こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
新しく勤怠管理を導入したいがコストをかけたくない、とお悩みではありませんか? できるだけコストをかけずに勤怠管理を行いたい場合は、表計算ソフトのエクセルを使うのがおすすめです。
本記事では、エクセルで関数を使って勤怠管理表を作る手順も解説します。勤怠管理を導入する際の参考にしてください。
勤怠管理とは
勤怠管理とは、従業員の出勤や退勤などの就業状況を把握し、それを適正に管理することです。企業は従業員の就業状況を正確に把握するために、勤怠管理を行わなくてはなりません。
勤怠管理はエクセルで行う他、タイムカードや勤怠管理システムなど、さまざまな方法で行えます。
勤怠管理が必要な理由とは
企業が勤怠管理を行うべき理由は、以下のとおりです。
労働時間を適切に把握するため
2017年1月20日、厚生労働省が労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを策定し、以下の2つのルールが定められました。
- 使用者には、従業員の労働時間を適切に把握する責務がある
- 労働日ごとに始業時間・終業時間を確認し、適正に記録する
さらに、2019年4月1日に施行された「働き方改革」において「労働時間の状況を客観的に把握すること」が企業に義務付けられました。
このような背景から、労働時間を適切に把握するために勤怠管理の実施が求められています。
法令を順守するため
労働基準法第32条において、以下のように定められています。
- 使用者は労働者に休憩時間を除き、週に40時間以上労働させてはならない
- 使用者は1週間の各日に、労働者に1日8時間を超えて労働させてはならない
そのため企業は、法定労働時間が適正に守られているかどうかを把握しなくてはなりません。
また働き方改革関連法の施行により、時間外労働にも上限規制が設けられました。時間外労働は原則として月45時間、年360時間を超えてはならないと定められています。
企業は、これらの法令を順守し、従業員の健康を守るために勤怠管理を行わなくてはなりません。
正しく給与計算を行うため
従業員に正確な給与を支払うために、適正な勤怠管理を行う必要があります。勤怠管理が正しく行われていないと、残業代未払いなどのトラブルが起こるおそれがあるためです。
また勤怠管理で取得した勤務状況のデータは、社会保険料や税金の額にも関係します。これらの納付額を算出するためにも、勤怠管理を正確に行う必要があるのです。
勤怠管理に必要な項目とは
勤怠管理で把握すべき項目は、以下の9項目です。
- 出退勤の時間
- 労働時間
- 休憩時間
- 時間外労働
- 深夜労働時間
- 休日労働時間
- 有給休暇の取得状況
- 勤務日数
- 欠勤日数
各項目の内容については勤怠の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
「勤怠」については、こちらの記事をご確認ください。
エクセルで勤怠管理表を作成しよう
コストをかけずに勤怠管理を導入したい場合におすすめなのが、エクセルを使用する方法です。エクセルで勤怠管理を行う際は、以下の流れで導入を進めましょう。
1.勤怠管理に必要な情報の整理
エクセルを使用して勤怠管理表を作る際に必要な項目は、以下の4つです。
- 出勤時間
- 退勤時間
- 休憩時間
- 時給金額
時給制で働く従業員の場合は、上記の項目が揃えばエクセルで勤怠管理を行えます。ただし、月給制の場合は社会保険料などの計算もあるため、エクセルでの勤怠管理は難しいかもしれません。
月給制の従業員がいる場合は、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。
2.エクセルのカスタマイズを行う
勤怠表に入力する情報が揃ったら、エクセルのカスタマイズを行います。計算式や関数が使える方なら、勤怠管理表を自作できるでしょう。
インターネットで無料テンプレートを探し、ダウンロードする方法もあります。「エクセル 勤怠管理」と検索すると、無料のテンプレートが見つかるはずです。
3.従業員に入力方法を説明
エクセルでの勤怠管理を行う場合、各項目は従業員による自己申告制です。勤怠管理表に各自が入力するため、最初に使い方を説明する必要があります。
不正申告や入力ミスなどの防止策も検討しましょう。
次項では、エクセルで勤怠管理表を作る手順を解説します。
エクセル関数で勤怠管理表を作る手順4ステップ
エクセルで関数を使い、勤怠管理表を作成する手順を4ステップで解説します。テンプレートを使わず、自分で勤怠管理表を作る際の参考にしてください。
1. SUM関数で勤務時間を自動表示する
- 最初に縦の列に日付と曜日を入力します。
- 横に「出勤時間」「退勤時間」「休憩時間」「勤務時間」の列を作成します。
- 出勤時間と退勤時間、休憩時間の数値を入力します。
- 上の図は9時から17時まで勤務し、休憩を1時間とした場合です。
- 勤務時間を自動的に算出する計算式は、以下のとおりです。
- =「退勤時間のセル」ー「出勤時間のセル」ー「休憩時間のセル」
- 上の計算式を勤務時間の項に入力します。
- F3のセルに「=D3-C3-E3」と入力してください。
- エンターキーを押すと、自動的に勤務時間が表示されます。
- F3に入力した計算式をコピーして、F4以下のセルに貼り付けると、翌日以降は出退勤と休憩の時間を入力するだけで勤務時間が自動的に表示されます。
2. SUM関数で1か月の合計勤務時間を算出する
1か月の合計勤務時間を算出する方法は、以下のとおりです。
- E33のセルに合計勤務時間と記入します。
- F33のセルを選択したら、画面上部にある「数式」タブ内の「オートSUM」をクリックします。
- 「オートSUM」内の「合計」を選択するとF2からF32までが選択され、F33セル内に「=SUM(F2:F32)」と表示されます。
- エンターキーを押すと、合計勤務時間が表示されます。
3. セルの表示形式を変換する
ここまで完了すると、合計勤務時間のセルに自動的に合計時間が表示されるはずです。
ただし、表示形式が正しく設定されていなければ、正確に表示されません。その場合は、以下の方法でセルの表示形式を変換しましょう。
- 対象のセルであるF33を右クリックして「セルの書式変更」を選択する。
- 「表示形式」内の「ユーザー定義」から「[h]:mm:ss〕」を選択します。この操作で、合計勤務時間が正しく表示されるはずです。
4. 1か月分の給与計算をする
最後に、1か月分の合計給与額を計算します。
- D34セルに「時給額」と記入し、E34セルに時給額を入力します。今回は時給額を1,000円として計算します。
- F34のセルに「=F33*E34*24」という計算式を入力します。エクセルでは時間を「24時間=1」と認識するため、計算式の最後に24をかけるのです。これで、「合計勤務時間×時給」を計算できます。
- 最後にエンターキーを押すと、F35のセルに1か月分の給与額が表示されます。
この方法で、1か月分の給与額を計算できました。
時給制の従業員のみの職場であれば、このようにエクセルでの勤怠管理が可能です。
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前項では、エクセルを使用した勤怠管理の方法を解説しました。
ただしエクセルを使った勤怠管理は、月給制などの複雑な給与計算には向いていません。月給の従業員がいる企業では、勤怠管理システムを導入するほうがよいでしょう。
勤怠管理と同様に、企業にとって大切なのが人材の効果的な「活用」です。
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エクセルでの勤怠管理が適している企業
エクセルを使った勤怠管理は、どのような企業に適しているのでしょうか。
従業員数の少ない中小企業
エクセルでの勤怠管理は、従業員数が少ない企業に向いています。従業員数の目安は30人以下です。
従業員数が多い企業ではデータの集計や修正に手間がかかり、ミスが発生しやすくなります。大企業の場合はエクセルではなく、勤怠管理システムを導入するほうがよいでしょう。
時給制で働く従業員が多い
時給制で働く従業員が多い企業も、エクセルでの勤怠管理に向いています。時給制の場合は「勤務時間×時給」というシンプルな計算式で給与を算出できるためです。
そのため、エクセルを使った勤怠管理でも対応できるでしょう。
ただし、月給制の場合は各種手当が発生するため、エクセルを使う勤怠管理では煩雑になります。月給制の従業員がいる企業は、勤怠管理システムを導入したほうがよいでしょう。
エクセルが得意な従業員がいる
ダウンロードしたエクセルテンプレートを使用するとしても、ある程度カスタマイズを行う必要があります。
そのため、導入時にはエクセルに詳しい従業員がいるとスムーズに運用できるでしょう。
エクセルで勤怠管理を行うメリット
エクセルでの勤怠管理は、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
コストがかからない
エクセルで勤怠管理を行うメリットとして、コストがかからない点があげられます。
エクセルは、Microsoft社の表計算ソフトです。企業で使用するパソコンにはすでにMicrosoft Officeがインストールされている場合が多いため、導入コストがかかりません。
勤怠システムを導入する場合に比べると、コストがかからない点がメリットです。
データの共有や管理を行いやすい
エクセルでの勤怠管理には、データの共有や管理を行いやすいというメリットもあります。
タイムカードや出勤簿など紙ベースの勤怠管理では、紛失や汚れが発生することがあります。しかし、エクセルではデータを管理するため、紛失や汚れの可能性が低いといえます。
エクセルの場合はデータを共有しやすく、効率的に管理できる点がメリットです。
関数やマクロを使用してアレンジできる
エクセルの勤怠管理表では、SUM関数やマクロを使用して複雑な計算式を組み込むことが可能です。関数を使用すると、自社で使いやすいようにアレンジできます。
自作する場合はもちろん、ダウンロードした勤怠表でもカスタマイズは可能です。
自社の就業形態や勤怠ルールに合わせてアレンジできる点が、エクセルを使った勤怠管理のメリットといえます。
エクセルで勤怠管理を行うリスク
エクセルでの勤怠管理にはメリットがある一方、リスクも存在します。以下のようなリスクが考えられるため、慎重に検討しましょう。
法改正に対応しきれない
エクセルでの勤怠管理は、法改正に対応しきれないおそれがあります。労働関係の法改正は頻繁に行われるため、その都度計算式の修正が必要です。
エクセルはそもそも表計算専用のソフトであるため、勤怠管理システムのように自動的に法改正への対応ができません。
また法改正に気づかず、計算式変更などの対応を取らなかった場合、法律違反となるおそれもあります。
申告データの改ざん
エクセルでは、一度入力したデータを上書きすることができます。上書きされると、前に入力したデータは消失してしまいます。
痕跡を残さず簡単に編集できるため、改ざんの行われやすい点が大きなデメリットといえます。
また、エクセルの勤怠表は従業員が自ら記入するため、過剰申告されるおそれもあります。
入力ミスなどのヒューマンエラー
エクセルでの勤怠管理は手作業で行うため、ヒューマンエラーが起こるおそれもあります。従業員が各自入力する仕組みなので、入力ミスは避けられません。
さらに従業員の人数が増えた場合は、集計作業が煩雑になります。担当者の負担が増え、業務効率が低下するおそれもあるでしょう。
エクセルでの管理に限界を感じた場合や、企業の規模が拡大している場合は、勤怠管理システムを導入することをおすすめします。
勤怠管理システムとは
勤怠管理システムは、従業員の勤怠情報を記録し、管理するシステムです。
勤怠管理システムを使用すると、出退勤の時間を正確に打刻できます。勤怠データをもとに、有給休暇や時間外労働の自動集計も可能です。
クラウド型を中心に法改正に自動対応するタイプや、法令違反項目にアラートを発するタイプもあります。
勤怠管理システムの機能や選び方について詳しく知りたい場合は、勤怠管理システムの解説記事をご覧ください。
「勤怠管理システム」については、こちらの記事をご確認ください。
勤怠管理システムを使うメリット
企業が勤怠管理システムを使うメリットは、以下のとおりです。
操作が簡単
勤怠管理システムのメリットは、操作が簡単な点です。専用端末を使ってワンタッチで打刻できるため、エクセルが苦手な従業員でも簡単に操作できます。
打刻がそのまま出退勤に反映されるため、不正が起こりにくい点もメリットです。
また、エクセルやタイムカードに比べると集計の手間がかからず、業務効率化にもつながります。
リモートワークにも対応可能
勤怠管理システムは、自宅のパソコンや自分のスマホからも打刻できるため、リモートワークでも使用可能です。
出先や自宅から打刻できるため申告漏れを防ぎ、正確な給与計算ができます。
勤怠管理システムを使うデメリット
勤怠管理システムにはメリットがある一方、デメリットも存在します。デメリットになりうる点は、以下のとおりです。
導入や運用のコストがかかる
エクセルを使った勤怠管理は無料で利用できますが、勤怠管理システムの場合は費用がかかります。他の勤怠管理方法と比べると、コストがかかる点がデメリットかもしれません。
ただし、オンライン上のサーバーで使用するクラウド型の勤怠管理システムであれば、初期費用0円~数千円で利用できます。初期費用の他、人数ごとに月額料金が課金されるのですが、1ユーザーあたり数百円での使用できます。
導入や運用のコストはかかりますが、正確かつ効率的に勤怠管理が行えるため、費用対効果も含めて検討しましょう。
導入時に工数がかかる
勤怠管理システム導入には、工数がかかります。運用前に、自社の就業規則や従業員ごとの勤務形態・雇用形態を設定するためです。
そのため、システム導入前には自社のルールを再確認しなければなりません。
また正しい勤怠データが取得できるかどうか確認するため、正式に運用できるまで1~2か月かかる場合があります。運用開始時は既存の勤怠管理方法と併用し、問題が起きないか確認しながら使用しましょう。
まとめ
本記事では、エクセルを使った勤怠管理の方法について解説しました。エクセルでの勤怠管理は、簡単に導入できる上にコストを抑えられる点がメリットです。
一方、法改正のたびに修正の手間がかかるというデメリットもあります。効率的に勤怠管理を行いたい場合は、勤怠管理システムの導入を検討するとよいでしょう。
勤怠管理と同様に企業にとって大切なのが、人材活用と戦略です。
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