バイアスと先入観の違いとは?それぞれの意味や具体例を解説


バイアスと先入観の違いとは?それぞれの意味や具体例を解説

本記事ではバイアスと先入観の違いをわかりやすく解説します。バイアスがビジネスにおいてあたえる影響と改善法も紹介するため、人材の適正評価に活用できるでしょう。

こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。


本記事ではバイアスと先入観の違いをわかりやすく解説します。併せてバイアスがビジネスに及ぼす影響と改善法も紹介します。最後まで目を通してもらえば、近年注目が高まるバイアスを理解できます。ぜひ、ご覧ください。


バイアスと先入観の違い

バイアス(bias)と先入観はしばしば同じ意味で使われ、実際にバイアスを日本語訳すると「先入観」になります。しかし、両者は使用するシチュエーションにより細かなニュアンスが異なります。本章では、バイアスと先入観について共通点と異なる点をそれぞれ解説します。

バイアスと先入観の共通点は無意識

バイアスと先入観の似通っている要素として無意識という共通点があります。


  • バイアス:「無意識」のうちに生じている偏りのこと
  • 先入観:「無意識」のうちに生じている固定観念のこと



どちらも無意識のうちに、頭の中に定着してしまった考えやものの見方を指す点においては同じ意味を持ちます。この2つを同じ意味合いで使用する人が多いのもそのせいでしょう。しかし、正しく使用するなら、両者の違いを押さえておく必要があります。

バイアスと先入観の違いは固定観念か否か

バイアスと先入観の違いは、頭の中に生じたものの正体です。


  • バイアス:無意識のうちに生じている「偏り」のこと
  • 先入観:無意識のうちに生じている「固定観念」のこと


「偏り」と「固定観念」は似ているようでまったく違います。


  • 偏り:物事を思考する際のバランス
  • 固定観念:勝手な思い込み


偏りはいくつかある情報の中から自分にとって都合が良いものに重きをおいて採用することを指し、固定観念は根拠の所在がなく自身の経験や憶測から判断し生み出される概念です。

ビジネスシーンでは同じニュアンスで用いられる

ビジネスシーンでは、バイアスと先入観の使い分けはなく、類義語というよりも同義語というニュアンスで用いられています。


バイアスは偏り、先入観は固定観念と違いはありますが、まったく異なる言葉とは言えないのも事実です。ビジネスシーンでは前後の文脈から適切なニュアンスを把握することが円滑なコミュニケーションにおいて大切でしょう。

ビジネスにおけるバイアスを解説!

近年は多様性のある組織づくりを目指し、脱バイアスを掲げる企業が増加しています。ビジネス書籍を読む方や、人材育成セミナーへの参加経験がある方は耳にしたことがあるでしょう。本章では、ビジネスにおけるバイアスについてわかりやすく解説します。


情報過多で適切な取捨選択が求められる現代において、ビジネスパーソンがバイアスの存在を把握することは有効です。特に、管理者の場合は従業員の適切な評価を行うために理解を深めましょう。本章ではビジネスシーンで起こりうるバイアスを解説します。

ビジネスシーンでのバイアスとは?

ビジネスシーンにおけるバイアスとは、以下の要因により、合理的な判断ができなくなる心理現象を意味します。


  • 思い込み
  • 先入観
  • 直感


この心理現象を認知バイアスと呼び、様々なバイアスの種類が存在します。その中でもビジネスにおいて害をなすとされているのが以下の6つです。


種類

心理現象の特徴

確証バイアス

自分に都合のいい情報だけに目が行く

正常性バイアス

自分に都合の悪い情報を無視する

ダニング=クルーガー効果

自分を過大評価する

ハロー効果

注視した特徴に目が行って正しい評価ができない

自己奉仕バイアス

成功したら自分の功績、失敗したら周囲や環境のせいにする

アンコンシャス・バイアス

無意識の偏見や思い込みで偏ったものの見方をする


ビジネスシーンにおけるバイアスの具体例

本章ではビジネスシーンで見られるバイアスの具体例を紹介します。


(確証バイアス)


新しいプロジェクトに使うツール選定で自分が良いと思った方(A)を指示する意見を多く募り「多くの人がAを希望しています」と発言し、自分にとって都合がいい選択を周囲に促した。



(正常性バイアス)


非常ベルがなっているがいつもの避難訓練だろうと判断し、状況を確認せずその場にとどまったが実際に火災が起きていた。日常に囚われて正常な判断ができない状態。




(ダニング=クルーガー効果)


ある業務に対して専門的な知識も経験もない従業員が、専門性をもつ担当者に対して「渡したならもっとうまくできる」と発言する。自分の能力を過大評価している状態。



(ハロー効果)

「東京大学出身の新入社員を採用したから企業の業績が上がる」と特定の要素だけをもとに判断すること。




(自己奉仕バイアス)

「今回の新規プロジェクトは自分が参加したから成功した」「今回の商談は私が参加したけれど、事務部に作成してもらった書類に不備があったため失敗に終わった」など、成功した場合は自分の手柄とし、失敗した場合は人に責任を押し付ける状態。



(アンコンシャス・バイアス)


「上司は書類整理や来客時のお茶出しは新人がやるものと思い込んでいる。だから自分の手が空いていても新入社員にお願いしている。」など、情報を迅速に把握するために、ものごとを紐づけする状態。

ビジネスシーンに悪影響!バイアスの改善方法を紹介

バイアスがビジネスに悪影響を及ぼすと理解できても、その改善方法がわからなければ対処のしようがありません。そこでおすすめしたいのが、以下の改善方法です。


  • 社内や個人で判断軸を持つ
  • 根拠の有無を確認
  • 事象を客観視する


脱バイアスのために実施できる改善方法は他にも多々ありますが、まずはこの3つを実践してみましょう。


そうすれば、脱バイアスの取り組み方もわかってきて、組織内でも他の方法を実践してみようという気運も高まるでしょう。


社内や個人で判断軸を持つ

まずは社内で共通の判断軸を設定します。従業員がバイアスによる間違った判断をしてしまうのは、決められた判断軸がないからです。様々なケースを想定し、判断軸を企業規模で設けておくと従業員がバイアスに惑わされず意思決定を行なえます。


また、業務とは別に従業員各自がバイアスに関する知識を身につけ、日頃から自身の思考や言動に気を配ることも欠かせません。研修や社内広報を活用し、社内全体でバイアスへの理解を深め、個々が判断軸を持てるように整えましょう。


また、判断軸に根拠をもたせることが大切です。役職者の主観が入った判断軸は従業員が疑問を感じたり不信感を抱く原因になります。さらに、判断軸の設定は社内全体だけでなく、各部署やチームなど下層部への落とし込みが重要です。単位を小さくすると、従業員自身に合った判断軸が設定できるでしょう。


根拠の有無を確認

まずは、自分の判断に根拠があるかを確認する習慣をつけてください。


自身のバイアスには気づきにくいものです。気づいていないバイアスが影響して、主観的な判断を下している可能性もあります。


なぜ、そう判断するに至ったのかを、段階的に探ってみましょう。そうすれば、根拠に基づいた判断なのか、そうでないのかがわかります。


根拠が見当たらないなら、バイアスによる判断だということです。これを続けていれば、バイアスに影響された判断を避けられますし、自身のバイアスを把握できます。


徐々にバイアスに影響されない思考方法も身についてくるでしょう。

バイアス(先入観)の解消だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析

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事象を客観視する

自分の判断を客観視するのも、バイアスに影響された主観的判断を避ける手立ての1つです。


早急に判断を下さず、行動に移す前に「本当にこれで正しいのか」と、自分自身に問いかけてみましょう。第三者目線や俯瞰的視点で物事を見ることは、主観的判断を避けるためには欠かせません。


自身を客観的に見られるようになれば、潜んでいたバイアスを発見することもできます。


また、客観的視点を養うには、自身とは異なる意見に対して耳を傾けるのもおすすめです。複数の異なる意見に触れれば、自分にはないものの考え方が理解できるようになります。新しい自分の発見にもつながるでしょう。

バイアス(先入観)はメリットもある

バイアスはビジネスに悪影響を及ぼしますが、必ずしもそうとは限りません。


ビジネスにメリットを生み出すバイアスも存在するのです。事実、バイアスを逆手に取ったマーケティング戦略は少なくありません。


特に以下のバイアスは、消費者の購買意欲を増大させるバイアスとして、マーケティングに広く利用されています。


種類

心理現象の特徴

ハロー効果

注視した特徴に目が行って正しい評価ができない

バンドワゴン効果

「流行は試したい」という考えから購買意欲が増す

アンカリング効果

明確な情報や数値の提示で相手の判断基準に影響を及ぼす

コンコルド効果

今までの投資が無駄になるのが嫌で継続する


実際のマーケティング手法は以下の通りです。


ハロー効果

高感度の高いタレント等を広告塔にして購買意欲をあおる

バンドワゴン効果

ある種の流行を利用して購買意欲をあおる

アンカリング効果

期間限定の割引価格で購買意欲をあおる

コンコルド効果

高額商品をシリーズものとして分割販売する


まとめ

バイアスはビジネスにおいて、メリット・デメリットを併せ持ちます。しかし、従業員の持つバイアスはデメリットしかもたらしません。企業力を向上させるためにも、排除のための対応策を練る必要があります。


それと並行して検討してもらいたいのがタレントパレットの導入です。


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