はうまく自社になじむことができません。

採用面接の際には、スキル・経験面のチェックだけでなく、社風に合うのかの見極めも重要です。スキルが低くても、柔軟に謙虚に学ぶ姿勢がある人の方が、結果的に社内で成果を出せるようになるでしょう。

キャリアチェンジする転職者を採用する際のポイント

キャリアチェンジをする転職者を採用するメリット・デメリットを踏まえて、実際に採用活動を行いたいと感じた人事担当者の人もいるでしょう。では、実際にどうすればキャリアチェンジ転職者の採用を成功させることができるでしょうか。

以下に、キャリアチェンジをする転職者を採用する際のポイントを4つ紹介します。

採用する条件を具体的に決める

まずは、採用条件を明確にしましょう。採用条件が具体的でないと、自社に合わない人が応募する可能性があります。自社にとって必要な人物像を把握し、採用に必須なスキルや実務経験などの条件を定めることがポイントです。

大きくキャリアチェンジを行う人のなかには、必要なスキルや経験が備わっていない人もいます。特定のスキル・経験が足りなかったとしても、意欲がある人に入社して欲しいのか、どんな活動をして欲しいのかなどを具体的に記載することで、それに挑戦したいという人が応募するでしょう。

職場の声も踏まえつつ、どういった人材を欲しているのか具体的に情報を開示することが重要です。

未経験者に対しての研修を開催する

成長する人材を獲得するためには、入社後のフォローアップを実施していることを発信しましょう。

新入社員だけでなくキャリアチェンジ転職者も、業務内容に関しては同じ未経験者であることが多い傾向です。また、すべての未経験者に対して研修を行うことで、採用後も企業に定着しやすくなります。

遅れている分、早くスキルアップしたいキャリアチェンジ転職者にとっては、入社後に知識・スキルを身につけるための研修はあるのかも確認しています。定期的に研修を開催することで、モチベーションの向上を促し、働きやすい環境をつくるための支援になるでしょう。

スキルに合わせた適切な給与を定める

給与額が転職者の希望より低い場合は、後々不満が出てきて離職する可能性があります。一方で、転職者の年収が高すぎる場合は、ほかの従業員から不満が出ます。給与を決める際には、転職者の能力を正確に把握したうえで、適切な額を提示することが大切です。

特にキャリアチェンジ転職者の場合は、これまでの就業経験があったこともあり、培った経験・スキルでそれなりの給与をもらってきたケースが多いです。キャリアチェンジでの転職となり、大きく給与が下がると生活の質も下げる必要があるため、最初はよくてもあとから不満となって現れることもあります。

ただし、能力によってはすぐに活躍できるものではなく、ほかの従業員と比べて成果があげられない場合もあり、希望どおりの給与を提示することは困難です。入社後にどの場面でスキルを活用できそうか、どうすればキャリアアップできるかなどの条件面を面接時に提示し、適切な給与を定めましょう。

転職した理由を明確にする

転職者の退職理由が不透明であれば、すぐに辞めてしまう可能性があります。

特にキャリアチェンジとなると、転職理由には大きなきっかけがあったはずです。異業種・異業界に挑戦するには、業務を行うまでに未経験から知識・スキルを得ていきたいという覚悟が必要なため、キャリアチェンジ転職者の転職理由については、事細かに聞く必要があります。

転職の理由や経緯と業務内容にミスマッチがあれば、「イメージと違った」「仕事についていけない」などの不満がつのり、すぐに辞めてしまう人もいるでしょう。

まとめ


キャリアチェンジ転職者の採用は、新しいスキルを持った人を受け入れることで既存の従業員のモチベーションが上がる、研修を削減できるなどのメリットがあります。面接時には社内の雰囲気とマッチするか、すぐに転職しないかなどの確認を行い、双方によい転職となるよう心がけましょう。

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