こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
企業を安定させるには、優秀な人材を確保しなければいけません。しかし、多くの業界において人手不足が問題になっており、優秀な人材の確保は簡単でないことがわかります。そのような状況を打破するには、業務形態(雇用形態)の変化が重要だと考える企業が増えているのです。
本記事では、業務形態の違いや業務形態ごとのメリットとデメリットを解説していきます。
業務形態は一般的に雇用形態を指します
業務形態は、一般的に“雇用形態”と呼ばれています。そのため、雇用形態の方が聞き馴染みがある人もいるでしょう。しかし、業務形態は雇用形態を言い換えた類語なので、意味はほとんど同じです。
近年はインターネットの普及や家庭環境の変化から、多様な業務形態が生まれています。働く側が自由に働き方を選べるような時代になりました。優秀な人材を確保するには、企業が働きやすい環境を作らなければいけません。
雇用形態とは
雇用形態は、企業と従業員の間で結ばれる雇用契約の種類を意味します。正社員や契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト、委託・請負職員などに分類されるものです。雇用契約によって労働時間や契約期間、給与などの条件が異なります。
雇用形態は企業が決めた定義によるので、すべての企業が同じわけではありません。また、雇用契約書に不備があった場合、従業員とトラブルになってしまうケースも見られます。
業務形態(雇用形態)の区分による違い
業務形態(雇用形態)は、いくつかの種類に分けられます。ここでは、正規雇用と非正規雇用の違い、直接雇用と間接雇用の違いについてみていきましょう。
正規雇用と非正規雇用の違い
正規雇用は、雇用期間に定めがない無期雇用の働き方を指します。企業との直接雇用でフルタイムでの勤務が基本ですが、3歳未満の子どもがいる場合などは1日6時間の時短勤務を選択することも可能です。
非正規雇用は、正規雇用以外の雇用形態の総称を指します。そのため契約更新が行われたとしても、基本的には有期雇用と言えます。
直接雇用と間接雇用の違い
直接雇用は、企業と従業員が直接的に契約を結ぶ方法を指します。直接雇用に含まれるのは、正社員・契約社員・パート・アルバイトです。
一方、間接雇用とは派遣社員の契約を意味します。派遣社員は企業ではなく人材派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣先で業務を担う働き方です。
派遣社員の勤務条件や福利厚生などは、派遣会社によって異なります。例えば同じ職場に別の派遣会社から2人派遣されている場合、行う業務は同じでも労働条件は異なるケースが一般的です。
業務形態(雇用形態)の種類とメリット・デメリット
業務形態にはそれぞれになるメリットとデメリットがあります。そこで、各業務形態の特徴とメリット・デメリットについて解説します。
正社員
正社員は、雇用期間の定めがありません。雇用主である企業と労働契約を結び、雇用保険や社会保険への加入が必須となっています。非正規雇用と比べると、従業員個人が保護されている働き方です。
【メリット】
- 出世の見込みがある
- 手厚い福利厚生が用意されている
- 転職する際に有利になりやすい
- 他の業務形態よりも賃金が高い
- クレジットカードやローンなどの審査に通りやすくなる
正社員になると出世のチャンスが多くなり、重要な仕事も任せてもらいやすくなります。福利厚生も非正規雇用より充実しているため、安心して医療を受けられたり、厚生年金への加入で将来受け取れる年金の額が大きくなったりする点もメリットと言えるでしょう。
【デメリット】
- 転勤をしなければいけない場合がある
- 仕事に関する責任が重くなる
- 残業などで勤務時間が長くなりやすい
正社員は大きな仕事を任せてもらえることが多いですが、その分責任も大きくなってしまうのです。メリットが多い正社員ですが、デメリットだと感じてしまう部分もあります。
また転勤しなければいけなかったり、残業などで業務時間が長くなってしまったりする可能性がある点もデメリットに感じてしまうでしょう。ワークライフバランスが崩れてしまうなどの理由から、正社員の働き方を敬遠する人もいます。
企業側としては長期間の雇用が期待できるため、人材を育成しやすいです。しかし、社会保険などを負担しなくてはならない点からコストがかかりやすい点はデメリットと言えます。
契約社員
契約社員は、正社員とは違って労働契約を結ぶ際に雇用期間が定められているケースが多くみられます。雇用期間の定めがある契約は、従業員と企業の合意によって定められています。1回あたりの契約期間は3年が上限となっており、期間が満了すると自動的に契約終了となります。
【メリット】
- フルタイムで働くことも可能
- 希望する職種で働きやすい
- 転勤の心配がない
- 大きな責任を負わずに済む
自分自身が望む働き方をしやすいという点は、正社員にはないメリットです。希望の職種にも就きやすいので、夢を実現できる可能性もあります。そのため転勤をしたくない場合などは、正社員よりも契約社員を選んだ方が良いケースもあるでしょう。
【デメリット】
- 雇用が安定していない
- ローンの審査に通りにくい
- 昇給や昇格を望めない
- 裁量権が少ない
正社員よりも安定した雇用形態ではないので、不安に感じてしまう人もいます。将来的に昇級などが望めない点を懸念する人もいるでしょう。
企業側にとっては専門的な知識を持つ人材を短期的に雇いたいと考えている場合には、契約社員の採用がおすすめです。
パート・アルバイト
パート・アルバイトは、パートタイム労働法において短時間労働者と呼ばれる業務形態です。パートタイマーやアルバイトは、条件を満たせばパートタイム労働者になります。公正な待遇を確保したり、希望があれば正社員への転換に取り組んだりすることが企業側に義務付けられているので、人事担当者は正確に状況を把握しなければいけません。
【メリット】
- 手軽に働ける
- 勤務日数などの融通が利く
- 短時間でも働ける
子どもが学校へ行っている間など短い時間でも働ける点は、パート・アルバイトの大きなメリットです。休みなども調整しやすいため、子育てと仕事を両立したい場合にパート・アルバイトの働き方が選ばれる傾向があります。
【デメリット】
- 安定感がある業務形態ではない
- 収入が安定しない
- 社会的な信用が高くない
収入面が不安定であるだけではなく、万が一の事態が発生した際に解雇される可能性が高いです。収入も時給なので、出勤日数や勤務時間に大きく影響されます。ローンなどの審査でも不利になってしまうでしょう。
企業側のメリットは、繁忙期と閑散期でシフトを調整できるので人員調整がしやすくなる点です。短期間に雇い入れたい場合には、パート・アルバイトの雇用を検討すると良いでしょう。
ただし、すぐに辞めてしまう人もいるので、教育コストがかかりやすい傾向があります。パート・アルバイトに長く働いてもらうためには、働きやすい職場環境づくりが必要です。
派遣社員
派遣社員は、人材派遣会社と企業が労働契約を結び、派遣元が派遣先に従業員を派遣します。従業員は派遣先の指示に従って業務を遂行するという流れです。複雑な業務形態なので、派遣労働法で細かいルールが決められています。
【メリット】
- 派遣会社に相談して仕事を決められる
- 様々な経験ができる
- ライフスタイルに合わせた働き方ができる
様々な企業で経験を積み、スキルアップしたい場合には、派遣社員はおすすめの働き方です。専門性の高い仕事を選べる点も、派遣社員のメリットとして挙げられるでしょう。また、勤務地や勤務時間なども考慮して仕事が選べる点から、自身のライフスタイルに合った働き方もできます。
【デメリット】
- 派遣期間に上限が決められている
- 期間満了となる可能性がある
- スキルの有無で待遇が変わる
派遣社員は勤務期間が3年間という上限が決められています。そのため長期的に勤務したいと思っている場合、デメリットだと感じてしまうでしょう。また、派遣期間が終わった後に契約更新をしてもらえないケースやスキルの有無で給料に大きな差が出るケースがあることも、デメリットです。
企業のメリットは、即戦力となる専門性が高いスキルを持つ人材を採用しやすい点が挙げられます。また人材を入れ替えやすい点も便利です。
雇用ではない多様な働き方と変遷
働き方は、雇用されるだけではありません。最近では多様な働き方が認められるようになってきましたので、雇用以外の働き方や多様化した背景などを解説します。
業務委託(請負)契約を結んで働く人
業務委託(請負)契約を結んで働く人は、主に個人事業主を指します。正社員や契約社員、パート・アルバイトなどは労働者に該当するため、労働法によって保護される存在です。
しかし業務委託(請負)契約を結んで働く人は、依頼主の指揮命令を受けない事業主として扱われます。そのため、労働者としての保護は受けられません。ただし、実質的な働き方が労働者と同じだと判断された場合には、労働法の対象となります。
自営型テレワーカー
自営型テレワーカーは、依頼主から委託を受けて情報通信機器を使いながら成果物の作成や役務の提供を行います。自営型テレワーカーに仕事を依頼したり、仲介事業を行ったりする場合は、「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」に則った対応をしなければいけません。
フリーランスと同じような働き方だと思われがちですが、あくまでもノートパソコンなどの情報通信機器を使ったデスクワーク業務を担う人が自営型テレワーカーです。
家内労働者
家内労働者とは、委託を受けて物品の製造や加工などを個人で行う人です。基本的に事業主として扱われることが、家内労働法で定められています。委託者が家内労働者に仕事を依頼する場合には、家内労働手帳を交付したり最低工賃を順守したりするなどの対応をとらなければいけません。
なお、事業主として扱われるため、労働者としての保護を受けられないという点には注意が必要です。
働き方が多様化した背景
かつては正社員として働けば定年まで安心だと思われていました。しかし、バブル崩壊後は
リストラも相次ぎ、終身雇用制度は形骸化しています。そのため正社員であれば将来安泰という時代は終わったと言えるでしょう。
労働者側も時短勤務の正社員が増えたり、在宅で仕事をしたりするケースが増えています。在宅勤務でも正社員なら雇用期間の定めがないので、安心して働けるでしょう。ただし、こうした動きは大手企業で導入されていますが、中小企業では未だに従来の働き方が採用されている場合が多いです。
業務形態の管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
企業によっては、様々な業務形態の従業員が在籍しているところもあるでしょう。そのような場合、全従業員の管理が煩雑になってしまう場合も考えられます。スムーズかつ確実に管理を行いたいなら、多くの人事データの統合や分析を行うタレントパレットがおすすめです。
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業務形態(雇用形態)による保険加入の違い
労働災害保険や雇用保険、社会保険といった保険は、業務形態などの条件が異なります。そこで、業務形態(雇用形態)による保険加入の違いについてみていきましょう。
労働災害保険
労働災害保険は、すべての労働者が対象です。業務上の事由もしくは通勤で、負傷や病気になってしまった場合に保険給付が行われます。死亡した場合は、被災労働者や遺族を保護するための保険が給付されるでしょう。
雇用保険
雇用保険は、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上の従業員が加入する保険です。パート・アルバイトなどの業務形態でも要件を満たせば、加入することになります。ただし、季節雇用などは被保険者にならない場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
雇用保険に関する手続きはハローワークで行えます。そのため、利用できるかどうか迷ったときはハローワークに相談してみてください。
社会保険
社会保険とは、厚生年金保険と健康保険を指します。加入条件は、就業時間が正社員の3/4以上(目安は週30時間以上)であることです。また、以下の要件をすべて満たすことも加入条件となっています。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 月額賃金8万8,000円以上
- 勤務期間が1年以上見込まれる
- 従業員数が501名以上の企業
- 学生は不可
これらの条件を満たす場合は、加入する義務があります。
業務形態(雇用形態)の変更に必要な手続き
企業は従業員から業務形態を変更したい申し出を受ける場合もあります。また、企業側が変更を依頼したい場合もあると考えられます。しかし、雇用契約を結んでいる期間中の場合労使間の合意が必要になるので、詳しく解説します。
パート・アルバイトから正社員に変更するとき
パート・アルバイトから正社員へ変更するケースは珍しくありません。そのような場合は、雇用契約を結び直す必要があります。
労使間の合意があったとしても、トラブルが起こる可能性はあるため、雇用契約書の他に、変更する経緯を記した覚書も交わしておくのがおすすめです。正社員がパート・アルバイトへ変更する場合も同様なので、きちんと手順を踏むようにしてください。
間接雇用から直接雇用に変更するとき
派遣社員などの間接雇用から、直接雇用に変更する場合もあります。派遣社員が直接雇用になる場合だと派遣元から派遣先へ転職する形になるので、手続きも多くなるでしょう。社会保険や雇用保険に加入する場合には、それぞれの資格取得届を提出しなければいけません。
提出の期限は、健康保険と厚生年金保険は採用日から5日以内、雇用保険は採用月の翌月の10日までとなっています。派遣先分の源泉徴収票も直接雇用となる企業に提出しなければいけません。また、派遣元によっては紹介料がかかる場合もあるので確認しておきましょう。
まとめ
業務形態は、雇用形態と同じ意味を持つ言葉です。近年は、幅広い働き方ができるようになり、働きやすいと感じる人も増えています。企業側も労働者のニーズに合う採用活動を行えば、人材確保につながりやすいでしょう。
業務形態は、企業側にとってもメリット・デメリットが異なります。それぞれの特徴を加味しながら、自社にはどのような業務形態で応募をかけるべきか検討した方が良いでしょう。
様々な業務形態の従業員を雇うのであれば、人事システムを使いやすくする必要があります。どのシステムにすべきか迷ったら、あらゆる人事システムを活用できるタレントパレットがおすすめです。
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