バーンアウト症候群とは?なりやすい人の特徴や対処法を紹介


バーンアウト症候群とは?なりやすい人の特徴や対処法を紹介

意欲的に仕事へ取り組んでいた従業員が、突然気力を失い、そのまま離職に至ってしまったという経験はありませんか?

それは、バーンアウト症候群が原因かもしれません。バーンアウト症候群とは、心身の疲労などによって、それまでの意欲が燃え尽きたかのように消失してしまう状態を指します。

今回はバーンアウト症候群の特徴や主な症状、原因、発症しやすい人の特徴などをまとめて解説します。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。

意欲的に仕事へ取り組んでいた従業員が、突然気力を失い、そのまま離職に至ってしまったという経験はありませんか?

それは、バーンアウト症候群が原因かもしれません。バーンアウト症候群とは、心身の疲労などによって、それまでの意欲が燃え尽きたかのように消失してしまう状態を指します。今回はバーンアウト症候群の特徴や主な症状、原因、発症しやすい人の特徴などをまとめて解説します。



バーンアウト症候群ってなに?

「バーンアウト症候群」は、「燃え尽き症候群」という名称でも広く知られている症状です。ここではまず、バーンアウト症候群の基本的な定義と内容について見ていきましょう。


バーンアウト症候群(燃え尽き症候群)とは

「バーンアウト」とは、燃え尽きたかのように意欲がなくなり、社会的に適応できなくなってしまう状態を指します。これまで仕事などに没頭していた人が、心身の疲労によって突然意欲を失ってしまうことから、周囲はもちろん当事者も困惑してしまうケースが多いのが特徴です。


バーンアウト症候群は、1970年代にアメリカの精神科医ハーバート・フロイデンバーガーによって提唱されました。日本では燃え尽き症候群と呼ばれており、定義があいまいなまま一般的な用語として使われてきた経緯があります。


しかし、国際疾病分類「ICD」の最新版「ICD-11」(2018年改訂)で、初めて国際的に燃え尽き症候群が定義されました。


うつ病との違い

意欲の消失や社会への適応困難といった特徴から、バーンアウト症候群はうつ病と混同されやすい面もあります。共通する症状として、物事に対する関心や意欲がなくなったり、疲れを感じやすくなったりする点があげられますが、「漠然とした強い罪悪感」や「無力感」といった症状はうつ病により強く見られます。


また、燃え尽き症候群は職場や仕事のストレスが主要な原因となるのに対し、うつ病は家庭や環境といった複雑な事情が重なって原因となるケースが多いのも特徴です。ただし、精神的な症状の線引きはあいまいであり、自分自身でどちらに該当するかを判断することは難しいでしょう。


そのため、強い不調を感じているときには、自己判断で対処法を見つけるのではなく、早期に医療機関で受診することが大切です。


バーンアウト症候群のチェック表

バーンアウト症候群の診断テストとしては、同志社大学教授の久保真人氏による日本版バーンアウト尺度が広く知られています。バーンアウト尺度は、主に看護師や教員といった顧客と直接関わる職業を対象としたものであり、具体的な項目は次の通りです。


チェック項目

1

こんな仕事、もうやめたいと思うことがある。

2

われを忘れるほど仕事に熱中することがある。

3

こまごまとした気配りが面倒に感じることがある。

4

この仕事は私の性分に合っていると思うことがある。

5

同僚や患者の顔を見るのも嫌になることがある。

6

自分の仕事がつまらなく思えてしかたのないことがある。

7

1日の仕事が終わると 「やっと終わった」 と感じることがある。

8

出勤前, 職場に出るのが嫌になって, 家にいたいと思うことがある。 

9

仕事を終えて, 今日は気持ちのよい日だったと思うことがある。

10

同僚や患者と, 何も話したくなくなることがある。

11

仕事の結果はどうでもよいと思うことがある。

12

仕事のために心にゆとりがなくなったと感じることがある。

13

今の仕事に, 心から喜びを感じることがある。

14

今の仕事は, 私にとってあまり意味がないと思うことがある。

15

仕事が楽しくて, 知らないうちに時間がすぎることがある。

16

体も気持ちも疲れ果てたと思うことがある。

17

われながら, 仕事をうまくやり終えたと思うことがある。

引用:労働政策研究・研修機構「バーンアウト(燃え尽き症候群)」


診断は、それぞれの質問に対して、「1.ない」から「5.いつもある」の5段階で回答し、その結果から現状を分析します。ただし、前述のように精神的な症状は自己判断が難しいため、個人での活用はあくまでも参考程度にとどめておき、正確な診断結果を知るには医師の診察を受けることが大切です。


バーンアウト症候群になる原因


バーンアウト症候群を引き起こす直接的な原因は、人や環境によってさまざまですが、いくつかの共通点も存在します。ここでは代表的な原因について詳しく見ていきましょう。


仕事を頑張りすぎる

残業や休日出勤といった長時間労働は、バーンアウト症候群を引き起こす主要な原因とされています。疲れを感じていても心身を休める時間がなくなり、知らず知らずのうちに限界を超えてしまうのです。


特に、「優秀なメンバーに業務が偏っている」「ワークライフバランスへの関心が薄い」といった労働環境下では、特定の従業員に負荷が集中してバーンアウトを引き起こしやすくなります。また、労働時間という物理的な問題だけでなく、過度なプレッシャーや責任といった目に見えにくい問題が要因となるケースも少なくありません。


過大なノルマによって日頃から強い負担を感じていたり、必要以上の責任を背負っていたりする場合、ふとした瞬間に張りつめていた糸が切れてしまうことも多いのです。


自分のやりたいようにできない

能力が高い従業員がバーンアウト症候群に陥ってしまう場合、仕事の裁量や範囲が限定されていることが原因であるケースもあります。優秀なメンバーにとって、仕事で自身の能力を思う存分に発揮できていない状態は、強いストレスを感じる原因となってしまいます。


理想と現実のギャップが埋まらないまま日常業務に追われている状態が続くと、結果的に仕事への意欲が消失し、バーンアウトしてしまうのです。


適切な対価を得られない

仕事への意欲を保つうえでは、成果に対する適切な評価も重要なポイントとなります。努力や優れた成果について、正当な対価が得られない状態が続くと、仕事へのやりがいが感じられずバーンアウトに陥りやすくなるでしょう。


特に、「職場の評価基準が不明瞭」「上司や周囲からのねぎらいがない」といった職場環境は、バーンアウト症候群を引き起こしやすくなるため注意が必要です。従業員にとって、自身の貢献度合いを実感できる機会が少ないため、仕事への手ごたえを感じられなくなってしまうのです。


人間関係の悪化

社内の人間関係は、従業員の精神状態に大きな影響を与える要素です。従業員同士や上司・部下の関係性がうまく構築されていない場合、日常的なコミュニケーションに強いストレスを感じ、バーンアウト症候群の原因となるケースも少なくありません。


厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活に強いストレスを感じる原因のうち、「対人関係」は「仕事の量・質」「仕事の失敗・責任の発生」に次いで3番目に多い割合となっています。人間関係が良好でなければ、日常業務の効率や生産性にも悪影響を及ぼすため、従業員の負荷につながるでしょう。


公平に扱われない

評価システムのあいまいさにも大きく関係する問題ですが、社内での不公平な待遇や扱いが、バーンアウト症候群の発症原因となる場合もあります。評価システムが公平性を欠いている場合、従業員は「努力しても正当に報われない」と感じてしまい、仕事への意欲を失いやすくなるのです。


また、社内に「フリーライダー」がいる場合、周囲の従業員にバーンアウト症候群を発症させる原因となってしまう場合があります。フリーライダーとは他者の功績や努力に「タダ乗り」する存在を指し、周囲のメンバーにとって「成果が奪われる」「業務負担が増える」「不公平感を覚える」といったさまざまな悪影響を及ぼします。


フリーライダーを生み出さないためにも、明確な評価制度の確立と業務の見える化を行うことが大切です。


バーンアウト症候群の主な症状

社会心理学者クリスティーナ・マスラークは、バーンアウト症候群の重症度を判定する指標として、「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感の低下」の3つの尺度をピックアップしました。この考え方は、先ほどご紹介した日本版バーンアウト尺度の土台にもなっています。


ここでは、それぞれの尺度に基づき、具体的な言動として主な症状を解説します。


仕事をやり切って疲れてしまう(情緒的消耗感)

情緒的消耗感とは、わかりやすく表現すれば、「仕事をやり尽くして疲れ果ててしまった状態」のことです。「情緒的」と表現されているように、単なる身体的な疲労感ではなく、感情のエネルギーが消耗・枯渇してしまう点に大きな特徴があります。


そのため、これまでやりがいや楽しさを感じていたはずの仕事でも、突然つまらなく感じられてしまうのです。モチベーションや幸福感といったプラスの感情が失われることで、仕事へ向かう気力がなくなってしまうのが情緒的消耗感の主要な症状といえるでしょう。


特に、顧客や同僚、社内メンバーとの信頼関係構築などに力を尽くした結果、心身のエネルギーが消耗して引き起こされるケースが多いとされています。


思いやりのない行動をとってしまう(脱人格化)

脱人格化とは、「顧客や同僚に対して思いやりのない態度をとってしまう」状態を指します。情緒的なエネルギーが消耗することにより、他者への関心が失われ、それまで当たり前のようにできていた気配りが難しくなってしまうのです。


「突然周囲への配慮に欠ける態度をとるようになった」「イライラした様子を隠さない」「他人への悪口が目立つようになった」といった状態が続いている場合、脱人格化に陥っている可能性が考えられます。


仕事の質が落ちてしまう(個人的達成感の低下)

情緒的消耗感や脱人格化の状態が続くと、日常の業務やコミュニケーションに支障をきたすため、仕事の質が著しく低下してしまいます。思うように成果や達成感が得られなくなることで、自尊心まで傷ついてしまい、ますます仕事への意欲が失われていくことが考えられるでしょう。

この状態まで症状が進行すると、なかなか悪循環から抜け出せなくなってしまい、休職や離職に至るリスクも高まります。


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バーンアウト症候群は、従業員個人の特性だけでなく、組織の人間関係や評価システムの問題が発症リスクを高めてしまうのも大きな特徴です。社内の人事システムを整え、働きやすい環境づくりを実現することは、大切な従業員を守ることにもつながります。


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バーンアウト症候群になりやすい人の特徴

同じ環境下でも、バーンアウト症候群になりやすい人とそうでない人が存在します。バーンアウトに関連する研究結果でも、発症のリスク要因を「環境要因」と「個人要因」に分けて分析するのが一般的な考えとなっています。


ここでは、バーンアウトを起こしやすい人の特徴を3つのポイントに分けて解説します。


①完璧主義者で妥協しない

妥協せずに仕事へ向き合う完璧主義者な一面を持つ人は、バーンアウトに陥りやすいとされています。これは、何事も完璧に応えようとするあまり、思い通りにいかない状態が続くと、精神的に強いストレスを感じてしまうことが原因です。


特に、人を相手に仕事をする看護師や教育関係者といった「ヒューマンサービス」に従事している場合、完璧主義の姿勢で仕事に向き合い続ければ、極度に消耗してしまうことは想像に難くありません。一方で、「ひたむきさ」や「他者への献身的な姿勢」は、ヒューマンサービスに必要な資質でもあるため、こうした職業における重大なジレンマとされています。


②期待以上の成果を求める

バーンアウト症候群になりやすい人の特性として、「求められているもの以上に成果を出そうと努力する」といったものがあげられます。この特性自体は、高いパフォーマンスを発揮するうえで重要な資質といえる一方、バランスを保てなくなると心の不調をきたしやすいというリスクもはらんでいます。


たとえば、社内の評価システムが不透明で、個人の成果が反映されない仕組みであった場合には、当然ながら人一倍の成果を求めて努力する人のほうがストレスは感じやすくなるでしょう。


③仕事とプライベートの切り替えができない

バーンアウト症候群の主要な原因の1つに、「不健全なワークライフバランス」があげられます。「職場にいないときでも業務をしている」「業務時間後もメールや連絡の有無を確認している」など、仕事とプライベートが確立できていない場合には、バーンアウトを起こすリスクが高くなるのです。


特に、テレワークが普及している現代では、仕事とプライベートの線引きがこれまで以上に重要なテーマとなります。


バーンアウト症候群にならないための対処法


バーンアウト症候群を回避するうえでは、企業や組織の環境を改善することももちろん重要ですが、個人レベルでも実践できることがあります。ここでは、個人としてバーンアウトを避けるためにできる対処法を4つに分けて見ていきましょう。


①残業時間を減らす

まずは、目に見える心身への負担を軽減させることが重要な課題となります。残業や休日出勤といった時間外労働を減らして、適度に休息がとれる状況を自らつくっていくことが大切です。


また、オーバーワークが続いている場合には、与えられた業務量が適切かどうかも自分自身で見つめ直す必要があります。過度な業務負担や責任を担っているときには、必要に応じて役割を分散させてもらうのも有効な方法です。


そのうえで、仕事とプライベートのオンオフを意識的に切り替えることも、心の健康を保つうえで必要な心がけです。「勤務時間外は業務用のデバイスをシャットダウンする」「テレワークをしている場合は仕事用デスクとプライベート空間を分ける」など、ちょっとした工夫でオンオフの切り替えがスムーズに行えるケースも少なくありません。


②趣味の時間を持つ

趣味に向き合える時間は、仕事を忘れてストレスを発散できる大切なひとときです。仕事の悩みが頭から離れない場合には、意識的に好きなことと向き合える時間をつくり、心をリフレッシュさせるのも大切です。


また、趣味によっては、職場以外の人との交流が持てるというメリットもあります。普段関わる機会のない相手とコミュニケーションを図ることで、悩みから脱却するヒントが見つかったり、新しい活力が得られたりするケースも多いものです。


③信頼できる仲間を見つける

バーンアウト症候群の症状は、1人で悩みを抱え込んでしまうことで進行しやすくなります。そのため、職場で信頼できる仲間をつくり、気軽に悩みを相談できる環境を整えるのも有効な方法です。


また、周囲のメンバーと良好な信頼関係が築けていれば、業務負担が増えてしまったときにも安心して頼れるようになるでしょう。


④相談窓口に相談する

勤務先によっては、社内にメンタルヘルスに関する相談窓口が設けられていることもあります。心の不調を感じたときには、そうしたサポート制度を活用することも大切です。


また、社内に相談制度がない場合や、社内で悩みを打ち明けるのに抵抗がある場合には、外部の相談窓口を利用してみるのもよいでしょう。たとえば、厚生労働省の「こころの耳」相談窓口では、仕事やキャリア、社内のハラスメントといった幅広いテーマについて、適した相談窓口を案内してもらえます。


バーンアウト症候群の治療方法

バーンアウト症候群の治療は、医療機関の診断に基づいて行われます。休養をとっても症状が改善しない場合は、専門の相談窓口や医療機関へ足を運び、診断を受けたうえで正しい改善方法を相談しましょう。治療は、薬を用いた薬物療法や再発防止のための精神療法、電気刺激を用いたTMS治療などが代表的な手段です。繰り返しにはなりますが、精神的な症状は自己判断が難しいため、安易に診断したり自己流の治療法を試したりするのは危険です。


また、うつ病と診断された場合も、本人の状態に合わせた治療法を行っていくことが大切です。



まとめ

バーンアウト症候群は、個人の特性だけでなく、職場環境や組織の状態など環境的要因によっても引き起こされます。社内でバーンアウト症候群が起これば、組織のパフォーマンスや生産性に影響が出るばかりか、大切な従業員を離職させてしまうことにもつながりかねません。


こうした事態を予防するには、丁寧な人材育成と人事評価、最適な配置といったこまやかな人事戦略を固め、組織の力を最大限にまで高める工夫が求められるのです。そこで重要なカギを握るのが、「タレントマネジメントシステム」です。


タレントマネジメントシステムとは、従業員が持つ人材の能力やスキルを最大限に発揮してもらうために、人材データを集約・一元管理して、高度な意思決定を可能にするシステムのこと。

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