こんにちは。人事・経営に役立つメディア「タレントマネジメントラボ」を運営する「タレントパレット」事業部編集チームです。
アサーションとは、相手の主張を否定せずにこちらの主張を的確に伝えるための方法です。企業におけるコミュニケーションスキル形成に役立つため、注目を集めています。
そこで本記事では、アサーションについての基本的な概要や必要性、メリットからトレーニング方法まで解説します。アサーションについての理解を深め、ビジネスで活用したい方はぜひご覧ください。
アサーションの基本的概要
アサーションは、「主張」を意味する「assertion」という英単語に由来します。しかし、ビジネス用語としてのアサーションは若干意味が異なりますので、アサーションの意味と歴史について解説します。
アサーションの意味
アサーションを直訳すると、「主張」や「断言」という意味になります。しかし、コミュニケーションスキルにおけるアサーションの意味は、直訳とは異なります。
アサーションとは、相互の関係性を尊重し、対等の立場に立つコミュニケーションスキルです。相互の関係性では、相手の意見を否定することなく自分の意見を主張します。自己主張が強すぎては相手に心を開いてもらえず、逆に遠慮して意見を述べない場合でも意図が伝わらず、円滑なコミュニケーションが取れません。
アサーションは、ビジネスの現場や人材育成のためだけでなく、学校や医療の現場でも自己表現のトレーニングとして採用されるようになりました。正しく自分の意見を主張しながら、お互いを尊重することを意識してコミュニケーションを取ります。
アサーションを活用したコミュニケーションでは、立場が違う相手とも対等にお互いが納得のいく関係を築いておくことが望ましいです。
アサーションの歴史
アサーションは、1950年代に行動療法という心理療法の中から誕生したことが始まりです。当初は自己主張が苦手な人に対するカウンセリングの技法として、実施されていました。
そこから、1960〜1970年代のアメリカにおける黒人差別に対する格差の撤廃などの公民権運動をきっかけに、自分らしく生きるための考え方として、アサーションの考え方や行動が広がります。その後、弱い立場にあった女性の権利を尊重するための女性解放運動が活発化して、抑圧されてきた人々が声を上げる方法として発展を遂げてきました。
アサーションの考え方や行動は、これまで権利と言動を抑圧されてきた人々に大きな勇気を与えることになりました。国内の風土に合わせた方法で実践されているのが特徴であり、日本には1980年代に伝わりました。
なぜビジネスにアサーションが必要なのか?
昨今のビジネスシーンで、アサーションが求められる背景にはいくつかの要因があります。コロナ禍を経て非対面コミュニケーションが広まったことも要因のひとつです。
テレワークの推奨により、チャットやメールなどの文章のみでのコミュニケーションが増えました。非対面コミュニケーションでは、相手を尊重しながら自分の意見を主張することが難しくなります。
また仕事以外での関わりがないため、人間関係を構築できず、ますます相互理解ができない状況が問題視されるようになりました。こういった背景から、メンタルヘルスの不調やハラスメントの増加などに対応するために、アサーションを用いたコミュニケーションが求められています。
さらに、ダイバーシティへの関心が高まっていることもアサーションが必要とされる要因です。多様性を尊重するダイバーシティでは、多様性を活かすことによる相互理解が求められています。そのためにお互いを尊重し合うアサーションが必要とされているのです。
アサーションは個人の意見や主張を表明する重要な手段として、社会的な関心が高まっています。
アサーションを導入する4つのメリット
現代のビジネスシーンで必要とされているアサーションですが、取り入れることでどのようなメリットがあるかを紹介します。ここで紹介するメリットは以下の4点です。
- 人間関係のストレス問題を解決する
- 相手の気持ちを理解しやすくなる
- 自分の要求が伝わりやすくなる
- ハラスメント対策につながる
これらのメリットによってコニュニケーションで感じる負担を軽減して、自分の意見を適切に主張することが可能となります。それぞれのメリットを確認してみましょう。
人間関係のストレス問題を解決する
コミュニケーションによる人間関係のストレスは、仕事では避けられないでしょう。しかし、人間関係のストレスを抱えたままでは本来のパフォーマンスを発揮できません。そこでアサーションを導入すれば人間関係のストレス問題の解決につながります。
伝えたいことがあるにも関わらず、相手を否定して人間関係に影響が出ることを恐れて遠慮してしまうケースもあるでしょう。一方で、自分の意見を聞いてもらえずストレスを感じるケースもあります。
様々な考え方を持つ人が集まっている組織では、自分の意見を主張するだけでは円滑なコミュニケーションが取れません。そこでアサーションが必要とされます。アサーションは相手の意見を否定することなく、自分の意見を相手に伝えるコミュニケーションスキルです。
アサーションは、自分の意見を伝えられないことや相手に遠慮してしまうことから感じるストレスを軽減できます。人間関係のストレス問題を解決すれば、組織内のパフォーマンスの向上が期待できる点もメリットのひとつです。
相手の気持ちを理解しやすくなる
一方的なコミュニケーションで、自分の主張を曲げない相手に苦手意識を持つ方が多いでしょう。しかし、適切なコミュニケーションを取るためには、相手がなぜそのような態度になってしまうのかを理解することが重要です。
アサーションを導入すれば、考え方が違う相手の気持ちを理解しやすくなり、苦手意識の克服につながります。また、人はそれぞれ違う意見や考え方を持っているという前提が身に付き、コミュニケーションの取り方が大きく変わります。相手を否定するのではなく、理解した上でこちらの意見も提示できるようになるでしょう。
自己主張の強い相手とのコミュニケーションでは、まずは相手の意見を受け入れた後に、こちらの意見を伝えることが重要です。相手の気持ちを理解して意見を尊重すれば、良好な人間関係が築けます。業務が円滑に進むほか、職場での人間関係におけるストレスの軽減にもつながり、結果として組織全体のパフォーマンス向上につながるのです。
自分の要求が伝わりやすくなる
ビジネスにおいて自分の要求を伝えることは重要です。そこでアサーションを活用すれば、自分がどうしたいのか、なにを求めているのかという要求を相手に自然に伝えられます。
ただ自己主張をするだけでは言葉が強くなりすぎて、相手から反発されてしまうでしょう。相手や組織にとってメリットのあることを伝えたい場合に、要求を適切に伝えられず反発を受けると、逆にデメリットになりかねません。
また売上や関係性を気にしてしまい、取引先からの無理な要求を断れない場合もあるのではないでしょうか。無理な要求を断るためには、アサーションの考え方でコミュニケーションを取ってみましょう。取引先にも意見や立場があるため、それらに対して理解を示しつつ、代替案を提示すればこちらの要求を伝えやすくなります。
このように、アサーションを活用すれば相手の意見を聞きつつ、伝わりやすい言葉を選べるようになります。自分の要求を適切に伝え、相手の要求にも理解を示して円滑なコミュニケーションを取れることが、アサーションを導入するメリットです。
ハラスメント対策につながる
近年様々な種類のハラスメントが問題となっていますが、アサーションの導入によって防止につながります。職場で発生しやすいのは、上司から部下への仕事上でのコミュニケーションにおけるハラスメントです。そこで立場が上で、知識や経験も豊富な上司がアサーションを意識することで、部下の考えや意見に理解を示せるでしょう。
理解を示した上で指導をすれば、信頼関係を構築しながら業務の最適化を行えます。頭ごなしに指示や指導を行うだけではハラスメントとなり、部下からの反発を招くでしょう。
また部下もアサーションを意識すれば、上司の意見に理解を示した上で自分の考えを伝えられます。上司の意見に納得がいかなくても、反発するだけでなく相互理解のもと、コミュニケーションを取れるのがアサーションのメリットです。
アサーションから判断できる様々なコミュニケーションタイプ
アサーションにおいて、コミュニケーションタイプは3つに分類できます。コミュニケーションタイプは以下のとおりです。
- アグレッシブタイプ
- ノン・アサーティブタイプ
- アサーティブタイプ
アサーションのトレーニングを行う前に、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
アグレッシブタイプ
アグレッシブタイプは、自己主張はするが、相手の自己主張は認めないタイプです。アグレッシブとは「攻撃的」という意味があります。このタイプは、相手の意見や立場を考えず自分の主義・主張を押し付けてしまいやすいのが特徴です。
アグレッシブタイプは、自分の意見をはっきりと伝えられることが強みですが、強い言葉や表現を使用する癖があり、周囲からの反発を受けてしまう場合が多いです。反発を受けた場合に「相手が意見を聞いてくれない」と他人に責任を押し付けてしまい、否定的な言葉を使ったコミュニケーションで周囲に反論してしまいます。
しかし、アグレッシブタイプの人はアサーションを学べば自己主張ができる強みを活かせます。相手の意見に耳を傾け、理解を示せば円滑なコミュニケーションが取れるようになるでしょう。
ノン・アサーティブタイプ
ノン・アサーティブタイプは、自分の意見を主張することが苦手で、相手の意見に納得しないまま聞き入れてしまうタイプです。一見相手の意見を聞いて相互理解できるコミュニケーションタイプのように思えますが、そうではありません。
頼み事を断れなかったり、自分の意見や考えを求められたりする際に自己主張できないことで、ストレスを抱えてしまうタイプです。一般的に、自信のなさや他人に迷惑をかけたくないという気持ちが強すぎることが原因とされています。
またコミュニケーション面だけでなく、仕事を断れない傾向から業務量が増えて、残業によるストレスを抱える可能性がある点も問題です。業務のクオリティが落ちるケースもあるため、結果的に相手に迷惑をかけてしまう場合もあるでしょう。
相手の意見を聞き入れることや、頼み事を受け入れることは長所ですが、このタイプはビジネスで評価されにくいです。
アサーティブタイプ
アサーティブタイプは、相手の立場や状況に応じて適切なコミュニケーションを取れるタイプです。相手の意見に耳を傾け尊重しつつ、自分の意見を伝えることで、相互理解を深めて良好な人間関係を築けます。
ビジネスにおいても、相手を優先しながら客観的な視点で冷静に判断できる点がアサーティブタイプの強みです。強すぎる言葉は選ばず、相手に納得してもらえるよう意見を主張するため反発されることが少ないでしょう。お互いにとって最適な結論に辿り着くことをゴールとしてコミュニケーションを取れる点が、アサーティブタイプの強みです。
ほかの2つのコミュニケーションタイプのよい面を持つこのタイプは、アサーティブの理想的な形です。これから紹介するアサーションのトレーニング方法を実践してアサーティブタイプを目標としましょう。
アサーションのトレーニング方法
アサーションのトレーニング方法について具体的に解説します。まずは、自分がコミュニケーションタイプのどれに当てはまるかをチェックしましょう。
その後、4つの具体的なトレーニング方法を実践します。4つのトレーニング方法は以下のとおりです。
- Iメッセージを心掛ける
- DESC法を使う
- 身振り手振りも活用する
- 言葉遣いに気を遣う
アサーションタイプのチェック方法と4つのトレーニング方法を詳しく解説します。
アサーションチェックをする
まずは自分のアサーションタイプを確認しましょう。アサーションのタイプを確認することをアサーションチェックといいます。
「自分の非を素直に認められるor認められない」「知らない人が含まれる集団に気楽に入っていけるorいけない」「自分にとって不利な要求を拒否することができるor我慢して受け入れてしまう」などの質問を自分にしてみることで、どのタイプか判断可能です。
大まかに、自分はアグレッシブタイプ・ノン・アサーティブタイプ・アサーティブタイプのどのタイプであるのかを理解した上で、トレーニングに望むとよいでしょう。
Iメッセージを心掛ける
Iメッセージとは、自分の意見を伝える際に主語を「わたし」に言い換えることです。意見の異なる相手に「あなたの考えは間違っている」と伝えると良好な関係を構築できません。そういった場合に、Iメッセージを意識することで「わたしはこう思うけどあなたはどうですか?」と言い換えができます。
Iメッセージは、意見を押し付けている印象を与えずに自分の意見を相手に伝えられます。Iメッセージで意見を伝えられた相手は、自分が責められていると感じづらくなるでしょう。主語を「あなた」から「わたし」に言い換えることで、頭ごなしに否定するのではなく、前向きな議論やコミュニケーションが可能です。
注意点としては、アサーションは自分が満足するために活用するものではないという点です。自分と相手の相互理解を深めて、よりよいコミュニケーションを取ることを念頭におきましょう。
DESC法を使う
DESC法とは、アサーションのスキルをわかりやすく論理的にまとめたトレーニング方法です。4つに分類された技法を使ってコミュニケーションを取ることで、アサーションを自然に実践できます。4つの分類は以下のとおりです。
- D(Describe)=主観を交えず、客観的に描写して状況を伝える
- E(Express)=自分の意見や考え、感情を表現する
- S(Specify)=相手が求める解決策を提案する
- C(Consequences)=提案の実行もしくは不実行の結果を伝える
4つに分けて意見を伝えることで、相手の立場を尊重しながら具体的な改善案や提案を探れます。DESC法で伝えられた意見は相手に納得感を与え、拒否や反発を受ける可能性を下げられるでしょう。また、自分も客観的視点で現状を整理しながら冷静に意見を伝えられるメリットもあります。
身振り手振りも活用する
アサーションは言語を用いたアプローチ方法が基本ですが、場合によっては非言語的なアサーションも有効です。表情や身振り手振りなどのボディーランゲージは、相手に自分の気持ちや感情を伝える有効な手段となります。
どれだけ重要なことでも、無表情で淡々と伝えてしまっては相手に状況をうまく伝達できません。また相手の意見に対して頷いたりして反応すれば、話を聞いていることを非言語的に伝えられます。
身振り手振りなどのボディーランゲージは、部下とのコミュニケーションの際に意識するとよいでしょう。上司が部下に指導する際に不機嫌そうな表情をしていては、部下が萎縮してしまいやすいです。
厳しい指導を行う必要がある場合でも、相手に内容を理解してもらうためには身振り手振りなどを活用して、前向きなコミュニケーションを取ることが大切です。
言葉遣いに気を遣う
普段は気にかけない言葉遣いに注目して、アサーションを実践する際に気を遣ってみましょう。相手に自分の主張や依頼を受け入れてもらうためには、丁寧な言葉遣いを意識することが重要です。
命令や強制するような強い言葉を使ってしまうと、同じ内容だったとしても相手が受け取る印象が大きく変わります。
また、頼まれたことを断る際も言葉遣いでコミュニケーションの質に差が出やすいです。「できません」「無理です」などと一方的に断ってしまう言い方だと、良好なコミュニケーションにつながりません。
断る場合は「〇〇ならできますがどうでしょうか?」「〇〇さんに頼めないか確認してみます」などの代替案を提示してみることで、相手との信頼関係によい影響を与えられます。
従業員のトレーニング管理だけで終わらない、あらゆる人事データを統合して分析
時代は人材情報「管理」から人材情報「活用」へ!
タレントマネジメントシステム『タレントパレット』で、様々な経営課題と向き合えます。
・あらゆる人事情報を一元集約
・人材の見える化で埋もれた人材を発掘
・AIシミュレーションで最適配置を実現
・簡単操作で高度な人事分析が可能
⇒タレントパレットの資料を見てみたい
アサーション実践の際のポイント
トレーニング方法を実践してアサーティブコミュニケーションを取る際のポイントを紹介します。主なポイントは以下の4点です。
- 会話のゴールを決める
- ゴールのために伝えるべきことを整理する
- 誠実・率直・対等・自己責任を意識して話す
- ABCDE理論を意識する
トレーニング方法と合わせてこれらのポイントを意識すれば、アサーティブコミュニケーションの能力が向上するでしょう。
会話のゴールを決める
会話を始める前に、その会話におけるゴール設定を行いましょう。結果を出すための会話なのか、選択を決めるための会話なのかで話す内容が変わります。
例えば、結果を出すことをゴールとする会話の場合は、課題を提起し、課題解決に対する具体的なアイデアの提案が必要です。課題を解決するためにどのような行動が必要なのか、お互いの意見を交換してすり合わせることで、結果につながるでしょう。
一方で、複数の選択肢からひとつに絞ることがゴールである会話では、違ったアプローチが必要です。お互いの意見を尊重しつつ、客観的に考えてどの選択肢が適切なのかを探ることが求められます。
相手と自分の件の間に相違が出る場合は、相手を傷つけず理解を示した上で、両者にとっての最適案を提案しましょう。ここでIメッセージを活用すれば、相手に納得感を与えられる可能性が高くなります。
このように、ゴールを決めてから会話を始めることによって、得られる結果や相手との関係の質を高められます。
ゴールのために伝えるべきことを整理する
会話のゴールを設定した後は、伝えたいことを整理しましょう。DESC法を用いれば、論理的かつ相手に納得してもらえる情報として、伝えたいことを整理できます。
ゴールのために伝えるべきことを整理せずに会話をスタートしてしまうと、思うように自分の意見が相手に伝わりません。ゴールに辿り着けず、自分も相手も無益な時間を過ごしてしまう結果になります。
どのようなゴールを設定していても、伝えることを整理している会話ではお互いによいコミュニケーションが取れたという手応えを感じられるでしょう。また、次回以降の会話にもポジティブな感情で挑めるため、今後のコミュニケーションの質を高めてくれる効果も期待できます。
誠実・率直・対等・自己責任を意識して話す
会話のゴールを設定して内容を整理すれば、後は実際に話すだけです。相手と良好なコミュニケーションを取るために「誠実」「率直」「対等」「自己責任」の4点を意識しましょう。
これらはアサーティブの4原則とされており、意識することで以下のような心構えを持てます。
- 誠実:相手にも自分にも正直であり誠実である
- 率直:遠回しな表現は避け、具体的に分かりやすく相手に伝える
- 対等:上から目線や卑屈になることを避け、相手を対等と考え尊重する
- 自己責任:会話から生まれた結果を自分の責任と捉える
これらの4原則を、整理した伝えるべき内容と照らし合わせ、具体的な会話のイメージトレーニングを行いましょう。注意点としては、率直と対等を意識しすぎて強い言葉を使わないようにするこが挙げられます。あくまでも相手を尊重して自分も大切にした上で、会話のゴールを目指すことを考えましょう。
ABCDE理論を意識する
ABCDE論は論理療法でのカウンセリング理論です。ABCDEは以下の単語の頭文字となっています。
- Activating event:実際に起こった出来事
- Belief:受け取り方・考え方
- Consequence:結果として生じる感情・気分・行動
- Dispute:信念に対する反論
- Effects:効果的な新しい信念
実際に起こった出来事(A)はどんなに悪いことであれ、変えられない事実です。その事実に対してどのような感じ方(B)を持っているかが、行動(C)に影響を与えます。
ABCDE理論を意識する目的は、その感じ方(B)に対して批判的に検証(D)して、修正によって感情や行動にポジティブな結果(E)を与えることです。
つまり、ABCDE理論は自分の中のネガティブな思考パターンを疑い、批判的に検証してポジティブな思考に修正するための思考法です。どのような出来事も受け取り方次第でネガティブにもポジティブにもなります。
コミュニケーションにおいても、相手の言動をどう受け取るかで関係性が変わるでしょう。ABCDE理論を意識すれば、事実を事実として健全に受け止められる思考法を手に入れられます。
ビジネスにおけるアサーションの活用事例
良好なコミュニケーションを取るためのスキルであるアサーションですが、実際にビジネスではどのような活用法があるのか気になる方もいるでしょう。ビジネスでは、特に経営や人事に関わる場面での活用が多いです。
そこでビジネスにおけるアサーションの活用事例を紹介します。
採用面接でのコミュニケーション
採用面接でのコミュニケーションにおいて、アサーションを活用できます。採用面接では、面接する側である企業と面接を受ける側の求職者という立場に分けて考えるのが一般的です。
人手不足で優れた人材の確保が難しい昨今では、求職者にも選ぶ権利があります。双方に選ぶ権利があることを理解していないと、面接官による威圧的な圧迫面接が行われ、応募者は本来の持ち味を活かしたコミュニケーションが取れなくなる可能性があります。仮に圧迫面接で採用となっても、求職者側は面接時の威圧的な印象が会社に残り、気持ちよく仕事ができないでしょう。
そこでアサーションを活用すれば、採用面接でのコミュニケーションを良好なものにできます。また採用された従業員は入社後に気持ちよく働くことができ、不採用となった方にもよいイメージを持ってもらえるでしょう。
適切な人事評価の伝え方が身に付く
人事評価では、評価される側が納得できるかを重要視する必要があります。そのためには評価をする管理職だけでなく、評価を受ける部下もアサーションを身に付けましょう。
評価を受ける部下がアサーションスキルを身に付けていれば、自分の評価が悪かったとしても、正当な評価であると受け入れられます。一方でアサーションスキルがなく事実を客観的に受け入れられない場合は、評価を不当と判断してしまうでしょう。モチベーションの低下や退職の原因にもつながる可能性があります。
組織全体にアサーションの考え方が根付いていると、上下関係があったとしても対等なコミュニケーションができます。人事評価というデリケートな場面であっても誠実さと率直さを持って対等に接すれば、納得度の高い評価を伝えられるでしょう。
アサーションについて学べる研修や資格
アサーションを学べる研修や資格は複数あります。その中でもおすすめの研修や講座は以下の3点です。
- アイシンク アサーション入門講座
- 言い方上手(アサーションスキル)検定
- コミュニケーション能力検定
これらの研修や資格を取得すれば、アサーションスキルを身に付けられます。企業や部署全体でアサーションに取り組みたい場合は活用してみてはいかがでしょうか。
それぞれの研修や資格の内容を詳しく解説します。
アイシンク アサーション入門講座
アイシンク株式会社のアサーション入門講座は、アサーションスキル向上に特化した企業研修です。言いにくいことを伝えられるコミュニケーションスキルを磨けます。
講座のコンセプトは「きちんと言える」です。1日で完了する研修というコンパクトさが魅力で、アサーションの理論と実践方法を学べます。
企業研修のため、職場全体でアサーションスキルを身に付けて、人間関係を改善したい場合に活用できるでしょう。部下に対する指導スキルを高めたい場合や、自分のコミュニケーション方法が間違っていないか確認したい場合にもおすすめです。
言い方上手(アサーションスキル)検定
言い方上手(アサーションスキル)検定は、一般財団法人ヒューマンスキル教育推進協会が主催するアサーションの検定です。セミナー形式で開催され、セミナー後に検定試験があります。
セミナーは講師の話を聞いて知識を習得するだけではなく、実際にアサーションを実践する体験型です。仕事だけではなく、日常生活でコミュニケーションの難しさを感じる場面や困った場面も想定されています。
様々な場面で、相手の立場や思考を理解して、上手に自分の気持ちを伝えるための「言い方」を学べます。心理テストや実習を交えて自然と身に付くような工夫が魅力です。
zoomを使ったオンラインセミナーと検定も開催されているため、全国どこからでも参加が可能であり、企業研修も行っています。
コミュニケーション能力検定
コミュニケーション能力検定は、アサーションについて学べるコミュニケーション能力の検定です。日本コミュニケーション能力認定協会が主催しています。満席になることもある人気の検定で、オンラインでの参加も可能です。
資格講座は全部で4段階あります。「2級講座」「準1級講座」「1級講座」「トレーナー育成コース」の4つで、基礎から指導者レベルまで段階ごとに学習可能です。
リーダー層やマネジメント層が該当する1級認定講座は、2日間での開催となっています。講座内容は、リーダーシップや人を動かすスキルなど、上級コミュニケーションスキルです。2日間の講座を受講して実習に取り組むことで、試験に合格となり、コミュニケーション能力1級認定資格を取得できます。
また企業研修制度もあり、役職や職種に応じて研修内容も変更可能です。
アサーションが向いている人と向いていない人
コミュニケーションスキルとして万能に見えるアサーションですが、スキルを習得することが向いている人と向いていない人に分かれます。どのような人がアサーションに向いているのか、また不向きなのかを確認していきましょう。
アサーションが向いている人
アサーションが向いているのは、自分の意見をはっきりと主張できない人です。アサーションを身に付ければ、自分の意見や感情を適切に伝えられるようになります。
また、頼みごとを断れない人にもおすすめです。アサーションを習得すれば、相手を傷つけることなく感じのよい断り方ができるようになります。アサーションを身に付けないで、ただ頼まれたことを断るだけでは話しかけづらい人という印象を持たれてしまうでしょう。
このように自分の意見を主張するのが苦手な人や、頼まれたことを断れない人はアサーションに向いています。
アサーションが向いていない人
アサーションが向いていない人は、攻撃的な人や相手の意見を認めないタイプの人です。攻撃的な人や相手の意見を認めない人は、アサーションについて勘違いをして、自分の主張をさらに強めて高圧的になる可能性があります。
アサーションは、相手の立場や意見を尊重することから始まるコミュニケーションです。主張を強めて高圧的になってしまっては逆効果になります。初めのうちは自分の意見が通るので問題ありませんが、長い目で見れば周囲からの評価が下がり協力者が減って、自分の立場が悪くなる可能性があるでしょう。
アサーションスキルを身に付けて適切に活用するには、相手の立場に立つことを意識する必要があります。攻撃的な人や相手の意見を認めないタイプの人は、言葉遣いを見直してIメッセージを活用しましょう。
まとめ
アサーションは相手の立場を尊重して意見や考え方を聞きつつ、自分の意見を主張できるコミュニケーションスキルです。ビジネスシーンで活用すれば、人間関係を良好なものとして問題を解決できるでしょう。また人事評価や採用面接の際にも役に立つスキルのため、人事担当の方にもおすすめです。
多彩なタレントマネジメント機能を搭載するタレントパレットでは、効率的な人事評価や採用面接が可能です。
人事評価機能では、評価項目の設定から評価調整(甘辛調整)まで、人事業務に必要な評価フローをワンストップで実現します。また、採用業務に必要な情報を一元管理し、従業員データと比較して採用の質も向上させられます。
さらに、タレントパレットでは、人材育成や研修作成・実施も可能です。
煩雑になりやすい人事業務の効率化を目指したい人事担当の方や、アサーションスキルの研修を検討している方は、ぜひ無料の資料請求で詳細をご確認ください。
タレントパレットのHPはこちら