自律型人材の必要性とは?特徴やメリット・育成方法・注意点なども徹底解説


自律型人材の必要性とは?特徴やメリット・育成方法・注意点なども徹底解説

世の中の目まぐるしい変化に対応するため、多くの企業で自律型人材が求められています。一方で、企業にとっては自律型人材を育成することが課題となっており、早急な対応が必要です。
この記事では、自律型人材の特徴や、企業が自律型人材を育成するメリット、育成方法などを紹介します。社員を自発的に行動できるよう育成したいと思う人事担当の方は、ぜひ参考にしてください。

自律型人材の概要

自律型人材とは、企業や上司からの指示を待つのではなく、自ら考え能動的に行動できる人材を指します。自律的に業務を遂行するといっても、企業によって求める業務内容はさまざまです。それぞれの企業が目指す目標に向かって適切に行動できることが、自律型人材の特徴でもあります。


自律型人材が「自立」ではない理由

「じりつ」には「自立」と「自律」があり、それぞれ意味が異なります。「自立」とは、他人の力を借りずに自分の足で立ち、1人で業務をこなせる状態を指します。


一方の「自律」は、自分自身で立てた規範に従い、自分の意思で行動することを指します。自律型人材とは企業の目的や意図を考え、自らをコントロールしながら業務を遂行する力を持った人材です。企業が求める人材は「自律」が適切といえるでしょう。


自律型人材が求められる3つの背景

自律型人材が求められている背景を、時代・働き方・雇用方法の観点から詳しく解説します。


時代の変化に対応するため

近年では技術の進歩や自然災害など、さまざまな要素が重なり、先が読めない時代に突入しています。企業が生き残るためには、目まぐるしく変化する環境に臨機応変に対応できることが必要不可欠です。


環境の変化に対応しつつ企業の目標を達成するには、上司からの指示がなくても自発的に適切な行動ができる人材が必要です。スピード感を持って行動することで、さまざまな変化に素早く対応できる組織を実現できます。


働き方の変化に対応するため

新型コロナウイルス感染症の流行によって、テレワークの導入が急激に加速しました。テレワーク以外にも、フレックスタイム制や時短勤務など、働き方の多様化が進んでいます。フレックスタイム制とは、決められた総労働時間の中で、始業時間や終業時間を労働者が自由に決められるシステムです。


時短勤務とは、1日の労働時間を通常よりも短くした働き方を指し、条件を満たした社員は1日の労働時間を原則6時間に短縮できます。どのような働き方でも成果を挙げられる自律型人材は、働き方が多様化する昨今において重要な人材となります。


雇用方法の変化に対応するため

従来は幅広いスキルを持っている人材が重要視されていましたが、近年では専門スキルを持った人材が重要視されつつあります。割り当てられた仕事を遂行する「メンバーシップ型雇用」から、専門的なスキルを持つ人材を積極的に採用する「ジョブ型雇用」が、主流になりつつあるからです。


自発的に専門スキルを獲得できる自律型人材は、雇用方法の変化に対応するためにも重要な存在となります。

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自律型人材の3つの特徴

自律型人材とはどのような人材を指すのでしょうか。以下で主な3つの特徴を解説します。


1.指示を待たずに行動できる

自律型人材は、指示を待たずに自らの考えや意志で行動できます。企業の目標達成のために必要なことを考え、主体性を持って行動に移せます。また、自分に期待されている役割を理解し、目標設定や問題に対する迅速な判断ができることも特徴です。


2.責任感を持って行動できる

自律型人材は、自分で考えた行動に責任感を持って取り組めることが特徴です。問題発生時だけでなく、自らが設定した目標に対し責任感を持ち、粘り強く対応することができます。また、ミスが生じた際も真摯に受け止め、改善方法を自律的に考えられます。


3.オリジナリティのある仕事ができる

自律型人材は、周りに流されず自分の信念に基づいた行動ができます。考えや信条が確立していれば、企業の目標を理解した上で、自分らしい仕事ができるでしょう。社員がオリジナリティのある仕事をすることで、企業の独自性の確立につなげることも期待できます。


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自律型人材が活躍できる組織の特徴

自ら考え、行動できる自律型人材が活躍しやすい企業や組織にはどのような特徴があるのでしょうか。以下で2つの組織の特徴について解説します。


ホラクラシー型の組織

ホラクラシー型組織とは、役職や階級のないフラットな組織のことを指します。日本の企業は、役職や階級が明確に設定されているヒエラルキー型組織が多いのが現状です。


ホラクラシー型組織は、上下関係ではなく役割によって組織化されているため、役割ごとに意思決定を行うことが特徴です。上司からの指示がなく、自律型人材を育成しやすい組織環境といえます。


ティール型の組織

厳密なルール設定をした上で個別に意思決定ができるホラクラシー型組織に対し、ルール設定がまったくないティール型組織というものも存在します。ティール型組織は、組織のメンバー1人1人が目標実現に向けて自律的な行動を行う、従来のマネジメント手法とは真逆の組織形態です。


ティール型組織では、社員全員が自律的な行動を求められるため、自律的人材でないと活躍できないともいえるでしょう。


企業が自律型人材を得るメリット

自律型人材は管理職・一般社員それぞれにメリットがあります。企業が自律型人材を確保することで得られるメリットを3つ解説します。


管理職の負担を減らせる

自律型人材は上司からの指示がなくても行動できるため、管理職の負担軽減につながります。細かい業務内容は自律型人材に任せ、管理職としての業務や社員のサポートに注力できるからです。管理職は本来自分が行うべき業務に集中することで、生産性向上や企業の成長につなげることができます。


独自性の高いアイデアや手法が生まれやすくなる

オリジナリティのある行動ができる自律型人材の存在は、企業のイメージ向上や独自性の確保にもつながります。従来の方法や前例にとらわれず柔軟な発想ができるため、組織に新たな風を吹き込むことも可能です。インベーションの創造を課題としている企業にとって、貴重な存在となるでしょう。


業務効率化が期待できる

自ら考え行動できる自律型人材は、スピーディーな判断や対応による業務効率化も実現できます。自律的でない社員が多い企業は、管理職が指示できない状況にある際、業務が滞ってしまうリスクを抱えています。自律型人材の確保は、迅速な行動と無駄な業務の省略により、生産性の向上が期待できます。


自律型人材を育成する方法

企業が自律型人材を育成する方法を6つ解説します。自律型人材の育成を計画する際の参考にしてください。


企業の考える自律型人材の定義を明確にする

まずは、自社に合った自律型人材の定義を明確にすることが大切です。自社の長期的な目標を

明らかにした上で、目標を達成するための具体的な行動を明らかにします。やるべき行動がわかれば、自ずとどのような人材を必要としているのかが見えてきます。


また、すでに自社内にいる自律的人材をロールモデルとする手法も有効です。自社の自律的人材の行動を模範とした社員教育を行うとよいでしょう。


能力開発の目標を設定する

自社の業務達成のみを目的とした人材育成だけでなく、長期的な社員のキャリア形成にも目を向けることが大切です。今後どのようなスキルを身につけて欲しいのかを明確にすることで、それぞれの社員が納得感を持って自律型人材へと、ステップアップできるでしょう。


また、社員が主体性を持って行動できる社内環境を整えることも大切です。社員それぞれが安心して発言・行動するためには、否定や拒否をされない心理的な安全性を確保する必要があります。


企業全体で自律型人材の必要性を理解する

企業全体で自律型人材の必要性を共有しておくことも重要です。例えば、自律的に行動した社員に対するフィードバックや表彰を行い、自律型人材の存在が受容される空気感をつくることが挙げられます。企業全体で自律型人材を必要とする雰囲気づくりを行うことで、社員同士がお互いをサポートし合える環境が生まれ、自律型人材の育成促進に役立ちます。


企業理念や経営戦略に対する深い理解を促す

どれだけ自律型人材を育成しても、企業理念や経営戦略に則した内容で行動できなければ成果は出せません。自律型人材を育成する以前に、企業理念や経営戦略を社員が深く理解できるような仕組みづくりをしておくことも重要です。


企業理念や経営戦略はそのまま自律型人材の行動指針となるため、社員に共有することで企業にとって最適な結果が生まれやすくなります。


理解度を高める研修を行う

自律型人材を育むには、実践だけでなく研修を行い、自律型人材の定義や、なぜ必要なのかを共有しておくことも大切です。社員の納得感が生まれないことには、自律的な行動に至らないこともあるからです。


研修を通じて自律型人材に必要なスキルを理解すると同時に、スキルの土台づくりができるようにすることが重要です。また、研修で行ったことを実践できる場を設けることで、研修と実践を紐づけることができます。インプットとアウトプットを繰り返し、自律的人材の育成につなげましょう。


目標の見直しを定期的に行う

自律的人材の研修と実践を行う中で、目標設定が適切であるかを定期的に見直すことも大切です。振り返りのタイミングをあらかじめ決めておき、適切なタイミングで見直しすることで、より良い自律型人材の育成につながります。

自律型人材を育成する際に注意したいポイント

自律型人材の育成にはさまざまなメリットがありますが、注意すべきポイントがあります。以下で2つのポイントについて解説します。


自律型人材の育成には時間やコストがかかる。

自律型人材の育成には、手間や時間がかかることは避けて通れません。また、効率的な研修プログラムを行うには、外部講師を招くなど、ノウハウ取得のためのコストがかかることを覚えておきましょう。


ヒエラルキー型組織の多い日本の企業では、特に多くの時間やコストがかかることを理解した上で、自律型人材の育成に取り組む必要があります。


管理職のマネジメントスキル向上も必要

自律型人材を育成するにあたって、管理職が自律型人材をマネジメントできるスキルを身につけておくことは必要不可欠です。部下が自律的に行動できるよう、自律的人材を生かす知識や方法を身につけておきましょう。

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まとめ

これからの企業は、責任感とスピード感を持って自発的に行動できる自律型人材を育成することが求められます。自社の独自性の獲得につながる自律型人材の育成に向けて、長期的な視点で取り組んでいきましょう。


タレントパレットは、人事とマーケティング視点を取り入れた科学的人事を実現するタレントマネジメントシステムです。大手企業をはじめ多くの企業に導入されており、コンサルティングの知見もあるため、これから自律型人材の育成を考えている企業はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。



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